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Oracle® Database VLDBおよびパーティショニング・ガイド
11g リリース2 (11.2)
B56316-03
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6 データ・ウェアハウス環境でのパーティション化の使用

この章では、データ・アクセスを大幅に強化し、アプリケーション・パフォーマンス全体を向上させるパーティション化機能について説明します。パーティション化による改善は、データ・ウェアハウス環境で見られるような、何百万もの行や何GBものデータを含む表や索引にアクセスするアプリケーションでは特に効果があります。データ・ウェアハウスには大規模な表が含まれることが多く、これらの大規模な表を管理し、これらの表で最適な問合せパフォーマンスを得るためのテクニックが必要です。

この章では次の項について説明します。

データ・ウェアハウスとは

データ・ウェアハウスとは、トランザクション処理ではなく、問合せおよび分析用に設計されたリレーショナル・データベースです。データ・ウェアハウスには、通常、トランザクション・データから導出された履歴データが含まれますが、他のソースからのデータを含めることもできます。データ・ウェアハウスにより、トランザクション・ワークロードから分析ワークロードが分割され、組織が複数のソースからデータを統合できるようにします。

リレーショナル・データベースの他に、データ・ウェアハウス環境には、ETL(抽出、変換、ロード)ソリューション、分析処理やデータ・マイニングの機能、クライアント分析ツール、およびその他のアプリケーション(データ収集およびビジネス・ユーザーへのデータ配布のプロセスを管理する)が含まれます。


関連項目:

『Oracle Databaseデータ・ウェアハウス・ガイド』

スケーラビリティ

パーティション化により、データベース・オブジェクトが小さく分割され、管理しやすい小さなオブジェクトへのアクセスが可能になり、データ・ウェアハウスの拡張が推進されます。小さなオブジェクトに直接アクセスすることにより、次のようなデータ・ウェアハウスのスケーラビリティ要件に対処できます。

この項の内容は次のとおりです。

データベース・サイズの拡大

大きいデータベース・オブジェクトを小さく分割する機能によって、大規模データベースの効率的な管理が透過的に簡略化されます。個々のパーティションやサブパーティションを指定して操作することで、大きいデータベース・オブジェクトを管理できます。パーティション化されたオブジェクトの次の利点について考慮してください。

  • 大きなサイズのデータベースを管理する際にも、バックアップおよびリカバリを小さな単位で実行できます。

  • データベース・オブジェクトの一部を圧縮ストレージに配置することができます(それ以外の部分は圧縮しません)。

  • パーティション化により、データを様々なストレージ層で透過的に保持することができ、大容量データを格納するコストを節減できます。詳細は、第5章「情報ライフサイクル管理のためのパーティション化の使用」を参照してください。

個々の表の拡大(表の行数の増大)

大きな表のスキャンは小さな表のスキャンに比べて時間がかかります。パーティション表に対する問合せでは、表全体のサイズに比べて小さい、1つ以上のパーティションがアクセスされます。また、問合せは、索引についてのパーティション絞込みを利用できます。索引の一部をディスクから読み取るには、索引全体を読み取るよりも時間がかかりません。ローカル・パーティション索引のようにパーティション化戦略が表と同じ構造の索引は、パーティション単位でアクセスおよびメンテナンスを行うことができます。

問合せ、DMLおよびDDL文の処理速度を上げるためにパラレル実行を使用すると、個別のパーティションに個々のデータセットが存在するメリットが活用されます。個々のパラレル実行サーバーは、パーティション境界ごとに、独自のデータセットを処理します。

システムに問合せを行うユーザーの増加

パーティション化されている状態では、ユーザーは孤立した小さなデータセットを問い合せる可能性が高くなります。その結果、すべてのユーザーが1つの大きなデータセットを問い合せる場合よりも、データベースは結果を速く返せるようになります。データ競合が発生する可能性が低くなります。

複雑な問合せの増加

小さなデータセットを使用すると、複雑な問合せを速く実行することができます。小さなデータセットがアクセスされる場合、複雑な計算はメモリーで処理される可能性が高くなります。これは、パフォーマンスの観点でメリットがあり、アプリケーションのI/O要件が削減されます。大きなデータセットでは、場合によっては問合せを完了するために一時表領域に書き込む必要があり、データベースの記憶域に対して追加のI/Oが発生します。

パフォーマンス

適切なパフォーマンスは、データ・ウェアハウスが成功するために重要です。データベースに対して実行する分析は、問合せがアクセスするデータが大容量で表のサイズが数TBに及ぶ場合でも、適度な時間で返されることが必要です。パーティション化によってデータ・アクセスやアプリケーション処理の速度が向上します。これによって、ハードウェア・コストもかかりすぎない優れたデータ・ウェアハウスが実現します。

この項の内容は次のとおりです。

パーティション・プルーニング

パーティション・プルーニングは、データ・ウェアハウスの重要なパフォーマンス機能です。パーティション・プルーニングでは、オプティマイザによりSQL文のFROM句とWHERE句が分析され、パーティション・アクセス・リストを構築するときに不要なパーティションが削除されます。結果として、Oracle Databaseは、SQL文に関連するパーティションに限定して処理を実行できるようになります。

パーティション・プルーニングを行うと、ディスクから取得するデータ容量が大幅に削減され、処理時間が短縮します。このため、問合せのパフォーマンスが向上し、リソース使用率が最適化されます。

この項の内容は次のとおりです。

パーティション・プルーニングの詳細および静的パーティション・プルーニングと動的パーティション・プルーニングの違いは、第3章「可用性、管理性およびパフォーマンスのためのパーティション化」を参照してください。

基本的なパーティション・プルーニング技法

オプティマイザでプルーニングに使用される述語のタイプには様々なものがあります。パーティション・プルーニングに最もよく使用される述語のタイプは、等価、範囲およびINリストの3つです。例として次の問合せを考えてみます。

