ヘッダーをスキップ
Oracle Application Server Microsoft Officeとの相互運用性開発者ガイド
10gリリース3(10.1.3.1.0)
B31842-01
  目次
目次
索引
索引

戻る
戻る
 
次へ
次へ
 

11 コンテキスト内Web情報へのアクセスとエンタープライズ・ポータルの起動

この章では、Microsoft Officeドキュメントからエンタープライズ・アプリケーションを直接起動する方法を示します。

この章の内容は次のとおりです。

11.1 概要

Microsoft Office 2003 Professionalには、エンタープライズWebアプリケーションを起動するための機能が用意されています。これらの機能により、企業は使い慣れたMicrosoft Officeのユーザー・インタフェースを、ユーザーがより詳細な情報へのアクセスを必要とする場合にコンテキスト内でエンタープライズ・アプリケーションを起動する機能と組み合せることができます。

ユーザーは、使い慣れたユーザー・インタフェースとしてMicrosoft Officeを使用してエンタープライズ情報にアクセスできます。一般ユーザーは、通常はエンタープライズ・ポータルにホスティングされているWebアプリケーションを通じてアクセスされる詳細な情報にアクセスする必要があることに気付く場合があります。Microsoft Office 2003 Professionalには、インターネット・ブラウザを使用してMicrosoft OfficeドキュメントのコンテキストからWebアプリケーションを起動するための次のようないくつかのオプションが用意されています。

11.2 前提条件

この章で概説する手順を実行するには、次のソフトウェアをインストールする必要があります。

11.3 手順

この章では、Microsoft Officeスマート・ドキュメントでエンタープライズ・ポータルを起動できるようにする方法に関する次の例を示します。

これらの例は、Union Loan Companyによって使用されるカスタムの人事エンタープライズ・アプリケーションに基づいています。このアプリケーションは、人事部や管理職社員によって使用されます。Microsoft Word 2003 Professionalアプリケーションを通じて、エンタープライズ・データのサブセット(第5章「Microsoft Officeによるフォームの作成およびデータ入力」で説明したスマート・ドキュメントなど)を取得します。ビジネス・タスクを実行するために、データがさらに必要になる場合があります。このため、Union Loan Companyポータルにホスティングされている人事エンタープライズ・アプリケーションを起動する機能をMicrosoft Wordスマート・ドキュメントに追加する必要があります。

11.3.1 エンタープライズ・ポータルを起動するための静的ハイパーリンクの埋込み

Microsoft Officeテンプレートにブラウザ起動を追加する最も単純で直接的な方法は、静的ハイパーリンク(URL)の提供です。マウス・ポインタをドキュメントのハイパーリンク上に移動すると、Microsoft Officeによりポップアップ・ウィンドウが表示されます。このポップアップ・ウィンドウで、[Ctrl]キーを押しながらリンクをクリックするとブラウザが開き、指定したアドレスに移動することが示されます。開かれるブラウザは、オペレーティング・システムで定義されているデフォルトのシステム・ブラウザです。静的ハイパーリンクを使用するこのポータル起動アプローチの1つの制限は、URLに文字列の一部として含めることができるのが静的パラメータのみであること、つまりハイパーリンクの宛先が固定されていることです。ただし、企業全体のポータルの多くでは、この制限は問題になりません。

Microsoft Officeスマート・ドキュメントにハイパーリンクを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Microsoft Wordを起動します。

  2. 第5章「Microsoft Officeによるフォームの作成およびデータ入力」で作成したテンプレート(Employee Information.dot)を開きます。


    ヒント:

    このテンプレートを作成していない場合は、11.2項「前提条件」でダウンロードしたテンプレートを使用します。

  3. 必要に応じて、「Tools」メニューから「Unprotect Document」を選択し、プロンプトが表示されたら適切なパスワードを入力します。


    注意:

    ドキュメントが保護されている場合は、ドキュメントの編集を試行する前に保護を解除する必要があります。そうしないと、編集で予期しない結果が発生する可能性があります。

  4. テンプレートの一番下にカーソルを置きます。

  5. 次のテキストを入力してハイパーリンクを導入します。

    For more details, go to the

  6. 「Insert」メニューで、「Hyperlink」を選択します。

  7. 「Text to display」フィールドに、Employee Portalと入力します。このテキストは、テンプレートに青い下線付きのフォントで表示されます。このテキストは、ユーザーがポータルを起動するためにクリックするテキストです。

