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Oracle® Databaseインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for Oracle Solaris
B61028-07
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C NASデバイスの使用

この付録では、Oracleソフトウェアとデータベース・ファイルにネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイスを使用する際のガイドラインを提供します。内容は次のとおりです。


関連項目:


C.1 NASデバイスに関する一般的な構成ガイドライン

NASデバイスの構成方法に関する固有の情報については、NASデバイスに付属のドキュメントを参照してください。さらに、次のガイドラインを使用して、Oracleソフトウェアのパフォーマンスを確保します。

  • NASデバイスをインストールで使用する前に、そのNASデバイスが動作保証されていることを確認します。


    注意:

    動作保証の情報については、My Oracle SupportのWebサイトでノート359515.1を参照してください。
    https://support.oracle.com/
    

  • NASデバイスに格納されているOracleソフトウェアとOracleデータベースのパフォーマンスは、OracleサーバーとNASデバイス間のネットワーク接続のパフォーマンスに依存します。

    したがって、サーバーのNASデバイスへの接続には、ギガビット・イーサネット以上のプライベート専用ネットワーク接続を使用することをお薦めします。

  • 単一インスタンス・データベースのインストールでは、各インストールごとに個別のOracleホーム・ディレクトリを作成することをお薦めします。このOracleホーム・ディレクトリのソフトウェアは、必ずそのソフトウェアのインストールに使用したシステムから実行してください。

C.2 NFSの特徴

Network File Storage (NFS)の特徴は次のとおりです。

  • Oracleカーネルでは、使用可能なリソースを使用した最適のI/Oを実行するため、可能なかぎり最良の構成を運用し、よりよい構成管理を可能にします。

  • NFSは、様々なプラットフォームで使用可能です。

  • Oracleでは、Oracle Disk Manager (ODM)を使用してNFSを制御します。ODM NFSを使用すると、チューニング可能なすべての構成パラメータを標準化できます。

  • ODM NFSでは、カーネルのパフォーマンスに影響しない安定したNFSクライアントを実現します。これにより、NFS操作を実行する際のI/Oパスが最適化され、より高い安定性が得られます。

  • NFSでは、エラー発生時に、より高度な診断が可能です。


関連項目:

ODMの詳細は、Oracle Real Application Clustersのインストレーション・ガイドを参照してください。

C.3 マウント・ポイントの選択

この項では、Oracleソフトウェアとデータベース・ファイルに使用するファイル・システムのマウント・ポイントの選択方法に関するガイドラインを示します。次の各項に記載されているガイドラインは、Optimal Flexible Architectureの推奨事項に準拠しています。

C.3.1 Oracleソフトウェア・ファイルに対するマウント・ポイントの選択

Oracleソフトウェア・ファイルは、3つの異なるのディレクトリに格納されています。

  • Oracleベース・ディレクトリ

  • Oracleインベントリ・ディレクトリ

  • Oracleホーム・ディレクトリ

Oracleベース・ディレクトリは、Oracleソフトウェア・インストールの最上位ディレクトリであり、ORACLE_BASE環境変数によって識別されます。たとえば、最初のインストールの場合、Oracleベース・ディレクトリ、Oracleインベントリ・ディレクトリおよびOracleホーム・ディレクトリには、それぞれ次のようなパスがあります。

ディレクトリ パス
Oracleベース($ORACLE_BASE) /u01/app/oracle
Oracleインベントリ ORACLE_BASE/../oraInventory (or) /u01/app/oraInventory
Oracleホーム $ORACLE_BASE/product/12.1.0/dbhome_1

後続のインストールでは、同じOracleベース・ディレクトリを使用することも、異なるディレクトリを使用することもできますが、オリジナルのOracleインベントリ・ディレクトリは、後続のすべてのインストールで使用されます。たとえば、新しいインストールでOracleベース・ディレクトリに/u02/app/oracleディレクトリを使用する場合でも、Oracleインベントリ・ディレクトリは/u01/app/oraInventoryが引き継がれます。