SELECT SUM(amount_sold) day_sales
FROM sales
WHERE time_id = TO_DATE('02-JAN-1998', 'DD-MON-YYYY');

salesのパーティション列に対する等価述語が含まれるので、この問合せでは1つの述語にプルーニングされ、次の実行計画に反映されます。

-----------------------------------------------------------------------------------------------
|  Id | Operation                | Name  | Rows| Bytes | Cost (%CPU)| Time     |Pstart| Pstop |
-----------------------------------------------------------------------------------------------
|   0 | SELECT STATEMENT         |       |     |       | 21 (100)   |          |      |       |
|   1 |  SORT AGGREGATE          |       | 1   | 13    |            |          |      |       |
|   2 |   PARTITION RANGE SINGLE |       | 485 | 6305  | 21 (10)    | 00:00:01 | 5    | 5     |
| * 3 |    TABLE ACCESS FULL     | SALES | 485 | 6305  | 21 (10)    | 00:00:01 | 5    | 5     |
-----------------------------------------------------------------------------------------------
Predicate Information (identified by operation id):
--------------------------------------------------- 
  3 - filter("TIME_ID"=TO_DATE('1998-01-02 00:00:00', 'yyyy-mm-dd hh24:mi:ss'))

同様に、time_id列に対して範囲述語またはINリスト述語があれば、オプティマイザを使用して一連のパーティションにプルーニングされます。使用できる述語のタイプは、パーティション化のタイプにより決まります。範囲述語は、ハッシュ・パーティション表でのプルーニングには使用できませんが、その他のすべてのパーティション化のプルーニングには使用できます。ただし、リスト・パーティション表では、範囲述語は、連続したパーティションのセットへはマッピングされません。等価述語およびINリスト述語は、すべてのパーティション化方法でプルーニングできます。

高度なパーティション・プルーニング技法

Oracle Databaseのプルーニング機能では、複数のパーティション表を対象とする、より複雑な述語やSQL文も効率よく処理されます。パーティション表が、WHERE条件により限定された別の表のサブセットに結合される場合などは、その典型例です。たとえば、次の問合せについて考えてみます。

SELECT t.day_number_in_month, SUM(s.amount_sold)
  FROM sales s, times t
  WHERE s.time_id = t.time_id
    AND t.calendar_month_desc='2000-12'
  GROUP BY t.day_number_in_month;

データベースが、右側にあるtimes表とのネステッド・ループ結合を実行した場合、問合せはtimes表のこの行に対応するパーティションにのみアクセスすることになります。つまりプルーニングは暗黙に実行されます。ただし、データベースでハッシュ結合またはソート・マージ結合が実行される場合は、そうはなりません。WHERE述語の対象となる表がパーティション表と比べて小さく、かつパーティション表から多くのレコードやパーティションが除かれると予想される場合は、再帰的な副問合せを使用して動的パーティション・プルーニングが実行されます。副問合せによるプルーニングを実行するかどうかは、オプティマイザによるコストベースの内部的な判断により決定されます。

ハッシュ結合操作を使用した実行計画は、たとえば次のようになります。

--------------------------------------------------------------------------------------------------
| Id| Operation                    |  Name |  Rows | Bytes| Cost (%CPU)|  Time  | Pstart | Pstop |
--------------------------------------------------------------------------------------------------
|  0| SELECT STATEMENT             |       |       |      | 761 (100)  |        |        |       |
|  1|  HASH GROUP BY               |       |    20 | 640  | 761 (41)   |00:00:10|        |       |
|* 2|   HASH JOIN                  |       | 19153 | 598K | 749 (40)   |00:00:09|        |       |
|* 3|    TABLE ACCESS FULL         | TIMES |    30 |  570 |  17 (6)    |00:00:01|        |       |
|  4|     PARTITION RANGE SUBQUERY |       |  918K | 11M  |   655 (33) |00:00:08| KEY(SQ)|KEY(SQ)|
|  5|      TABLE ACCESS FULL       | SALES |   918 | 11M  |   655 (33) |00:00:08| KEY(SQ)|KEY(SQ)|
--------------------------------------------------------------------------------------------------
Predicate Information (identified by operation id):
---------------------------------------------------
PLAN_TABLE_OUTPUT
--------------------------------------------------------------------------------------------------
  2 - access("S"."TIME_ID"="T"."TIME_ID") 
  3 - filter("T"."CALENDAR_MONTH_DESC"='2000-12')

この実行計画では、PSTART列とPSTOP列のKEY(SQ)値に示されるように、副問合せを使用してsales表で動的パーティション・プルーニングが実行されたことがわかります。

例6-1に、OR述語を使用した高度なプルーニングの例を示します。

例6-1 OR述語を使用した高度なプルーニング

SELECT p.promo_name promo_name, (s.profit - p.promo_cost) profit
FROM
   promotions p,
   (SELECT
      promo_id,
      SUM(sales.QUANTITY_SOLD * (costs.UNIT_PRICE - costs.UNIT_COST)) profit
   FROM
      sales, costs
   WHERE
      ((sales.time_id BETWEEN TO_DATE('01-JAN-1998','DD-MON-YYYY',
                  'NLS_DATE_LANGUAGE = American') AND
      TO_DATE('01-JAN-1999','DD-MON-YYYY', 'NLS_DATE_LANGUAGE = American')
OR
      (sales.time_id BETWEEN TO_DATE('01-JAN-2001','DD-MON-YYYY',
                  'NLS_DATE_LANGUAGE = American') AND
      TO_DATE('01-JAN-2002','DD-MON-YYYY', 'NLS_DATE_LANGUAGE = American')))
      AND sales.time_id = costs.time_id
      AND sales.prod_id = costs.prod_id
   GROUP BY
      promo_id) s
WHERE s.promo_id = p.promo_id
ORDER BY profit
DESC;

この問合せでは、shサンプル・スキーマのsales表とcosts表が結合されます。sales表は、time_id列でレンジ・パーティション化されています。この問合せの条件の1つはtime_idに関する2つの述語です。それらがOR演算子で1つにまとめられています。このOR述語を基にsales表のパーティションに対してプルーニングが行われ、sales表とcosts表の単一結合が実行されます。実行計画は次のようになります。

