この章では、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成の方法について説明します。
この章では、次の手順について説明します。
「Web Start プログラムを使用して Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールする」
「scinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールする」
「フェイルオーバーデータサービスとして Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server を登録して構成する」
この節では、BEA WebLogic Server アプリケーションの高可用性を実現する方法について説明します。
BEA WebLogic Server は、Sun Cluster システム上で稼動することで、分散型の異種混合アプリケーション環境を対象にした基幹系の E コマースアプリケーションの開発と配備を行う高可用プラットフォームとして機能します。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server は、BEA WebLogic Server アプリケーションを対象として、障害監視機能を提供するとともに高可用性を実現します。高可用性が確立されるのは、WebLogic Administration Server と WebLogic Managed Server です。Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server がサポートするのはクラスタ化されていない BEA WebLogic Server だけであるため、フェイルオーバーまたは再起動時にクライアントセッションが失われる可能性があります。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server は、スタンドアロンの WebLogic Server インスタンス (WebLogic Server クラスタリングを使用していないインスタンス) の高可用性を実現します。
フェイルオーバーサービスについての概念的な情報については、『 Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。
表 1–1 BEA WebLogic Server コンポーネントの保護
BEA WebLogic Server コンポーネント |
▼コンポーネントを保護するデータサービス |
---|---|
BEA WebLogic Server |
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server リソースタイプは SUNW.wls |
BEA WebLogic Server データベース |
BEA WebLogic Server によってサポートされるすべてのデータベースと、Sun Cluster 上でサポートされるすべてのデータベース |
HTTP サーバー |
BEA WebLogic Server によってサポートされるすべての HTTP サーバーと、Sun Cluster 上でサポートされるすべての HTTP サーバー |
表 1–2 に、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成に必要となる作業を示します。指定された順番どおりに、各作業を行ってください。
表 1–2 Task Map:Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成
タスク |
参照先 |
---|---|
BEA WebLogic Server のインストールについて計画を立てる | |
ノードとディスクを準備する | |
BEA WebLogic Server のインストールと構成を行う | |
BEA WebLogic Server のインストールと構成を確認する | |
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールする |
「Web Start プログラムを使用して Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールする」 「scinstall ユーティリティーを使用して Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールする」 |
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server をフェイルオーバーデータサービスとして登録し、構成する |
「フェイルオーバーデータサービスとして Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server を登録して構成する」 |
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成を確認する | |
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server 障害モニターの表示 |
ここでは、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成の計画について説明します。
これらの制限事項を守らないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。
この節では、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server に適用される、ソフトウェア構成とハードウェア構成の制限事項を示します。この節に示している制限事項を参考にして、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成の計画を行なってください。
すべてのデータサービスに適用される制限事項については、『 Sun Cluster Release Notes for Solaris OS』を参照してください。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server は、スタンドアロンの BEA WebLogic Server インスタンス (BEA WebLogic Server クラスタリングを使用していないインスタンス) の高可用性を実現します。
フェイルオーバーファイルシステムの場合、そのファイルシステムを使用している BEA WebLogic Server インスタンスはすべて、単一のリソースグループで構成する必要があります。
インスタンスごとに別々のリソースグループで構成したい場合は、BEA WebLogic Server インストールが広域ファイルシステム上に存在しなければなりません。
次の要件を満たさないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。
