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Oracle® Databaseインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for IBM AIX on POWER Systems (64-Bit)
B57781-08
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D Optimal Flexible Architecture

この付録では、Optimal Flexible Architecture(OFA)標準について説明します。この標準は、Oracleを適切にインストールして管理を簡略化するために作成された構成ガイドラインのセットです。内容は次のとおりです。

D.1 Optimal Flexible Architecture標準の概要

Optimal Flexible Architecture標準は、所有するユーザーおよびバージョンの異なる複数のデータベースが共存できるようにデータベース・ソフトウェアとデータベースを適切に配置および構成します。Optimal Flexible Architectureにより、ORACLE_BASEで識別されるディレクトリの自動診断リポジトリ(ADR)で適切なインシデントの診断データを収集できます。

インストール・メディアのすべてのOracleコンポーネントは、Optimal Flexible Architectureに準拠しています。Oracle Universal Installerでは、Optimal Flexible Architectureガイドラインに従ったデフォルトの権限を割り当てるディレクトリの位置にOracle Databaseコンポーネントを配置します。

データベースが巨大な場合または複数データベースの使用を計画している場合は特に、Optimal Flexible Architectureを使用することをお薦めします。

D.1.1 複数OracleホームおよびOFAの利点

Oracleデータベースをインストールすると、コンピュータでサポート可能な大規模なアプリケーションがインストールされます。大規模データベースを管理する場合、複数のOracleホームおよびOptimal Flexible Architectureの使用は多くの利点をもたらします。重要な利点を次に示します。

  • 構造化されたディレクトリおよびファイルの配置、一貫性のあるデータベース・ファイルのネーミングによるデータベース管理の簡略化。

  • 複数のディスクにI/Oを分散することで、単一ドライブへの複数の読取り/書込みコマンドの発行によるパフォーマンスのボトルネックを回避。

  • 複数のディスクへのアプリケーションの分散により、データベース障害に対する安全性の確保。

  • データベース管理者がOracleホーム・ディレクトリを追加、移動または削除する際にログイン・ホーム・ディレクトリに危険が及ばない。

  • 所有するユーザーおよびバージョンの異なる複数のデータベースの共存。

  • Oracleホームでのソフトウェア・アップグレードのテストを、本番データベースが配置されたOracleホームとは異なるディレクトリで実行できる。

D.2 Optimal Flexible Architectureの実装

この項では、Optimal Flexible Architecture標準で推奨されるネーミング方法について説明します。この項の内容は、次のとおりです。

D.2.1 ファイル・システム

次の各項では、マウント・ポイントの規則について説明します。

D.2.1.1 ファイル・システムの数

ストライプ化もミラー化もされていないファイル・システムに格納されたデータベースについてOptimal Flexible Architecture推奨事項を完全に実装するには、3つ以上のファイル・システムをそれぞれ個別の物理デバイスに配置することが必要です。

D.2.1.2 ネーミング規則

すべてのファイル・システムのマウント・ポイント名には構文/pmを使用します。pは文字定数、mは各マウント・ポイントを区別するために使用する一意の固定長キー(通常は2桁の番号)です。たとえば、/u01/u02/disk01/disk02となります。

D.2.2 ディレクトリのネーミング

次の各項では、Optimal Flexible Architecture標準に準拠したディレクトリのネーミング規則について説明します。


注意:

Oracleソフトウェア用に選択したパス(Oracleホーム・パス、Oracleベース・パスなど)では、ASCII文字のみを必ず使用してください。一部のパスにインストール所有者名がデフォルトで使用されるため、このASCII文字制限はユーザー名、ファイル名およびディレクトリ名に適用されます。

D.2.2.1 Oracleベース・ディレクトリのネーミング規則

Oracleベース・ディレクトリはトップレベル・ディレクトリで、様々なOracleソフトウェア製品のインストールに使用できます。同一のOracleベース・ディレクトリを複数のインストールに使用できます。異なるオペレーティング・システム・ユーザーが同じシステム上にOracleソフトウェアをインストールする場合、各ユーザーは個別のOracleベース・ディレクトリを作成する必要があります。

