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Oracle® Databaseインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for Microsoft Windows
B58878-10
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B Optimal Flexible Architecture

この付録では、Optimal Flexible Architecture標準について説明します。この標準は、Oracleを適切にインストールして管理を簡略化するために作成された構成ガイドラインのセットです。内容は次のとおりです。

B.1 Optimal Flexible Architecture標準の概要

Optimal Flexible Architecture標準は、異なるバージョンの、異なるユーザーが所有する複数のデータベースの共存を可能にするよう、データベース・ソフトウェアの編成およびデータベースの構成を行うのに役立ちます。Optimal Flexible Architectureは、ORACLE_BASEを、インシデントを適切に収集するそのOracleベース用の自動診断リポジトリ(ADR)診断データで識別するのに役立ちます。

インストール・メディアのすべてのOracleコンポーネントは、Optimal Flexible Architectureに準拠しています。Oracle Universal Installerでは、Optimal Flexible Architectureガイドラインに従ったデフォルトの権限を割り当てるディレクトリの位置にOracle Databaseコンポーネントを配置します。

Optimal Flexible Architectureを使用することをお薦めします。特にデータベースのサイズが大きくなる場合、または複数のデータベースを持つ計画の場合です。

B.1.1 複数のOracleホームおよびOFAの利点

Oracleデータベースをインストールする場合、コンピュータでサポート可能な最大のアプリケーションの1つをインストールします。複数のOracleホームおよびOptimal Flexible Architectureを使用すると、大規模データベースを管理する際に多くの利点があります。次の利点は重要です。

  • ディレクトリおよびファイルの構造化された編成、およびデータベース・ファイルの一貫したネーミングによりデータベースの管理が簡単になります。

  • 複数ディスク間のI/Oの分散により、1つのドライブに同時に発行される複数の読取りまたは書込みコマンドによるパフォーマンス・ボトルネックが回避されます。

  • 複数ディスク間のアプリケーションの分散により、データベース障害から守ります。

  • データベース管理者がOracleホーム・ディレクトリを追加、移動または削除する際にログイン・ホーム・ディレクトリにリスクがありません。

  • 異なるバージョンの、異なるユーザーが所有する複数のデータベースが同時に共存できます。

  • ソフトウェアのアップグレードを、本番データベースが配置されているOracleホームから分離したディレクトリのOracleホームでテストできます。

B.2 Oracle DatabaseのOptimal Flexible Architectureの変更

旧リリースのOracle Databaseでは、Optimal Flexible Architecture推奨のOracleホームのパスは次のようなものでした。

c:\oracle\ora92

Oracle Database 11gリリース1(11.1)から、Optimal Flexible Architecture推奨のOracleホームのパスが変更されています。Optimal Flexible Architecture推奨のOracleホームのパスは、次のようになります。

c:\app\username\product\11.2.0\dbhome_1

ORACLE_BASEのデフォルトにはバージョン情報は含まれていませんが、デフォルトのORACLE_HOMEには含まれています。

B.3 リリースごとのディレクトリ・ツリーの相違

Optimal Flexible Architectureにより、Oracleデータベースのディレクトリ・ツリーは変更されました。この項では、以前との相違について説明します。

B.3.1 トップレベルのOracleディレクトリ

Oracle Database Optimal Flexible Architecture準拠のデータベースをインストールすると、すべてのサブディレクトリは、トップレベルのOracleベース・ディレクトリDRIVE_LETTER:\app\username (DRIVE_LETTERはハード・ドライブ文字)の下に作成されます。

Oracleベース・ディレクトリには、\ORACLE_HOMEディレクトリ、\oradataディレクトリ(データベース・ファイル用)、\diag(診断データ用)、\flash_recovery_area(リカバリ操作用)および\adminディレクトリ(データベース管理ファイル用)が含まれます。

B.3.2 データベース・ファイル名

データベース・ファイルのファイル名にはSIDが含まれません。たとえば、最初の制御ファイルの名前は、control01.ctlになります。特定のデータベースのデータベース・ファイルはすべて、そのデータベース用に指定されたDB_UNIQUE_NAMEというディレクトリの下にある\oradataに配置されるため、ファイル名にSIDは不要です。

B.3.3 データベース・ファイル名拡張子

Optimal Flexible Architecture準拠のリリースでは、データベース・ファイル名には次の拡張子が付けられます。

  • .ctl(制御ファイル)

  • .log(ログ・ファイル)

  • .dbf(データファイル)

B.4 Optimal Flexible Architectureディレクトリのネーミング規則

Optimal Flexible Architectureでは、一連のファイルに関連付けられたOracleホームおよびデータベース名を正しく簡単に識別するためのディレクトリ・ネーミング規則が使用されます。この項では、Optimal Flexible Architecture準拠のデータベース・ディレクトリ・ツリーのトップレベル・ディレクトリに使用されるネーミング規則について説明します。