ここで示す要件を参考にして、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成の計画を行なってください。これらの要件は、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server にのみ適用されます。Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成を始める前に、次の要件を満たしておく必要があります。
すべてのデータサービスに適用される要件については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「Sun Cluster データサービス構成のガイドライン」を参照してください。
BEA WebLogic Server ホームディレクトリとその他の構成ファイルが HAStoragePlus を使用したフェイルオーバーファイルシステム上にインストールされている場合は、そのファイルシステムを使用している BEA WebLogic Server リソースはすべて同じリソースグループ内に構成する必要があります。
BEA WebLogic Server がデータベース (Oracle や Sybase など) に依存している場合は、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server の下で BEA WebLogic Server の構成と起動を行う前にそのデータベースが HA 対応であるかを確認する必要があります。
BEA WebLogic Server では、Managed Server は Managed Server Independence mode で独立して起動するよう構成できます。Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server では、管理者はすべての Managed Server が独立して起動するよう構成する必要があります。
Managed Server を独立モードで構成する方法については、使用するバージョンの BEA WebLogic Server マニュアルを参照してください。たとえば、BEA WebLogic Server 7.0 の場合は、マニュアルは以下の場所にあります。
http://e–docs.bea.com/wls/docs70/admin_domain/failures.html#1104833 |
BEA WebLogic Managed Server の起動スクリプトは個別に設定できます。スクリプトを個別に設定する場合は、Admin Server の URL と Managed Server の名前を START スクリプト内に設定する必要があります。このスクリプトは、引数なしで各 BEA WebLogic Server インスタンスを起動できるものでなければなりません。
単一の START スクリプトを使用して複数の Managed Server を起動する場合は、Admin Server の URL をその START スクリプト内に指定し、スクリプトの引数として Managed Server 名だけを受け付けるようにする必要があります。次に、Managed Server の起動に使用されるスクリプトが startMangedWeblogic.sh の場合に Managed Server petstore_server を起動するコマンド例を示します。
node1>cd /global/beahome/weblogic700/domain/petstore node1>./startManagedWeblogic.sh petstore_server |
BEA WebLogic Server の START スクリプトは、username と password を必要とします。username と password は、ファイル boot.properties (BEA WebLogic Server の最初の起動後暗号化される) に格納するように設定できます。boot.properties ファイルが使用される場合には、username と password を利用できないため Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server は BEA WebLogic Server をスムーズにシャットダウンできません。Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server がシャットダウンしている間、STOP メソッドは sigkill を使用して BEA WebLogic Server プロセスを終了します。(java weblogic.Admin を使用した) スムーズなシャットダウンを望む場合は、START スクリプト内で BEA WebLogic Server 変数 WLS_USER と WLS_PW を使用して username と password を構成し、リソースの作成時に拡張プロパティ Smooth_shutdown を TRUE に設定する必要があります。
リソースの作成または更新によって smooth_shutdown を有効にするには、username と password を適宜使用して BEA WebLogic Server 変数の WLS_USER と WLS_PW を設定する必要があります。この設定を行わないと、関連付けられているサーバーは Sun Cluster の制御下で起動しません。
このエージェントはサーバーの START スクリプトをルートとして実行するため、必要となるすべての環境変数を START スクリプト内に設定するか、あるいは個別のファイルに設定し、サーバーの起動前に START スクリプトが参照できるようにする必要があります。詳細については、使用するバージョンの BEA WebLogic Server マニュアルを参照してください。たとえば、BEA WebLogic Server 7.0 の場合は、マニュアルは以下の場所にあります。
http://e-docs.bea.com/wls/docs70/adminguide/startstop.html#1086359 |
フェイルオーバーのあとで稼動中の Managed Server を検出し、Administration Server を再起動するためには、Administration Server の START スクリプトに -Dweblogic.management.discover+=false という指定が含まれないようにしてください。この指定を行うと、Administration Server は稼動中の Managed Server を検出できなくなります。詳細については、使用するバージョンの BEA WebLogic Server マニュアルを参照してください。たとえば、BEA WebLogic Server 7.0 の場合は、マニュアルは以下の場所にあります。