Oracleベース・ディレクトリ名には、構文/pm/s/uを使用します。表D-1に、この構文で使用されている変数を示します。

表D-1 Oracleベース・ディレクトリのネーミング構文

変数 説明

pm

マウント・ポイント名

s

標準ディレクトリ名

u

ディレクトリの所有者名(Oracle Universal Installerを実行しているユーザー)


たとえば、/u01/app/oracleoracleユーザーにより作成されたOracleベース・ディレクトリで、/u01/app/applmgrapplmgrユーザーにより作成されたOracleベース・ディレクトリです。

Oracleベース・ディレクトリをUNIXファイル・システムと同じレベルに配置すると、様々なマウント・ポイントにあるOracleベース・ディレクトリの集合を1つのパターン一致文字列/*/app/*を使用して参照できるという利点があります。

D.2.2.2 大規模データベース(VLDB)のマウント・ポイントのネーミング

各ディスク・ドライブに1つのアプリケーションからのデータベース・ファイルがあり、I/Oボトルネックを防止できる十分な数のドライブが各データベースにある場合は、マウント・ポイント名に構文/h/q/dを使用します。表D-2に、この構文で使用されている変数を示します。

表D-2 大規模データベースのマウント・ポイントのネーミング構文

変数 説明

h

Oracleベース・ディレクトリ

q

oradataなど、このディレクトリにOracleデータが格納されていることを示す文字列

d

初期化パラメータDB_NAMEの値(通常は単一インスタンス・データベースのインスタンスSIDと同じ)


たとえば、testデータベース専用に2つのドライブを割り当てるには、マウント・ポイント名として/u01/app/oracle/oradata/testおよび/u02/app/oracle/oradata/testを指定します。

D.2.2.3 パス名の参照

明示的なパス名の参照は、パスワード・ファイル、/etc/passwd、Oracle oratabファイルなど、パスの格納用に特別に設計されたファイル内でのみ行います。グループ・メンバーシップは、/etc/groupファイル内でのみ参照します。

D.2.2.4 Oracleホーム・ディレクトリのネーミング規則

複数のバージョンのOracleソフトウェアを同時に実行するというOptimal Flexible Architectureの要件を満たすように、パターン/pm/s/u/product/v/type_[n]と一致するディレクトリにそのソフトウェアをインストールします。

表D-3に、この構文で使用されている変数を示します。

表D-3 Oracleホーム・ディレクトリのネーミング構文

変数 説明

pm

マウント・ポイント名

s

標準ディレクトリ名

u

ディレクトリの所有者名

v

ソフトウェアのバージョン

type

Database(dbhome_1)、Client(client)、Oracle Grid Infrastructure(grid)などのインストールのタイプ

n

オプションのカウンタ。これを使用すると、同じOracleベース・ディレクトリに同じ製品を複数回インストールできます。


次に例を示します。

/u01/app/oracle/product/11.2.0/dbhome_1は、このシステムに初めてインストールされるOracle DatabaseのOracleホーム・ディレクトリを示しています。

ORACLE_HOME環境変数にはOracleホーム・ディレクトリを設定します。

D.2.2.5 サブディレクトリのネーミング

管理データの編成を容易にするために、データベース固有の管理ファイルは、パターン/h/admin/d/a/と一致するサブディレクトリに格納することをお薦めします。hはOracleベース・ディレクトリ、dはデータベース名(DB_NAME)、aは特定のタイプのデータベース管理ファイルのサブディレクトリです。表D-4に、データベース管理ファイルのサブディレクトリを示します。

表D-4 デースベース管理ファイルのサブディレクトリ

サブディレクトリ 説明

arch

アーカイブREDOログ・ファイル

adump

監査ファイル。
adumpディレクトリを指定するように、AUDIT_FILE_DEST初期化パラメータを設定します。このサブディレクトリは、定期的に空にします。

create

データベースの作成に使用されるデータベース作成ログ・ファイルおよびスクリプトが含まれます。

dpdump

データ・ポンプ操作用のデフォルト・ディレクトリ。データ・ポンプ・ファイルdp.logが含まれます。

exp

データベース・エクスポート・ファイル

logbook

データベースのステータスおよび履歴が記録されるファイル

pfile

インスタンス・パラメータ・ファイル

scripts

非定型SQLスクリプト


たとえば、/u01/app/oracle/admin/orcl/scripts/orclというデータベースに関連付けられているscriptsサブディレクトリです。

