Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)

リソースグループの作成

リソースグループには、一連のリソースが含まれており、これらすべてのリソースは指定のノードまたはノード群で共にオンラインまたはオフラインになります。リソースを配置する前に、空のリソースグループを作成します。

リソースグループには、フェイルオーバースケーラブルの 2 つの種類があります。フェイルオーバーリソースグループの場合、同時にオンラインにできるのは 1 つのノードでのみです。一方、スケーラブルリソースグループの場合は、同時に複数のノードでオンラインにできます。

以下の手順では、scrgadm(1M) コマンドを使用し、データサービスを登録、構成する方法について解説します。

リソースグループに関する概念情報については、「第 1 章「Sun Cluster データサービスの計画」」および『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』マニュアルを参照してください。

フェイルオーバーリソースグループを作成する

フェイルオーバーリソースグループは、ネットワークアドレス (組み込みリソースタイプの LogicalHostnameSharedAddress など) と、フェイルオーバーリソース (フェイルオーバーデータサービスのためのデータサービスアプリケーションリソースなど) を含みます。ネットワークリソースは、データサービスがフェイルオーバーまたはスイッチオーバーする場合に、依存するデータサービスリソースと共に、クラスタノード間を移動します。

追加情報については、scrgadm(1M) のマニュアルページを参照してください。


注 –

この手順は、任意のクラスタノードから実行します。


  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. フェイルオーバーリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g resource-group [-h nodelist]
    -a

    指定したリソースグループを追加します。

    -g resource-group

    追加するフェイルオーバーリソースグループの名前を指定します。任意の名前の先頭文字は ASCII にする必要があります。

    -h nodelist

    このリソースグループをマスターできるノードの順位リストを指定します (省略可能)。このリストを指定しない場合は、デフォルトでクラスタ内のすべてのノードになります。

  3. リソースグループが作成されていることを確認します。


    # scrgadm -pv -g resource-group
    

例 – フェイルオーバーリソースグループの作成

次に、 2 つのノード (phys-schost-1phys-schost-2) でマスターできるフェイルオーバーリソースグループ (resource-group-1) を追加する例を示します。


# scrgadm -a -g resource-group-1 -h phys-schost1,phys-schost-2
# scrgadm -pv -g resource-group-1
リソースグループ 名前:                                         resource-group-1
  (resource-group-1) リソースグループ RG_description:         <NULL>
  (resource-group-1) リソースグループ management state:       Unmanaged
  (resource-group-1) リソースグループ Failback:               False
  (resource-group-1) リソースグループ Nodelist:               phys-schost-1 
                                                           phys-schost-2
  (resource-group-1) リソースグループ Maximum_primaries:      1
  (resource-group-1) リソースグループ Desired_primaries:      1
  (resource-group-1) リソースグループ RG_dependencies:        <NULL>
  (resource-group-1) リソースグループ mode:                   Failover
  (resource-group-1) リソースグループ network dependencies:   True
  (resource-group-1) リソースグループ Global_resources_used:  All
  (resource-group-1) リソースグループ Pathprefix:

次に進む手順

フェイルオーバーリソースグループを作成した後で、そのリソースグループにアプリケーションリソースを追加できます。手順については、「リソースグループへのリソースの追加」を参照してください。

スケーラブルリソースグループを作成する

スケーラブルリソースグループは、スケーラブルサービスと共に使用されます。共有アドレス機能は、スケーラブルサービスの多数のインスタンスを 1 つのサービスとして扱える Sun Cluster のネットワーキング機能です。まず、スケーラブルリソースが依存する共有アドレスを含むフェイルオーバーリソースグループを作成しなければなりません。次にスケーラブルリソースグループを作成し、そのグループにスケーラブルリソースを追加します。

追加情報については、scrgadm(1M) のマニュアルページを参照してください。


注 –

この手順は、任意のクラスタノードから実行します。


  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. スケーラブルリソースが使用する共有アドレスを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。

  3. スケーラブルリソースグループを作成します。


    # scrgadm -a -g resource-group \
    -y Maximum_primaries=m \
    -y Desired_primaries=n \
    -y RG_dependencies=depend-resource-group \
    [-h nodelist]
    -a

    スケーラブルリソースグループを追加します。

    -g resource-group

    追加するスケーラブルリソースグループの名前を指定します。

    -y Maximum_primaries =m

    このリソースグループのアクティブな主ノードの最大数を指定します。

    -y Desired_primaries =n

    リソースグループが起動するアクティブな主ノードの数を指定します。

    -y RG_dependencies [ ] =depend-resource-group

    作成されるリソースグループが依存する共有アドレスリソースを含むリソースグループを指定します。

    -h nodelist

    リソースグループを利用できるノードのリストを指定します (省略可能)。このリストを指定しない場合は、デフォルトですべてのノードになります。

  4. スケーラブルリソースグループが作成されていることを確認します。


    # scrgadm -pv -g resource-group
    

例 – スケーラブルリソースグループの作成

次に、2 つのノード (phys-schost-1phys-schost-2) でホストされるスケーラブルリソースグループ (resource-group-1) を追加する例を示します。スケーラブルリソースグループは、共有アドレスを含むフェイルオーバーリソースグループ (resource-group-2) に依存します。


# scrgadm -a -g resource-group-1 \
-y Maximum_primaries=2 \
-y Desired_primaries=2 \
-y RG_dependencies=resource-group-2 \
-h phys-schost-1,phys-schost-2
# scrgadm -pv -g resource-group-1
リソースグループ 名前:                                          resource-group-1
  (resource-group-1) リソースグループ RG_description:           <NULL>
  (resource-group-1) リソースグループ management state:         Unmanaged
  (resource-group-1) リソースグループ Failback:                 False
  (resource-group-1) リソースグループ Nodelist:                 phys-schost-1
                                                         phys-schost-2
  (resource-group-1) リソースグループ Maximum_primaries:        2
  (resource-group-1) リソースグループ Desired_primaries:        2
  (resource-group-1) リソースグループ RG_dependencies:          resource-group-2
  (resource-group-1) リソースグループ mode:                     Scalable
  (resource-group-1) リソースグループ network dependencies:     True
  (resource-group-1) リソースグループ Global_resources_used:    All
  (resource-group-1) リソースグループ Pathprefix:

次に進む手順

スケーラブルリソースグループを作成したあと、そのリソースグループにスケーラブルアプリケーションリソースを追加できます。詳細は、「スケーラブルアプリケーションリソースをリソースグループに追加する」を参照してください。