この付録では、標準リソースタイプ、リソースグループ、リソースプロパティについて説明します。また、システム定義プロパティの変更および拡張プロパティの作成に使用するリソースプロパティ属性についても説明します。
この章の内容は次のとおりです。
True や False などのプロパティ値は、大文字と小文字は区別されません。
表 A–1 に、Sun Cluster によって定義されているリソースタイププロパティを示します。プロパティ値は以下のように分類されます。
必須 — Resource Type Registration (RTR) ファイル内に明示的な値を必要とするプロパティです。指定されていない場合は、プロパティが属するオブジェクトを作成できません。ブランクまたは空の文字列を値として指定することはできません。
条件付 — このプロパティが存在するためには、RTR ファイル内で宣言する必要があります。宣言されていない場合は、Resource Group Manager (RGM) はこのプロパティを作成しないため、管理ユーティリィティで利用できません。ブランクまたは空の文字列を値として指定できます。プロパティが RTR ファイル内で宣言されており、値が指定されていない場合には、RGM はデフォルト値を使用します。
条件付/明示 — このプロパティが存在するためには、明示的に値を指定して、RTR ファイル内で宣言する必要があります。宣言されていない場合は、RGM はこのプロパティを作成しないため、管理ユーティリィティで利用できません。ブランクまたは空の文字列を値として指定することはできません。
任意 — プロパティを RTR ファイル内で宣言できます。宣言しない場合は、RGM はこのプロパティを作成し、デフォルト値を使用します。プロパティが RTR ファイル内で宣言されており、値が指定されていない場合は、RGM は、プロパティが RTR ファイル内で宣言されないときのデフォルト値と同じ値を使用します。
リソースタイププロパティは、Installed_nodes を除き、管理ユーティリィティによって更新することができません。Installed_nodes は、RTR ファイル内で宣言できないため、管理者が設定する必要があります。
表 A–1 リソースタイププロパティ
プロパティ名 |
説明 |
---|---|
API_version (整数) |
このリソースタイプの実装によって使用されるリソース管理 API のバージョン。 カテゴリ:オプション デフォルト:2 調整:不可能 |
BOOT (文字列) |
任意のコールバックメソッド。ノード上で RGM が起動するプログラムへのパス。このプログラムは、このタイプのリソースがすでに管理状態にあるときに、クラスタの結合または再結合を行います。このメソッドは、INIT メソッドと同様に、このタイプのリソースの初期化を行う必要があります。 カテゴリ: 条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Failover (ブール値) |
True は、複数のノード上で同時にオンラインになることのできる任意のグループで、このタイプのリソースを構成できないことを示します。 カテゴリ: オプション デフォルト:False 調整:不可能 |
FINI (文字列) |
任意のコールバックメソッド。RGM 管理からこのタイプのリソースを削除するときに RGM が起動するプログラムへのパス。 カテゴリ: 条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
INIT (文字列) |
任意のコールバックメソッド。このタイプのリソースが RGM によって管理されるようになったときに、RGM が起動するプログラムへのパス。 カテゴリ: 条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Init_nodes (列挙) |
RGM が、INIT、FINI、BOOT、VALIDATE メソッドをコールするノードを示します。値には、RG_primaries (リソースをマスターできるノードだけ)、または RT_installed_nodes (リソースタイプがインストールされるすべてのノード) を指定できます。 カテゴリ: オプション デフォルト:RG_primaries 調整:不可能 |
Installed_nodes (文字列配列) |
リソースタイプの実行が許可されるクラスタノード名のリスト。RGM は、自動的にこのプロパティを作成します。クラスタ管理者は値を設定できます。このプロパティは、RTR ファイル内で宣言できません。 カテゴリ: クラスタ管理者は構成可能 デフォルト:すべてのクラスタノード 調整:任意の時点 |
Monitor_check (文字列) |
任意のコールバックメソッド。このタイプのリソースの障害モニターが要求するフェイルオーバーを行う前に、RGM が起動するプログラム。 カテゴリ:条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Monitor_start (文字列) |
任意のコールバックメソッド。このタイプのリソースの障害モニターを起動するために、RGM がアクティブにするプログラムへのパス。 カテゴリ:条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Monitor_stop (文字列) |
Monitor_start が設定されている場合の、必須のコールバックメソッド。このタイプのリソースの障害モニターを停止するために、RGM がアクティブにするプログラムへのパス。 カテゴリ:条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
各クラスタノードの Num_resource_restart (整数) |
このプロパティは RGM によって、このノード内のこのリソースに対して過去 n 秒内に行われた scha_control RESTART コールの数に設定されます。ここで n は、リソースの Retry_interval プロパティの値です。リソースタイプが Retry_interval プロパティを宣言しない場合、そのタイプのリソースに Num_resource_restarts プロパティを使用できません。 |
Pkglist (文字列配列) |
リソースタイプのインストールに含まれている任意のパッケージリスト。 カテゴリ:条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Postnet_stop (文字列) |
任意のコールバックメソッド。このタイプのリソースが依存する任意のネットワークアドレスリソース (Network_resources_used) の STOP メソッドを呼び出したあとで、RGM が起動するプログラムへのパス。ネットワークインタフェースが停止に構成された後に必要な STOP アクションを行う必要があります。 カテゴリ:条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Prenet_start (文字列) |
任意のコールバックメソッド。このタイプのリソースが依存する、任意のネットワークアドレスリソース (Network_resources_used) の START メソッドを呼び出す前に、 RGM が起動するプログラムへのパス。ネットワークインタフェースが起動に構成された後に必要な START アクションを行う必要があります。 カテゴリ:条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
RT_basedir (文字列) |
コールバックメソッドの相対パスを補うために使用するディレクトリパス。このパスは、リソースタイプパッケージのインストール場所に設定します。スラッシュ (/) で開始する完全なパスを指定する必要があります。すべてのメソッドパス名が絶対パスの場合には、指定する必要はありません。 カテゴリ:必須 (絶対パスでないメソッドパスがある場合) デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
RT_description (文字列) |
リソースタイプの簡単な説明。 カテゴリ:条件付 デフォルト:空の文字列 調整:不可能 |
Resource_type (文字列) |
リソースタイプの名前。 現在登録されているリソースタイプの名前を表示するには、次を使用します。 scrgadm —p Sun Cluster 3.1 より、リソースタイプの名前は次の形式になります。 vendor_id.resource_type:version リソースタイプ名の 3 つの構成要素は、RTR ファイルに Vendor_id、Resource_type、および RT_version で指定されているプロパティです。scrgadm コマンドによって、区切り文字のピリオドとコロンが挿入されます。リソースタイプ名の RT_version 接尾辞は、 RT_version プロパティの値と同じになります。 Vendor_id を一意にするには、そのリソースタイプを定義する会社の株式銘柄を使用することを推奨します。 Sun Cluster 3.1 以前に作成されたリソースタイプ名は、引き続き次の形式になります。 vendor_id.resource_type カテゴリ:必須 デフォルト:空の文字列 調整:不可能 |
RT_version (文字列) |
Sun Cluster 3.1 より、このリソースタイプの実装に必須のバージョン。RT_version は、完全リソースタイプ名の接尾語部分になります。 カテゴリ:条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Single_instance (ブール値) |
True の場合は、このタイプのリソースがクラスタ内に 1 つだけ存在できることを指定します。つまり、RGM は、同時に 1 つのこのリソースタイプだけに、クラスタ全体に渡っての実行を許可します。 カテゴリ:オプション デフォルト:False 調整:不可能 |
START (文字列) |
コールバックメソッド。このタイプのリソースを開始するために RGM がアクティブにするプログラムへのパス。 カテゴリ:必須 (RTR ファイルで PRENET_START メソッドが宣言されていない場合) デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
STOP (文字列) |
コールバックメソッド。このタイプのリソースを停止するために RGM がアクティブにするプログラムへのパス。 カテゴリ:必須 (RTR ファイルで POSTNET_STOP メソッドが宣言されていない場合) デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
UPDATE (文字列) |
任意のコールバックメソッド。実行中のこのタイプのリソースのプロパティが変更された場合に、RGM が起動するプログラムへのパス。 カテゴリ:条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
VALIDATE (文字列) |
