表13-29に、Oracle ACFSレプリケーション用コマンドの概要を示します。
すべてのプラットフォームでacfsutil
help
を実行して、ヘルプ・テキストを表示できます。すべてのプラットフォームでacfsutil
version
を実行して、Oracle ACFSのバージョンを表示できます。
Windowsプラットフォームでコマンドにオプションを付けて入力するときには、オプションとともに-
のかわりに/
を使用します。たとえば、acfsutil
-h
を使用してLinuxプラットフォームでacfsutil
のヘルプを表示できます。Windowsプラットフォームでは、acfsutil
/h
を使用します。
Windowsオペレーティング・システムでのマウント・ポイントはドライブ文字またはドライブ文字を含むディレクトリのいずれでもよいことに注意してください。
Windowsプラットフォームでドライブ文字マウントポイントをレプリケーション・コマンドで指定するときには、後続のバックスラッシュを使用する必要があります。たとえば、ドライブ文字マウントポイントにp:\
(not p:
)を使用します。後続のバックスラッシュを省略する場合、ドライブ文字をそのドライブで最後にアクセスしたパスと置き換えるWindowsパス置換機能がトリガーされます。
表13-29 Oracle ACFSレプリケーション用のコマンドの概要
コマンド | 説明 |
---|---|
|
Oracle ACFSレプリケーション・バックグラウンド・プロセスを開始、停止、または情報を表示します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステム上でファイルがレプリケートされていることを確認します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーション・プロセスに関する情報を表示します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのファイルのレプリケーションを開始します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーションを一時停止します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーションを再開します。 |
|
プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムを同期します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのファイルのすべてのレプリケーション・アクティビティを停止します。 |
|
レプリケーション情報のトレース・レベルを指定します。 |
|
レプリケーションの実行中にレプリケーション情報を更新します。 |
用途
Oracle ACFSレプリケーション・バックグラウンド・プロセスを開始、停止、または情報を表示します。
構文および説明
acfsutil
repl
bg
-h
acfsutil
repl
bg
{start
|stop
|info
} mount_point
acfsutil
repl
bg
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-30に、acfsutil
repl
bg
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表13-30 acfsutil repl bgコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
レプリケーション・バックグラウンド・プロセスを開始します。 |
|
レプリケーション・バックグラウンド・プロセスを停止します。 |
|
レプリケーション・バックグラウンド・プロセスの情報を表示します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
Oracle ACFSレプリケーションはバックグラウンド・プロセスを使用してファイルシステムの変更を転送し、プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムをホストするサイト間で通信し、レプリケーションの処理状況を監視し、ファイルシステムの変更をスタンバイ・ファイルシステムに適用します。これらのバックグラウンド・プロセスはレプリケーションが機能するために実行する必要があります。
レプリケーションがacfsutil
repl
init
コマンドで開始するときに、これらのバックグラウンド・プロセスが開始され、再起動またはシステム・クラッシュ後に自動的に再開するように、Oracle Clusterwareに登録されます。ファイルシステムのマウントおよびアンマウント、またはレプリケーションの初期化後のノード・メンバーシップの変更の際に、Oracle Clusterwareはバックグラウンド・プロセスを自動的に開始および停止するため、通常、acfsutil
repl
bg
コマンドを実行する必要はありません。しかし、いずれかのデーモンが実行していない場合には、レプリケーションは進行できません。この場合、repl
bg
stop
、次にrepl
bg
start
を実行することで、すべてのデーモンが実行しているようになります。
acfsutil
bg
start
により、レプリケーションに必要なすべてのデーモンが実行しているようになります。デーモンは異なるクラスタ・ノードで実行することができます。acfsutil
bg
stop
により、ローカル・ノードで実行しているファイルシステム用のデーモンがないようにし、可能な場合はデーモンを別のノードに再配置します。
acfsutil
repl
bg
start