--------------------------------------------------------------------------------------------------
| Id| Operation               |  Name    |Rows |Bytes |TmpSp|Cost(%CPU)| Time    | Pstart| Pstop |
--------------------------------------------------------------------------------------------------
|  0| SELECT STATEMENT        |          | 4   |  200 |     | 3556 (14)| 00:00:43|       |       |
|  1|  SORT ORDER BY          |          | 4   |  200 |     | 3556 (14)| 00:00:43|       |       |
|* 2|   HASH JOIN             |          | 4   |  200 |     | 3555 (14)| 00:00:43|       |       |
|  3|    TABLE ACCESS FULL    |PROMOTIONS| 503 | 16599|     |    16 (0)| 00:00:01|       |       |
|  4|    VIEW                 |          |   4 |   68 |     | 3538 (14)| 00:00:43|       |       |
|  5|     HASH GROUP BY       |          |   4 |  164 |     | 3538 (14)| 00:00:43|       |       |
|  6|      PARTITION RANGE OR |          | 314K|   12M|     |  3321 (9)| 00:00:40|KEY(OR)|KEY(OR)|
|* 7|       HASH JOIN         |          | 314K|   12M| 440K|  3321 (9)| 00:00:40|       |       |
|* 8|        TABLE ACCESS FULL| SALES    | 402K| 7467K|     |  400 (39)| 00:00:05|KEY(OR)|KEY(OR)|
|  9| TABLE ACCESS FULL       | COSTS    |82112| 1764K|     |   77 (24)| 00:00:01|KEY(OR)|KEY(OR)|
--------------------------------------------------------------------------------------------------
Predicate Information (identified by operation id):
--------------------------------------------------- 
  2 - access("S"."PROMO_ID"="P"."PROMO_ID") 
  7 - access("SALES"."TIME_ID"="COSTS"."TIME_ID" AND "SALES"."PROD_ID"="COSTS"."PROD_ID") 
  8 - filter("SALES"."TIME_ID"<=TO_DATE('1999-01-01 00:00:00', 'yyyy-mm-dd hh24:mi:ss') AND 
      "SALES"."TIME_ID">=TO_DATE('1998-01-01 00:00:00', 'yyyy-mm-dd hh24:mi:ss') OR 
      "SALES"."TIME_ID">=TO_DATE('2001-01-01 00:00:00', 'yyyy-mm-dd hh24:mi:ss') AND 
      "SALES"."TIME_ID"<=TO_DATE('2002-01-01 00:00:00', 'yyyy-mm-dd hh24:mi:ss'))

ある列が複数の列でレンジ・パーティション化されている場合は、さらにプルーニングが実行されます。ある特定の述語に対して、決して合致しないと判断できるパーティションはスキップされます。これにより、複数列に対する範囲述語がある場合またはパーティション列のプリフィックスに対する述語が存在しない場合のパフォーマンスが最適化されます。

パーティション・プルーニングのヒントは、「パーティション・プルーニングのヒント」を参照してください。

パーティション・ワイズ結合

パーティション・ワイズ結合では、結合がパラレルで実行されるときにパラレル実行サーバー間で交換されるデータ量が最小限に抑えられ、問合せのレスポンス時間が短縮されます。レスポンス時間は大幅に短縮され、CPUとメモリー・リソースの使用率が改善されます。

パーティション・ワイズ結合では、フル(完全)またはパーシャル(部分)を選択できます。どちらの種類の結合を使用するかはOracle Databaseによって判別されます。

この項の内容は次のとおりです。

フル・パーティション・ワイズ結合

フル・パーティション・ワイズ結合が行われるのは、同じキーでともにパーティション化された2つの表が問合せで結合される場合です。同等のパーティション化は、表のパーティション・レベル、サブパーティション・レベル、あるいはパーティションとサブパーティションを組み合せたレベルで可能です。参照パーティション化は、同等のパーティション化を保証する簡単な方法です。フル・パーティション・ワイズ結合は、シリアルでもパラレルでも実行できます。

パーティション・ワイズ結合の詳細は、第3章「可用性、管理性およびパフォーマンスのためのパーティション化」を参照してください。

例6-2は、orders表とorder_items表のフル・パーティション・ワイズ結合を示します。order_items表が参照パーティション化されています。

例6-2 参照パーティション表とのフル・パーティション・ワイズ結合

CREATE TABLE orders
( order_id     NUMBER(12) NOT NULL
, order_date   DATE NOT NULL
, order_mode   VARCHAR2(8)
, order_status VARCHAR2(1)
, CONSTRAINT orders_pk PRIMARY KEY (order_id)
)
PARTITION BY RANGE (order_date)
( PARTITION p_before_jan_2006 VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-JAN-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_jan VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-FEB-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_feb VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-MAR-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_mar VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-APR-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_apr VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-MAY-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_may VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-JUN-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_jun VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-JUL-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_jul VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-AUG-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_aug VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-SEP-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_sep VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-OCT-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_oct VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-NOV-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_nov VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-DEC-2006','dd-MON-yyyy'))
, PARTITION p_2006_dec VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-JAN-2007','dd-MON-yyyy'))
)
PARALLEL;

CREATE TABLE order_items
( order_id NUMBER(12) NOT NULL
, product_id NUMBER NOT NULL
, quantity NUMBER NOT NULL
, sales_amount NUMBER NOT NULL
, CONSTRAINT order_items_orders_fk FOREIGN KEY (order_id) REFERENCES 
orders(order_id)
)
PARTITION BY REFERENCE (order_items_orders_fk)
PARALLEL;

典型的なデータ・ウェアハウス問合せでは、大容量のデータがスキャンされます。基礎となっている実行計画では、列RowsBytesCost (%CPU)TimeおよびTQが削除されていることに注意してください。

EXPLAIN PLAN FOR
SELECT o.order_date
, sum(oi.sales_amount) sum_sales
FROM orders o
, order_items oi
WHERE o.order_id = oi.order_id
AND o.order_date BETWEEN TO_DATE('01-FEB-2006','DD-MON-YYYY')
                     AND TO_DATE('31-MAY-2006','DD-MON-YYYY')
GROUP BY o.order_id
, o.order_date
ORDER BY o.order_date;