Oracleイベントリ・ディレクトリは、特定のシステムのOracleソフトウェアを効率的に保守できるように、可能であればローカル・ファイル・システムのみに配置することをお薦めします。Oracleインベントリ・ディレクトリをNASデバイスに配置する必要がある場合は、複数のシステムによる同じインベントリ・ディレクトリへの書込みを避けるために、各システムに固有のディレクトリを作成してください。

ディレクトリ固有のガイドライン

Oracleソフトウェアの格納に使用するNFSのマウント・ポイントには、次のいずれかのディレクトリを使用できます。


注意:

次の例に記載されているパスは、Oracle Universal Installerの起動前にORACLE_BASE環境変数が設定されている場合のデフォルトです。

  • Oracleベース・ディレクトリまたはその親(たとえば/u01/app/oracle)

    Oracleベース・ディレクトリの親の1つをマウント・ポイントとして使用すると、すべてのOracleソフトウェアとOracleデータベース・ファイルのデフォルトの位置は、そのファイル・システム上になります。インストール時、次のディレクトリのデフォルト位置の変更を検討します。

    • Oracleインベントリ・ディレクトリ(oracle_base/../oraInventory)

      次の例のように、ローカル・ファイル・システム、またはNFS上のホスト固有のディレクトリを指定します。

      u01/app/oraInventory
      
    • Oracleデータベース・ファイル・ディレクトリ(oracle_base/oradata)

      異なるマウント・オプションを指定したり、I/Oを分散できるように、データベース・ファイルに異なるファイル・システムを使用できます。

    • Oracleデータベース・リカバリ・ファイル・ディレクトリ(oracle_base/fast_recovery_area)

      データベース・ファイルとリカバリ・ファイルには、異なるファイル・システムを使用することをお薦めします。

    このマウント・ポイントを使用すると、このOracleベース・ディレクトリを使用するすべてのOracleインストールでNFSが使用されます。

  • 製品ディレクトリ(oracle_base/product)

    デフォルトでは、NFSに配置されるのは、ソフトウェア・ファイルのみです。このマウント・ポイントを使用すると、次の例のように、異なる複数のリリースからソフトウェアをインストールできます。

    /u01/app/oracle/product/9.2.0
    /u01/app/oracle/product/10.2.0/dbhome_1
    /u01/app/oracle/product/11.2.0/dbhome_1
    
  • リリース・ディレクトリ(oracle_base/product/11.2.0)

    デフォルトでは、NFSに配置されるのは、ソフトウェア・ファイルのみです。このマウント・ポイントを使用すると、次の例のように、同じリリースから複数の異なる製品をインストールできます。

    /u01/app/oracle/product/11.2.0/dbhome_1
    /u01/app/oracle/product/11.2.0/client_1
    
  • Oracleホーム・ディレクトリ(oracle_base/product/11.2.0/dbhome_1)

    デフォルトでは、NFSファイル・システムに配置されるのは、ソフトウェア・ファイルのみとなります。これは最も制限されたマウント・ポイントです。1つの製品の単一のリリースをインストールする場合にのみ使用できます。

    /u01/app/oracle/product/11.2.0/dbhome_1
    

C.3.2 Oracleデータベース・ファイルおよびOracleリカバリ・ファイルに対するマウント・ポイントの選択

NASデバイスにOracleデータベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルを格納するには、1つのデータベースからのみファイルを格納するか、あるいは複数のデータベースからファイルを格納するかによって異なるパスを使用できます。

  • 複数のデータベースのファイルにNFSを使用

    同じNFSで、複数のデータベースからデータベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルを格納する場合は、次のようなパスまたはマウント・ポイントを使用します。

    ファイル・タイプ パスまたはマウント・ポイント
    データベース・ファイル /u02/oradata
    リカバリ・ファイル /u03/fast_recovery_area

    Oracle Universal Installerで、データファイルおよびリカバリ・ファイルの各ディレクトリが求められた場合は、これらのパスを指定します。Database Configuration AssistantおよびOracle Enterprise Managerでは、次の例のように、データベース名(DB_NAME)に指定した値をディレクトリ名として使用し、これらのディレクトリにサブディレクトリを作成します。