またはacfsutil
repl
bg
stop
コマンドを実行するには、システム管理者権限が必要です。acfsutil
repl
bg
info
コマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例13-24に、acfsutil
repl
bg
コマンドの使用を示します。
用途
Oracle ACFSファイルシステム上でファイルがレプリケートされていることを確認します。
構文および説明
acfsutil
repl
compare
-h
acfsutil
repl
compare
[-a
] [-t
{ all
| tagname
, ...}]
primary_mount_point
standby_mount_point
acfsutil
repl
compare
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-31に、acfsutil
repl
compare
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表13-31 acfsutil repl compareコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
すべてのファイルとその拡張された属性名を比較します。 |
|
|
|
プライマリ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
|
このスタンバイ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
compare
コマンドは、プライマリ・マウントポイントのすべてまたは一部がスタンバイ・マウントポイントにレプリケートされたことを確認します。スタンバイ・マウントポイントは、比較のためにローカルにマウントされる必要があります。最適な結果は、プライマリ・ファイルシステムの変更が最小限のときに得られます。
通常、acfsutil
repl
init
操作中に指定されたタグ名がない場合に-a
オプションが使用されます。-a
オプションは、プライマリ・ファイルシステム上のすべてのファイルをスタンバイ・ファイルシステム上のファイルと比較します。-a
オプションも、プライマリには存在しないスタンバイ・ファイルシステム上のその他のファイルをテストします。
acfsutil
repl
init
操作中にタグが指定された場合に-t
オプションが使用されます。-t
操作では、指定されたタグ名を持つ、プライマリ・ファイルシステム上のすべてのファイル名を配置してスタンバイ上の対応するファイルと比較します。-t
オプションは、引数としてall
オプションかまたはタグ名のコンマ区切りリストのどちらかをとります。-t
オプションがall
で使用される場合、acfsutil
repl
init
操作中に指定されたすべてのタグ名が選択されます。そうでない場合、指定されたタグ名は、acfsutil
repl
init
操作中に指定されたタグ名と正確に一致する必要があります。-t
オプションも同様に、acfsutil
repl
init
操作中に指定された関連するタグ名を持たないスタンバイ・ファイルシステムのその他のファイルをテストします。acfsutil
repl
info
-c
オプションは、acfsutil
repl
init
操作中に指定されるタグを特定するために使用されます。
-a
または-t
のオプションのどちらも提供されない場合、プライマリからスタンバイへのファイル比較はタグ名または拡張属性のテストを行わずに実行されます。
NFSを使用してスタンバイ・ファイルシステムをローカルにマウントする場合、スタンバイは、NFSプロトコル制限のためタグ名と拡張属性の一致をチェックされません。
例
例13-25に、acfsutil
repl
compare
コマンドの使用を示します。
用途
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーション・プロセスに関する情報を表示します。
構文および説明
acfsutil
repl
info
-h
acfsutil
repl
info
-c
[-v
] mount_point
acfsutil
repl
info
-s
[-v
][-l
] [-n
number
{m|h
|d
|w
|y
}]
[-r
start_time
[#
stop_time
]] [-f
eventlog
] mount_point
acfsutil
repl
info
[-a
|-e
|-t
] [-v
][-l
]
[-r
start_time
[#
stop_time
]] [-f
eventlog
] mount_point
acfsutil
repl
info
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-32に、acfsutil
repl
info
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表13-32 acfsutil repl infoコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
レプリケーション・イベント・ログから適用レコードのみを表示します。適用レコードには、ファイルシステムの変更のセットがプライマリ・ファイルシステムで取得された日付と時間と、それらがスタンバイ・ファイルシステムで適用された日付と時間が含まれます。 |
|
構成情報を表示します。 |
|
レプリケーション・イベント・ログからエラー・レコードのみを表示します。 |
|
情報のソースとして使用されるレプリケーション・イベント・ログへのパスを指定します。デフォルトの場所は、 |
|