任意のコールバックメソッド。このタイプのリソースのプロパティ値を検査するために呼び出すプログラムへのパス。 カテゴリ:条件付 / 明示 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Vendor_ID (文字列) |
Resource_type を参照してください。 カテゴリ:条件付 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:なし |
表 A–2 に、Sun Cluster によって定義されているリソースプロパティを示します。この説明は、データサービスの開発者を対象としたものです。特定のデータサービスの詳細は、そのデータサービスのマニュアルページを参照してください。リソースプロパティ値は、以下のように分類されます。
必須 — 管理者は、管理ユーティリィティでリソースを作成するときに、必ず値を指定する必要があります。
任意 — 管理者がリソースグループの作成時に値を指定しない場合、システムがデフォルト値を提供します。
条件付 — プロパティが RTR ファイルで宣言されている場合にのみ、RGM がプロパティを作成します。宣言されていない場合は、プロパティは存在せず、システム管理者はこれを利用できません。RTR ファイルで宣言されている条件付のプロパティは、デフォルト値が RTR ファイル内で指定されているかどうかによって、必須または任意になります。詳細は、各条件付プロパティの説明を参照してください。
照会のみ— 管理ツールから直接設定できません。
表 A–2 は、リソースプロパティの調整が可能であるか、および、いつ調整できるかも示しています。
None または False |
更新不可 |
True または Anytime |
任意の時点 |
At_creation |
リソースをクラスタに追加するとき |
When_disabled |
リソースを無効にするとき |
表 A–2 リソースプロパティ
プロパティ名 |
説明 |
---|---|
Affinity_timeout (整数) |
クライアントがスティッキースケーラブルサービスへのすべての接続を閉じた後、IP 親和性が持続する秒数を制御します。このタイムアウト期間が終了するまで、同じクライアントからの新しい接続要求は同じクラスタノードに転送されます。0 の値は、クライアントとスケーラブルサービス間に接続がある限り、親和性が持続することを意味します。 -1 の値は、クライアントがバインドされているクラスタノードが故障または再起動されるまで、親和性が持続することを意味します。-1 の値は、タイムアウト期間が適用されないことを示します。
このプロパティは、Load_balancing_policy=LB_STICKY または LB_STICKYWILD の値を持つリソースのみに適用されます。 カテゴリ:オプション デフォルト:0 調整: 任意の時点 |
Cheap_probe_ interval (整数) |
リソースの即時障害検証の呼び出しの間隔 (秒数)。このプロパティは、RGM のみが作成でき、RTR ファイル内で宣言されている場合は、管理者は利用できます。 デフォルト値が RTR ファイル内で指定されている場合は、このプロパティは任意です。リソースタイプファイル内で Tunable 属性が指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、When_disabled (無効化にするとき) になります。 Default 属性が RTR ファイルのプロパティ宣言に指定されていない場合は、このプロパティは必須です。 カテゴリ:条件付 デフォルト:上記を参照 調整:無効になっている時 |
拡張プロパティ |
開発者は、クラスタ管理者がデータサービスを Sun Cluster に登録するときに使用するデータサービスの初期構成内でリソースタイププロパティを宣言します。拡張プロパティに設定可能な各属性については、表 A–4 を参照してください。 カテゴリ:条件付 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:特定のプロパティに依存 |
Failover_mode (列挙) |
None、Soft、および Hard に設定可能です。リソースでの START または STOP メソッドの呼び出しの失敗に対して、RGM がリソースグループを再配置するか、またはノードを異常終了させるかを制御します。None は、RGM が単にリソース状態をメソッド失敗に設定し、オペレータの介入を待つことを示します。Soft は、START メソッドが失敗したときに RGM がリソースのグループを別のノードに再配置するか、または、STOP メソッドが失敗したときに、RGM がリソース状態を設定してオペレータの介入を待つことを示します。Hard は、START メソッドが失敗したときに、グループの再配置を行い、STOP メソッドが失敗したときに、クラスタノードを異常終了させて、リソースの強制的な停止を行うことを示します。 カテゴリ:オプション デフォルト:デフォルトは存在しない 調整: 任意の時点 |
Load_balancing_ policy (文字列) |
使用する負荷均衡ポリシーを定義する文字列。このプロパティは、スケーラブルサービスに対してのみ使用します。Scalable プロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、RGM は自動的にこのプロパティを作成します。 Load_balancing_policy は、次の値が設定可能です。 Lb_weighted (デフォルト) Load_balancing_weights プロパティで設定されているウエイトに従って、さまざまなノードに負荷が分散されます。 Lb_stickyスケーラブルサービスの指定のクライアント (クライアントの IP アドレスで識別される) は、常に同じクラスタノードに送信されます。 Lb_sticky_wild指定のクライアント (クライアントの IP アドレスで識別される) はワイルドカードスティッキサービスの IP アドレスに接続され、送信時に使用されるポート番号とは無関係に、常に同じクラスタノードに送信されます。 カテゴリ:条件付/オプション デフォルト:Lb_weighted 調整:作成時 |