http://e-docs.bea.com/wls/docs70/admin_domain/failures.html#1104811 |
server_url と monitor_uri_list には、必ず解釈可能なホスト名を使用してください。Fully Qualified Domain Names (FQDNs) を使用する場合、DNS を使用するホスト名を解釈処理するためには、 DNS が使用可能で、さらに /etc/nsswitch.conf のエントリが正しくなければなりません。
この節に示している標準の構成を参考にして、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server のインストールと構成の計画を行なってください。Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server は、この節に示している標準の構成をサポートします。
これらの標準構成のほかに、以下の BEA WebLogic Server 構成も利用できます。
BEA WebLogic Server (Administration Server と Managed Server) ごとに START スクリプトを作成する
すべての Managed Server に使用できる単一の START スクリプトを作成する (この場合、Managed Server 名を入力値として受け付ける)
boot.properties に username と password を設定する
この構成では、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server による強制的なシャットダウンしか行えません。
START スクリプトに username と password を設定する
この構成では、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server によってスムーズにシャットダウンできます。
BEA WebLogic Server は、現在、フェイルオーバーデータサービスとしてサポートされています。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server では、上記以外の構成もサポートできる場合があります。ただし、Sun サービスプロバイダに連絡し、他の構成に関する情報を得る必要があります。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server 用のこのシンプルな構成では、次のように構成された 2 つのリソースグループを使用します。
RG1: logical-host-1 と WLS-Admin-Server-resource を含む
RG2: logical-host-2 と WLS-Managed-Server-resource を含む
RG1 と RG2 はフェイルオーバーリソースグループです。
この構成を利用できるのは、BEA WebLogic Server が広域ファイルシステムにインストールされている場合だけです。図 1–1 に、この構成の概略を示します。
この構成では、フェイルオーバーリソースグループ RG1、RG2、RG3、および RG4 が次のように構成されています。
RG1: logical-host-1 と WLS-Admin-resource を含む
RG2: logical-host-2 と WLS-Managed Server-resource2 を含む
RG3: logical-host-3 と WLS-Managed Server-resource3 を含む
RG4: logical-host-4 と WLS-Managed Server-resource4 を含む
この構成を利用できるのは、BEA WebLogic Server が広域ファイルシステムにインストールされている場合だけです。
この構成では、RG1、RG2、および RG3 は次のように構成されたフェイルオーバーリソースグループです。
RG1: logical-host-1、WLS-Admin-resource、および WLS-Managed Server-resource1 を含む
RG2: logical-host-2、WLS Managed-Server-resource2、WLS-Managed-Server-resource3、および WLS-Managed-Server-resource4 を含む
RG3: logical-host-3、WLS-Managed-Server-resource5、WLS-Managed-Server-resource6、および WLS-Managed-Server-resource7 を含む
この構成を利用できるのは、BEA WebLogic Server が広域ファイルシステムにインストールされている場合だけです。
BEA WebLogic Server が HAStoragePlus を使用したフェイルオーバーファイルシステムにインストールされている場合、このフェイルオーバーファイルシステムに依存している同一のフェイルオーバーリソースグループ内に BEA WebLogic Server のすべてのインスタンスを構成する必要があります。
RG1 には、論理ホストリソース、すべての Administration Server リソース、およびすべての Managed Server リソースが含まれます。
HAStoragePlus リソースに依存したリソースを登録する方法については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「高可用性ローカルファイルシステムの有効化」を参照してください。
図 1–2 に、この構成の概略を示します。
ここでは、ノードとディスクを準備する手順について説明します。
以下の手順は、「シンプルな構成」で説明しているシンプルな構成に基づいています。
この手順は、BEA WebLogic Server のインストールと構成の準備作業として実施してください。
論理ホスト名リソースと BEA Administration Server リソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。
# scrgadm -a -g RG1 [-h nodelist] |
論理ホスト名リソースを追加します。
logical-host–1 は、BEA WebLogic Admin Server が待機 (リッスン) するホスト名です。これは、WebLogic コンソールから設定できます。
# scrgadm -a -L -g RG1 -l logical-host-1 |
リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g RG1 |
論理ホスト名リソースと WebLogic Managed Server リソースを保持するフェイルオーバーリソースを作成します。
BEA WebLogic Server の数と計画している構成に基づき、リソースグループと logical_hostname リソースを作成してください(「▼▼データサービスの標準構成」を参照)。