ヘルプ・テキストを表示します。 |
|
最後のイベントのみを表示します。 |
|
情報を表示する間隔を指定します。 統計は指定した時間単位でまとめられます。 |
|
情報の表示を開始および終了する時間を指定します。時間の形式は yyyy - yearnn - month (01..12)dd - day (01..31)hh - hour (00..23)mm - minute (00..59)ss - second (00..59)次に例を示します。
|
|
統計情報を表示します。このオプションはプライマリ・ファイルシステムで実行するときのみ有効です。統計を意味のあるものにするために、プライマリおよびスタンバイ・ノードがネットワーク・タイム・サービスを実行していることが重要です。 |
|
レプリケーション・イベント・ログから転送レコードのみを表示します。 |
|
verbose出力を表示します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
レプリケーション構成の情報を表示するには、-c
オプションを指定したacfsutil
repl
info
を使用します。レプリケーション統計の情報を表示するには、-s
オプションを指定したacfsutil
repl
info
を使用します。レプリケーション・イベントの情報を表示するには、-a
、-e
または-t
オプションを指定したacfsutil
repl
info
を使用します。
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例13-26に、acfsutil
repl
info
コマンドの使用を示します。
用途
Oracle ACFSファイルシステムのすべてのファイルまたは指定したタグのリストを持つファイルのみでレプリケーションを開始します。
構文および説明
acfsutil
repl
init
-h
acfsutil
repl
init
primary
-s
standby_connect_string
[tagname
...]
[-m
standby_mount_point
] [-c
primary_service
]
[-d
trace_level
] [-z
{on
|off
}] mount_point
acfsutil
repl
init
standby
-p
primary_connect_string
[-c
standby_service
] [-d
trace_level
] mount_point
acfsutil
repl
init
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-33に、acfsutil
repl
init
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表13-33 acfsutil repl initコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
プライマリ・ファイルシステムのレプリケーションを指定します。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムのレプリケーションを指定します。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムをホストしているサイトの接続文字列を指定します。接続文字列内のユーザーには |
|
プライマリ・ファイルシステムをホストしているサイトの接続文字列を指定します。接続文字列内のユーザーには |
|
レプリケートするファイルのタグ名を指定します。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムがマウントされているディレクトリがプライマリ・ファイルシステムと異なる場合にそのディレクトリを指定します。これはプライマリ・ファイルシステムの初期化にのみ有効です。 |
|
プライマリ・ファイルシステムのサービス名を指定します。プライマリ・ファイルシステムがスタンバイ・ファイルシステムとは異なるサービス名を使用している場合に必須です。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムのサービス名を指定します。スタンバイ・ファイルシステムがプライマリ・ファイルシステムとは異なるサービス名を使用している場合に必須です。 |
|
レプリケーション・ログのトレース・レベル設定(0..6)を指定します。 |
- |
レプリケーション・ログの圧縮をオンまたはオフにします。デフォルトでは圧縮はオフです。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
init
primary
コマンドが正常に完了すると、指定したすべてのファイルの最初のコピーをスタンバイ・ファイルシステムにレプリケートする処理が開始します。さらに、これらのファイルへの変更や、プライマリ・ファイルシステム上のファイルシステムでその後作成された新しいファイルが取得され、スタンバイ・ファイルシステムに転送されます。しかし、コマンドが正常に完了しても、指定したファイルがスタンバイ・ファイルシステムに完全にコピーされたことは示されません。指定したすべてのファイルのスタンバイ・ファイルシステムへの最初のレプリケーションの進行を監視するには、ユーザーがacfsutil
repl
info
-c
コマンドを実行します。