  8. 「Address」フィールドに、起動するポータルのURLを入力します。この例では11.2項「前提条件」でインストールしたページを選択する必要がありますが、これは任意のURLにすることができます。

  9. 「OK」をクリックします。

  10. テンプレートを保存して閉じます。

  11. Windowsエクスプローラで、テンプレートをダブルクリックしてテンプレートに基づくドキュメントを作成します。

  12. マウス・ポインタをハイパーリンク上に移動します。

    図11-1に示すように、[Ctrl]キーを押しながらURLをクリックできることを示すポップアップが表示されます。

    図11-1 Employee Portalを起動するハイパーリンクのあるスマート・ドキュメント

    図11-1の説明が続きます
    「図11-1 Employee Portalを起動するハイパーリンクのあるスマート・ドキュメント」の説明

11.3.2 エンタープライズ・ポータルを起動するためのVBAコードの使用方法

エンタープライズ・ポータルを起動する別の方法として、VBAコードを作成する方法があります。このコードは、テンプレート・ドキュメントまたは作業ウィンドウにあるボタンで開始できます。このアプローチの1つの利点は、URLをプログラムで構造化し、URLにパラメータを追加できることです。このパラメータは、ドキュメント内のフォーム・フィールドなどのデータから導出できます。

Microsoft Officeスマート・ドキュメントにポータルを起動するボタンを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Microsoft Wordを起動します。

  2. 第5章「Microsoft Officeによるフォームの作成およびデータ入力」で作成したテンプレート(Employee Information.dot)を開きます。


    ヒント:

    このテンプレートを作成していない場合は、11.2項「前提条件」でダウンロードしたテンプレートを使用します。

  3. 必要に応じて、「Tools」メニューから「Unprotect Document」を選択し、プロンプトが表示されたら適切なパスワードを入力します。


    注意:

    ドキュメントが保護されている場合は、ドキュメントの編集を試行する前に保護を解除する必要があります。そうしないと、編集で予期しない結果が発生する可能性があります。

  4. テンプレートの一番下にカーソルを置きます。

  5. 「View」メニューの「Toolbars」を選択し、「Control Toolbox」を選択します。

  6. 「Control Toolbox」で、「Command Button」アイコンをクリックします(図11-2を参照)。

    図11-2 「Control Toolbox」の「Command Button」アイコン

    図11-2の説明が続きます
    「図11-2 「Control Toolbox」の「Command Button」アイコン」の説明

  7. 新しいボタンを右クリックし、ショートカット・メニューから「Properties」を選択します。


    ヒント:

    ショートカット・メニューが表示されない場合は、「Control Toolbox」で「Design Mode」アイコンをクリックして、デザイン・モードになっていることを確認します。

  8. 「Caption」フィールドに、Employee Portalと入力します。

  9. 「Properties」ウィンドウを閉じます。

  10. ボタンをサイズ変更してキャプションを表示します。

  11. ボタンをダブルクリックします。これにより、Microsoft Visual Basic Editorが開きます。

  12. 生成されたサブルーチンCommandButton1_Click()を、例11-1に示すコードと置き換えます。

    例11-1 Employee Portalを起動するVBAコード

    Private Declare Function ShellExecute Lib _
                  "shell32.dll" Alias "ShellExecuteA" _
                  (ByVal hwnd As Long, _
                   ByVal lpOperation As String, _
                   ByVal lpFile As String, _
                   ByVal lpParameters As String, _
                   ByVal lpDirectory As String, _
                   ByVal nShowCmd As Long) As Long
    
    Private Const SW_SHOW = 1
    
    Public Sub Navigate(ByVal NavTo As String)
    
      Dim hBrowse As Long
      hBrowse = ShellExecute(0&, "open", NavTo, "", "", SW_SHOW)
    
    End Sub
    
    Private Sub CommandButton1_Click()
    
    Navigate "<URL>"
    
    End Sub
    
    
  13. コードの本文の<URL>を、起動するポータルのURLで置換します。この例では11.2項「前提条件」でダウンロードしたページのURLを使用しますが、これは任意のURLにすることができます。

