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Oracle® Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド
11gリリース2 (11.2)
B56289-08
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3 Oracle Cluster Registryおよび投票ディスクの管理

Oracle Clusterwareには、構成およびノード・メンバーシップを管理する2つの重要なコンポーネントが含まれます(ローカル・コンポーネントのOracle Local Registry(OLR)も含むOracle Cluster Registry(OCR)および投票ディスク)。

OCRおよび投票ディスクは、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)または動作保証されているクラスタ・ファイル・システムに格納できます。

Oracle Clusterware 11gリリース2(11.2)用のOracle Universal Installerでは、RAWデバイスまたはブロック・デバイスをサポートしていません。ただし、以前のOracle Clusterwareリリースからアップグレードした場合は、RAWデバイスまたはブロック・デバイスの使用を継続できます。Oracle ASMを使用してOCRおよび投票ディスクを格納することをお薦めします。

可用性を向上させるために、Oracle Clusterwareのインストール時に複数の投票ディスクを構成することをお薦めします。投票ディスクをOracle ASMディスク・グループに配置することを選択すると、通常または高い冗長性のディスク・グループを使用する場合に、Oracle ASMによって複数の投票ディスクが確実に構成されます。投票ディスクをクラスタ・ファイル・システムに格納することを選択する場合は、複数の投票ディスクを構成するオプションを選択します(この場合、異なるディスクに基づいて3つの異なるファイル・システムを指定する必要があります)。

必要に応じて、Oracle Clusterwareのインストール・プロセス完了後に、クラスタを停止することなく投票ディスクを動的に追加または置換することもできます。


注意:

インストールの後にCRSCTLを使用して新しい投票ディスクをRAWデバイスに追加すると、リモート・ノード上の新しい投票ディスクのファイル権限が不適切である場合があります。各リモート・ノードで、投票ディスクのファイル権限が適切である(グリッド・インフラストラクチャ・インストール所有者およびOINSTALLグループのメンバーによって所有されている)ことを確認します。権限が不適切である場合は、手動で変更します。

次に例を示します。

grid@myserver>$ ls -l /dev/rhdisk18
crwxrwxrwx  1 root  oinstall  36, 02 Feb 10 20:28 /dev/rhdisk18
$ su root
root@myserver> # chown grid:oinstall /dev/rhdisk18
# exit
$ ls -l /dev/rhdisk18
crwxrwxrwx  1001 grid  oinstall  36, 19 Sep 09 20:29 /dev/rhdisk18

内容は次のとおりです。

Oracle Cluster RegistryおよびOracle Local Registryの管理

この項では、ユーティリティ(OCRCONFIG、OCRDUMPおよびOCRCHECK)を使用してOCRおよびOracle Local Registry(OLR)を管理する方法について説明します。

OCRには、クラスタ内のすべてのOracleリソースに関する情報が含まれます。

OLRは、クラスタ内の各ノードに配置されている、OCRに類似したレジストリですが、各ノードに固有の情報が含まれます。様々なサービス間の依存性など、Oracle Clusterwareに関する管理性情報が含まれます。Oracle高可用性サービスでこの情報が使用されます。OLRは、クラスタ内の各ノードのローカル記憶域に配置されています。デフォルトの場所は、パスGrid_home/cdata/host_name.olrにあり、Grid_homeはOracle Grid Infrastructureホームで、host_nameはノードのホスト名です。

この項では、OCRの管理について、次の内容を説明します。


関連項目:

OCRCONFIGユーティリティの詳細は「OCRCONFIGについて」、OCRDUMPユーティリティおよびOCRCHECKユーティリティの詳細は「Oracle Cluster Registryのトラブルシューティング」を参照してください。

Oracle Automatic Storage ManagementへのOracle Cluster Registryの移行

Oracle Clusterwareの記憶域管理性を向上させるために、OCRは、Oracle Database 11g リリース2(11.2)のOracle ASMを使用するようにデフォルトで構成されます。Oracle ASMディスク・グループに存在するOracle Clusterwareの記憶域では、Oracle Enterprise Managerを使用してデータベースとクラスタウェア記憶域の両方を管理できます。

ただし、以前のバージョンのOracle Clusterwareからアップグレードする場合に、OCRをOracle ASM上に存在するように移行でき、向上されたOracle Clusterwareの記憶域の管理性を利用できます。


注意:

以前のバージョンのOracle Clusterwareを11gリリース2(11.2)にアップグレードしてOracle ASMディスク・グループにOCRを格納する場合は、「ASMの互換性」の互換性属性を11.2.0.0に設定する必要があります。


関連項目:

Oracle ASMの互換性属性の設定の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

OCRCONFIGを使用してOCRをOracle ASMに移行する方法

  1. Oracle Clusterware 11gリリース2(11.2)へのアップグレードが完了していることを確認します。次のコマンドを実行し、現在実行中のバージョンを検証します。

    $ crsctl query crs activeversion
    
  2. Oracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)を使用し、クラスタ内のすべてのノードでOracle ASMを構成して起動します。


    関連項目:

    ASMCAの使用の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

  3. ASMCAを使用して、既存のOCRのサイズと同じかそれ以上で、かつ通常以上の冗長性があるOracle ASMディスク・グループを作成します。


    注意:

    • OCRが外部冗長性でOracle ASMディスク・グループに格納されている場合に、ディスク・グループ内のディスクに障害が発生したときは、OCRの損失を回避するために別のOCR場所を別のディスク・グループに追加することをお薦めします。

      Oracleでは、OCRをOracle ASMおよび共有ファイル・システムの両方に格納するなど、OCRを異なるストレージ・タイプに同時に格納することはできません(ただし、移行中はこのかぎりではありません)。

    • あるノードでOracle ASMインスタンスに障害が発生すると、OCRはそのノードで使用できなくなります。

      Oracle ASMインスタンス障害の影響を受けるノードで実行されているcrsdプロセスがOCRライターであり、過半数のOCRの場所がOracle ASMに格納されている場合、このノードのOracle ASMインスタンスの停止中にOCRに対してI/Oを試行すると、crsdは停止して、操作不能になります。この時点で、このノードでのクラスタ管理に影響が及びます。

      どのような場合であっても、1つのノードの1つのOracle ASMインスタンスの障害が、クラスタ全体に影響を及ぼすことはありません。

    • 作成するOracle ASMディスク・グループが、クラスタ内のすべてのノードにマウントされることを確認します。



    関連項目:

    サイズ指定の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

  4. OCRをOracle ASMディスク・グループに追加するには、Oracle Clusterwareスタックが実行されていることを確認し、rootとして次のコマンドを実行します。

    # ocrconfig -add +new_disk_group
    

    複数のOCRの場所を追加する場合は、このコマンドを複数回実行できます。最大5つのOCRの場所を使用できます。ただし、後続の実行ではそれぞれ異なるディスク・グループを指定する必要があります。

  5. 使用されなくなったストレージ構成を削除するには、rootとして次のコマンドを実行します。

    # ocrconfig -delete old_storage_location
    

    構成したすべてのOCRに、このコマンドを実行します。

次の例は、OCRCONFIGを使用して2つのOCRをOracle ASMに移行する方法を示しています。

# ocrconfig -add +new_disk_group
# ocrconfig -delete /dev/raw/raw2
# ocrconfig -delete /dev/raw/raw1

注意:

OCRではディスク・グループの冗長性が継承されます。OCRに高い冗長性が必要な場合は、作成時にディスク・グループを高い冗長性で構成する必要があります。

Oracle ASMから他のタイプの記憶域へのOracle Cluster Registryの移行

Oracle ASMから別の記憶域タイプにOCRを移行するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Clusterware 11gリリース2(11.2)へのアップグレードが完了していることを確認します。次のコマンドを実行し、現在実行中のバージョンを検証します。

    $ crsctl query crs activeversion
    
  2. ファイルを共有ファイル・システムまたはクラスタ・ファイル・システムにrootoinstall640の権限で作成します。


    注意:

    OCRのシングル・ポイント障害を排除するには、プライマリ・ストレージの場所の2つ以上のミラーを作成します。OCRは、最大5つの場所をサポートします。

  3. マウント・パーティションに280MB以上の領域があることを確認します。

  4. 作成したファイルがクラスタ内のすべてのノードから認識できることを確認します。

  5. ファイルをOCRの場所として追加するには、Oracle Clusterwareスタックが実行されていることを確認し、rootとして次のコマンドを実行します。

    # ocrconfig -add file_location
    

    複数のOCRの場所を追加する場合は、このコマンドを複数回実行できます。このコマンドの後続の実行ではそれぞれ異なるファイルの場所を指定する必要があります。

  6. 使用されなくなったストレージ構成を削除するには、rootとして次のコマンドを実行します。

    # ocrconfig -delete +asm_disk_group
    

    複数のOCRの場所が構成されている場合は、このコマンドを複数回実行できます。

次の例は、OCRCONFIGを使用してOCRをOracle ASMからブロック・デバイスに移行する方法を示しています。Oracle ASMに格納されていないOCRの場合は、異なるデバイスにOCRをミラー化することをお薦めします。

# ocrconfig -add /dev/sdd1
# ocrconfig -add /dev/sde1
# ocrconfig -add /dev/sdf1
# ocrconfig -delete +unused_disk_group

Oracle Cluster Registryの場所の追加、置換、修復および削除

Oracle ClusterwareでのOracleインストール・プロセスでは、OCRを自動的にミラー化するかどうかを選択できます。ミラー化されたOCRは、共有ネットワーク・ファイル・システム(NFS)、またはオラクル社が動作保証している任意のクラスタ・ファイル・システムに手動で配置できます。または、OCRをOracle ASMに配置し、選択する冗長性オプションに応じて、自動的にミラーを作成できるようにすることができます。

この項には次のトピックが含まれます:

また、次のような場合は、OCRを手動でミラー化できます(「Oracle Cluster Registryの場所の追加」を参照)。

  • Oracle Clusterware 11gリリース2(11.2)へのアップグレード時に、OCRをミラー化することを選択しなかった場合

  • Oracle Clusterwareのインストール時に、1つのみのOCRの場所を作成した場合

次のように構成することを薦めします。

  • OCRがミラー化されていない、または冗長化されていない記憶域に構成されている場合は、3つ以上のOCRの場所。基礎となる記憶域がRAIDでない場合は、OCRをミラー化することをお薦めします。ミラー化することで、OCRがシングル・ポイント障害になることを防止できます。

  • OCRがOracle ASMディスク・グループに構成されている場合は、2つ以上のOCRの場所。OCRは2つの独立したディスク・グループに構成する必要があります。通常、これは作業領域およびリカバリ領域です。

  • OCRがミラー化されているハードウェアまたはサード・パーティのミラー化されたボリュームに構成されている場合は、2つ以上のOCRの場所。


注意:

  • 元のOCRの場所が存在しない場合は、ocrconfig -addまたはocrconfig -replaceコマンドを実行する前に、適切な権限で空(0バイト)のOCRの場所を作成する必要があります。

  • OCR構成で指定したOCRデバイスが存在し、これらのOCRデバイスが有効であることを確認します。

  • 指定したOracle ASMディスク・グループが存在し、マウントされていることを確認します。

  • 新しいOCRファイル、デバイスまたはディスク・グループは、クラスタ内のすべてのアクティブ・ノードからアクセスできる必要があります。



関連項目:

  • OCR作成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

  • Oracle ASMディスク・グループ管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


OCRの場所のミラー化に加えて、次のことができます。


注意:

この項の操作を実行すると、OCRクラスタ全体が影響を受け、ocr.locファイル(LinuxおよびUNIXシステムの場合)およびレジストリ・キー(Windowsシステムの場合)のOCR構成情報が変更されます。ただし、ocrconfigコマンドを実行しても、停止しているノードやOracle Clusterwareが実行されていないノードのOCR構成情報は変更されません。

Oracle Cluster Registryの場所の追加

OCRの場所を追加するには、この項の手順を実行します。Oracle Clusterwareでは、最大5つの冗長なOCRの場所を管理できます。


注意:

OCRがクラスタ・ファイル・システムのファイルまたはネットワーク・ファイル・システムに存在している場合は、この項の手順を実行する前に、空(0バイト)のOCRの場所ファイルを作成してください。

Oracle ASMまたは他のストレージ・デバイスのいずれかにOCRの場所を追加するには、rootユーザーとして次のコマンドを実行します。

# ocrconfig -add +asm_disk_group | file_name

注意:

LinuxおよびUNIXシステムの場合、ocrconfigコマンドは、rootで実行する必要があります。Windowsシステムの場合、ユーザーは管理者グループのメンバーである必要があります。

Oracle Cluster Registryの場所の削除

OCRの場所または障害が発生したOCRの場所を削除するには、それ以外の1つ以上のOCRがオンライン状態である必要があります。OCRの場所の削除は、OCR関連のオーバーヘッドを軽減する場合や、OCRをRAIDなどの冗長な記憶域に移動してOCRのミラー化を中止する場合に実行します。

Oracle Clusterware環境からOCRの場所を削除するには、rootユーザーとして次の手順を実行します。

  1. 削除するOCRの場所の他に、1つ以上のOCRの場所がオンライン状態になっていることを確認します。


    注意:

    他の1つ以上のOCRの場所がアクティブでオンラインになっていない場合は、OCRの削除手順は実行しないでください

  2. クラスタ内の任意のノードで次のコマンドを実行し、Oracle ASMまたは他の場所のいずれかからOCRの場所を削除します。

    # ocrconfig -delete +ASM_disk_group | file_name
    

    file_name変数は、デバイス名またはファイル名です。このコマンドを実行すると、Oracle Clusterwareが実行中のすべてのノードでOCR構成が更新されます。

Oracle Cluster Registryの場所の置換

既存のOCRの場所を変更する必要があるか、または障害のあるOCRの場所を正常に機能する場所に変更する必要がある場合は、残りすべてのOCRの場所がオンライン状態のままであれば、次の手順を使用できます。ocrconfig -replaceコマンドでは、2つ以上のOCRの場所が構成されている必要があります。