最初のレプリケーション・コピー・プロセスの最初のフェーズは、ファイルシステムのディレクトリ・ツリー構造のスタンバイ・ファイルシステムへの完全なコピーから開始されます。ディレクトリ・ツリー内のファイルはコピーされません。この間、ディレクトリの名前を変更しようとすると失敗することがあります。ディレクトリ・ツリー構造がスタンバイ・ファイルシステムに正常にコピーされた後、レプリケーションの初期化は最初のコピー・プロセスの2番目のフェーズである、レプリケートするすべてのファイルのスタンバイ・ファイルシステムへのコピーを開始します。この最初のレプリケーション・フェーズの間にファイルはスタンバイ・ファイルシステムにコピーされ、そのファイルへの書込みおよび切捨てはブロックされます。
シンボリック・リンク・ファイルはそのままレプリケートされます。シンボリック・リンクが絶対パス名に解決され、そのパス名がスタンバイ・ファイルシステムに存在しない場合、シンボリック・リンクの参照はエラーになります。
新しいサービス名がレプリケーション用に作成される必要があります。+ASM
サービス名は使用できません。複数のレプリケートされたファイルシステムがノードまたはクラスタ上にある場合、レプリケートする各ファイルシステムに対して一意のサービス名を指定する必要があります。
レプリケートされているファイルシステムはプライマリまたはスタンバイ・ファイルシステムの1つのパスにのみマウントできます。そうでない場合、複数のパスにマウントされているノード上のいずれかのパスをディスマウントすると、レプリケーション・バックグラウンド・スレッドが停止します。
レプリケートされたOracle ACFSファイルシステムはクラスタ内の同じディレクトリにマウントされる必要があります。ファイルシステムは1つのクラスタ内のすべてのノードにマウントされる必要はありませんが、マウントされる場合は、acfsutil
repl
init
コマンドで指定したディレクトリにマウントする必要があります。さらに、他のノードのそのディレクトリには他のファイルシステムはマウントできません。
1つのOracle ACFSファイルシステムは、プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムの両方として構成できません。レプリケーションを同じホストまたは同じクラスタ内で構成する場合、プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムは同じ名前のマウント・ポイントを使用できません。
プライマリ・ファイルシステムには、ファイルシステムをマウントする各ノードにつき最低4 GB必要です。スタンバイ・ファイルシステムには最低4GB必要です。これは、レプリケートされているデータ量およびプライマリ・ファイルシステムから送信されたレプリケーション・ログに必要なスペースには適切なサイズです。
プライマリとスタンバイ・ファイルシステムにホストしているサイトでは、同じオペレーティング・システムが実行し、同じマシン・アーキテクチャである必要があります。
Oracleウォレットもセキュリティ資格証明を管理するのに使用できます。
関連項目:
|
このコマンドを実行するには、システム管理者権限が必要です。
例
例13-27に、acfsutil
repl
init
コマンドの使用を示します。
例13-27 acfsutil repl initコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil repl init primary -s standby_admin/standby_passwd@standby_repl_site -m /standby/repl_data -c primary_repl_service /acfsmounts/repl_data $ /sbin/acfsutil repl init standby -p primary_admin/primary_passwd@primary_repl_site -c standby_repl_service /standby/repl_data
用途
Oracle ACFSファイルシステムのレプリケーションを一時停止します。
構文および説明
acfsutil
repl
pause
-h
acfsutil
repl
pause
mount_point
acfsutil
repl
pause
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-34に、acfsutil
repl
pause
コマンドで使用可能なオプションを示します。
acfsutil
repl
pause
コマンドは、acfsutil
repl
resume
コマンドが実行されるまで、レプリケーション・プロセスを一時的に停止します。このコマンドはプライマリまたはスタンバイ・ファイルシステムをホストしているサイトのどちらでも実行できます。acfsutil
repl
pause
の実行後すぐにacfsutil
repl
resume
を実行して、レプリケーションを再開する必要があります。
acfsutil
repl
pause
コマンドは、レプリケーション・ログのプライマリ・ファイルシステムからスタンバイ・ファイルシステムへの転送を一時的に停止するのに使用できますが、ログはプライマリ・ファイルシステムで生成され続けます。ログはスタンバイ・ファイルシステムに転送されて適用されるまで、削除されないことに注意してください。
acfsutil
repl
pause
コマンドは、レプリケーション・ログのスタンバイ・ファイルシステムへの適用を一時的に停止するのに使用できますが、このコマンドはログのスタンバイ・ファイルシステムへの転送は停止しません。ログはファイルシステムに適用されるまで、スタンバイ・ファイルシステムから削除されないことに注意してください。
レプリケーションがプライマリまたはスタンバイ・ファイルシステムをホストしているいずれかのサイトで一時停止しているときも、レプリケーション・ログはスタンバイおよびプライマリ・ファイルシステムで累積され続けます。これらのログはファイルシステム内で使用可能なストレージ容量のすべてを消費する可能性があるので、レプリケーションを一時停止した場合は、ファイルシステムをホストしているサイトの使用可能なストレージを確認する必要があります。累積されたレプリケーション・ログがファイルシステム内の使用可能な容量をすべて消費する前に、acfsutil