B.4.1 ORACLE_BASEディレクトリ

ORACLE_BASEは、Oracleディレクトリ・ツリーのルートです。Oracle Universal Installerのデフォルト設定を使用してOptimal Flexible Architecture準拠のデータベースをインストールした場合、ORACLE_BASEDRIVE_LETTER:\app\usernameです。

Oracle Database for Microsoft Windowsを他のOracleソフトウェアがインストールされていないコンピュータにインストールする場合は、Oracle Universal Installerを実行する前にORACLE_BASEディレクトリを変更できます。ほとんどのユーザーには、この変更は必要ありません。

初回のOracle Universal Installerの実行後は、ORACLE_BASEの値を変更しないでください。既存のORACLE_BASEがあり、それを変更すると、Oracleベース・ディレクトリの競合が生じます。元のORACLE_BASEが存在する場合に、別のORACLE_BASEを作成すると、一部のツールやデータベースで、以前に作成したファイルが検出されなくなります。これらのツールやデータベースでは、元のORACLE_BASEではなく、新規のORACLE_BASEでファイルが検索されます。


関連項目:

環境変数の編集の手順については、使用しているオペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。

B.4.2 ORACLE_HOMEディレクトリ

ORACLE_HOMEディレクトリはDRIVE_LETTER:\ORACLE_BASE(DRIVE_LETTER:\は任意のハード・ドライブ)の下にあり、Oracleソフトウェアの実行可能ファイルやネットワーク・ファイル用のサブディレクトリが含まれます。

Oracle Database for Windowsを他のOracleソフトウェアがインストールされていないコンピュータにインストールし、デフォルトの設定を使用する場合、作成する最初のディレクトリは\dbhome_1となります。

B.4.3 自動診断リポジトリ(ADR)ディレクトリ

Oracle Database 11g以降では、Automatic Diagnostic Repository (ADR)ディレクトリは、データベース用に、bdumpcdumpおよびudumpディレクトリを置き換えます。ADR診断データは、ORACLE_BASE\diag\rdbms\DB_UNIQUE_NAME\instance_nameに格納されます。

サブディレクトリの一部を次に示します。

\alert
\hm
\incident
\incpkg
\ir
\lck
\metadata
\stage
\sweep
\trace

ADRホームには、trace、alert、incidentというサブディレクトリがあります。表B-1に、ADRディレクトリを示します。

表B-1 診断トレースの場所

診断データ 10gでの場所 11gでの場所

フォアグラウンド・プロセス・トレース

user_dump_dest

ADR_HOME/trace/

バックグラウンド・プロセス・トレース

background_dump_dest

ADR_HOME/trace/

アラート・ログ・データ

background_dump_dest

ADR_HOME/alert/

コア・ダンプ

core_dump_dest

ADR_HOME/incident/In/

インシデント・ダンプ

プロセスによってuser_dump_destまたはbackground_dump_dest

ADR_HOME/incident/In/


B.4.4 ADMINディレクトリ

データベース管理ファイルは、ORACLE_BASE\admin\DB_UNIQUE_NAMEのサブディレクトリに格納されます。

B.4.5 ORADATAディレクトリ

データベース・ファイルは、ORACLE_BASE\oradata\DB_UNIQUE_NAMEに格納されます。これらのファイルの名前および簡単な説明は、次のとおりです。

CONTROL01.CTL    --control file 1
CONTROL02.CTL    --control file 2
CONTROL03.CTL    --control file 3
EXAMPLE01.DBF    --EXAMPLE tablespace data files
SYSAUX01.DBF     --SYSAUX tablespace data files
SYSTEM01.DBF     --SYSTEM tablespace data file
TEMP01.DBF       --TEMP tablespace data file
USERS01.DBF      --USERS tablespace data file
*.dbf            --data files corresponding to each tablespace in your database
REDO01.LOG       --redo log file group one, member one
REDO02.LOG       --redo log file group two, member one
REDO03.LOG       --redo log file group three, member one

注意:

このディレクトリ構造では、UNIXおよびWindowsプラットフォームにおいてディスクのストライプ化が可能です。「Windowsでのシンボリック・リンクのサポート」を参照してください。

B.4.6 RECOVERY_AREAディレクトリ

recovery_areaディレクトリはバックアップおよびリカバリに関連するファイルを保存し管理します。これには、システム上の各データベースのサブディレクトリが含まれています。高速リカバリ領域は、リカバリ関連のファイル(制御ファイルおよびオンラインREDOログのコピー、アーカイブ・ログ、フラッシュバック・ログおよびOracle Database Recovery Manager (RMAN)バックアップ)の格納に使用できる任意のディスクの場所です。高速リカバリ領域内のファイルは、OracleおよびRMANによって自動的に管理されます。