Oracle Cluster Registryの場所を変更する方法

次の手順を実行します。

  1. OCRCHECKユーティリティを使用して、置換しようとしているOCR以外のOCRのコピーがオンラインであるかどうかを検証します(使用するコマンドは次のとおりです)。

    $ ocrcheck
    

    OCRCHECKでは、登録されているすべてのOCRの場所、およびそれらが使用可能(オンライン)かどうかが表示されます。OCRの場所が突然使用できなくなった場合は、Oracle Clusterwareがステータスの変更を示すまでにしばらく時間がかかる場合があります。


    注意:

    置換するOCRの場所は、オンラインまたはオフラインのいずれの状態でもかまいません。

  2. 次のコマンドを使用して、置換操作を実行するノードでOracle Clusterwareが実行中であることを確認します。

    $ crsctl check crs
    
  3. rootとして次のコマンドを実行し、destination_fileまたは+ASM_disk_groupのいずれかを使用して、現行のOCRの場所を、現行のターゲットのOCRの場所を示すように置換します。

    # ocrconfig -replace current_OCR_location -replacement new_OCR_location
    

    前述のコマンドは、オンラインである構成済のOCRの場所が2つ未満の場合は失敗します。

    構成済でオンラインのOCRの場所が1つのみである場合は、次のように、最初に新しい場所を追加してから、障害が発生した場所を削除する必要があります。

    # ocrconfig -add new_OCR_location
    # ocrconfig -delete current_OCR_location
    

    注意:

    OCRが存在するノードが停止し、Oracle Clusterwareスタックが他のノードで実行中であるときにクラスタ構成が変更されると、OCRは構成変更を検出して、ocr.locファイルの内容を変更して構成を自己修正します。


    関連項目:

    記憶域の移行の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

ローカル・ノードのOracle Cluster Registry構成の修復

ノードが停止し、このノードがクラスタの唯一のメンバーであるときにクラスタ構成を変更した場合は、OCRを修復する必要がある場合があります。OCRの修復は、OCRの場所の追加、削除または置換のいずれかに関連します。たとえば、現行のOracle RACクラスタの一部であるノードのいずれかが停止している場合、停止しているノードでOCR構成を更新し、そのノードが再起動された後に再びクラスタに参加できるようにする必要があります。再起動されたノードでrootとして次のコマンド構文を使用し、destination_fileまたは+ASM_disk_groupのいずれかを使用して、現行のターゲットのOCRの場所を示します。

ocrconfig -repair -replace current_OCR_location -replacement target_OCR_location

この操作では、このコマンドを実行したノードのOCRのみが変更されます。たとえば、OCRの場所が/dev/sde1である場合、ノードでコマンド構文ocrconfig -repair -add /dev/sde1を実行すると、そのノードのOCRが修復されます。


注意:

  • Oracleクラスタ・レディ・サービス・デーモンが実行されているノードでは、OCR構成を修復できません。

  • ocrconfig -repairを使用して、停止しているノードのOCRを修復する場合、他のノードのOCRファイル名と同様の(大/小文字が区別される)OCRファイル名を指定する必要があります。

  • ocrconfig -add | -repair | -replaceコマンドを実行する場合は、追加するデバイス、ファイルまたはOracle ASMディスク・グループにアクセスできる必要があります。これはデバイスが存在する必要があることを意味します。空(0バイト)のOCRの場所を作成するか、またはOracle ASMディスク・グループが存在し、マウントされている必要があります。



関連項目:

  • OCRCONFIGコマンドの詳細は、「OCRCONFIGコマンド・リファレンス」を参照してください。

  • Oracle ASMディスク・グループ管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


Oracle Cluster Registryのデータ損失保護メカニズムの無効化

OCRには、不測の上書きによるデータの損失を防止するメカニズムが存在します。ミラー化されたOCRが構成されている場合、Oracle Clusterwareでは、ミラー化されたOCRの場所にアクセスできず、使用可能なOCRの場所に最新の構成が含まれていることが確認できなかった場合、使用可能なOCRの場所に対してそれ以上の変更は行われません。また、この処理により、1つのOCRのみが使用可能なノードでOracle Clusterwareの起動が禁止され、上書きが行われなくなります。このような場合には、Oracle Enterprise ManagerまたはOracle Clusterwareのアラート・ログ・ファイル(あるいはその両方)で、アラート・メッセージが表示されます。ある1つのノードに限って問題が発生している場合は、他のノードでクラスタ・データベースを起動できます。

ただし、環境内のすべてのクラスタ・ノードが起動できず、OCRの修復もすべてのOCRの場所へのアクセスのリストアもできない場合は、この保護メカニズムを無効にできます。次のリストに示した手順により、使用可能なOCRの場所を使用してクラスタを起動できます。ただし、保護メカニズムを無効にすると、以前の正常な状態のときに使用可能でなかったデータは失われる場合があります。


注意:

次の手順を実行してOCRを無効にした場合、現在アクセス可能なOCRに対して最後に正常なOCRの更新が実行された時点から、この上書きを実行するまでの間に行われたOCRへの更新は失われる可能性があります。すなわち、上書きを行うOCRの場所にクラスタ環境に対する構成の最新の更新が含まれていない場合は、ocrconfig -overwriteコマンドを実行すると、データが失われる場合があります。

ノードが起動できず、アラート・ログにCLSD-1009メッセージおよびCLSD-1011メッセージが含まれている場合は、次の手順を実行して、OCRを上書きします。

  1. CLSD-1009メッセージおよびCLSD-1011メッセージの原因の解決を試行します。

    ノードのOCR構成(LinuxおよびUNIXシステムのocr.locおよびWindowsシステムのレジストリ)をOracle Clusterwareが実行中の他のノードと比較します。

    • 構成の内容が一致しない場合は、ocrconfig -repairを実行します。

    • 構成の内容が一致している場合は、LinuxおよびUNIXシステムのlsコマンドを実行して、ノードから構成済のすべてのOCRにアクセスできることを確認します。Windowsでは、OCRの場所がファイルの場合はdirコマンドを使用して、GuiOracleObjectManager.exeを実行し、名前付きのクラスタの一部が存在することを確認します。

  2. 最新のOCRに、OCRの最新の更新が含まれていることを確認します。

    ocrdumpコマンドの出力を確認して、最新の更新が含まれているかどうかを確認します。

  3. CLSDメッセージの原因となっている問題を解決できない場合は、ocrconfig -overwriteコマンドを実行してノードを起動します。

Oracle Cluster Registryのバックアップ

この項では、OCRの内容をバックアップし、それをリカバリに使用する方法について説明します。第1の方法では自動的に生成されたOCRのコピーを使用し、第2の方法では手動でバックアップ・コマンドを発行できます。

  • 自動バックアップ: OCRのバックアップは、Oracle Clusterwareによって、4時間ごとに自動的に作成されます。バックアップが作成されるごとに、最後の3つのバックアップのコピーが常に保存されます。また、バックアップを作成するCRSDプロセスによって、毎日および各週の終わりにもOCRのバックアップが作成され、保存されます。バックアップの頻度またはOracle Databaseで保存されるファイルの数はカスタマイズできません。