---------------------------------------------------------------------------------------------
| Id  | Operation                         | Name        | Pstart| Pstop |IN-OUT| PQ Distrib |
---------------------------------------------------------------------------------------------
|   0 | SELECT STATEMENT                  |             |       |       |      |            |
|   1 |  PX COORDINATOR                   |             |       |       |      |            |
|   2 |   PX SEND QC (ORDER)              | :TQ10001    |       |       | P->S | QC (ORDER) |
|   3 |    SORT GROUP BY                  |             |       |       | PCWP |            |
|   4 |     PX RECEIVE                    |             |       |       | PCWP |            |
|   5 |      PX SEND RANGE                | :TQ10000    |       |       | P->P | RANGE      |
|   6 |       SORT GROUP BY               |             |       |       | PCWP |            |
|   7 |        PX PARTITION RANGE ITERATOR|             |     3 |     6 | PCWC |            |
|*  8 |         HASH JOIN                 |             |       |       | PCWP |            |
|*  9 |          TABLE ACCESS FULL        | ORDERS      |     3 |     6 | PCWP |            |
|  10 |          TABLE ACCESS FULL        | ORDER_ITEMS |     3 |     6 | PCWP |            |
---------------------------------------------------------------------------------------------

Predicate Information (identified by operation id):
---------------------------------------------------

   8 - access("O"."ORDER_ID"="OI"."ORDER_ID")
   9 - filter("O"."ORDER_DATE"<=TO_DATE(' 2006-05-31 00:00:00', 'syyyy-mm-dd hh24:mi:ss'))

パーシャル・パーティション・ワイズ結合

Oracle Databaseでは、パラレル時のみパーシャル・パーティション・ワイズ結合が実行できます。フル・パーティション・ワイズ結合と異なり、パーシャル・パーティション・ワイズ結合では、両方の表ではなく、一方の表のみを結合キーでパーティション化する必要があります。パーティション化された表は、参照表と呼ばれます。もう一方の表は、パーティション化してもしなくてもかまいません。パーシャル・パーティション・ワイズ結合は、フル・パーティション・ワイズ結合よりも一般的です。

パーシャル・パーティション・ワイズ結合を実行するために、データベースによって、参照表のパーティション化に基づいて、もう一方の表が動的にパーティション化または再パーティション化されます。もう一方の表が再パーティション化された後は、フル・パーティション・ワイズ結合と同様に実行されます。

例6-3は、データ・ウェアハウスの一般的なシナリオでの、通話明細レコードの表cdrsを示します。この表は、時間隔ハッシュ・パーティション化されています。

例6-3 時間隔ハッシュ・パーティション表でのパーシャル・パーティション・ワイズ結合

CREATE TABLE cdrs
( id                 NUMBER
, cust_id            NUMBER
, from_number        VARCHAR2(20)
, to_number          VARCHAR2(20)
, date_of_call       DATE
, distance           VARCHAR2(1)
, call_duration_in_s NUMBER(4)
) PARTITION BY RANGE(date_of_call)
INTERVAL (NUMTODSINTERVAL(1,'DAY'))
SUBPARTITION BY HASH(cust_id)
SUBPARTITIONS 16
(PARTITION p0 VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-JAN-2005','dd-MON-yyyy')))
PARALLEL;

cdrs表は、非パーティション表callerscust_id列によって結合され、通話時間の長い顧客順に並べられます。

EXPLAIN PLAN FOR
SELECT c.cust_id
,      c.cust_last_name
,      c.cust_first_name
,      AVG(call_duration_in_s)
,      COUNT(1)
,      DENSE_RANK() OVER
       (ORDER BY (AVG(call_duration_in_s) * COUNT(1)) DESC) ranking
FROM   callers c
,      cdrs    cdr
WHERE cdr.cust_id = c.cust_id
AND cdr.date_of_call BETWEEN TO_DATE('01-JAN-2006','dd-MON-yyyy')
                         AND TO_DATE('31-DEC-2006','dd-MON-yyyy')  
GROUP BY c.cust_id
, c.cust_last_name
, c.cust_first_name
ORDER BY ranking;

この実行計画はパーシャル・パーティション・ワイズ結合を示しています。列RowsBytesCost (%CPU)TimeおよびTQが削除されていることに注意してください。

--------------------------------------------------------------------------------------------
| Id  | Operation                           | Name     | Pstart| Pstop |IN-OUT| PQ Distrib |
--------------------------------------------------------------------------------------------
|   0 | SELECT STATEMENT                    |          |       |       |      |            |
|   1 |  WINDOW NOSORT                      |          |       |       |      |            |
|   2 |   PX COORDINATOR                    |          |       |       |      |            |
|   3 |    PX SEND QC (ORDER)               | :TQ10002 |       |       | P->S | QC (ORDER) |
|   4 |     SORT ORDER BY                   |          |       |       | PCWP |            |
|   5 |      PX RECEIVE                     |          |       |       | PCWP |            |
|   6 |       PX SEND RANGE                 | :TQ10001 |       |       | P->P | RANGE      |
|   7 |        HASH GROUP BY                |          |       |       | PCWP |            |
|*  8 |         HASH JOIN                   |          |       |       | PCWP |            |
|   9 |          PART JOIN FILTER CREATE    | :BF0000  |       |       | PCWP |            |
|  10 |           BUFFER SORT               |          |       |       | PCWC |            |
|  11 |            PX RECEIVE               |          |       |       | PCWP |            |
|  12 |             PX SEND PARTITION (KEY) | :TQ10000 |       |       | S->P | PART (KEY) |
|  13 |              TABLE ACCESS FULL      | CALLERS  |       |       |      |            |
|  14 |          PX PARTITION RANGE ITERATOR|          |   367 |   731 | PCWC |            |
|  15 |           PX PARTITION HASH ALL     |          |     1 |    16 | PCWC |            |
|* 16 |            TABLE ACCESS FULL        | CDRS     |  5857 | 11696 | PCWP |            |
--------------------------------------------------------------------------------------------

Predicate Information (identified by operation id):
---------------------------------------------------

   8 - access("CDR"."CUST_ID"="C"."CUST_ID")
  16 - filter("CDR"."DATE_OF_CALL">=TO_DATE(' 2006-01-01 00:00:00', 'syyyy-mm-dd 
hh24:mi:ss') AND "CDR"."DATE_OF_CALL"<=TO_DATE('
              2006-12-31 00:00:00', 'syyyy-mm-dd hh24:mi:ss'))