Load_balancing_ weights (文字列配列) |
このプロパティは、スケーラブルサービスに対してのみ使用します。Scalable プロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、RGM は自動的にこのプロパティを作成します。形式は、「weight@node,weight@node」になります。ここで、weight は、指定したノード (node) に対する負荷分散の相対的な割り当てを示す整数になります。ノードに分散される負荷の割合は、すべてのウエイトの合計でこのノードのウエイトを割った値になります。たとえば、1@1,3@2 は、ノード 1 に負荷の 1/4 が割り当てられ、ノード 2 に負荷の 3/4 が割り当てられることを意味します。デフォルトの空の文字列 ("") は、一定の分散を指定します。明示的にウエイトを割り当てられていないノードのウエイトは、デフォルトで 1 になります。 Tunable 属性がリソースタイプファイルに指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は Anytime (任意の時点) になります。このプロパティを変更すると、新しい接続時にのみ分散が変更されます。 カテゴリ:条件付/オプション デフォルト:空の文字列 調整: 任意の時点 |
各コールバックメソッド用の method_timeout (整数) |
RGM がメソッドの呼び出しに失敗したと判断するまでの時間 (秒)。 カテゴリ:条件付/オプション デフォルト:メソッド自体が RTR ファイルで宣言されている場合、3,600 (1 時間) です。 調整: 任意の時点 |
Monitored_ switch (列挙) |
クラスタ管理者が管理ユーティリィティを使用してモニターを有効または無効にすると、RGM によって Enabled または Disabled に設定されます。Disabled に設定されると、再び有効に設定されるまで、モニターは START メソッドを呼び出しません。リソースが、モニターのコールバックメソッドを持っていない場合は、このプロパティは存在しません。 カテゴリ:照会のみ デフォルト:有効 調整:不可能 |
Network_ resources_ used (文字列配列) |
リソースが使用する論理ホスト名または共有アドレスネットワークリソースをコンマで区切ったリスト。スケーラブルサービスの場合、このプロパティは別のリソースグループに存在する共有アドレスリソースを参照する必要があります。フェイルオーバーサービスの場合、このプロパティは同じリソースグループに存在する論理ホスト名または共有アドレスを参照します。Scalable プロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、RGM は自動的にこのプロパティを作成します。Scalable が RTR ファイルで宣言されていない場合、Network_resources_used は RTR ファイルで明示的に宣言されていない限り使用できません。 Tunable 属性が RTR ファイルに指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、 At_creation (作成時) になります。 カテゴリ:条件付/必須 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:作成時 |
On_off_switch (列挙) |
クラスタ管理者が管理ユーティリィティを使用してリソースを有効または無効にすると、RGM によって Enabled または Disabled に設定されます。無効に設定されると、再び有効に設定されるまで、リソースはコールバックを呼び出しません。 カテゴリ:照会のみ デフォルト:無効 調整:不可能 |
Port_list (文字列配列) |
サーバーが待機するポート番号をコンマで区切ったリスト。各ポート番号に、そのポートが使用しているプロトコルが追加されます (例:Port_list=80/tcp)。Scalable プロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、RGM は自動的に Port_list を作成します。それ以外の場合、このプロパティは RTR ファイルで明示的に宣言されていない限り使用できません。 Apache 用にこのプロパティを設定する場合は、『Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成』の Apache に関する章を参照してください。 カテゴリ:条件付/必須 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:作成時 |
R_description (文字列) |
リソースの簡単な説明。 カテゴリ:オプション デフォルト:空の文字列 調整: 任意の時点 |
Resource_ dependencies (文字列配列) |