    C:\OfficeInt\samples\smarttags\unionloan_home.htm
    
    
  14. プロジェクトを保存します。

  15. Microsoft Visual Basic Editorを終了し、Microsoft Wordに戻ります。

  16. テンプレートを保存して閉じます。

  17. Windowsエクスプローラで、テンプレートをダブルクリックしてテンプレートに基づくドキュメントを作成します。

    ドキュメントは、図11-3のようになります。

    図11-3 Employee Portalを起動するボタンのあるスマート・ドキュメント

    図11-3の説明が続きます
    「図11-3 Employee Portalを起動するボタンのあるスマート・ドキュメント」の説明

  18. 「Employee Portal」をクリックします。

    新しいブラウザ・ウィンドウが指定したURLアドレスで開きます。

URLをVisual Basicでプログラム的に作成する場合は、例11-2に示すようなコードを作成できます。

例11-2 URLのプログラムによる作成

Private Sub CommandButton1_Click()
ActiveDocument.Fields(1).Result.Text = "PersonalLoans.htm"
Navigate "file:///C:/OfficeInt/samples/smarttags/" &
 ActiveDocument.Fields(1).Result.Text
End Sub

このコードでは静的文字列からURLが作成され、そのURLに最初のフォーム・フィールドの値が追加されます。この例の目的として、フィールドの値はPersonalLoans.htmに設定されますが、このフィールドはユーザー入力値またはWebサービスから取得した値にすることができます(第5章「Microsoft Officeによるフォームの作成およびデータ入力」を参照)。

11.3.3 エンタープライズ・ポータルを起動するためのスマート・タグの使用方法

エンタープライズ・ポータルを起動する別の方法として、Microsoft Office 2003 Professionalのスマート・タグを使用する方法があります。スマート・タグは、ユーザーが入力するドキュメントをスキャンするレコグナイザです。スマート・タグに対して指定した句(リテラル・テキスト文字列または正規表現)が認識されるたびに、関連付けられているアクション・クラスが起動されます。原則として、新規に開発したスマート・タグは、すべてのドキュメント・テンプレートに使用できますが、適用する必要のあるテンプレートごとに明示的に有効にする必要があります。

新しいスマート・タグを開発するには、通常はVisual Studioを使用して、タグを定義するXMLデプロイメント・ディスクリプタにパッケージ化する必要のあるアクション・クラスを作成します。ただし、Microsoft Office Professionalには、標準タグおよび関連するデフォルト・アクションのセットとしてMicrosoft Office Smart Tag List(MOSTL)も付属しています。MOSTLタグおよびアクションを使用すると、開発プロセスは、MOSTLスキーマに準拠するXMLドキュメントの作成およびMicrosoft Officeインストール・ディレクトリへのそのXMLドキュメントの配置に単純化されます。この宣言的なアプローチには、動的にアクセスできるパラメータに関して特筆すべきいくつかの制限があります。URL起動の標準MOSTLタグは、認識された文字列にのみアクセスでき、ドキュメント内のその他の値(フィールド値など)にはアクセスできません。

スマート・タグに関する追加ドキュメントのある場所は、11.5項「関連ドキュメント」を参照してください。

この項では、事前定義のアクションを使用してWebブラウザを起動する単純なMOSTLタグを作成します。

MOSTLタグを作成するには、次のようにします。

  1. Oracle JDeveloperやMacromedia Dreamweaverなどの標準XMLエディタを起動します。

  2. 例11-3に示すコードを使用して、サンプルXMLドキュメントを作成します。このXMLドキュメントは標準MOSTLスキーマに従っています。

    例11-3 MOSTLスマート・タグのXMLコード

    <FL:smarttaglist xmlns:FL="urn:schemas-microsoft-com:smarttags:list">
      <FL:name>Employee Portal Invocation</FL:name>
      <FL:lcid>1033,0</FL:lcid>
      <FL:description>Invoke the employee portal</FL:description>
      <FL:moreinfourl>http://msdn.microsoft.com/msdnmag</FL:moreinfourl>
      <FL:updateable>false</FL:updateable>
      <FL:autoupdate>false</FL:autoupdate>
      <FL:lastcheckpoint>0</FL:lastcheckpoint>
      <FL:lastupdate>0</FL:lastupdate>
      <FL:updateurl></FL:updateurl>
      <FL:updatefrequency>0</FL:updatefrequency>
      <FL:smarttag type="urn:schemas-microsoft-com:office:smarttags#launch">
        <FL:caption>Launch Employee Portal</FL:caption>
          <FL:re>
            <FL:exp>Employee Portal</FL:exp>
          </FL:re>
        <FL:actions>
          <FL:action id="launch">
            <FL:caption>Launch Employee Portal</FL:caption>         <FL:url>
              file:///C:/OfficeInt/samples/smarttags/unionloan_home.htm
            </FL:url>
          </FL:action>
        </FL:actions>
      </FL:smarttag>
    