Oracle Database 11gでは、Automatic Diagnostic Repository (ADR) ディレクトリはbdump cdumpおよびudumpディレクトリに置き換えられます。ADR診断データは、デフォルトで/h/diag/rdbms/d/i/ディレクトリに格納されます。

各パラメータの意味は次のとおりです。

hはOracleベース

dはデータベース名

iはインスタンス名

ADRホームには、trace、alert、incidentというサブディレクトリがあります。表D-5に、ADRディレクトリを示します。

表D-5 診断トレースの場所

診断データ 10gでの場所 11gでの場所

フォアグラウンド・プロセス・トレース

user_dump_dest

ADR_HOME/trace/

バックグラウンド・プロセス・トレース

background_dump_dest

ADR_HOME/trace/

アラート・ログ・データ

background_dump_dest

ADR_HOME/alert/

コア・ダンプ

core_dump_dest

ADR_HOME/incident/In/

インシデント・ダンプ

プロセスによってuser_dump_destまたはbackground_dump_dest

ADR_HOME/incident/In/


D.2.3 データベース・ファイルのネーミング

次の表に、データベース・ファイル用の推奨ネーミング規則を示します。


注意:

Oracle Managed Files(OMF)およびOracle Automatic Storage Managementのディスク・グループに格納されているファイルでは、使用されるネーミング規則が異なります。これらのネーミング規則の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください

ファイル・タイプ ファイル・ネーミング規則
制御ファイル /h/q/d/control.ctl
REDOログ・ファイル /h/q/d/redon.log
データファイル /h/q/d/tn.dbf

次の表に、この構文を示します。

変数 説明
h Oracleベース・ディレクトリ
q Oracleデータを他のすべてのファイルと区別する文字列(通常はoradata)
d DB_NAME初期化パラメータの値(通常は単一インスタンス・データベースのインスタンスSIDと同じ)
t Oracle表領域名
n 2桁の文字列


注意:

パス/h/q/dには、データベースdに関連付けられている制御ファイル、REDOログ・ファイル、またはデータファイル以外のファイルを格納しないでください。

この規則を使用すると、/u01/app/oracle/oradata/sab/system01.dbfファイルが属しているデータベースを容易に判別できます。

D.2.4 異なる要件を持つセグメントの分離

存続期間、I/O要求需要、およびバックアップ頻度の異なるセグメントのグループを、異なる表領域間で分離します。

表D-6に、Database Configuration AssistantによりOracleデータベースごとに作成される特殊な表領域を示します。データベースを手動で作成する場合は、必要な表領域も作成する必要があります。これらの表領域は、アプリケーション・セグメントに必要な表領域とは別個に追加されるものです。


関連項目:

データベースの手動作成の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

表D-6 特殊な表領域

表領域 必須 説明

EXAMPLE

いいえ

サンプル・スキーマの格納に使用するEXAMPLE表領域

SYSAUX

はい

SYSTEM表領域の補助表領域

SYSTEM

はい

データ・ディクショナリ・セグメント

TEMP

はい

一時セグメント

UNDOTBS1

はい

OracleがUNDO情報の格納に使用

USERS

いいえ

その他のユーザー・セグメント


これらの特殊な表領域を作成すると、データ・ディクショナリ・セグメントは削除されることがなく、削除できる他のセグメントはSYSTEM表領域への格納が許可されないため効率的です。


関連項目:

REDOログ・ファイルおよび制御ファイルの詳細は、「表領域、データファイル、REDOログ・ファイルおよび制御ファイルの確認」を参照してください。

D.2.5 OracleファイルへのOptimal Flexible Architecture構造の利用

表D-7に、ファイル・クラスの識別に使用する構文を示します。

表D-7 ファイル・クラスを識別するためのディレクトリ構造の構文

ディレクトリ構造の構文 説明

/u[0-9][0-9]