このリソースをオンラインにするために、順にオンラインにする必要のある同じグループ内のリソースをコンマで区切ったリスト。リスト内の任意のリソースの起動に失敗した場合、このリソースは起動されません。グループをオフラインにすると、このリソースを停止してから、リスト内のリソースが停止されます。このリソースが先に無効にならなければ、リスト内のリソースは無効にできません。 カテゴリ:オプション デフォルト:空のリスト 調整: 任意の時点 |
Resource_ dependencies_ weak (文字列配列) |
グループ内のメソッド呼び出しの順序を決定する同じグループ内のリソースのリスト。RGM は、このリスト内のリソースの START メソッドを先に呼び出してから、このリソースの START メソッドを呼び出します。また、停止する場合は、このリソースの STOP メソッドを先に呼び出してから、リスト内のリソースの STOP メソッドを呼び出します。リスト内のリソースが開始に失敗した場合、または無効になっても、リソースはオンラインを維持できます。 カテゴリ:オプション デフォルト:空のリスト 調整: 任意の時点 |
Resource_name (文字列) |
リソースインスタンスの名前。クラスタ構成内で一意にする必要があります。リソースが作成された後で変更はできません。 カテゴリ:必須 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Resource_project_name(文字列) |
リソースと関連付けられる Solaris プロジェクト名。このプロパティを使用して、CPU の共有およびリソースプールなどの Solaris リソース管理機能をクラスタデータサービスに適用します。RGM はリソースをオンラインにすると、このプロジェクト名の下で関連プロセスを起動します。このプロパティが指定されない場合、プロジェクト名には、そのリソースが含まれるリソースグループの RG_project_name プロパティの値が使用されます。どちらのプロパティも指定されない場合、RGM はすでに定義されているプロジェクト名 default を使用します。指定したプロジェクト名は、プロジェクトデータベース内に存在している必要があり (適切な SRM のマニュアルページを参照)、さらにユーザー root が指定プロジェクトのメンバーとして構成されている必要があります。このプロパティは、Solaris 9 以降のリリースでサポートされます。Solaris のプロジェクト名の詳細については、『Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』を参照してください。
カテゴリ:オプション デフォルト:上記を参照 調整:任意の時点 |
各クラスタノードの Resource_state (列挙) |
RGM が判断した各クラスタノード上のリソースの状態。可能な状態は次のとおりです。 ONLINE、OFFLINE、STOP_FAILED、START_FAILED、MONITOR_FAILED、ONLINE_NOT_MONITORED このプロパティは、ユーザーは構成できません。 カテゴリ:照会のみ デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Retry_count (整数) |
リソースの起動に失敗した場合に、モニターが再起動を試みる試行回数。このプロパティは、RGM によってのみ作成され、RTR ファイル内で宣言されている場合は、管理者が利用できます。デフォルト値が RTR ファイルで指定されている場合は、このプロパティは任意です。 リソースタイプファイル内で Tunable 属性が指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、When_disabled (無効化されたとき) になります。 Default 属性が RTR ファイルのプロパティ宣言に指定されていない場合は、このプロパティは必須です。 カテゴリ:条件付 デフォルト:上記を参照 調整:無効になっている時 |
Retry_interval (整数) |
失敗したリソースを再起動する回数をカウントする間隔 (秒)。リソースモニターは、Retry_count と共にこのプロパティを使用します。このプロパティは、RGM のみが作成でき、RTR ファイルで宣言されている場合は、管理者が利用できます。デフォルト値が RTR ファイルで指定されている場合は、このプロパティは任意です。 リソースタイプファイル内で Tunable 属性が指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、When_disabled (無効化にするとき) になります。 Default 属性が RTR ファイルのプロパティ宣言に指定されていない場合は、このプロパティは必須です。 カテゴリ:条件付 デフォルト:上記を参照 調整:無効になっている時 |
Scalable (ブール値) |
リソースがスケーラブルかどうかを示します。このプロパティが RTR ファイルで宣言されている場合は、そのタイプのリソースに対し、RGM は、Network_resources_used、Port_list、Load_balancing_policy、Load_balancing_ weights スケーラブルサービスプロパティを自動的に作成します。これらのプロパティは、RTR ファイルで明示的に宣言されない限り、デフォルト値を持ちます。RTR ファイルで宣言されている場合、Scalable のデフォルトは True です。 このプロパティが RTR ファイルで宣言されている場合、Tunable 属性は、At_creation (作成時) に設定する必要があります。設定しなければ、リソースの生成に失敗します。 このプロパティが RTR ファイルで宣言されていない場合、リソースはスケーラブルにはなりません。また、クラスタ管理者はこのプロパティを調整することができず、RGM はスケーラブルサービスプロパティを設定しません。ただし、必要に応じて、明示的に Network_resources_used および Port_list プロパティを RTR ファイルで宣言できます。これらのプロパティは、スケーラブルサービスだけでなく、非スケーラブルサービスでも有用です。 カテゴリ:オプション デフォルト:上記を参照 調整:作成時 |