    /u02/oradata/db_name1
    /u03/fast_recovery_area/db_name1
    
  • 1つのみのデータベースのファイルにNFSを使用

    NFSで、1つのデータベースのみのデータベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルを格納する場合は、次のようなマウント・ポイントを作成できます。ここで、orclは、データベースの名前です。

    /u02/oradata/orcl
    /u03/fast_recovery_area/orcl
    

    Oracle Universal Installerで、データファイル・ディレクトリの指定を求められた場合は、ディレクトリ/u02/oradataを指定し、リカバリ・ファイルの位置の指定を求められた場合は、ディレクトリ/u03/fast_recovery_areaを指定します。orclディレクトリは、Database Configuration AssistantまたはOracle Enterprise Managerによって自動的に使用されます。

C.4 NASデバイスでのOracle Automatic Storage Management用のファイルの作成

動作保証されたNASデバイスの場合は、NFSマウント・ディレクトリにゼロ埋込みファイルを作成し、そのファイルをOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループのディスク・デバイスとして使用できます。これらのファイルを作成する手順は次のとおりです。


注意:

ファイルをOracle ASMディスク・グループのディスク・デバイスとして使用するには、NFSマウント・ファイル・システム上のファイルである必要があります。ローカル・ファイル・システムのファイルは使用できません。

  1. 必要に応じて、NASデバイスのディスク・グループ・ファイル用にエクスポート・ディレクトリを作成します。

    この手順の実行に関する詳細は、NASデバイスのドキュメントを参照してください。

  2. ユーザーをrootに切り替えます。

    $ su - root
    password:
    
  3. マウント・ポイント・ディレクトリをローカル・システムに作成します。

    # mkdir -p /mnt/oracleasm
    
  4. システムの再起動時にNFSがマウントされるように、/etc/mtabマウント・ファイルにファイル・システムのエントリを追加します。

    オペレーティング・システムに対応したマウント・ファイルの編集の詳細は、manページを参照してください。推奨されるマウント・オプションの詳細は、「NFSマウント・オプション」を参照してください。

  5. 次のようなコマンドを入力し、ローカル・システムでNFSをマウントします。

    # mount /mnt/oracleasm
    
  6. 作成するディスク・グループの名前(たとえば、nfsdg)を選択します。

  7. ディスク・グループ名をディレクトリ名として使用して、NFSファイル・システムにファイルのディレクトリを作成します。

    # mkdir /mnt/oracleasm/nfsdg
    
  8. 次のようなコマンドを使用して、このディレクトリに必要な数のゼロ埋込みファイルを作成します。

    # dd if=/dev/zero of=/mnt/oracleasm/nfsdg/disk1 bs=1024k count=1000
    

    この例では、NFSに1GBのファイルを作成します。外部冗長性、標準冗長性または高冗長性ディスク・グループを作成するには、1つ、2つまたは3つのファイルをそれぞれ作成する必要があります。


    注意:

    同一のNASデバイスに複数のゼロ埋込みファイルを作成しても、NASの障害に対する保護策にはなりません。かわりに、各NASデバイスに1つのファイルを作成し、Oracle ASMテクノロジを使用してミラーしてください。

  9. 作成したディレクトリとファイルの所有者、グループおよび権限を変更するには、次のコマンドを入力します。

    # chown -R oracle:dba /mnt/oracleasm
    # chmod -R 660 /mnt/oracleasm
    
  10. データベースを作成している場合は、Oracle ASMディスク検出文字列を編集して、作成したファイル名に一致する正規表現を指定します。たとえば、次のようなディスク検出文字列を指定します。

    /mnt/oracleasm/nfsdg/*
    

C.5 NFSマウント・オプション

データベース・ファイルの格納に使用するNFSボリュームは、特別なマウント・オプションを使用してデータベース・サーバーが稼働中のホストにマウントする必要があります。NFSファイル・システムをマウントする場合は、NASベンダーがデバイスの動作確認時に使用したオプションと同じマウント・ポイント・オプションを使用することをお薦めします。推奨されるマウント・ポイント・オプションの詳細は、各デバイスのドキュメントを参照するか、またはベンダーに問い合せてください。