Sun Cluster 3.1 データサービス開発ガイド

多重ホームホスト

多重ホームホストとは、複数のパブリックネットワーク上にあるホストのことです。このようなホストは複数 (つまり、ネットワークごとに 1 つ) のホスト名/IP アドレスのペアを持ちます。Sun Cluster は、1 つのホストが複数のネットワーク上に存在できるように設計されています。1 つのホストが単一のネットワーク上に存在することも可能ですが、このような場合は「多重ホームホスト」とは呼びません。物理ホスト名が複数のホスト名/IP アドレスのペアを持つように、各リソースグループも複数 (つまり、パブリックネットワークごとに 1 つ) のホスト名/IP アドレスのペアを持ちます。Sun Cluster がリソースグループをある物理ホストから別の物理ホストに移動するとき、そのリソースグループに対するホスト名/IP アドレスのペアもすべて移動します。

リソースグループに対するホスト名/IP アドレスのペアは、リソースグループに含まれる論理ホスト名リソースとして構成されます。このようなネットワークアドレスリソースは、システム管理者がリソースグループを作成および構成するときに指定します。Sun Cluster データサービス API は、このようなホスト名/IP アドレスのペアを照会する機能を持っています。

Solaris 環境用に書かれているほとんどの市販のデータサービスデーモンは、多重ホームホストを適切に処理できます。ネットワーク通信を行うとき、多くのデータサービスは Solaris のワイルドカードアドレス INADDR_ANY にバインドします。すると、INADDR_ANY は、すべてのネットワークインタフェースのすべての IP アドレスを自動的に処理します。INADDR_ANY は、現在マシンに構成されているすべての IP アドレスに効率的にバインドします。一般的に、INADDR_ANY を使用するデータサービスデーモンは、変更しなくても、Sun Cluster 論理ネットワークアドレスを処理できます。