リソースグループのプロパティ

この節では、Sun Cluster で定義されているリソースグループプロパティについて説明します。プロパティ値は、次のように分類されます (「カテゴリ」の後)。

• 必須 — 管理者は、管理ユーティリィティでリソースグループを作成するときに、必ず値を指定する必要があります。

• 任意 — 管理者がリソースグループの作成時に値を指定しない場合、システムがデフォルト値を提供します。

• 照会のみ– 管理ツールから直接設定できません。

各説明は、そのプロパティが初期設定後に更新できる (はい) か更新できない (いいえ) かを示してい ます。

最初にプロパティ名が表示され、次に説明が表示されます。

Auto_start_on_new_cluster ( boolean)

このプロパティを使用すると、新しいクラスタを形成するとき、Resource Group の自動起動を無効にすることができます。

TRUE の場合、クラスタが再起動するとき、Resource Group Manager はリソースグループを自動的に起動して、Desired_primaries を有効にしようと試みます。FALSE に設定されている場合、クラスタのすべてのノードが同時に再起動したとき、Resource Group Manager はリソースグループを自動的に起動しません。

カテゴリ:

オプション

初期値:

TRUE

調整:

Yes

Desired_primaries (integer )

グループが同時にオンラインになることができるノードの数。

RG_mode プロパティが Failover の場合、このプロパティの値を1 より大きく設定することはできません。RG_mode プロパティが Scalable の場合は、1 より大きな値を設定できます。

カテゴリ:

オプション

初期値:

1

調整:

Yes

Failback (boolean)

クラスタのメンバーシップが変更されたとき、グループがオンラインになっているノードセットを再計算するかどうかを示すブール値です。再計算により、RGM は優先度の低いノードをオフラインにし、優先度の高いノードをオンラインにすることができます。

カテゴリ:

オプション

初期値:

FALSE

調整:

Yes

Global_resources_used (string_array )

クラスタファイルシステムがこのリソースグループ内のリソースによって使用されるかどうかを指定します。管理者はアスタリスク (*) か空文字列 (“”) を指定できます。すべてのグローバルリソースを指定するときはアスタリスク、グローバルリソースを一切指定しない場合は空文字列を指定します。

カテゴリ:

オプション

初期値:

すべてのグローバルリソース

調整:

Yes

Implicit_network_dependencies ( boolean)

TRUE の場合、 RGM は、グループ内のネットワークアドレスリソースで非ネットワークアドレスリソースに対する強い依存を強制します。ネットワークアドレスリソースには、論理ホスト名と共有アドレスリソース型があります。

スケーラブルリソースグループの場合、ネットワークアドレスリソースを含んでいないため、このプロパティは効果がありません。

カテゴリ:

オプション

初期値:

TRUE

調整:

Yes

Maximum_primaries (integer )

グループを同時にオンラインにできるノードの最大数です。

RG_mode プロパティが Failover の場合、このプロパティの値を1 より大きく設定することはできません。RG_mode プロパティが Scalable の場合は、1 より大きな値を設定できます。

カテゴリ:

オプション

初期値:

1

調整:

Yes

Nodelist (string_array)

優先順位に従ってグループをオンラインにできるクラスタノードのリスト。これらのノードは、リソースグループの潜在的主ノードまたはマスターです。

カテゴリ:

オプション

初期値:

すべてのクラスタノードのリスト。

調整:

Yes

Pathprefix (string)

リソースグループ内のリソースが重要な管理ファイルを書き込むことができるクラスタファイルシステム内のディレクトリ。一部のリソースの必須プロパティです。Pathprefix の値はリソースグループごとに固有の値を指定します。

カテゴリ:

オプション

初期値:

空の文字列

調整:

Yes

Pingpong_interval (integer )

RGM がリソースグループをオンラインにする場所を決定するときに使用する負でない整数値 (秒)。このプロパティが必要になる条件は次のとおりです。

• 再構成が発生している場合。

• scha_control -O GIVEOVER コマンドまたは scha_control() 関数に SCHA_GIVEOVER 引数を指定して実行します。

再構成が発生したときに、Pingpong_interval で指定した秒数内に特定のノード上で複数回、リソースグループがオンラインになれなかった場合、 そのノードはリソースグループのホストとしては不適切だと判断され、RGM は別のマスターを探します。リソースグループがオンラインになれない原因は、 Start メソッドまたは Prenet_start メソッドがゼロ以外で終了したか、タイムアウトしたかのどちらかです。

リソースの scha_control コマンドまたは関数の呼び出しによって、 Pingpong_interval で指定した秒数内に特定のノード上でリソースグループがオフラインになった場合、別のノードから生じる後続の scha_control() 呼び出しの結果、そのノードはリソースグループのホストとして不適切だと判断されます。

カテゴリ:

オプション

初期値:

3,600 (1 時間)

調整:

Yes

Resource_list (string_array )

グループに含まれるリソースのリスト。管理者はこのプロパティを直接設定しません。このプロパティは、管理者がリソースグループにリソースを追加したり、リソースを削除したときに、RGM によって更新されます。

カテゴリ:

照会のみ

初期値:

デフォルトなし

調整:

いいえ

RG_affinities (string)

RGM は、別のリソースグループの現在のマスターであるノードにリソースグループを配置するか (肯定的なアフィニティの場合)、あるいは、別のリソースグループの現在のマスターでないノード上にリソースグループを配置するか (否定的なアフィニティの場合) しようとします。

RG_affinities には、次の文字列を設定できます。

• ++ (強い肯定的なアフィニティ)

• + (弱い肯定的なアフィニティ)

• - (弱い否定的なアフィニティ)

• -- (強い否定的なアフィニティ)

• +++ (フェイルオーバー委託付きの強い肯定的なアフィニティ)

たとえば、RG_affinities=+RG2,--RG3 は、このリソースグループが RG2 に対しては弱い肯定的なアフィニティを持っており、RG3 に対しては強い否定的なアフィニティを持っていることを示します。

RG_affinities の使用方法については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris 編)』の「Administering Data Service Resources」を参照してください。

カテゴリ:

オプション

初期値:

空の文字列

調整:

Yes

RG_dependencies (string_array )

同じノード上の別のグループをオンライン/オフラインにするときの優先順位を示すリソースグループのリスト (任意)。すべての強い RG_affinities (肯定的と否定的) と RG_dependencies が一緒のグラフはサイクルを含むことが許されません。

たとえば、リソースグループ RG2 がリソースグループ RG1 の RG_dependencies リスト内に含まれると仮定します。言い換えると、RG1 が RG2 にリソースグループ依存関係を持っていると仮定します。次のリストに、このリソースグループ依存関係の効果を要約します。

• あるノードがクラスタに参加するとき、RG2 内のリソース上でそのノード上のすべての Boot メソッドが完了するまで、RG1 内のリソース上でそのノード上の Boot メソッドは動作しません。

• RG1 と RG2 が両方とも同じノード上で同時に Pending_online 状態である場合、RG2 内のすべてのリソースが自分の開始メソッドを完了するまで、RG1 内のどのリソースも自分の開始メソッド (Prenet_start または Start) を実行できません。

• RG1 と RG2 が両方とも同じノード上で同時に Pending_offline 状態である場合、RG2 内のすべてのリソースが自分の停止メソッドを完了するまで、RG1 内のどのリソースも自分の停止メソッド (Stop または Postnet_stop) を実行できません。

• プライマリを切り替えたとき、任意のノード上で RG1 がオンラインのままになり、すべてのノード上で RG2 がオフラインになった場合、RG1 または RG2 のプライマリの切り替えは失敗します。詳細については、scswitch(1M) と scsetup(1M) を参照してください。

• RG2 上で Desired_primaries プロパティをゼロに設定した場合、RG1 上で Desired_primaries プロパティをゼロより大きな値に設定することは許可されません。

• RG2 上で Auto_start_on_new_cluster プロパティを FALSE に設定した場合、RG1 上で Auto_start_on_new_cluster プロパティを TRUE に設定することは許可されません。

カテゴリ:

オプション

初期値:

空のリスト

調整:

Yes

RG_description (string)

リソースグループの簡単な説明。

カテゴリ:

オプション

初期値:

空の文字列

調整:

Yes

RG_is_frozen (boolean)

あるリソースグループが依存している大域デバイスをスイッチオーバーするかどうかを表します。このプロパティが TRUE に設定された場合、大域デバイスはスイッチオーバーされます。このプロパティが FALSE に設定された場合、どの大域デバイスもスイッチオーバーされません。リソースグループが大域デバイスに依存するかどうかは、Global_resources_used プロパティの設定によります。

ユーザーは RG_is_frozen プロパティを直接設定できません。RG_is_frozen プロパティは、大域デバイスのステータスが変わったときに、RGM によって更新されます。

カテゴリ:

オプション

初期値:

デフォルトなし

調整:

いいえ

RG_mode (列挙型)

リソースグループがフェイルオーバーグループかスケーラブルグループかを指定します。値が Failover の場合、RGM はグループの Maximum_primaries プロパティの値を 1 に設定し、リソースグループのマスターを単一のノードに制限します。

このプロパティの値が Scalable の場合、RGM は Maximum_primaries プロパティに 1 より大きい値を設定することを許可します。結果として、グループを複数のノードで同時にマスターできます。Failover プロパティの値が TRUE のリソースを、RG_mode の値が Scalable のリソースグループに追加することはできません。

Maximum_primaries が 1 の場合、デフォルトは Failover です。Maximum_primaries が 1 より大きい場合、デフォルトは Scalable です。

カテゴリ:

オプション

初期値:

Maximum_primaries の値に依存。

調整:

いいえ

RG_name (string)

リソースグループの名前。この名前は、クラスタ内で一意である必要があります。

カテゴリ:

必須

初期値:

デフォルトなし

調整:

いいえ

RG_project_name (string)

リソースグループに関連付けられた Solaris プロジェクト名。このプロパティは、CPU の共有、クラスタデータサービスのリソースプールといった Solaris のリソース管理機能に適用できます。RGM は、リソースグループをオンラインにするとき、Resource_project_name プロパティセットを持たないリソースに対して、このプロジェクトで関連付けられたプロセスを起動します。プロジェクトデータベース内に存在するプロジェクト名を指定する必要があります。また、root ユーザーは、このプロジェクトのメンバーとして構成されている必要があります。

このプロパティは、Solaris 9 以降のバージョンでのみサポートされます。

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注 –

このプロパティの変更は、このリソースが次回起動されるときに有効になります。

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カテゴリ:

オプション

初期値:

テキスト文字列 “default”。

調整:

ANYTIME

各クラスタ上の RG_state ( enum)

RGM によって各クラスタノード上のグループの状態を表す値に設定されます。設定される値は、Unmanaged 、Online、Offline、Pending_online、Pending_offline、Pending_online_blocked、Error_stop_failed、Online_faulted、または Pending_online_blocked です。

ユーザーはこのプロパティを構成できません。しかし、scswitch(1M) を呼び出すことによって 、あるいは同等の scsetup(1M) か SunPlex Manager コマンドを使用して、このプロパティを間接的に設定することは可能です。

カテゴリ:

照会のみ

初期値:

デフォルトなし

調整:

いいえ

RG_system (boolean)

リソースグループの RG_system プロパティの値が TRUE の場合、そのリソースグループとそのリソースグループ内のリソースに関する特定の操作が制限されます。この制限は、重要なリソースグループやリソースを間違って変更または削除してしまうことを防ぐためにあります。このプロパティの影響を受けるのは、scrgadm(1M) コマンドと scswitch(1M) コマンドだけです。scha_control(1HA) コマンドと scha_control(3HA) コマンドの動作には影響ありません。

リソースグループ (またはリソースグループ内のリソース) の制限操作を実行する前には、まず、リソースグループの RG_system プロパティをFALSE に設定する必要があります。クラスタサービスをサポートするリソースグループ (または、リソースグループ内のリソース) を変更または削除するときには注意してください。

RG_system が TRUE に設定されているリソースグループのことを「システムリソースグループ」と呼びます。RG_system の現在の値に関わらず、 RG_system プロパティ自身を編集することは制限されません。これらの制限の詳細については、rg_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

カテゴリ:

オプション

初期値:

FALSE

調整:

Yes