ユーザー・データ・ディレクトリ

/*/home/*

ユーザーのホーム・ディレクトリ

/*/app/*

ユーザーのアプリケーション・ソフトウェア・ディレクトリ

/*/app/applmgr

Oracleアプリケーション・ソフトウェアのサブツリー

/*/app/oracle/product

Oracleソフトウェアのサブツリー

/*/app/oracle/product/11.2.0

リリース11g製品のOracleソフトウェアのサブツリー

/*/app/oracle/product/11.2.0/db*

Oracle Database 11gのOracleホーム・ディレクトリ

/*/app/oracle/product/11.2.0/grid*

ユーザーoracle用のスタンドアロン・サーバーのOracle Grid Infrastructure 11gのOracleホーム・ディレクトリ

/*/app/oracle/admin/orcl

orclデータベースの管理サブツリー

/*/app/oracle/admin/orcl/arch/*

orclデータベースのアーカイブ・ログ・ファイル

/*/app/oracle/oradata

Oracleデータ・ディレクトリ

/*/app/oracle/oradata/orcl/*

orclデータベース・ファイル

/*/app/oracle/oradata/orcl/*.log

orclデータベースのREDOログ・ファイル


D.2.6 Optimal Flexible Architectureのファイル・マッピング

表D-8に、2つのOracleホーム・ディレクトリと2つのデータベースを持つOptimal Flexible Architecture準拠のサンプル・インストールの階層ファイル・マッピングを示します。データベース・ファイルは、/u02/u03/u04の3つのマウント・ポイント間に分散しています。


注意:

優れた冗長性とスループットを得るには、Oracle ASMの使用をお薦めします。

表D-8 Optimal Flexible Architectureインストールの階層ファイル・マッピング

ディレクトリ 説明

/


ルート・ディレクトリ

/u01/

ユーザー・データのマウント・ポイント1

/u01/app/

アプリケーション・ソフトウェア用のサブツリー

/u01/app/oracle/

Oracleベース・ディレクトリ

/u01/app/oracle/admin/

データベース管理ファイル用のサブツリー

/u01/app/oracle/admin/TAR

サポート・ログ・ファイル用のサブツリー

/u01/app/oracle/admin/db_name1/

db_name1データベースのadminサブツリー

/u01/app/oracle/admin/db_name2/

db_name2データベースのadminサブツリー

/u01/app/oracle/doc/

オンライン・ドキュメント

/u01/app/oracle/fast_recovery_area/

リカバリ・ファイル用のサブツリー

/u01/app/oracle/fast_recovery_area/db_name1

db_name1データベース用のリカバリ・ファイル

/u01/app/oracle/fast_recovery_area/db_name2

db_name2データベース用のリカバリ・ファイル

/u02/app/oracle/oradata

/u03/app/oracle/oradata

/u04/app/oracle/oradata

Oracleデータ・ディレクトリ

/u01/app/oracle/product/

ディストリビューション・ファイル

/u01/app/oracle/product/11.2.0/dbhome_1

ユーザーoracle用のOracle DatabaseのOracleホーム・ディレクトリ

/u01/app/oracle/product/11.2.0/grid

ユーザーoracle用のスタンドアロン・サーバーのOracle Grid InfrastructureのOracleホーム・ディレクトリ

/u01/app/kjf/

ユーザーkjf用のOracleベース・ディレクトリ

/u01/app/edm/

ユーザーedm用のOracleベース・ディレクトリ


表D-9に、orclデータベースにおける、Optimal Flexible Architecture準拠のサンプル・インストールのログ・ファイルに対する階層ファイル・マッピングを示します。

表D-9 Optimal Flexible Architectureインストールのログ・ファイルに対する階層ファイル・マッピング

ディレクトリ 説明

/u01/app/oracle/admin/TAR

サポート・ログ・ファイル用のサブツリー

/u01/app/oracle/admin/orcl/arch/*

アーカイブ・ログ・ファイル

/u01/app/oracle/admin/orcl/create/

データベース作成ログ・ファイルが含まれます。

/u01/app/oracle/oradata/orcl/*.log

REDOログ・ファイル

/u01/app/oracle/admin/orcl/dpdump/

データ・ポンプ・ファイルdp.logがあるサブディレクトリ

/u01/app/oracle/diag

すべてのデータベース、リスナー、sqlnetおよびその他の診断ログが含まれます。

/u01/app/oracle/audit

すべての監査ログが含まれます。

/u01/app/oracle/cfgtoollogs

Oracle Database Configuration Assistant、Database Upgrade AssistantおよびOracle Net Configuration Assistantなどの構成アシスタントのログが含まれます。