パーティション・ワイズ結合のメリット

パーティション・ワイズ結合には、次のメリットがあります。

通信オーバーヘッドの削減

パーティション・ワイズ結合では、パラレルで実行する場合の通信オーバーヘッドが削減されます。デフォルトでは、パラレル実行サーバー・セットが結合操作をパラレル実行するときに、各表を結合列に関して非結合行のサブセットとして再分配する必要があるためです。これらの非結合行のサブセットは、1つのパラレル実行サーバーによって、組単位で結合されます。

パーティション・ワイズ結合では、2つの表が結合列でパーティション化されているため、パーティションの再分配を回避できます。この機能により、各パラレル実行サーバーが、一致するパーティションの組を結合できます。パラレル実行によるパフォーマンス向上は、ノード間パラレル実行を行うOracle Real Application Clusters構成ではさらに顕著になります。

パーティション・ワイズ結合により、インターコネクト・トラフィックが大幅に削減されます。この機能の使用は、Oracle Real Application Clustersを使用する大規模な意思決定支援(DSS)構成に欠かせません。現在、超並列処理(MPP)や対称型マルチプロセッシング(SMP)クラスタなど、ほとんどのOracle Real Application Clustersプラットフォームでは、その処理能力に比べてインターコネクト帯域幅が制限されています。インターコネクト帯域幅は、ディスク帯域幅と同等であることが理想的ですが、このような例はまれです。そのため、Oracle Real Application Clustersでのほとんどの結合操作では、パーティション・ワイズ結合がパラレル実行されない場合にインターコネクトの待ち時間が長くなります。

メモリー要件の削減

パーティション・ワイズ結合は、同じ表のデータセット全体で同様の結合操作を行う場合に比べて、メモリー所要量が少なくなります。シリアル結合では、一致するパーティション1組ずつに対して結合が実行されます。データがパーティション間で均等に分散されている場合、メモリー要件はパーティションの数で分割されます。この場合、偏りは発生しません。

パラレル結合の場合、メモリー要件は、パラレルで結合されるパーティションの組数によって異なります。たとえば、並列度が20でパーティションの数が100の場合、2つのパーティションの結合が20ずつ同時に実行されるため、必要なメモリー量は5分の1になります。パーティション・ワイズ結合でメモリーの必要量が減ることは、パフォーマンスに直接的な好影響があります。たとえば、結合では、ハッシュ結合の作成フェーズ中にブロックがディスクに書き込まれる必要がなくなります。

パラレル・パーティション・ワイズ結合のパフォーマンスに関する考慮点

オプティマイザは、パーティション・ワイズ結合を使用するかどうかを決定する場合に、次の情報に基づいてメリットとデメリットを比較します。

  • レンジ・パーティション化の場合、パーティション・サイズが異なると、データの偏りによって応答時間が長くなることがあります。つまり、パラレル実行サーバーによっては、他のサーバーより結合完了までの時間が長くなります。ハッシュ・(サブ)パーティション化を使用して、パーティション・ワイズ結合を使用可能にすることをお薦めします。パーティションの数が2の累乗であれば、ハッシュ・パーティション化によって偏りが発生する可能性が低く抑えられるためです。偏りの発生を最小限にするために、ハッシュ・パーティション化キーが一意であることが理想的です。

  • パーティション・ワイズ結合に使用されるパーティションの数は、可能であれば問合せサーバーの数の倍数にします。たとえば、並列度が16の場合は、パーティションの数を16、32または64にします。パーティションの数が半端な場合、一部のパラレル実行サーバーの使用率が低くなります。たとえば、17組の均等に分散されたパーティションがある場合、1組のみが最後の結合で処理され、そのときに他の組は待機する必要があります。これは、実行開始時には、各パラレル実行サーバーが別のパーティションの組に対して動作するためです。この最初のフェーズ後には、1組のみが残ります。そのため、1つのパラレル実行サーバーがこの残った組を結合し、その間、他のすべてのパラレル実行サーバーはアイドル状態になります。

パラレル結合によって、リモートI/O処理が発生する場合があります。たとえば、MPP構成で実行されるOracle Real Application Clusters環境では、一致するパーティションの組が同じノードに存在しない場合、パーティション・ワイズ結合を行うために、リモートI/Oのための追加のノード間通信が必要になります。これは、結合が実行されるノードに、少なくとも1つのパーティションを転送する必要があるためです。この場合は、パーティション・ワイズ結合を使用するより、データを明示的に再配置する方が適しています。

索引とパーティション索引

索引は表と関連付けられているオプション構造で、これにより表に対するSQL文をより迅速に実行することができます。表スキャンは多くのデータ・ウェアハウスでごく一般的ですが、多くの場合、索引を使用することで問合せの速度がさらに速くなることがあります。データ・ウェアハウスで最もよく使用される索引は、Bツリー索引およびビットマップ索引です。

Bツリー索引とビットマップ索引はどちらも、パーティション表のローカル索引として作成できます。この場合、索引は表のパーティション化戦略を継承します。Bツリー索引は、パーティション表または非パーティション表のグローバル・パーティション索引として作成することもできます。

この項の内容は次のとおりです。

パーティション索引の詳細は、第3章「可用性、管理性およびパフォーマンスのためのパーティション化」を参照してください。

ローカル・パーティション索引

ローカル索引の場合、特定の索引パーティションのキーはすべて、基礎となる表の1つのパーティションに格納されている行のみを参照します。ローカル索引は、基礎となる表と同一レベルでパーティション化されます。基礎となる表と同じ列で索引をパーティション化し、同じ数のパーティションまたはサブパーティションを作成して、基礎となる表の対応するパーティションと同じパーティション・バウンドを設定します。

また、Oracle Databaseは、基礎となる表のパーティションが追加、削除、マージまたは分割されたり、ハッシュ・パーティションやサブパーティションが追加または結合されたりした場合は、索引のパーティション化を自動的にメンテナンスします。これにより、索引のパーティションが表と同一レベルに保たれます。