各クラスタノードの Status (列挙) |
リソースモニターによって設定されます。指定可能な値は、 OK、degraded、faulted、unknown、および offline です。RGM は、リソースがオンラインになると、値を unknown に設定し、オフラインになると offline に設定します。 カテゴリ:照会のみ デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
各クラスタノードの Status_msg (文字列) |
リソースモニターによって、Status プロパティと同時に設定されます。このプロパティは、各ノードのリソースごとに調整できます。RGM は、リソースがオフラインになると、このプロパティに空の文字列を設定します。 カテゴリ:照会のみ デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Thorough_probe_ interval (整数) |
高オーバーヘッドのリソース障害検証の呼び出し間隔 (秒)。このプロパティは、RGM によって作成され、RTR ファイル内で宣言されている場合は、管理者が利用できます。デフォルト値が RTR ファイルで指定されている場合は、このプロパティは任意です。 リソースタイプファイル内で Tunable 属性が指定されていない場合は、プロパティの Tunable 値は、When_disabled (無効化にするとき) になります。 Default 属性が RTR ファイルのプロパティ宣言に指定されていない場合は、このプロパティは必須です。 カテゴリ:条件付 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:無効になっている時 |
Type (文字列) |
インスタンスのリソースタイプ。 カテゴリ:必須 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
Type_version (文字列) |
現在このリソースに関連付けられているリソースタイプのバージョンを指定します。RGM は自動的にこのプロパティを作成しますが、RTR ファイルで宣言できません。このプロパティの値は、そのリソースタイプの RT_version プロパティと等しくなります。リソースが作成されるとき、Type_version プロパティは明示的に指定されません。ただし、リソースタイプ名の接尾辞として現れる場合があります。リソースを編集するときに、Type_version を新しい値に変更できます。 RT_Version は、データサービスのあるバージョンから別のバージョンにアップグレードするために使用します。 調整については、以下から派生します。
|
Udp_affinity (ブール値) |
TRUE の場合、指定のクライアントからの UDP パケットは、TCP 接続が転送されるのと同じ方法で、同じクラスタサーバーノードに転送されます。クライアントの TCP 接続がサーバーノードに貼り付けられている場合、同様に、そのクライアントの UDP パケットがそのノードに送信されます。FALSE の場合、このような動作は維持されず、指定のクライアントからの UDP パケットは、そのクライアントからの TCP 接続とは別のノード上に届きます。 このプロパティは、Load_balancing_policy=LB_STICKY または LB_STICKYWILD の値を持つリソースのみに適用されます。 カテゴリ:オプション デフォルト:False 調整: 無効になっている時 |
Weak_affinity (ブール値) |
次のような場合で混乱の影響を受ける場合を除き、 スティッキースケーラブルサービスのための IP の親和性を提供します。 (1) 障害モニターの再起動、リソースのフェイルオーバーおよびスイッチオーバーによりサーバーリスナーが起動された場合、またはフェイルオーバー後にノードが再結合された場合。(2) 管理作業により、スケーラブルリソースの load_balancing_weights が変更された場合。メモリー消費およびプロセッササイクルについては、IP 親和性のデフォルト形式にオーバーヘッドの低い代替を提供します。affinity timeout 値は使用しません。上記のような混乱が生じない限りは、Weak_affinity が持続します。 このプロパティは、Load_balancing_policy=LB_STICKY または LB_STICKYWILD の値を持つリソースのみに適用されます。
カテゴリ:オプション デフォルト:False 調整:無効になっている時 |
表 A–3 に、Sun Cluster によって定義されたリソースグループプロパティを示します。
表 A–3 リソースグループプロパティ
プロパティ名 |
説明 |
---|---|
Auto_start_on_new_cluster (ブール型) |
