この節では、DNS のインストール手順と、DNS を Sun Cluster HA for DNS として実行する方法について説明します。
Sun Cluster HA for DNS は、Solaris 8 および 9 オペレーティング環境にバンドルされているインターネットドメインネームサーバーソフトウェア (in.named) を使用します。DNS の設定については、in.named(1M) のマニュアルページを参照してください。Sun Cluster 構成での違いは、次のとおりです。
DNS データベースは、ローカルファイルシステムではなく、クラスタファイルシステムに格納されます。
DNS サーバー名は、物理ホスト名ではなく、ネットワークリソース (再配置可能 IP アドレス) によって指定されます。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
DNS サービスを提供するネットワークリソースを決定します。
この名前は、Sun Cluster ソフトウェアのインストール時に設定した IP アドレス (論理ホスト名または共有アドレス) でなければなりません。ネットワークリソースの詳細は、『Sun Cluster 3.1 の概念』を参照してください。
DNS 実行可能ファイル (in.named) が /usr/sbin ディレクトリにあることを確認します。
DNS 実行可能ファイルは、Solaris 8 および 9 オペレーティング環境にバンドルされており、インストール前は /usr/sbin ディレクトリにあります。
DNS 構成ファイルとデータベースファイルを格納するディレクトリ構造 /global/dns/named をクラスタファイルシステム上に作成します。
クラスタファイルシステムの設定については、『Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール』を参照してください。
# mkdir -p /global/dns/named |
DNS 構成ファイルの named.conf または named.boot を /global/dns/named ディレクトリに配置します。
DNS をすでにインストール済みのばあいは、既存の named.conf または named.boot ファイルを /global/dns/named ディレクトリにコピーできます。インストールされていない場合は、このディレクトリに named.conf ファイルを作成してください。named.conf または named.boot に登録できるエントリの種類については、in.named(1M) のマニュアルページを参照してください。named.conf または named.boot のいずれか 1 つ、または両ファイルが存在している必要があります。
すべての DNS データベースファイル (named.conf ファイルに指定されている) を /global/dns/named ディレクトリ下に配置します。
Sun Cluster HA for DNS のすべてのクライアント上で、/etc/resolv.conf ファイルに DNS サービスのネットワークリソースについてのエントリを作成します。
すべてのノードで、/etc/resolv.conf を編集してネットワークリソースを登録します。たとえば、schost-1.eng.sun.com という論理ホスト名の 4 ノード構成のエントリ (phys-schost-1、phys-schost-2、phys-schost-3、phys-schost-4 ) は次のようになります。
domain eng.sun.com ; schost-1.eng.sun.com (すでにファイルが存在する場合はこのエントリのみ追加) nameserver 192.29.72.90 ; phys-schost-2.eng nameserver 129.146.1.151 ; phys-schost-3.eng nameserver 129.146.1.152 ; phys-schost-4.eng nameserver 129.144.134.19 ; phys-schost-1.eng nameserver 129.144.1.57 |
ドメイン名の直後にネットワークリソースのエントリを作成します。DNS は、resolv.conf ファイルにリストされている順番にアドレスを使用してサーバーへのアクセスを試みます。
/etc/resolv.conf がすでにノード上に存在する場合は、前の例で示したように、論理ホスト名を示す最初のエントリだけを追加してください。DNS がサーバーにアクセスする順番は、このエントリの順になります。
すべてのクラスタノードで、/etc/inet/hosts ファイルを編集し、DNS サービスのネットワークリソースのためのエントリを作成します。
次のように、手順を実行してください。
IPaddress には、129.146.87.53 のように実際に使用する IP アドレスを指定します。
logical-hostname 変数を実際のネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) に置き換えます。
127.0.0.1 localhost IPaddress logical-hostname |
すべてのクラスタノードで、/etc/nsswitch.conf ファイルを編集し、hosts エントリの cluster と files のあとに文字列 dns を追加します。
例:
hosts: cluster files dns |
scswitch(1M) コマンドを実行して次の作業を行います。
リソースと障害の監視を有効にします。
リソースグループを MANAGED 状態にします。
リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g resource-group |
リソースとモニターを有効に設定し、リソースグループを MANAGED 状態にし、オンラインにします。
リソースグループの名前を指定します。
DNS を検証します。
検証を行う前に、in.named を必ず停止してください。次に DNS をテストする例を示します。
# cd /global/dns # /usr/sbin/in.named -c /global/dns/named.conf # nslookup phys-schost-1 # pkill -x /usr/sbin/in.named |
Sun Cluster のインストール時に、すでに Sun Cluster HA for DNS パッケージがインストールされている場合は、Sun Cluster HA for DNS の登録と構成 へ進みます。インストールされていない場合は、Sun Cluster HA for DNS パッケージのインストールへ進みます。