  • 手動バックアップ: Oracle Clusterwareスタックが稼働しているノードでocrconfig -manualbackupコマンドを実行して、自動バックアップを待たずに、Oracle Clusterwareによって任意の時刻にOCRのバックアップが実行されるようにします。このコマンドは、管理権限を持つユーザーとして実行する必要があります。-manualbackupオプションは、OCRを変更する前など、必要に応じてバイナリ・バックアップを取得する場合に、特に役立ちます。OLRでは手動バックアップのみがサポートされています。

クラスタウェア・スタックがクラスタ内のすべてのノードで停止している場合、ocrconfig -showbackupコマンドによって示されるバックアップは、ノードごとに異なる場合があります。


注意:

ノードでOracle Clusterwareをインストールまたはアップグレードした後、または、クラスタにノードを追加した後、root.shスクリプトが終了すると、OLRがバックアップされます。

バックアップ・ファイルのリスト

次のコマンドを実行し、バックアップ・ファイルをリストします。

ocrconfig -showbackup

ocrconfig -showbackupコマンドにより、バックアップ場所、タイムスタンプおよびOracle Clusterwareで作成されたバックアップ・ファイルの元のノード名が表示されます。デフォルトでは、-showbackupオプションによって、自動および手動の両方のバックアップに関する情報が表示されますが、autoフラグまたはmanualフラグを含めると、自動バックアップまたは手動バックアップのいずれかの情報のみを表示することができます。

次のコマンドを実行し、内容を検査してバックアップ・ファイルの整合性を検証します。

ocrdump -backupfile backup_file_name

1日に1つ以上のバックアップ・ファイルが自動的に生成されますが、これらのファイルは、任意のバックアップ・ソフトウェアを使用して、プライマリOCRが存在するデバイスとは別のデバイスにコピーすることもできます。

LinuxまたはUNIXシステムでバックアップが生成されるデフォルトの場所は、Grid_home/cdata/cluster_name(cluster_nameはクラスタ名)です。Windowsでバックアップが生成されるデフォルトの場所は、同じパス構造を使用します。デフォルトのバックアップはローカル・ファイル・システム上にあるため、標準のオペレーティング・システムまたはサード・パーティのツールを使用して、OCRCONFIGユーティリティによって作成されたバックアップ・ファイルをオペレーティング・システム・バックアップの一部に含めることをお薦めします。


ヒント:

ocrconfig -backuplocオプションを使用すると、OCRがバックアップを作成する場所を変更できます。OCRCONFIGユーティリティ・オプションの詳細は、付録G「Oracle Cluster Registryユーティリティ・リファレンス」を参照してください。


注意:

LinuxおよびUNIXシステムでは、ocrconfigコマンド・オプションのほとんど(すべてではない)を実行するためにrootユーザーである必要があります。Windowsシステムの場合、ユーザーは管理者グループのメンバーである必要があります。


関連項目:


Oracle Cluster Registryのリストア

リソースで問題が発生した場合、OCRのリストアを実行する前にリソースを再起動します。OCRでの障害の発生を確認するには、ocrcheckを実行し、このコマンドによって障害メッセージが戻された場合は、プライマリOCRとOCRミラーの両方で障害が発生しています。問題を解決するには、プラットフォーム固有のOCRリストア手順を実行します。


注意:



関連項目:

Oracle ASMディスク・グループの管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

LinuxまたはUNIXシステムでのOracle Cluster Registryのリストア

OCRをOracle ASMディスク・グループに格納していて、そのディスク・グループが破損している場合は、Oracle ASMユーティリティを使用してOracle ASMディスク・グループをリストアし、OCRをリカバリする前にこのディスク・グループを再びマウントする必要があります。次の手順の指示に従って、ocrconfig -restoreコマンドを実行し、OCRをリカバリします。


関連項目:

Oracle ASMディスク・グループのリストア方法の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


注意:

元のOCRの場所が存在しない場合は、ocrconfig -restoreコマンドを実行する前に、元のOCRの場所と同じ名前の空(0バイト)のOCRの場所を作成する必要があります。

LinuxまたはUNIXシステムでOCRをリストアするには、次の手順を実行します。

  1. 1つのノードで次のコマンドを実行して、クラスタのノードをリストします。

    $ olsnodes
    
  2. rootとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを停止します。

    # crsctl stop crs
    

    前述のコマンドでOCRの破損のためエラーが戻される場合は、rootとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを停止します。

    # crsctl stop crs -f
    
  3. OCRをクラスタ・ファイル・システムまたはネットワーク・ファイル・システムに格納している場合は、rootとして次のコマンドを実行し、「バックアップ・ファイルのリスト」で特定できるOCRバックアップでOCRをリストアします。

    # ocrconfig -restore file_name
    

    この手順の完了後、手順10に進みます。

  4. rootとして次のコマンドを実行し、1つのノードでOracle Clusterwareスタックを排他モードで起動します。

    # crsctl start crs -excl -nocrs
    

    -nocrsオプションは、残りのOracle ClusterwareスタックでcrsdプロセスおよびOCRが起動されないようにします。

    表示されるエラーは無視します。

    crsdが実行されているかどうかをチェックします。実行されている場合は、rootとして次のコマンドを実行して停止します。

    # crsctl stop resource ora.crsd -init
    

    注意:

    -initフラグは他のコマンドでは使用しないでください

  5. OCRをOracle ASMディスク・グループにリストアする場合は、SQL*Plusを使用して、リストアするディスク・グループと同じ名前のディスク・グループを最初に作成し、これをローカル・ノードにマウントする必要があります。

    ディスク・グループをローカルでマウントできない場合は、次のSQL*Plusコマンドを実行します。

    SQL> drop diskgroup disk_group_name force including contents;
    

    必要に応じて、OCRをRAWデバイスにリストアする場合は、rootとしてocrconfig -repair -replaceコマンドを実行する必要があります(すべてのノードに対し、これを行うのに必要なすべての権限があり、OCRが以前にOracle ASMになかったことが前提)。

  6. rootとして次のコマンドを実行して、「バックアップ・ファイルのリスト」で特定できるOCRバックアップでOCRをリストアします。

    # ocrconfig -restore file_name
    

    注意:

    • OCR構成で指定したOCRデバイスが存在し、これらのOCRデバイスが有効であることを確認します。

    • OCRをOracle ASMディスク・グループに構成した場合は、Oracle ASMディスク・グループが存在し、マウントされていることを確認します。



    関連項目:

    • OCR作成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

    • Oracle ASMディスク・グループ管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


  7. 次のコマンドを実行して、OCRの整合性を検証します。

    # ocrcheck
    
  8. 次のコマンドを実行して、ノードで排他モードで実行されているOracle Clusterwareを停止します。

    # crsctl stop crs -f
    
  9. ocrconfig -restoreコマンドを実行しなかった、クラスタ内のすべてのノードでrootとしてocrconfig -repair -replaceコマンドを実行します。たとえば、4ノードのクラスタのノード1でocrconfig -restoreコマンドを実行した場合は、ノード2、3および4でocrconfig -repair -replaceコマンドを実行する必要があります。

  10. rootとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを起動します。

    # crsctl start crs
    
  11. 次のCVUコマンドを実行して、クラスタの一部として構成されているすべてのクラスタ・ノードのOCRの整合性を検証します。

    $ cluvfy comp ocr -n all -verbose
    

関連項目:

CVUの有効化および使用方法の詳細は、付録A「クラスタ検証ユーティリティのリファレンス」を参照してください。

WindowsシステムでのOracle Cluster Registryのリストア

OCRをOracle ASMディスク・グループに格納していて、そのディスク・グループが破損している場合は、Oracle ASMユーティリティを使用してOracle ASMディスク・グループをリストアし、OCRをリカバリする前にこのディスク・グループを再びマウントする必要があります。次の手順の指示に従って、ocrconfig -restoreコマンドを実行し、OCRをリカバリします。


注意:

元のOCRの場所が存在しない場合は、ocrconfig -restoreコマンドを実行する前に、元のOCRの場所と同じ名前の空(0バイト)のOCRの場所を作成する必要があります。


関連項目:

Oracle ASMディスク・グループのリストア方法の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

WindowsシステムでOCRをリストアするには、次の手順を実行します。

  1. 1つのノードで次のコマンドを実行して、クラスタのノードをリストします。

    C:\>olsnodes
    
  2. 管理者グループのメンバーとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを停止します。

    C:\>crsctl stop crs
    

    前述のコマンドでOCRの破損のためエラーが戻される場合は、管理者グループのメンバーとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを停止します。

    C:\>crsctl stop crs -f
    
  3. 管理者グループのメンバーとして次のコマンドを実行し、1つのノードでOracle Clusterwareスタックを排他モードで起動します。

    C:\>crsctl start crs -excl -nocrs
    

    -nocrsオプションは、残りのOracle ClusterwareスタックでcrsdプロセスおよびOCRが起動されないようにします。

    表示されるエラーは無視します。

  4. 管理者グループのメンバーとして次のコマンドを実行して、「バックアップ・ファイルのリスト」で特定したOCRバックアップ・ファイルでOCRをリストアします。

    C:\>ocrconfig -restore file_name
    

    OCR構成で指定したOCRデバイスが存在し、これらのOCRデバイスが有効であることを確認します。


    注意:

    • OCR構成で指定したOCRデバイスが存在し、これらのOCRデバイスが有効であることを確認します。

    • 指定したOracle ASMディスク・グループが存在し、マウントされていることを確認します。



    関連項目:

    • OCR作成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

    • Oracle ASMディスク・グループ管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


  5. 次のコマンドを実行して、OCRの整合性を検証します。

    C:\>ocrcheck
    
  6. 次のコマンドを実行して、ノードで排他モードで実行されているOracle Clusterwareを停止します。

    C:\>crsctl stop crs -f
    
  7. 管理者グループのメンバーとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを起動します。

    C:\>crsctl start crs
    
  8. 次のクラスタ検証ユーティリティ(CVU)・コマンドを実行して、クラスタ・データベース内のすべてのノードのOCRの整合性を検証します。

    C:\>cluvfy comp ocr -n all -verbose
    

    関連項目:

    CVUの有効化および使用方法の詳細は、付録A「クラスタ検証ユーティリティのリファレンス」を参照してください。

Oracle Restart環境でのOracle Cluster Registryのリストア


注意:

  • OCRは、下位互換性のために存在します。

  • 作成されたOCRの場所は、Oracle Restart環境では更新されません。

  • Oracle Restartホームがバックアップされている場合、障害が発生したときに、Oracle RestartホームをリストアするとOCRがリストアされます。


Oracle Restart環境でOCRを復元するには、次の手順を使用します。

  1. すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle高可用性サービスを停止します。

    $ crsctl stop has [-f]
    
  2. ocrcheck -configコマンドを実行して、OCRの場所を特定し、適切な権限を使用してその場所で空(0バイト)のOCRの場所を作成します。

  3. rootとして次のコマンドを実行し、OCRをリストアします。

    # crsctl pin css -n host_name
    

    注意:

    OCR構成で指定したOCRデバイスが存在し、これらのOCRデバイスが有効であることを確認します。


    関連項目:

    OCR作成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

  4. ocrcheckコマンドを実行して、OCRの整合性を検証します。

  5. すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle高可用性サービスを起動します。

    $ crsctl start has
    

Oracle Cluster Registryの問題の診断

OCRDUMPユーティリティおよびOCRCHECKユーティリティを使用して、OCRの問題を診断できます。


関連項目:


Oracle Cluster Registryエクスポート・コマンドおよびインポート・コマンドを使用したOracle Cluster Registryの管理

自動的に作成されたOCRバックアップ・ファイルを使用するのみでなく、環境のノードの追加や削除、Oracle Clusterwareリソースの変更、データベースのアップグレード、ダウングレードまたは作成などの重要な構成変更を行う前と後には、OCRの内容をエクスポートする必要もあります。これは、OCRの内容をファイル形式でエクスポートするocrconfig -exportコマンドを使用して実行します。


注意:

OCRのリストアでは次の制限事項に注意してください。
  • ocrconfig -restoreで生成されるファイル形式は、ocrconfig -exportで生成されるファイル形式と互換性がありません。ocrconfig -exportコマンドとocrconfig -importコマンドには互換性があります。ocrconfig -manualbackupコマンドとocrconfig -restoreコマンドには互換性があります。2つのファイル形式には互換性がないため、交換して使用しないでください。

  • OCRをエクスポートする場合は、名前の文字列にocr、クラスタ名およびタイムスタンプを含めることをお薦めします。次に例を示します。

    ocr_mycluster1_20090521_2130_export
    

また、ocrconfig -exportコマンドを使用すると、構成の変更によってエラーが発生した場合に、-importオプションを使用してOCRをリストアできるようになります。たとえば、構成に解決できない問題がある場合や、構成の変更後にOracle Clusterwareを再起動できない場合は、プラットフォームに応じた手順を使用して、構成をリストアします。

OCRをリストアするには、次の理由から、自動バックアップまたは手動バックアップのいずれかとocrconfig -restoreコマンドを使用し、ocrconfig -exportコマンドおよびocrconfig -importコマンドは使用しないことをお薦めします。

  • バックアップはOCRの一貫したスナップショットですが、エクスポートは、そうではありません。

  • バックアップはシステムがオンライン状態の場合に作成されます。ocrconfig -exportコマンドを使用して一貫したスナップショットを取得するには、クラスタ内のすべてのノードでOracle Clusterwareを停止する必要があります。

  • OCRDUMPユーティリティを使用して、バックアップを検査できます。エクスポートの内容は検査できません。

  • ocrconfig -showbackupコマンドを使用してバックアップをリストできますが、生成されたすべてのエクスポートはユーザーが追跡する必要があります。

この項には次のトピックが含まれます:


注意:

構成を変更すると、ほとんどの場合は、OCRの内容が変更されるのみでなく、ファイルおよびデータベース・オブジェクトが作成されます。OCRをリストアしても、このような変更はリストアされない場合があります。これらの構成の変更のリストアが一部でも失敗した場合は、以前の正しい構成に戻すためにOCRをリストアしないでください。実行した場合、OCRの場所の内容がシステムの他の部分の状態と一致しなくなる可能性があります。

LinuxまたはUNIXシステムでのOracle Cluster Registryの内容のインポート

 


注意:

この手順では、クラスタ内のすべてのノードでのOracle Clusterwareのデフォルトのインストールを前提としています。この場合、Oracle Clusterwareの自動起動は有効になります。

LinuxまたはUNIXシステムでOCRをインポートするには、次の手順を実行します。

  1. 1つのノードで次のコマンドを実行して、クラスタのノードをリストします。

    $ olsnodes
    
  2. rootとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを停止します。

    # crsctl stop crs
    

    前述のコマンドでOCRの破損のためエラーが戻される場合は、rootとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを停止します。

    # crsctl stop crs -f
    
  3. rootとして次のコマンドを実行し、1つのノードでOracle Clusterwareスタックを排他モードで起動します。

    # crsctl start crs -excl
    

    表示されるエラーは無視します。

    crsdが実行されているかどうかをチェックします。実行されている場合は、rootとして次のコマンドを実行して停止します。

    # crsctl stop resource ora.crsd -init
    

    注意:

    -initフラグは他のコマンドでは使用しないでください

  4. rootとして次のコマンドを実行し、OCRをインポートします。

    # ocrconfig -import file_name
    

    クラスタまたはネットワーク・ファイル・システムにOCRをインポートしている場合は、手順7に進みます。


    注意:

    • 元のOCRの場所が存在しない場合は、ocrconfig -importコマンドを実行する前に空(0バイト)のOCRの場所を作成する必要があります。

    • OCR構成で指定したOCRデバイスが存在し、これらのOCRデバイスが有効であることを確認します。

    • OCRをOracle ASMディスク・グループに構成した場合は、Oracle ASMディスク・グループが存在し、マウントされていることを確認します。



    関連項目:

    • OCR作成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

    • Oracle ASMディスク・グループ管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


  5. 次のコマンドを実行して、OCRの整合性を検証します。

    # ocrcheck
    
  6. 次のコマンドを実行して、ノードで排他モードで実行されているOracle Clusterwareを停止します。

    # crsctl stop crs -f
    
  7. rootとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを起動します。

    # crsctl start crs
    
  8. 次のCVUコマンドを実行して、クラスタの一部として構成されているすべてのクラスタ・ノードのOCRの整合性を検証します。

    $ cluvfy comp ocr -n all -verbose
    

注意:

インポートできるのは、エクスポートしたOCRのみです。バックアップからOCRをリストアするには、「Oracle Cluster Registryのバックアップ」で説明するとおり、かわりに-restoreオプションを使用する必要があります。


関連項目:

CVUの有効化および使用方法の詳細は、付録A「クラスタ検証ユーティリティのリファレンス」を参照してください。

WindowsシステムでのOracle Cluster Registryの内容のインポート


注意:

この手順では、クラスタ内のすべてのノードでのOracle Clusterwareのデフォルトのインストールを前提としています。この場合、Oracle Clusterwareの自動起動は有効になります。

WindowsシステムでOCRをインポートするには、次の手順を実行します。

  1. 1つのノードで次のコマンドを実行して、クラスタのノードをリストします。

    C:\>olsnodes
    
  2. 管理者グループのメンバーとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを停止します。

    C:\>crsctl stop crs
    

    前述のコマンドでOCRの破損のためエラーが戻される場合は、管理者グループのメンバーとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを停止します。

    C:\>crsctl stop crs -f
    
  3. 管理者グループのメンバーとして次のコマンドを実行し、1つのノードでOracle Clusterwareスタックを排他モードで起動します。

    C:\>crsctl start crs -excl
    

    表示されるエラーは無視します。

    crsdが実行されているかどうかをチェックします。実行されている場合は、管理者グループのメンバーとして次のコマンドを実行して停止します。

    C:\>crsctl stop resource ora.crsd -init
    

    注意:

    -initフラグは他のコマンドでは使用しないでください

  4. 管理者グループのメンバーとして次のコマンドを実行してOCRをインポートします。

    C:\>ocrconfig -import file_name
    

    OCR構成で指定したOCRデバイスが存在し、これらのOCRデバイスが有効であることを確認します。


    注意:

    • 元のOCRの場所が存在しない場合は、ocrconfig -importコマンドを実行する前に空(0バイト)のOCRの場所を作成する必要があります。

    • OCR構成で指定したOCRデバイスが存在し、これらのOCRデバイスが有効であることを確認します。

    • 指定したOracle ASMディスク・グループが存在し、マウントされていることを確認します。



    関連項目:

    • OCR作成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。

    • Oracle ASMディスク・グループ管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


  5. 次のコマンドを実行して、OCRの整合性を検証します。

    C:\>ocrcheck
    
  6. 次のコマンドを実行して、ノードで排他モードで実行されているOracle Clusterwareを停止します。

    C:\>crsctl stop crs -f
    
  7. 管理者グループのメンバーとして、すべてのノードで次のコマンドを実行し、Oracle Clusterwareを起動します。

    C:\>crsctl start crs
    
  8. 次のクラスタ検証ユーティリティ(CVU)・コマンドを実行して、クラスタ・データベース内のすべてのノードのOCRの整合性を検証します。

    C:\>cluvfy comp ocr -n all -verbose
    

    関連項目:

    CVUの有効化および使用方法の詳細は、付録A「クラスタ検証ユーティリティのリファレンス」を参照してください。

Oracle Local Registry

Oracle Clusterware 11gリリース2(11.2)では、クラスタ内の各ノードに、Oracle ClusterwareによるOCRのインストール時にインストールおよび構成されるOracle Local Registry(OLR)というノード固有のリソースのローカル・レジストリがあります。Oracle Clusterwareが実行されているかどうか、または完全に機能しているかどうかに関係なく、各ノードの複数のプロセスには、それらのプロセスが存在するノードに固有のOLRに対する同時読取りおよび書込みアクセス権があります。

デフォルトでは、OLRは各ノードのGrid_home/cdata/host_name.olrに格納されています。

OLRは、-localオプションを指定したOCRCHECK、OCRDUMPおよびOCRCONFIGユーティリティをrootとして使用して管理します。

  • OCRCHECKユーティリティを次のように使用すると、ローカル・ノードのOLRのステータスをチェックできます。

    # ocrcheck -local
    
    Status of Oracle Cluster Registry is as follows :
            Version                  :          3
            Total space (kbytes)     :     262132
            Used space (kbytes)      :       9200
            Available space (kbytes) :     252932
            ID                       :  604793089
            Device/File Name         : /private2/crs/cdata/localhost/dglnx6.olr
                                       Device/File integrity check succeeded
    
            Local OCR integrity check succeeded
    
  • OCRDUMPユーティリティを次のように使用すると、プログラムを起動したテキスト端末にローカル・ノードのOLRの内容を表示できます。

    # ocrdump -local -stdout
    
  • OCRCONFIGユーティリティを使用すると、ローカル・ノードのOLRで管理タスクを実行できます。

    • OLRをファイルにエクスポートするには、次のようにユーティリティを使用します。

      # ocrconfig –local –export file_name
      

      注意:

      • -manualbackupコマンドおよび-restoreコマンドを使用し、-importコマンドおよび-exportコマンドは使用しないことをお薦めします。

      • OLRをエクスポートする場合は、名前の文字列にolr、ホスト名およびタイムスタンプを含めることをお薦めします。次に例を示します。

        olr_myhost1_20090603_0130_export
        

    • 指定したファイルをOLRにインポートするには、次のようにユーティリティを使用します。

      # ocrconfig –local –import file_name
      
    • OLRを手動でバックアップするには、次のようにユーティリティを使用します。

      # ocrconfig –local –manualbackup
      

      注意:

      OLRは、インストールまたはアップグレードの最後にバックアップされます。その後は、手動でのみOLRをバックアップできます。自動バックアップはOLRではサポートされていません。OCRをOracle ASMから他の記憶域に移行する場合、またはOCRを他の記憶域からOracle ASMに移行する場合は、新しいバックアップを作成する必要があります。

      OLRのデフォルトのバックアップ場所は、パスGrid_home/cdata/host_nameにあります。


    • OLRバックアップ・ファイルの内容を表示するには、次のようにユーティリティを使用します。

      ocrdump -local -backupfile olr_backup_file_name
      
    • OLRのバックアップの場所を変更するには、次のようにユーティリティを使用します。

      ocrconfig -local -backuploc new_olr_backup_path
      
    • OLRをリストアするには、次のようにユーティリティを使用します。

      # crsctl stop crs
      # ocrconfig -local -restore file_name
      # ocrcheck -local
      # crsctl start crs
      $ cluvfy comp olr
      

Oracle Cluster Registry構成のアップグレードおよびダウングレード

Oracle Clusterwareをアップグレードすると、ocrconfig -upgradeコマンドが自動的に実行されます。ダウングレードする場合は、各コンポーネントのダウングレード手順に従い、ocrconfig -downgradeコマンドを使用してOCRもダウングレードします。OCRをアップグレードする場合は、OCRCHECKユーティリティを使用してOCRの整合性を検証できます。

投票ディスクの管理

この項では、次のクラスタ内の投票ディスクの管理について説明します。


注意:

以前のバージョンのOracle Clusterwareで投票ディスクのバックアップおよびリカバリに使用されたddコマンドは、Oracle Clusterware 11gリリース2(11.2)ではサポートされません。ddコマンドまたはcpコマンドを使用してコピーされた投票ディスクをリストアすると、Oracle Clusterware 11gリリース2(11.2)スタックが起動されない場合があります。この章で説明されているバックアップおよびリストア手順を使用して、適切な投票ディスクの機能を確保します。


注意:

  • 投票ディスクの管理には有効かつ動作中のOCRが必要です。投票ディスクを追加、削除、置換またはリストアする前に、ocrcheckコマンドをrootとして実行します。OCRが使用できない場合または破損している場合は、「Oracle Cluster Registryのリストア」で説明するとおり、OCRをリストアする必要があります。

  • 以前のバージョンのOracle ClusterwareをOracle Clusterware 11gリリース2(11.2)にアップグレードしてOracle ASMディスク・グループに投票ディスクを格納する場合は、「ASMの互換性」(COMPATIBLE.ASM)の互換性属性を11.2.0.0に設定する必要があります。



関連項目:

Oracle ASMの互換性属性の設定の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

Oracle ASMでの投票ディスクの格納

Oracle ASMは、格納する他のファイルとは異なる方法で投票ディスクを管理します。投票ディスクをOracle ASMに格納するようにすると、Oracle ASMは、選択したディスク・グループにクラスタのすべての投票ディスクを格納します。Oracle ASMに格納される投票ディスクとOracle ASMに格納されない投票ディスクを同じクラスタ内で使用できません。

Oracle ASMで投票ディスクを構成した後、投票ディスクの構成に変更を加えることができるのは、crsctl replace votediskコマンドを使用する場合のみです。これは、作業投票ディスクがない場合にもあてはまります。crsctl query css votediskによって使用中の投票ディスクがないと報告されても、Oracle ClusterwareはOracle ASMが使用中だったことを記憶しているため、replaceが必要になります。replaceを使用して、Oracle ASM以外の記憶域に投票ディスクを移動した後でのみ、add css votediskおよびdelete css votediskが再び使用可能になります。

特定のOracle ASMディスク・グループに格納できる投票ファイルの数は、ディスク・グループの冗長性によって異なります。

  • 外部冗長性: 外部冗長性があるディスク・グループでは単一の投票ディスクのみを格納できます。

  • 通常の冗長性: 通常の冗長性があるディスク・グループでは3つの投票ディスクを格納します。

  • 高い冗長性: 高い冗長性があるディスク・グループでは5つの投票ディスクを格納します。

デフォルトでは、Oracle ASMが、ディスク・グループ内のそれ自体の障害グループに各投票ディスクを配置します。障害グループは、ディスク・グループ内のディスクのサブセットです。障害グループは、あるディスクに障害が発生し、コンポーネントを共有する他のディスクにも障害が発生した場合などに、コンポーネントを共有するディスクを定義します。障害グループとして定義する可能性のある対象の例として、同じSCSIコントローラを共有しているSCSIディスク・セットがあります。障害グループは、冗長データの格納に使用するOracle ASMディスクを決定するために使用されます。たとえば、ファイルに2方向のミラー化が指定されている場合、ファイル・エクステントの冗長コピーは別の障害グループに格納される必要があります。

投票ディスクが通常または高い冗長性があるOracle ASM上に格納されている状態で、1つの障害グループに存在する記憶域ハードウェアに障害が発生した場合、影響を受けない障害グループのディスク・グループに使用可能な別のディスクが存在すると、Oracle ASMは、影響を受けない障害グループに投票ディスクをリカバリします。

通常の冗長性のディスク・グループには2つ以上の障害グループが含まれている必要がありますが、Oracle ASM上に投票ディスクを格納する場合は、通常の冗長性のディスク・グループに3つ以上の障害グループが含まれている必要があります。高い冗長性のディスク・グループには3つ以上の障害グループが含まれている必要があります。ただし、いくつかの障害グループを使用することをお薦めします。障害グループの数が少ないか、容量が均一でない障害グループの場合、使用可能な記憶域のすべてを十分に使用できない割当ての問題が発生する可能性があります。

各ディスク・グループ内に、そのディスク・グループの冗長性タイプをサポートするために十分な障害グループを指定する必要があります。

crsctl replace votediskコマンドを使用すると、特定の投票ディスク・セットを、あるOracle ASMディスク・グループから別のOracle ASMディスク・グループに、または動作保証されているファイル・システムに移動できます。あるOracle ASMディスク・グループから別のOracle ASMディスク・グループに投票ディスクを移動する場合は、以前のディスク・グループとは異なる冗長レベルのディスク・グループに投票ディスクを配置することで、投票ディスクの数を変更できます。


注意:

  • 1つのディスク・グループで、投票ディスクの数を直接変更することはできません。

  • 投票ディスクの数はOracle ASMがディスク・グループの冗長レベルに応じて管理するため、Oracle ASMディスク・グループに格納されている投票ディスクに対してcrsctl add | delete votediskコマンドを使用することはできません。

  • 投票ディスクがOracle ASMディスク・グループに格納されている場合は、クラスタ・ファイル・システムに投票ディスクを追加できません。Oracleでは、Oracle ASM、および同じクラスタのクラスタ・ファイル・システム上に直接、投票ディスクを同時に格納することはサポートされていません。