このプロパティは、新しいクラスタが形成されるときに、Resource Group Manager がリソースグループを自動的に起動するかどうかを制御します。 デフォルトは TRUE です。TRUE に設定されている場合、クラスタのすべてのノードが同時に再起動したとき、Resource Group Manager はリソースグループを自動的に起動して、Desired_primaries を実現しようとします。FALSE に設定されている場合、クラスタのすべてのノードが同時に再起動したとき、Resource Group Manager はリソースグループを自動的に起動しません。 カテゴリ:オプション デフォルト:True 調整: 任意の時点 |
Desired_ primaries (整数) |
グループが同時に実行できるノード数として望ましい値。 デフォルトは 1 です。RG_mode プロパティが Failover の場合、このプロパティの値を 1 より大きく設定することはできません。RG_mode プロパティが Scalable の場合は、1 より大きな値を設定できます。 カテゴリ:オプション デフォルト:1 (上記を参照) 調整: 任意の時点 |
Failback (ブール値) |
クラスタメンバーシップが変更されたとき、グループがオンラインになるノードセットを再計算するかどうかを指定するブール値。再計算によって、RGM はグループを優先度の低いノードでオフラインにし、優先度の高いノードでオンラインにします。 カテゴリ:オプション デフォルト:False 調整: 任意の時点 |
Global_ resources_ used (文字列配列) |
クラスタファイルシステムがこのリソースグループで任意のリソースに使用されるかどうかを示します。管理者は、すべての広域リソース (アスタリスク記号 *) または広域リソースなし (空の文字列 "") を指定できます。 カテゴリ:オプション デフォルト:すべての広域リソース 調整: 任意の時点 |
Implicit_ network_ dependencies |
(ブール値)True の場合に、グループ内のネットワークアドレスリソースに対する非ネットワークアドレスリソースの暗黙の強い依存性を RGM が強制することを指定するブール値。つまり、RGM はグループ内のすべてのネットワークアドレスリソースを起動してからほかのすべてのリソースを起動し、ほかのリソースのあとにネットワークアドレスリソースを停止します。ネットワークアドレスリソースには、論理ホスト名と共有アドレスリソースタイプが含まれます。 スケーラブルリソースグループの場合、ネットワークアドレスリソースを含んでいないため、このプロパティは効果がありません。 カテゴリ:オプション デフォルト:True 調整:無効になっている時 |
Maximum_ primaries (整数) |
グループが同時にオンラインになることのできるノードの最大数。 デフォルトは 1 です。RG_mode プロパティが Failover の場合、このプロパティの値を 1 より大きく設定することはできません。RG_mode プロパティが Scalable の場合は、1 より大きな値を設定できます。 カテゴリ:オプション デフォルト:1 (上記を参照) 調整: 任意の時点 |
Nodelist (文字列配列) |
優先順位に従ってグループをオンラインにできるクラスタノードをコンマで区切ったリスト。これらのノードは、リソースグループの潜在的主ノードまたはマスターです。 カテゴリ:オプション デフォルト:すべてのクラスタノードの順不同のリスト 調整: 任意の時点 |
Pathprefix (文字列) |
グループ内のリソースが書き込めるクラスタファイルシステムにあるディレクトリは、重要な管理ファイルを書き込めます。一部のリソースでは、このプロパティは必須です。各リソースグループの Pathprefix は、一意にする必要があります。 カテゴリ:オプション デフォルト:空の文字列 調整: 任意の時点 |
Pingpong_ interval (整数) |
再構成が生じた場合、scha_control giveover コマンドの実行結果、あるいは実行されている機能によって、どのノードでリソースグループをオンラインにするかを判断するときに RGM が使用する負以外の整数値 (秒)。 再構成において、リソースの START または PRENET_START メソッドがゼロ以外の値で終了、またはタイムアウトによって終了したことが原因で、Pingpong_interval で指定した秒数内に、リソースグループをオンラインにするのを 2 回以上失敗した場合、RGM はそのノードはリソースグループのホストとして不適切だと判断し、別のマスターを捜します リソースの scha_control(1ha)(3ha) コマンドまたは機能の呼び出しによって、 Pingpong_interval で指定した秒数内に特定のノード上でリソースグループがオフラインになった場合、別のノードから生じる後続の scha_control 呼び出しの結果、そのノードはリソースグループのホストとして不適切だと判断されます。 カテゴリ:オプション デフォルト:3,600 (1 時間) 調整: 任意の時点 |
Resource_ list (文字列配列) |
グループに含まれるリソースのリスト。管理者はこのプロパティを直接設定しません。このプロパティは、管理者がリソースグループにリソースを追加したり、リソースを削除したときに、RGM によって更新されます。 カテゴリ:照会のみ デフォルト:空のリスト 調整: 不可能 |
RG_ dependencies (文字列配列) |
このグループが依存するリソースグループをコンマで区切ったリスト。このリストは、同じノード上でほかのグループをオンラインまたはオフラインにするための望ましい順序を示します。別のノードでグループをオンラインにする場合は、このリストは無効です。 カテゴリ:オプション デフォルト:空のリスト 調整: 任意の時点 |