# scrgadm -a -g RG2 [-h nodelist] |
論理ホスト名リソースを追加します。
logical-host-2 は、BEA WebLogic Admin Server が待機するホスト名です。
# scrgadm -a -L -g RG2 -l logical-host-2 |
リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g RG2 |
この節では、BEA WebLogic Server アプリケーションのインストールと構成に必要な手順について説明します。
この手順は、「シンプルな構成」で説明している構成に基づいています。別の構成を計画している場合は、BEA WebLogic Server を適宜構成する必要があります。
BEA WebLogic Server のマニュアルに従って、広域ファイルシステムまたはフェイルオーバーファイルシステムに BEA WebLogic Server をインストールします。
『BEA WebLogic Server Administration Guide』に従って WebLogic ドメインを構成します。
BEA WebLogic Server の構成時には、論理ホスト名または IP アドレスを入力してください。
ドメインに必要な構成がすべて完了したところで、Administration Server をシャットダウンします。
Administration Server の START スクリプトと Managed Server の START スクリプトを編集し、WLS_USER と WLS_PW を設定します。
START スクリプトは、引数を指定することなく実行できなければなりません。
WLS_USER と WLS_PW は、このエージェントが BEA WebLogic Server をスムーズにシャットダウンするために必要なものです。この設定ではセキュリティー上で懸念がある場合は、これらのプロパティを boot.properties ファイルに設定できます。しかし、この方法ではスムーズなシャットダウンは行えず、エージェントは BEA WebLogic Server を強制的にシャットダウンします。
Managed Server の START スクリプトに、ADMIN_URL 変数と SERVER_NAME 変数を設定します。
このスクリプトは、引数を指定することなく実行できなければなりません。
setWLSEnv.sh スクリプトまたは startWLS.sh スクリプトに、必要な環境変数を設定します。
環境変数には、CLASSPATH や LD_LIBRARY_PATH などを追加できます。これらのスクリプトには、必要となるあらゆる環境変数 (CLASSPATH や LD_LIBRARY_PATH など) が含まれます。
config.xml ファイルが START スクリプトと同じディレクトリに存在するかを確認します。
BEA WebLogic Server でデータベースを使用する場合は、そのインストールマニュアルを参照してデータベースをインストールしてください。使用するデータベースに Sun Cluster 用の HA エージェントが含まれる場合は、該当するバージョンをインストールしてください。
BEA WebLogic Server で Web サーバーを使用する場合は、そのインストールマニュアルを参照してその Web サーバーをインストールしてください。使用する Web サーバーに Sun Cluster 用の HA エージェントが含まれる場合は、該当するバージョンをインストールしてください。
この節では、BEA WebLogic Server のインストールと構成を確認する手順について説明します。
この手順は、BEA WebLogic Server Administration Server、BEA WebLogic Managed Server、およびデータベースのインストールと構成を確認する場合に使用してください。データサービスをまだインストールしていないため、この手順ではアプリケーションの可用性が高いかどうかを確認することはできません。
以下の手順は、「シンプルな構成」で説明している構成に基づいています。別の構成を計画している場合は、BEA WebLogic Server を適宜構成する必要があります。
RG1 と RG2 で構成されている logical-host-1 と logical-host-2 が cluster-node1 でオンライン状態であるかどうかを確認します。
データベースを使用している場合は、そのデータベースが稼動しているかどうかを確認します。
Administration Server と Managed Server の START スクリプト (「BEA WebLogic Server アプリケーションのインストールと構成」で構成したもの) が含まれるディレクトリへ移動します。
Administration Server START スクリプトを実行して Administration Server を起動します。
例: cluster-node1>cd /global/wls/user_projects/petstore cluster-node1>./startWebLogic.sh |
Administration Server が正常に起動したあとで、Managed Server を起動します。
例: cluster-node1>cd /global/wls/user_projects/petstore cluster-node1>./startManagedWebLogic.sh |
クライアントから logical-host-1 と logical-host-2 に正常に接続できるかを確認します。
Administration Server と Managed Server が cluster-node1 で RUNNING モードにあるかを確認します。
Administration Server と Managed Server を停止します。
Resource Groups RG1 と RG2 を cluster-node2 に切り替えます。
これにより、cluster-node1 の logical-host-1 と logical-host-2 が停止し、これらの論理ホストが cluster-node2 で起動します。
scswitch -z -g RG1 -h cluster-node2 scswitch -z -g RG2 -h cluster-node2 |
Administration Server と Managed Server が cluster-node2 で RUNNING モードにあるかを確認します。
クライアントが各潜在マスターノード上で Administration Server と Managed Server に正常に接続できる場合、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server と併用できるように BEA WebLogic Server の構成が問題なく行われています。