関連項目:

  • ディスク・グループの冗長性および定数障害グループの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

  • 投票ディスクの移行の詳細は、「投票ディスクの追加、削除または移行」を参照してください。


投票ディスクのバックアップ

Oracle Clusterware 11gリリース2(11.2)では、投票ディスクをバックアップする必要がなくなりました。投票ディスクのデータは、構成変更の一部として自動的にOCRにバックアップされ、追加された任意の投票ディスクに自動的にリストアされます。ただし、すべての投票ディスクが破損した場合は、「投票ディスクのリストア」で説明するとおり、リストアすることができます。

投票ディスクのリストア

すべての投票ディスクが破損している場合は、次のようにリストアできます。

  1. 必要に応じて、「Oracle Cluster Registryのリストア」で説明するとおり、OCRをリストアします。

    この手順が必要なのは、OCRがOracle ASM上に存在し、ディスク・グループが使用できなくなっている場合など、OCRも破損しているか、または使用できない場合のみです。


    関連項目:

    Oracle ASMディスク・グループの管理の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

  2. 次のコマンドを1つのノードのみからrootとして実行し、Oracle Clusterwareスタックを排他モードで起動します。この場合、投票ファイルが存在したり、使用可能である必要はありません。

    # crsctl start crs -excl
    
  3. crsctl query css votediskコマンドを実行して、現在定義されている、次のような投票ファイルのリストを取得します。

    $ crsctl query css votedisk
    --  -----    -----------------                --------- ---------
    ##  STATE    File Universal Id                File Name Disk group
     1. ONLINE   7c54856e98474f61bf349401e7c9fb95 (/dev/sdb1) [DATA]
    

    このリストは、すべての投票ディスクが破損していたり、投票ディスクにステータス3またはOFFとマーク付けされているエントリが存在する可能性がある場合は、空であることがあります。

  4. 投票ファイルの格納場所に応じて、次のいずれかの方法を実行します。

    • 投票ディスクがOracle ASMに格納されている場合は、次のコマンドを実行して、指定するOracle ASMディスク・グループに投票ディスクを移行します。

      crsctl replace votedisk +asm_disk_group
      

      投票ファイルの移行先のOracle ASMディスク・グループは、Oracle ASMに存在する必要があります。このコマンドは、投票ディスクがOracle ASMに格納されていても、他のストレージ・デバイスに格納されていても使用できます。

    • Oracle ASMに投票ディスクを格納していなかった場合は、前の手順で取得したファイル・ユニバーサル識別子(FUID)を使用して、次のコマンドを実行します。

      $ crsctl delete css votedisk FUID
      

      次のコマンドを実行して、投票ディスクを追加します。

      $ crsctl add css votedisk path_to_voting_disk
      
  5. rootとしてOracle Clusterwareスタックを停止します。

    # crsctl stop crs
    

    注意:

    Oracle Clusterwareスタックが排他モードで実行されている場合は、-fオプションを使用してスタックを強制的に停止します。

  6. rootとしてOracle Clusterwareスタックを通常モードで再起動します。

    # crsctl start crs
    

投票ディスクの追加、削除または移行

Oracle Clusterwareのインストール後に、投票ディスクを追加、削除および移行できます。これを行うために使用するコマンドは、投票ディスクがOracle ASMに存在するか、別の記憶域オプションに存在するかによって異なります。

Oracle ASMに格納されている投票ディスクの変更

  • 投票ディスクのFUIDと現在の各投票ディスクのファイル・パスを表示するには、crsctl query css votediskコマンドを実行して、次のような出力を表示します。

    $ crsctl query css votedisk
    --  -----    -----------------                --------- ---------
    ##  STATE    File Universal Id                File Name Disk group
     1. ONLINE   7c54856e98474f61bf349401e7c9fb95 (/dev/sdb1) [DATA]
    

    このコマンドでは、ディスク順序番号、ディスクのステータス、FUID、ディスクのパス、およびディスクが格納されているOracle ASMディスク・グループの名前が戻されます。

  • Oracle ASMから代替ストレージ・デバイスに投票ディスクを移行するには、次のコマンドを使用して、Oracle ASMディスク・グループと置き換えるOracle ASM以外のストレージ・デバイスまでのパスを指定します。

    $ crsctl replace votedisk path_to_voting_disk
    

    クラスタ内の任意のノードでこのコマンドを実行できます。

  • Oracle ASMに格納されていないすべての投票ディスクを、Oracle ASMによって管理されているOracle ASMディスク・グループ内の投票ディスクと置き換えるには、次のコマンドを実行します。

    $ crsctl replace votedisk +asm_disk_group
    

Oracle ASMに格納されていない投票ディスクの変更

  • 投票ディスクFUIDおよび現行の各投票ディスクのファイル・パスを表示するには、次のコマンドを実行します。

    $ crsctl query css votedisk
    ##  STATE    File Universal Id                File Name Disk group
    --  -----    -----------------                --------- ---------
     1. ONLINE   7c54856e98474f61bf349401e7c9fb95 (/cfs/host09_vd3) []
    

    このコマンドでは、ディスク順序番号、ディスクのステータス、FUID、およびディスクのパスが戻され、Oracle ASMディスク・グループの名前は戻されません。

  • 1つ以上の投票ディスクを追加するには、次のコマンドを実行します。path_to_voting_disk変数は、追加する投票ディスクの1つ以上の空白区切りの完全パスで置き換えます。

    $ crsctl add css votedisk path_to_voting_disk [...]
    
  • 投票ディスクAを投票ディスクBと置き換えるには、投票ディスクBを追加してから投票ディスクAを削除する必要があります。新しいディスクを追加して既存のディスクを削除するには、次のコマンドを実行します(path_to_voting_diskB変数は投票ディスクBの完全修飾パス名に置き換えます)。

    $ crsctl add css votedisk path_to_voting_diskB -purge
    

    -purgeオプションを使用すると、既存の投票ディスクが削除されます。

  • 投票ディスクを削除するには、次のコマンドを実行します。1つ以上の空白区切りの投票ディスクFUIDまたは削除する投票ディスクのカンマ区切りのディレクトリ・パスを指定します。

    $ crsctl delete css votedisk {FUID | path_to_voting_disk[...]}
    

注意:

クラスタが停止し、失われた投票ディスクのために再起動できない場合は、rootとして次のコマンドを実行してCSSを排他モードで起動する必要があります。
# crsctl start crs -excl

CSSを排他モードで起動したら、次のコマンドを使用して投票ディスクを置換できます。

# crsctl replace votedisk path_to_voting_disk

Oracle ASMへの投票ディスクの移行

Oracle ASMに投票ディスクを移行するには、次のコマンドにOracle ASMディスク・グループ名を指定します。

$ crsctl replace votedisk +asm_disk_group

クラスタ内の任意のノードでこのコマンドを実行できます。

投票ディスクの場所の確認

投票ディスクの変更後、次のコマンドを使用して投票ディスクの場所を確認します。

$ crsctl query css votedisk

関連項目:

CRSCTLコマンドの詳細は、付録E「CRSCTLユーティリティのリファレンス」を参照してください。