    

    このXMLファイルの最初のセクションでは、タグの一般プロパティのセット(場所や、集中的に更新可能かどうかなど)を定義します。<FL:exp>Employee Portal</FL:exp>のセクションではレコグナイザ文字列を定義し、<FL:url>file:///C:/OfficeInt/samples/smarttags/unionloan_home.htm</FL:url>のセクションでは起動する標準のURLアクションを定義します。

  3. ファイルをloan app smart tag.xmlという名前で次のようなスマート・タグのインストール・ディレクトリに保存します。

    C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\Smart Tag\LISTS
    
    

    または、そのフォルダのローカル・サブディレクトリ(1033など)に保存します。

  4. Microsoft Wordを起動します。

  5. 第5章「Microsoft Officeによるフォームの作成およびデータ入力」で作成したテンプレート(Employee Information.dot)を開きます。


    ヒント:

    このテンプレートを作成していない場合は、11.2項「前提条件」でダウンロードしたテンプレートを使用します。

  6. 必要に応じて、「Tools」メニューから「Unprotect Document」を選択し、プロンプトが表示されたら適切なパスワードを入力します。


    注意:

    ドキュメントが保護されている場合は、ドキュメントの編集を試行する前に保護を解除する必要があります。そうしないと、編集で予期しない結果が発生する可能性があります。

  7. テンプレートの一番下にカーソルを置きます。

  8. 次のテキストを入力します。

    For more information, go to the Employee Portal.

  9. テンプレートに対してスマート・タグを有効にするには、次のようにします。

    1. 「Tools」メニューで、「AutoCorrect Options」を選択します。図11-4に示すような「AutoCorrect」ダイアログ・ボックスが表示されます。

    2. 「Smart Tags」タブをクリックします。

    3. 「Launch Employee Portal (Smart tag lists)」オプションを選択します。

    図11-4 スマート・タグの有効化

    図11-4の説明が続きます
    「図11-4 スマート・タグの有効化」の説明

  10. 「OK」をクリックします。

  11. テンプレートを保存して閉じます。

  12. Windowsエクスプローラで、テンプレートをダブルクリックしてテンプレートに基づくドキュメントを作成します。

  13. マウス・ポインタを「Employee Portal」というテキスト上に移動します。

    図11-5に示すようなアイコンが表示されます。

    図11-5 スマート・タグのアイコン

    図11-5の説明が続きます
    「図11-5 スマート・タグのアイコン」の説明

  14. アイコンをクリックして、図11-6に示すようなメニューを表示します。このメニューからブラウザを起動できます。

    図11-6 Employee Portalを起動するスマート・タグのあるスマート・ドキュメント

    図11-6の説明が続きます
    「図11-6 Employee Portalを起動するスマート・タグのあるスマート・ドキュメント」の説明

11.4 トラブルシューティング

次の情報は、潜在的な問題に対処する一連のヒントです。

フォーム入力ドキュメントでのスマート・タグの使用の制限

編集操作がフォーム入力モードのみに制限されているスマート・ドキュメント・テンプレートでスマート・タグを使用できないように見えることがあります。フォーム・フィールドでスマート・タグを実行できるようにするには、このような制限を解除します(「Tools」メニューで「Unprotect Document」を選択し、適切なパスワードを入力します)。この操作は、エンド・ユーザーのフォーム入力のユーザビリティに影響します(たとえば、タブ入力しても空の行がグリッドに追加されないことに注意してください)。

Microsoft Wordでの既存のテンプレートの編集

フォーム・テンプレートを実行するには、最初にパスワードで保護する必要があります(「Tools」メニューの「Protect Document」を選択し、パスワードを指定します)。ドキュメントを実行する場合、定義を編集する前に、ドキュメントの保護を忘れずに解除してください(「Tools」メニューで「Unprotect Document」を選択し、適切なパスワードを入力します)。そうしないと、編集で予期しない結果が発生する可能性があります。

スマート・タグを実行するにはセキュリティ権限が必要

スマート・タグは、セキュリティの点でマクロの1形式と考えられます。セキュリティ・レベルが「High」に設定されている場合は、スマート・タグを実行できないことがあります。スマート・タグは「Medium」のセキュリティ・レベルで実行します(「Tools」メニューの「Macro」を選択し、「Security」を選択します)。

11.5 関連ドキュメント

スマート・タグに関する詳細情報は、Microsoft MSDNサイトにあります。