データ・ウェアハウス・アプリケーションでは、ローカル非同一キー索引によってパフォーマンスを向上させることができます。これは、索引キーに基づくレンジ問合せによって、多数の索引パーティションをパラレルにスキャンできるためです。次の例では、ローカルBツリー索引がパーティション表customersに作成されます。

ALTER SESSION enable parallel ddl;

CREATE INDEX cust_last_name_ix
ON customers(last_name) LOCAL
PARALLEL NOLOGGING ;

ビットマップ索引では、カーディナリティが低い列を非常に効率よく格納できる方法が使用されます。ビットマップ索引は、特にスター・スキーマを実装しているデータ・ウェアハウス環境で広く使用されています。1つのスター・スキーマは、中心の大きなファクト表と、ファクト表のデータについて説明する複数の小さなディメンション表で構成されます。

たとえば、Oracle Databaseのサンプルshスキーマのsales表はファクト表です。これは、customersproductspromotionstimesおよびchannelsというディメンション表によって説明されますビットマップ索引では、スター・スキーマ(またはスターに似ているスキーマ)に対する高速の問合せ取得を最適化する、スター型変換を使用できます。

ファクト表の外部キー列は、ビットマップ索引の理想的な候補です。一般的に、全行数に比べて固有の値が少ないためです。ファクト表は、レンジ・パーティション化、またはレンジと他の方法を組み合せてパーティション化されていることが多いですが、その場合は、ローカル・ビットマップ索引を作成する必要があります。パーティション表のグローバル・ビットマップ索引はサポートされません。

次の例では、ローカル・パーティション・ビットマップ索引がsales表に作成されます。

ALTER SESSION enable parallel ddl;

CREATE BITMAP INDEX prod_id_ix
ON sales(prod_id) LOCAL
PARALLEL NOLOGGING;

関連項目:

スター型変換の詳細は、『Oracle Databaseデータ・ウェアハウス・ガイド』を参照してください。

非パーティション索引

非パーティション索引は、非パーティション表にもパーティション表にも作成できます。非パーティション索引は、データ・ウェアハウス環境の非パーティション表で主に使用されます。パーティション表で非パーティション・グローバル索引を使用すると、主キーまたは一意キーを施行できます。非パーティション(グローバル)索引は、パーティション化キーに含まれない1つの列または複数の列に対する等価述語またはINリストに基づいて、通常ごく少数の行を取得する問合せで役立ちます。このような場合、一致するすべての行を検出するために、1つの索引をスキャンする方が多数の索引パーティションをスキャンするよりも速く行えます。

パーティション列以外の列の一意索引はグローバルにする必要があります。これは、キーにパーティション化キーが含まれていない一意ローカル非同一キー索引はサポートされていないためです。管理されたデータ・ロード処理や一意制約施行のパフォーマンス・コストのために、データ・ウェアハウスでは必ずしも一意キーが施行されているとは限りません。グローバル索引は、数十億の行を含む表では非常に大きくなることがあります。

次の例では、グローバル一意索引がsales表に作成されます。

ALTER SESSION enable parallel ddl;

CREATE UNIQUE INDEX sales_unique_ix
ON sales(cust_id, prod_id, promo_id, channel_id, time_id)
PARALLEL NOLOGGING;

この索引からメリットを得る問合せはほとんどないことに注意してください。データ・ロード・ウィンドウが非常に限られているシステムでは、この索引の作成や管理を行わないことを検討する必要があります。


注意:

ほとんどのパーティション・メンテナンス操作では、非パーティション索引は無効にされ、索引の再構築を強制されます。

グローバル・パーティション索引

グローバル・パーティション索引は、非パーティション表にもパーティション表にも作成できます。グローバル・パーティション索引では、特定の索引パーティションのキーが、複数の基礎となる表のパーティションまたはサブパーティションに格納されている行を参照する場合があります。グローバル索引ではレンジ・パーティション化またはハッシュ・パーティション化が可能ですが、定義するパーティション表はどのタイプでもかまいません。

グローバル索引は、GLOBAL属性を指定することで作成されます。データベース管理者は、グローバル索引の作成時に最初のパーティション化を定義して、それ以降はパーティション化のメンテナンスを行う必要があります。索引パーティションは、必要に応じてマージまたは分割できます。

グローバル索引が役立つのは、少数の行を取得するために索引を介した表へのアクセス・パスを使用する問合せがある場合です。索引をパーティション化することで、問合せの大半に対して索引の大部分を排除できます。パーティション表では、パーティション・プルーニングの実行のために含めるべき列または複数の列に、表のパーティション化キーが含まれない場合に、グローバル・パーティション索引を検討してください。

次の例では、グローバル・ハッシュ・パーティション索引がsales表に作成されます。

CREATE INDEX cust_id_prod_id_global_ix
ON sales(cust_id,prod_id)
GLOBAL PARTITION BY HASH (cust_id)
( PARTITION p1 TABLESPACE tbs1
, PARTITION p2 TABLESPACE tbs2
, PARTITION p3 TABLESPACE tbs3
, PARTITION p4 TABLESPACE tbs4
)
PARALLEL NOLOGGING;

注意:

ほとんどのパーティション・メンテナンス操作では、グローバル・パーティション索引は無効にされ、索引の再構築を強制されます。

マテリアライズド・ビューとパーティション化

パフォーマンス向上のためにデータ・ウェアハウスで使用されている1つのテクニックに、サマリーの作成があります。これは、特殊なタイプの集計ビューであり、問合せを実行する前に、効率が悪い結合および集計操作を事前に計算し、その結果をデータベース内の表に格納することで、問合せ実行時間を短縮します。たとえば、サマリー表が、地域別および製品別の売上合計を含むように作成できます。

サマリー、すなわちこのマニュアルやデータ・ウェアハウスに関するマニュアルで説明されている集計は、マテリアライズド・ビューと呼ばれるスキーマ・オブジェクトを使用してOracle Databaseに作成されます。データ・ウェアハウスではマテリアライズド・ビューによって問合せパフォーマンスが改善されます。

データベースでは、マテリアライズド・ビューに対する透過的なリライトがサポートされます。したがって、マテリアライズド・ビューの計算済結果を利用するために元の問合せを変更する必要はありません。問合せを実行するかわりに、データベースは計算済結果を1つ以上のマテリアライズド・ビューから取得し、必要であればデータに対してその他の操作を実行し、問合せ結果を返します。QUERY_REWRITE_INTEGRITY初期化パラメータの設定に応じて、データベースによって正しい結果が保証されます。