repl
resume
を確実に実行してください。
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例13-28に、acfsutil
repl
pause
コマンドの使用を示します。
用途
一時停止されたOracle ACFSファイルシステムのレプリケーションを再開します。
構文および説明
acfsutil
repl
resume
-h
acfsutil
repl
resume
mount_point
acfsutil
repl
resume
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-35に、acfsutil
repl
resume
コマンドで使用可能なオプションを示します。
acfsutil
repl
pause
コマンドの実行後、このコマンドはレプリケーション・プロセスを再開します。acfsutil
repl
pause
コマンドでレプリケーションを一時停止した後、すぐにこのコマンドを実行する必要があります。
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例13-29に、acfsutil
repl
resume
コマンドの使用を示します。
用途
プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムを同期します。
構文および説明
acfsutil
repl
sync
-h
acfsutil
repl
sync
[apply
] mount_point
acfsutil
repl
sync
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-36に、acfsutil
repl
sync
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表13-36 acfsutil repl syncコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
すべての変更をスタンバイ・ファイルシステムに適用するように指定します。 |
|
プライマリ・ファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
sync
コマンドは、プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムの状態を同期するのに使用できます。このコマンドは、プライマリ・ファイルシステムをホストしているサイト上でのみ実行できます。
同期された状態がユーザーにわかり、意味のあるものにするためには、最初にアプリケーションを停止してsync(1)コールを実行する必要があります。acfsutil
repl
sync
コマンドにより、すべての未処理のレプリケーション・データがプライマリ・ファイルシステムからスタンバイ・ファイルシステムに送信されます。
この転送が完了するか、またはapply
パラメータを指定した場合はすべての変更がスタンバイ・ファイルシステムに正常に適用されると、acfsutil
repl
sync
コマンドは成功を戻します。この時点で、プライマリ・サイト・クラスタ上の最後のノードがアンマウントされようとしていないかぎり、アプリケーションは再開できます。acfsutil
repl
sync
を使用して、最後のノードのファイルシステムのディスマウントの前に、確実にすべての変更をスタンバイ・ファイルシステムに送信させることができます。
acfsutil
repl
info
-c
がInitializing
状態のプライマリ・ファイルシステムを報告した場合、acfsutil
repl
sync
コマンドは、ファイルシステムでレプリケートされるすべてのファイルがスタンバイ・ファイルシステムに送信されたことを保証しません。acfsutil
repl
init
コマンドの実行前にファイルシステムに存在するファイルは、バックグラウンドでスタンバイ・ファイルシステムに送信されます。
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例13-30に、acfsutil
repl
sync
コマンドの使用を示します。
用途
コマンドを実行するサイトで、Oracle ACFSファイルシステムのファイルのすべてのレプリケーション・アクティビティを停止します。
構文および説明
acfsutil
repl
terminate
-h
acfsutil
repl
terminate
primary
mount_point
acfsutil
repl
terminate
standby
[immediate
] mount_point
acfsutil
repl
terminate
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-37に、acfsutil
repl
terminate
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表13-37 acfsutil repl terminateコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
プライマリ・ファイルシステムのレプリケーションを停止します。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムのレプリケーションを停止します。 |
|