RG_ description (文字列) |
リソースグループの簡単な説明。 カテゴリ: オプション デフォルト:空の文字列 調整: 任意の時点 |
RG_mode (列挙) |
リソースグループがフェイルオーバーグループなのか、スケーラブルグループなのかを指定します。このプロパティの値が Failover の場合、RGM はグループの Maximum_primaries プロパティを 1 に設定し、そのリソースグループをマスターするノードを単一のノードに制限します。 このプロパティの値が Scalable の場合、RGM は Maximum_primaries プロパティが 1 より大きい値を持つことを許可し、複数のノードで同時にそのグループをマスターできるようにします。 注:RGM は、RG-mode が Scalable に設定されているリソースグループに、Failover プロパティが True に設定されているリソースを追加することを許可しません。 カテゴリ:オプション デフォルト:Maximum_primaries が 1 の場合 Failover Maximum_primaries が 1 を超える場合 Scalable 調整:不可能 |
RG_name (文字列) |
リソースグループの名前。これは必須プロパティであり、クラスタ内で一意にする必要があります。 カテゴリ:必須 デフォルト:デフォルトは存在しない 調整:不可能 |
RG_project_name |
リソースグループと関連付けられる Solaris プロジェクト名。このプロパティを使用して、CPU の共有およびリソースプールなどの Solaris リソース管理機能をクラスタデータサービスに適用します。RGM によってリソースグループがオンラインになると、Resource_project_name プロパティセットを設定されていない関連プロセスは、リソースのこのプロジェクト名のもとで起動されます。指定したプロジェクト名は、プロジェクトデータベース内に存在している必要があり (適切な SRM のマニュアルページを参照)、さらにユーザー root が指定プロジェクトのメンバーとして構成されている必要があります。このプロパティは、Solaris 9 以降のリリースでサポートされます。Solaris のプロジェクト名の詳細については、『Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』を参照してください。
カテゴリ:オプション デフォルト:Default。上記を参照。 調整:任意の時点 |
各クラスタノードの RG_state(列挙) |
RGM によって Online、Offline、Pending_online、 Pending_offline、Error_stop_failed に設定され、各クラスタノード上のグループの状態を示します。グループが RGM の制御下にない場合は、UNMANAGED 状態で存在できます。 このプロパティは、ユーザーは構成できません。 カテゴリ:照会のみ デフォルト:Offline 調整:不可能 |
表 A–4 に、システム定義プロパティの変更または拡張プロパティの作成に使用できるリソースプロパティの属性を示します。
boolean、enum、int タイプのデフォルト値に、NULL または空の文字列 ("") は指定できません。
属性 |
説明 |
---|---|
Property |
リソースプロパティの名前。 |
Extension |
このプロパティを使用すると、RTR ファイルのエントリで、リソースタイプの実装によって定義された拡張プロパティが宣言されていることを示します。使用されない場合は、そのエントリはシステム定義プロパティです。 |
Description |
プロパティを簡潔に記述した注記 (文字列)。RTR ファイル内でシステム定義プロパティに Description 属性を設定することはできません。 |
プロパティのタイプ |
指定可能なタイプは、string、boolean、int、enum、stringarray です。RTR ファイル内で、システム定義プロパティにタイプ属性を設定することはできません。タイプは、RTR ファイルのエントリに登録できる、指定可能なプロパティ値とタイプ固有の属性を決定します。enum タイプは、文字列値のセットです。 |
Default |
プロパティのデフォルト値を示します。 |
Tunable |
クラスタ管理者が、リソースのプロパティ値をいつ設定できるかを示します。管理者がプロパティを設定できないようにするには、None または False に設定します。管理者にプロパティの調整を許可する属性値は、次のとおりです。True または Anytime (任意の時点)、At_creation (リソースの作成時のみ)、When_disabled (リソースがオフラインのとき)。
デフォルトは、 True (Anytime) です。 |
Enumlist |
enum タイプの場合、プロパティに設定できる文字列値のセット。 |
Min |
int タイプの場合、プロパティに設定できる最小値。 |
Max |
int タイプの場合、プロパティに設定できる最大値。 |
Minlength |
string および stringarray タイプの場合、設定できる文字列の最小長。 |
Maxlength |
string および stringarray タイプの場合、設定できる文字列の最大。 |
Array_minsize |
stringarray タイプの場合、設定できる配列要素の最小数。 |
Array_maxsize |
stringarray タイプの場合、設定できる配列要素の最大数。 |