関連項目:

高速リカバリ領域の作成方法および使用方法の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

B.5 Optimal Flexible Architectureおよび複数のOracleホームの構成

次の各項では、Optimal Flexible Architectureおよび複数のOracleホームの様々な構成について説明します。

B.5.1 ORACLE_HOMEディレクトリの指定

Optimal Flexible Architecture準拠のデータベースをインストールするには、次の形式でOracleホーム・ディレクトリを指定する必要があります。

DRIVE_LETTER:\app\username\product\11.2.0\dbhome_1 

各パラメータの意味は次のとおりです。

  • DRIVE_LETTER:\は、任意のハード・ドライブです。たとえば、c:\となります。

  • \app\usernameは、インストールを実行する前のORACLE_BASEです。

  • dbhome_1は、デフォルトのディレクトリ名です。

Optimal Flexible Architecture準拠のOracleホーム・ディレクトリの例は、次のとおりです。

  • c:\app\test1\product\11.2.0\dbhome_1

  • d:\app\test2\product\11.2.0\dbhome_1

B.5.2 デフォルトのOptimal Flexible Architectureデータベースのインストール: 例1

この例では、1つのOracleベース・ディレクトリ内にすべてのOracleホームを作成する方法を示します。

  1. 他のOracleソフトウェアがインストールされていないコンピュータに、Optimal Flexible ArchitectureをサポートするOracle Database(Oracle Databaseリリース8.1.6以上)をインストールし、Oracleホームのデフォルトの設定(c:\app\username\product\11.2.0\dbhome_1など)を確定します。

  2. デフォルトの設定を確定して、2番目のOracleホームに任意のOracle Databaseをインストールします。

表B-2は、デフォルトのOptimal Flexible Architectureデータベースの設定を示しています。

表B-2 デフォルトのOptimal Flexible Architectureデータベース設定

設定

ORACLE_BASE

c:\app\username(すべてのOracleホームで同一)

Oracleホーム1

c:\app\username\product\11.1.0\dbhome_1

Oracleホーム2

c:\app\username\product\11.1.0\dbhome_2


B.5.3 デフォルト以外のOptimal Flexible Architectureデータベースのインストール: 例2

この例では、各Oracleホームを固有のディレクトリにインストールしますが、これらはすべて同じOracleベースを共有します。

  1. 他のOracleソフトウェアがインストールされていないコンピュータに、Optimal Flexible ArchitectureをサポートするOracle Database(Oracle Database 8.1.6以上)をインストールし、デフォルトのOracle Universal Installerの設定を最初のOracleホーム用に(たとえば、c:\oracle\ora81からX:\xyz\oracle\abcへ)変更します。

  2. Oracle Databaseをインストールし、デフォルトのOracle Universal Installerの設定を2番目のOracleホーム用に(たとえば、c:\oracle\ora10からX:\pqrへ)変更します。

表B-3は、この例におけるデフォルト以外のOptimal Flexible Architectureデータベースの設定を示しています。

表B-3 デフォルト以外のOptimal Flexible Architectureデータベース設定: 例2

設定

ORACLE_BASE

X:\xyz\oracle

(両方のOracleホームで同一)

Oracleホーム1

X:\xyz\oracle\abc

Oracleホーム2

X:\pqr


結果としてできるディレクトリ・ツリーは、次のようになります。

X:\pqr                         --Oracle home 2
  \bin
  \network
X:\xyz
    \oracle                    --ORACLE_BASE for both Oracle homes
      \abc                     --Oracle home 1
        \bin
        \network
      \admin
        \DB_UNIQUE_NAME1
          \dpdump
          \
        \DB_UNIQUE_NAME2
          \...
      \oradata
        \DB_UNIQUE_NAME1
          CONTROL01.CTL
          CONTROL02.CTL
          CONTROL03.CTL
          EXAMPLE01.DBF
          SYSAUX01.DBF
          SYSTEM01.DBF
          TEMP01.DBF
          USERS01.DBF
          REDO01.LOG
          REDO02.LOG
          REDO03.LOG
        \DB_UNIQUE_NAME2

B.6 WindowsおよびUNIX上のOptimal Flexible Architectureの比較

WindowsとUNIXでのOptimal Flexible Architectureの実装方法は同じです。ただし、次の点で違いがあります。

B.6.1 ディレクトリ・ネーミング

Optimal Flexible Architectureディレクトリ・ツリーのトップレベルの名前は、WindowsとUNIXで異なります。ただし、主要なサブディレクトリ名とファイル名は、どちらのオペレーティング・システムでも同じです。

B.6.2 ORACLE_BASEディレクトリ

Windowsでは、Oracleベースは、Oracleホーム・ディレクトリに関連付けられます。ORACLE_BASEは、レジストリで定義されます(HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ORACLE\KEY_HOME_NAMEなど)。

UNIXでは、ORACLE_BASEは、UNIXユーザーの環境に関連付けられます。

B.6.3 Windowsでのシンボリック・リンクのサポート

Optimal Flexible Architectureの目的は、すべてのOracleソフトウェアを1つのORACLE_BASEディレクトリの下に置き、データベースのサイズが大きくなるに従い、異なる物理ドライブにファイルを分散させることにあります。

UNIXでは、すべてが同じハード・ドライブの1つのディレクトリにあるように見えますが、シンボリック・リンクが作成されている場合や、そのディレクトリがマウント・ポイントとなっている場合には、ファイルを異なるハード・ドライブに置くことができます。

Windowsの場合、ボリューム・マウント・ポイントを使用して、異なるハード・ドライブのファイルを1つのディレクトリにマウントすることができます。ボリューム・マウント・ポイントをサポートしないWindowsバージョンでは、複数のドライブにoradataディレクトリを用意し、各ディレクトリにデータファイルを格納できます。

データベース管理ファイルの格納には1つの論理ドライブを使用し、必要に応じて、他のファイルをoradata\DB_UNIQUE_NAMEディレクトリにある他の論理ドライブに置くことをお薦めします。

次の例では、prodという名前のデータベース用に4つの論理ドライブがあります。

  • c:\には、Oracleホームとデータベース管理ファイルがあります。

  • f:\には、REDOログ・ファイルがあります。F:\ドライブは、パフォーマンス向上のためにストライプ化された2つの物理ドライブを表すこともあります。

  • g:\には、制御ファイルの1つとすべての表領域ファイルがあります。G:\ドライブは、信頼性向上のためにRAIDレベル5構成を使用することもできます。

  • h:\には、2番目の制御ファイルがあります。

ディレクトリ構造は、次のようになります。

c:\app\username\product\11.2.0   --First logical drive
    \dbhome_1                  --Oracle home
      \bin                 --Subtree for Oracle binaries
      \network             --Subtree for Oracle Net
      \...
    \admin                 --Subtree for database administration files
      \prod                --Subtree for prod database administration files
        \adump             --Audit files
        \dpdump                      --Default directory for data pump operations.
        \pfile             --Initialization parameter file

f:\app\username\product\11.2.0   --Second logical drive (two physical drives, striped)
    \oradata               --Subtree for Oracle Database files
      \prod                --Subtree for prod database files
        redo01.log         --Redo log file group one, member one
        redo02.log         --Redo log file group two, member one
        redo03.log         --Redo log file group three, member one

g:\app\username\product\11.1.0   --Third logical drive (RAID level 5 configuration)
    \oradata               --Subtree for Oracle Database files
      \prod                --Subtree for prod database files
        CONTROL01.CTL      --Control file 1
        EXAMPLE01.DBF      --EXAMPLE tablespace data files
        SYSAUX01.DBF       --SYSAUX tablespace data files
        SYSTEM01.DBF       --System tablespace data file
        TEMP01.DBF         --Temporary tablespace data file
        USERS01.DBF        --Users tablespace data file

h:\app\username\product\11.2.0   --Fourth logical drive
    \oradata               --Subtree for Oracle Database files
      \prod                --Subtree for prod database files
        CONTROL02.CTL      --Control file 2

B.7 Optimal Flexible Architectureの構造ファイル・マッピング

表B-4に、orclデータベースにおける、Optimal Flexible Architecture準拠のサンプル・インストールのログ・ファイルに対する階層ファイル・マッピングを示します。

表B-4 Optimal Flexible Architectureインストールのログ・ファイルに対する階層ファイル・マッピング

ディレクトリ 説明

C:\app\username\admin\orcl\TAR

サポート・ログ・ファイル用のサブツリー

C:\app\username\admin\orcl\arch

アーカイブ・ログ・ファイル

C:\app\username\admin\orcl\create\

データベース作成ログ・ファイルが含まれます。

C:\app\username\oradata\orcl\*.log

REDOログ・ファイル

C:\app\username\admin\orcl\dpdump\

データ・ポンプ・ファイルdp.logがあるサブディレクトリ

C:\app\username\diag

すべてのデータベース、リスナー、sqlnetおよびその他の診断ログが含まれます。

C:\app\username\audit

すべての監査ログが含まれます。

C:\app\username\cfgtoollogs

Oracle Database Configuration Assistant、Database Upgrade AssistantおよびOracle Net Configuration Assistantなどの構成アシスタントのログが含まれます。