スタンバイ・ファイルシステムのレプリケーション処理を即時停止します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
terminate
コマンドは、すべてのレプリケーション処理を停止します。レプリケーションを停止する場合、先にプライマリ・ファイルシステム、次にスタンバイ・ファイルシステムのレプリケーションを停止する必要があります。プライマリ・サイトを停止する前にすべての変更がスタンバイ・ファイルシステムに送信されたことを確認する場合は、すべてのアプリケーションを停止し、acfsutil
repl
sync
コマンドを実行します。ファイルシステムをホストしている両方のサイトが利用可能な場合は、両方のサイトでterminateコマンドを実行する必要があります。
acfsutil
repl
terminate
standby
の実行後は、スタンバイ・ファイルシステムを読取り/書込みモードで使用できます。acfsutil
repl
terminate
がプライマリ・ファイルシステムまたはスタンバイ・ファイルシステムのいずれかで実行された後、acfsutil
repl
init
コマンドを使用して最初からレプリケーションを開始する必要があります。
repl
terminate
standby
コマンドは、スタンバイ・ファイルシステムのレプリケーション・データが適用されるまで待機します。すべてのレプリケーション・データを適用せずにレプリケーションを即時停止する場合は、immediate
オプションを使用します。しかし、このオプションではスタンバイ・ファイルシステムに不確定な状態のファイルが残されることがあります。
Oracle ACFSレプリケーションを一時的に停止するには、acfsutil
repl
pause
コマンド、その後すぐにacfsutil
repl
resume
コマンドを使用できます。
このコマンドを実行するには、システム管理者権限が必要です。
例
例13-31に、acfsutil
repl
terminate
コマンドの使用を示します。
用途
Oracle ACFSファイルシステムのトレース情報の収集のレプリケーション・トレース・レベルを設定します。
構文および説明
acfsutil
repl
trace
-h
acfsutil
repl
trace
level
mount_point
acfsutil
repl
trace
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-39に、acfsutil
repl
trace
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表13-38 acfsutil repl traceコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
トレース・レベル設定(0..6)を指定します。デフォルトのレベルは2です。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
トレース・レベルを上げると、パフォーマンスに影響する場合があるので、Oracleサポート・サービスの推奨に従い実行する必要があります。
Oracle ACFSレプリケーションのトレース・ファイルは次の場所に保存されます。
GRID_HOME/log/host_name/acfsrepl* GRID_HOME/log/host_name/client/acfsutil.log
このコマンドを実行するには、システム管理者またはOracle ASM管理者権限が必要です。
例
例13-32に、acfsutil
repl
trace
コマンドの使用を示します。
用途
レプリケーションがOracle ACFSファイルシステムで実行している間にレプリケーション情報を更新します。
構文および説明
acfsutil
repl
update
-h
acfsutil
repl
update
[-p
primary_connect_string
] [-s
standby_connect_string
] [-z
{on
|off
}]
mount_point
acfsutil
repl
update
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表13-39に、acfsutil
repl
update
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表13-39 acfsutil repl updateコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
プライマリ・ファイルシステムの接続文字列を指定します。接続文字列内のユーザーには |
|
スタンバイ・ファイルシステムの接続文字列を指定します。接続文字列内のユーザーには |
- |
レプリケーション・ログの圧縮をオンまたはオフにします。デフォルトでは圧縮はオフです。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
repl
update
コマンドを実行して、レプリケーションの開始後にレプリケーション情報を更新します。このコマンドは、プライマリ・ファイルシステムをホストしているサイト上でのみ実行できます。プライマリおよびスタンバイ・ファイルシステムの接続文字列は変更できます。
-p
、-s
、および-z
オプションの組合せを指定できますが、少なくとも1つのオプションを指定する必要があります。
レプリケーションの実行中に、-z
オプションを使用して圧縮をオンまたはオフにできます。
このコマンドを実行するには、システム管理者権限が必要です。
例
例13-33に、acfsutil
repl
update
コマンドの使用を示します。