関連項目:

『Oracle Databaseデータ・ウェアハウス・ガイド』

パーティション・マテリアライズド・ビュー

マテリアライズド・ビューの基礎となる記憶域は表構造です。表をパーティション化するのと同様にマテリアライズド・ビューをパーティション化できます。マテリアライズド・ビューに対して実行するようにデータベースが問合せをリライトしたとき、その問合せは、表に対して直接実行される問合せと同じパフォーマンス特性を得られます。リライトされた問合せでは、マテリアライズド・ビューのパーティションを排除できます。問合せ結果を取得するために、表または他のマテリアライズド・ビューとの結合が必要な場合は、リライトされた問合せで、パーティション・ワイズ結合を利用できます。

例6-4は、売上結果を国レベルで集計する圧縮パーティション・マテリアライズド・ビューを作成する方法を示します。このマテリアライズド・ビューは、売上数を国レベル(またはさらに大きな地区や地域のレベル)で要約する問合せを利用します。

例6-4 圧縮パーティション・マテリアライズド・ビュー

ALTER SESSION ENABLE PARALLEL DDL;

CREATE MATERIALIZED VIEW country_sales
PARTITION BY HASH (country_id)
PARTITIONS 16
COMPRESS FOR OLTP
PARALLEL NOLOGGING
ENABLE QUERY REWRITE
AS SELECT co.country_id
, co.country_name
, co.country_subregion
, co.country_region
, sum(sa.quantity_sold) country_quantity_sold
, sum(sa.amount_sold) country_amount_sold
FROM sales sa
, customers cu
, countries co
WHERE sa.cust_id = cu.cust_id
AND cu.country_id = co.country_id
GROUP BY co.country_id
, co.country_name
, co.country_subregion
, co.country_region;

関連項目:

『Oracle Databaseデータ・ウェアハウス・ガイド』

管理性

データ・ウェアハウスには履歴データが格納されます。データ・ウェアハウスの重要な部分はデータのロードとパージです。パーティション化は、データ・ウェアハウスでのデータ管理に役立つ高機能テクノロジです。

この項の内容は次のとおりです。

パーティション交換ロード

パーティション交換ロード(PEL)を使用してパーティションを追加できます。PELを使用するときは、1つのパーティションとまったく同じに見える別の表を作成し、索引や制約(存在する場合)も同じものを含めます。コンポジット・パーティション表を使用する場合、この表は、コンポジット・パーティション表のサブパーティション化戦略と一致するパーティション化戦略を使用する必要があります。次に、既存の表パーティションをこの表と交換します。データ・ロード・シナリオでは、この表にデータをロードしておきます。表のユーザーの問合せに影響しないように、表に索引を構築して制約を実装します。次にPELを実行します。これはデータのロードに比べると非常に影響の少ないトランザクションです。日単位のレンジ・パーティション戦略と毎日のロードの組合せは、データ・ウェアハウス環境では一般的です。

次の例は、sales表のパーティション交換ロードを示します。

ALTER TABLE sales ADD PARTITION p_sales_jun_2007
VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-FEB-2007','dd-MON-yyyy'));

CREATE TABLE sales_jun_2007 COMPRESS FOR OLTP
AS SELECT * FROM sales WHERE 1=0;

次に、表sales_jun_2007に2007年6月の売上数を移入して、sales表に実装されていたのと同じビットマップ索引と制約を作成します。

CREATE BITMAP INDEX time_id_jun_2007_bix ON sales_jun_2007(time_id) 
NOLOGGING;
CREATE BITMAP INDEX cust_id_jun_2007_bix ON sales_jun_2007(cust_id) 
NOLOGGING;
CREATE BITMAP INDEX prod_id_jun_2007_bix ON sales_jun_2007(prod_id) 
NOLOGGING;
CREATE BITMAP INDEX promo_id_jun_2007_bix ON sales_jun_2007(promo_id) 
NOLOGGING;
CREATE BITMAP INDEX channel_id_jun_2007_bix ON sales_jun_2007(channel_id) 
NOLOGGING;

ALTER TABLE sales_jun_2007 ADD CONSTRAINT prod_id_fk FOREIGN KEY (prod_id) 
REFERENCES products(prod_id);
ALTER TABLE sales_jun_2007 ADD CONSTRAINT cust_id_fk FOREIGN KEY (cust_id) 
REFERENCES customers(cust_id);
ALTER TABLE sales_jun_2007 ADD CONSTRAINT promo_id_fk FOREIGN KEY (promo_id) 
REFERENCES promotions(promo_id);
ALTER TABLE sales_jun_2007 ADD CONSTRAINT time_id_fk FOREIGN KEY (time_id) 
REFERENCES times(time_id);
ALTER TABLE sales_jun_2007 ADD CONSTRAINT channel_id_fk FOREIGN KEY 
(channel_id) REFERENCES channels(channel_id);

次に、パーティションを交換します。

ALTER TABLE sales
EXCHANGE PARTITION p_sales_jun_2007
WITH TABLE sales_jun_2007
INCLUDING INDEXES;

パーティション交換ロードの詳細は、第4章「パーティションの管理」を参照してください。

パーティション化と索引

パーティション・メンテナンス操作の実行が最も簡単にできるのはローカル索引です。ローカル索引は、パーティション管理が行われるときにグローバル索引を無効にしません。ローカル索引を別の表の同じ索引と交換するとき、索引パーティションが無効にならないように、PEL文でINCLUDING INDEXESを使用します。PELの場合は、ロードの際にグローバル索引を更新できます。PEL文でUPDATE GLOBAL INDEXES拡張機能を使用します。索引の更新が必要な場合、PELの実行時間が長くなります。

パーティション化とマテリアライズド・ビューのリフレッシュ戦略

マテリアライズド・ビューを最新に保つためには次の方法があります。

  • 完全リフレッシュ

  • 基礎となる表に対するマテリアライズド・ビュー・ログに基づいた高速(増分)リフレッシュ

  • 手動でのDML使用(その後、ALTER MATERIALIZED VIEW CONSIDER FRESHを実行)

