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Oracle® Database Real Application Testingユーザーズ・ガイド
11gリリース2(11.2)
B56321-06
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1 Oracle Real Application Testingの概要

Oracle DatabaseのOracle Real Application Testingオプションおよびテスト・データ管理機能では、データベースに対する変更の整合性を保証したり、テスト・データを管理できます。

Oracle Real Application Testingオプションを使用すると、Oracle Databaseを現実的な環境でテストできます。Oracle Real Application Testingでは、本番環境にデプロイメントを行う前に、本番環境のワークロードを取得し、こららのワークロードに対するシステムの変更の影響を評価することで、システム変更が原因で不安定になるリスクを最小限にします。Oracle Real Application Testingの主要コンポーネントは、SQLパフォーマンス・アナライザおよびデータベース・リプレイです。テストするシステム変更の性質とその影響、およびテストするシステムの種類に応じて、テストの実行にいずれかまたは両方のコンポーネントを使用できます。

現実的な環境でテストを行う場合、テスト環境の本番ではないユーザーに機密データが公開されてしまうリスクがあります。Oracle Databaseのテスト・データの管理機能では、テスト・データに対してデータ・マスキングおよびデータ・サブセット化を実行し、このリスクを最小限にできます。

この章は次の項で構成されています:


注意:

SQLパフォーマンス・アナライザおよびデータベース・リプレイの使用には、Oracle Real Application Testingのライセンス・オプションが必要です。詳細は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。

1.1 SQLパフォーマンス・アナライザ

システム変更(データベースのアップグレードや索引の追加など)を行うと、SQL文の実行計画が変更され、SQLパフォーマンスに大きな影響を与える場合があります。システム変更によってSQL文が低下し、パフォーマンスの低下につながる場合もあります。システム変更によってSQLパフォーマンスが改善される場合もあります。システム変更がSQLパフォーマンスに与える可能性がある影響を正確に予測できると、SQL文の低下に備えてシステムを事前にチューニングしたり、SQL文のパフォーマンスが改善された場合のパフォーマンスの向上を検証し、評価することができます。

SQLパフォーマンス・アナライザは、SQL文ごとのパフォーマンスの相違を識別することで、すべてのSQLワークロードに対する変更の全体的影響を評価するプロセスを自動化します。レポートには、変更によるワークロード・パフォーマンスへの最終的な影響が示されます。パフォーマンスの低下したSQL文については、SQLパフォーマンス・アナライザによって、適切な実行計画の詳細とチューニング推奨事項も提供されます。これによって、エンド・ユーザーに影響が及ぶ前に、望ましくない結果を修正することができます。また、時間とコストを大幅に節約しながら、本番環境のシステム変更が最終的なパフォーマンス向上につながることを検証できます。

SQLパフォーマンス・アナライザを使用すると、次に示す変更を含むあらゆるタイプのシステム変更のSQLパフォーマンスに対する影響を分析できます。

  • データベースのアップグレード

  • オペレーティング・システムまたはハードウェアの構成変更

  • スキーマの変更

  • データベース初期化パラメータの変更

  • オプティマイザ統計のリフレッシュ

  • SQLチューニング・アクション


関連項目:


1.2 データベース・リプレイ

ハードウェアやソフトウェアのアップグレードなどのシステム変更を行う前に、通常は変更内容を検証するためにテスト環境で広範囲なテストが実行されます。ただし、テストを実行しても、テストには実際のワークロードを使用していないため、新規システムの本番運用が開始されると、しばしば予期しない動作が発生します。テスト中に実際のワークロードをシミュレートできないことは、システム変更を検証する際の最大の問題点の1つです。

データベース・リプレイでは、テスト・システムで本番環境のワークロードを実質的に再現し、システム変更の現実的なテストを可能にします。データベース・リプレイを使用すると、本番システムのワークロードを取得して、それを元のワークロードとまったく同じタイミング、同時実行性およびトランザクション特性に従ってテスト・システムでリプレイできます。これにより、変更の影響(望ましくない結果、新しい競合ポイント、計画の品質低下など)を詳細に評価できます。広範な分析およびレポートを利用して、新しく発生したエラーやパフォーマンスの相違など、起こりうる問題の特定に役立てることができます。

データベース・リプレイでは、外部クライアントのワークロードについて、データベース・レベルでワークロードを取得し、パフォーマンス・オーバーヘッドはごくわずかです。本番ワークロードを取得することで、シミュレーション・ワークロードやスクリプトを開発する必要がなくなり、コストと時間を大幅に節約できます。データベース・リプレイを使用すると、以前であれば負荷シミュレーション・ツールを使用して何か月もかかっていた複雑なアプリケーションの現実的なテストが、数日で完了します。これにより、より高度な信頼性をより少ないリスクで確保しながら、変更を迅速にテストして新しいテクノロジを導入できます。

データベース・リプレイを使用すると、次のような重要なシステム変更をテストできます。

  • データベースおよびオペレーティング・システムのアップグレード

  • 構成の変更(シングル・インスタンスからOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境へのデータベースの変換など)

  • ストレージ、ネットワークおよびインターコネクトの変更

  • オペレーティング・システムおよびハードウェアの移行


関連項目:


1.3 テスト・データ管理

本番データをテスト環境にコピーした場合、機密情報がアプリケーション開発者や外部コンサルタントなどの非本番ユーザーに漏えいしてしまうというリスクがあります。現実的な環境のテストを行うには、このような非本番ユーザーが元のデータの一部にアクセスする(ただし、すべてのデータにはアクセスしない)ようにする必要があります(特に情報が機密情報とみなされる場合)。

Oracleデータ・マスキングを使用すると、本番システムの機密データを架空のデータに置き換え、テスト時に本番データを非本番ユーザーと安全に共有できるようにすることで、このようなリスクを低減できます。Oracleデータ・マスキングは、エンドツーエンドの安全な自動化により、本番データを元に規制に準拠したテスト・データベースを提供します。


関連項目: