Sun Cluster Data Service for Sun Grid Engine ガイド (Solaris OS 版)

Sun Cluster HA for Sun Grid Engine のインストールと構成に関する計画

ここでは、Sun Cluster HA for Sun Grid Engine のインストールと構成の計画について説明します。


注 –

次に進む前に、使用する Sun Grid Engine のマニュアルを参照して、構成の制約や要件 (Sun Cluster ソフトウェアによる制約や要件以外のもの) がないか調べてください。


構成に関する制限事項

以降の項で説明する構成の制限は Sun Cluster HA for Sun Grid Engine だけに適用されます。


注意 – 注意 –

これらの制限事項を守らないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。


Sun Grid Engine シャドウデーモン

Sun Grid Engine シャドウデーモンは使用しないでください。Sun Grid Engine シャドウデーモンは、障害から回復するためのオプション機構を提供します。この機構は、Sun Cluster が提供する自動障害回復と干渉します。

「ブート時に起動」オプション

Sun Grid Engine をインストールするときには、「ブート時に起動」オプションを選択しないでください。Sun Cluster HA for Sun Grid Engine が障害監視と自動障害回復を確実に提供できるようにするには、Sun Grid Engine を Sun Cluster だけから起動する必要があります。

構成に関する要件

ここで説明する構成の制約は Sun Cluster HA for Sun Grid Engine だけに適用されます。


注意 – 注意 –

これらの要件を満たしていないデータサービス構成は、サポートされない場合があります。


Sun Grid Engine ソフトウェアのバージョン要件

Sun Grid Engine バージョン 5.3 を使用します。

Sun Grid Engine 管理層のオペレーティングシステム

Sun Grid Engine 管理層は Sun Cluster ノードで実行する必要があります。Sun Cluster が動作するのは Solaris オペレーティングシステムだけであるため、Sun Grid Engine 管理層も Solaris オペレーティングシステムで実行する必要があります。しかし、Sun Grid Engine はほかのオペレーティングシステムもサポートします。したがって、この要件は管理層だけに適用され、グリッド内にある個々の実行ノードには適用されません。

メモリー要件

Sun Grid Engine マスターを実行しようと計画しているクラスタノードで十分な空きメモリーが利用できることを確認します。

各クラスタノードに必要な空きメモリー量は、グリッドで動作しているジョブの数によって変わります。次に例を示します。

必要なディスク容量

Sun Grid Engine ファイルシステムと各ノードのローカルディスクに十分なディスク容量があることを確認します。

次の表に、Sun Grid Engine ファイルシステムのファイルまたはディレクトリの種類ごとに必要なディスク容量要件を示します。

ファイルの種類またはディレクトリの種類 

必要なディスク容量 

バイナリファイル 

アーキテクチャーごとに 15M バイト 

スプールディレクトリ 

30M バイトから 200M バイト 

インストール tar ファイル 

40M バイト 

各ノードのローカルディスクには、10M〜20M バイトのディスク容量が必要です。Sun Grid Engine ソフトウェアをノードのローカルディスクにインストールしている場合、そのバイナリファイル用に、さらに 15M バイトのディスク容量が必要です。

Sun Cluster HA for Sun Grid Engine の構成要件

Sun Cluster HA for Sun Grid Engine は、フェイルオーバーデータサービスとして構成する必要があります。Sun Cluster HA for Sun Grid Engine をスケーラブルデータサービスとして構成することはできません。詳細については、以下を参照してください。

Sun Grid Engine ファイルシステム用の NFS 構成

Sun Grid Engine ファイルシステムは、多重ホストディスクに存在する必要があります。このディスクは、Sun Grid Engine 管理サービスとして使用される、ほかのクラスタノードにも利用できる必要があります。

Sun Grid Engine ファイルシステムをクラスタ以外のノードにエクスポートするには、NFS を使用する必要があります。このファイルシステムをエクスポートする NFS サーバーも障害から保護する必要があります。NFS サーバーを障害から保護するには、Sun Cluster HA for NFS データサービスを使用します。このデータサービスについての詳細は、Sun Cluster Data Service for Network File System (NFS) ガイド (Solaris OS 版)を参照してください。

Sun Cluster HA for NFS の構成要件

同じリソースグループ内にある Sun Grid Engine 管理層のリソースを NFS 用のリソースとして構成します。詳細は、「Sun Cluster HA for Sun Grid Engine で使用するための Sun Cluster HA for NFS の構成」を参照してください。

Sun Grid Engine コンポーネント間の依存関係

次の表に、Sun Grid Engine コンポーネント間の依存関係を示します。

表 1–3 Sun Grid Engine コンポーネント間の依存関係

Sun Grid Engine コンポーネント 

依存関係 

Sun Grid Engine 通信デーモン (sge_commd)

SUNW.HAStoragePlus リソース

Sun Grid Engine 待ち行列マスターデーモン (sge_qmaster)

Sun Grid Engine 通信デーモン (sge_commd) のリソース

Sun Grid Engine スケジューリングデーモン (sge_schedd)

Sun Grid Engine 待ち行列マスターデーモン (sge_qmaster) のリソース

これらの依存関係は、Sun Cluster HA for Sun Grid Engine を登録および構成するときに設定されます。詳細は、「Sun Cluster HA for Sun Grid Engine の登録と構成」を参照してください。

構成上の考慮事項

Sun Cluster HA for Sun Grid Engine のインストールと構成では、構成に関する以下の点を考慮する必要があります。

Sun Grid Engine バイナリファイルの場所

Sun Grid Engine をインストールできる場所は、次のうちの 1 つです。

Sun Grid Engine バイナリファイルを高可用性ローカルファイルシステムまたはクラスタファイルシステムにインストールする場合の利点と欠点については、 Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「Sun Cluster データサービスの構成ガイドライン」を参照してください。


ヒント –

ファイルシステムの種類をマウントポイントから識別できるようにするには、ファイルシステムの種類を示す接頭辞を次のように使用します。


スプールディレクトリとバイナリファイル用のファイルシステム

スプールディレクトリとバイナリファイルをファイルシステムに適切に分散できるかどうかは、グリッドの構成によって変わります。次の表を参照してください。

グリッドの構成 

ファイルシステムの構成 

実行層に含まれるホストは 200 台未満です。 

スプールディレクトリとバイナリファイル用に、Sun Grid Engine ファイルシステムのルートの下にある単一の共有 NFS ファイルシステムを使用します。 

実行層に含まれるホストが約 200 台であるか、アプリケーションがディスクに頻繁にアクセスします。 

スプールディレクトリ用に、NFS ファイルシステムにある別の領域を使用します。 

実行層に含まれるホストが 200 台を超えているか、NFS の性能に問題があります。 

代替のグリッド構成については、Sun Grid Engine のマニュアルを参照してください。 

構成計画に関する質問

Sun Cluster HA for Sun Grid Engine のインストールと構成を計画するときには、この項の質問を使用します。これらの質問の回答を、Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「構成ワークシート」にあるデータサービスワークシートに書き込みます。