クエリー・リライトを有効にするには、QUERY_REWRITE_INTEGRITY初期化パラメータを設定します。マテリアライズド・ビューを手動で最新に保つ場合は、QUERY_REWRITE_INTEGRITYTRUSTEDまたはSTALE_TOLERATEDのいずれかに設定する必要があります。


関連項目:

『Oracle Databaseデータ・ウェアハウス・ガイド』

マテリアライズド・ビューと基礎となる表が同じパーティション化戦略を使用している場合、PELは、マテリアライズド・ビューを手動で更新するための非常に強力な方法になります。たとえば、基礎となる表とマテリアライズド・ビューの両方がレンジ・パーティション化を使用している場合、基礎となる表とマテリアライズド・ビューの最新状態を保つためにPELの使用を検討することができます。この全データ・リフレッシュ・シナリオは次のように処理されます。

  • 表とマテリアライズド・ビューに対してPELを実行するための表を作成します。

  • 作成した表にデータをロードし、索引を構築し、制約があれば実装します。

  • PELを使用して実表を更新します。

  • PELを使用してマテリアライズド・ビューを更新します。

  • この戦略を使用して更新した各マテリアライズド・ビューについてALTER MATERIALIZED VIEW CONSIDER FRESHを実行します。

この戦略では、基礎となる表のPELとマテリアライズド・ビューのPELの間に少し間が空くことに注意してください。この期間は、マテリアライズド・ビューが基礎となる表の現行データを反映しません。この状況に対処できるかどうかを確認するために、QUERY_REWRITE_INTEGRITY設定とシステムでのアクティビティを考慮してください。


関連項目:

リフレッシュ・シナリオの例は、『Oracle Database 2日でデータ・ウェアハウス・ガイド』を参照してください。

表からのデータの削除

通常、データ・ウェアハウスでは一定の時間枠のデータが保存されます。たとえば、3年分の履歴データが格納されます。

パーティション化を行うと、非常に簡単に表からデータをパージすることができます。データをパージするにはDROP PARTITION文または TRUNCATE PARTITION文を使用します。一般的な戦略として、表のデータをアンロードするためにパーティション交換ロードを使用する方法、パーティションを空の表と置き換えてからパーティションを削除する方法もあります。交換した別の表は、空にしたり削除したりする前にアーカイブします。

削除または切捨て操作によって、グローバル索引またはグローバル・パーティション索引が無効になる場合があることに注意してください。ローカル索引は有効なまま変化しません。ローカル索引パーティションは、表パーティションを削除するときに削除されます。

次の例は、sales表のsales_1995パーティションを削除する方法を示します。

ALTER TABLE sales
DROP PARTITION sales_1995
UPDATE GLOBAL INDEXES PARALLEL;

パーティション化とデータの圧縮

パーティション表のデータは、パーティション単位で圧縮することができます。圧縮データの使用は、データが頻繁に変更されない場合に最も効果的です。一般的なデータ・ウェアハウスのシナリオでは、データが古くなるにつれてデータの変更は減ります。あるいは、シナリオによってはデータの挿入のみが行われます。パーティション管理機能を使用して、パーティション単位でデータを圧縮できます。Oracle Databaseでは、圧縮データに対してすべてのDML操作を行えますが、データの変更は圧縮されていない表で実行する方が効率的です。

圧縮を有効化するパーティションの変更は、パーティションにこれから挿入されるデータのみに適用されることに注意してください。パーティションの既存のデータを圧縮するには、パーティションを移動する必要があります。圧縮の有効化とパーティションの移動は、1つの操作で実行できます。

ビットマップ索引のあるパーティション表に対して表の圧縮を使用するには、最初に圧縮属性を導入する前に、次の処理を行う必要があります。

  1. ビットマップ索引をUNUSABLEとしてマークします。

  2. 圧縮属性を設定します。

  3. 索引を再作成します。

圧縮パーティションを、まったく圧縮されていない既存のパーティション表に含める場合は、圧縮パーティションを追加する前に、既存のビットマップ索引をすべて削除するか、UNUSABLEとしてマークする必要があります。これは、パーティションにデータが含まれるかどうかにかかわらず実行する必要があります。また、表の1つ以上のパーティションを圧縮する操作とも無関係です。これは、Bツリー索引のみを含むパーティション表には適用されません。

次の例は、sales表のSALES_1995パーティションを圧縮する方法を示します。

ALTER SESSION enable parallel ddl;

ALTER TABLE sales
MOVE PARTITION sales_1995
COMPRESS FOR OLTP
PARALLEL NOLOGGING;

表またはパーティションがディスクに占める領域が減ると、I/Oに制約がある環境では、大きな表スキャンのパフォーマンスが改善されることがあります。

大規模パーティション表に関する統計の収集

SQL実行計画を得るには、信頼できる表統計を収集することが重要です。Oracle Databaseでは、データベースのインストール時にアクティブ化される統計ジョブを使用して統計が自動的に収集されます。あるいは、DBMS_STATSパッケージを使用して統計を手動で収集することもできます。大規模表に関する統計の管理は、小さな表の統計の管理よりも困難です。

問合せが1つの表パーティションにアクセスする場合は、パーティション・レベルでの統計の収集が最適です。問合せによって複数のパーティションが排除されるが、1つのパーティションに絞り込まれない場合は、パーティション・レベル統計とグローバル統計の両方を収集する必要があります。Oracle Database 11gでは、パーティション表のグローバル集計が増分的に管理されます。表全体ではなく、変更されたパーティションのみがスキャンされます。

パーティション表での統計管理の典型的なシナリオでは、パーティション交換ロード(PEL)が使用されます。データをPELを使用して追加したが、データ・ロードの一貫としてグローバルレベル統計の更新は計画していない場合は、データが最初にロードされた表をパーティションと交換する前に、その表について統計を収集する必要があります。パーティション交換の後ではグローバルレベル統計が最新ではなくなります。グローバルレベル統計を再収集するとき、または自動統計収集ジョブがグローバルレベル統計を再収集するときは、表全体ではなく新しいパーティションのみがスキャンされます。