Administration Server と Managed Servers を停止して次のセッションへ進み、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server をインストールします。
Sun Cluster の初回のインストール時に Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールしなかった場合は、この手順でパッケージをインストールしてください。この手順は、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールする各クラスタノード上で個別に実行します。この手順の実行には、Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 が必要です。
複数のデータサービスを同時にインストールする場合は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「ソフトウェアのインストール」に記載されている手順を実行してください。
次のいずれかのインストールツールを使用して、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールします。
Web Start プログラム
scinstall ユーティリティー
Web Start プログラムは、Sun Cluster 3.1 Data Services 10/03 より前のリリースでは使用できません。
Web Start プログラムは、コマンド行インタフェース (CLI) またはグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を使用して実行できます。CLI と GUI での作業の内容と手順はほとんど同じです。Web Start プログラムの詳細は、installer(1M) のマニュアルページを参照してください。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールするクラスタノード上で、スーパーユーザーになります。
(省略可能) Web Start プログラムを GUI で実行する場合は、必ず DISPLAY
環境変数を設定します。
▼CD-ROM ドライブに Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 を挿入します。
ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されており、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、デーモンによって CD-ROM が自動的に /cdrom/cdrom0 ディレクトリにマウントされます。
CD-ROM の Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server コンポーネントディレクトリに切り替えます。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server データサービスの Web Start プログラムは、このディレクトリに入っています。
# cd /cdrom/cdrom0/\ components/SunCluster_HA_BEA_WLS_3.1 |
Web Start プログラムを起動します。
# ./installer |
プロンプトが表示されたなら、インストールの種類を選択します。
表示される手順に従って、ノードに Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server パッケージをインストールします。
インストールが完了すると、Web Start プログラムがインストールサマリを提供します。このサマリーを使用して、インストール時に Web Start によって作成されたログを確認できます。これらのログは /var/sadm/install/logs ディレクトリに置かれます。
Web Start プログラムを終了します。
CD-ROM ドライブから Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 を取り出します。
▼CD-ROM ドライブに Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 を挿入します。
オプションは指定せずに、scinstall ユーティリティーを実行します。
scinstall ユーティリティーが対話型モードで起動します。
メニューオプション「新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加」を選択します。
scinstall ユーティリティーにより、ほかの情報を入力するためのプロンプトが表示されます。
▼▼Sun Java Enterprise System Accessory CD Volume 3 のパスを指定します。
▼ユーティリティーはこの CD-ROM をデータサービス CD-ROM として示します。
インストールするデータサービスを指定します。
選択したデータサービスが scinstall ユーティリティーによって示され、この選択内容の確認が求められます。
scinstall ユーティリティーは、このデータサービスがサポートされていない旨を知らせるエラーメッセージを表示する場合があります。このメッセージは無視して次の手順へ進んでください。
scinstall ユーティリティーを終了します。
▼ドライブから CD-ROM を取り出します。
ここでは Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server の構成手順について説明します。
リソースを作成する際には、「拡張プロパティ」に示されている拡張プロパティを使用してください。コマンド scrgadm -x parameter-value を使用して、リソースを作成するときに拡張プロパティを構成します。リソースが作成済みの場合は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「データサービスリソースの管理」に記載されている手順で、拡張プロパティを構成します。拡張プロパティの中には動的に変更できるものがあります。それ以外の拡張プロパティは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。そのプロパティをいつ変更できるかについては、説明欄の「調整 : 」を参照してください。Sun Cluster のすべてのプロパティの詳細については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「標準プロパティ」を参照してください。
次の手順で、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server をフェイルオーバーデータサービスとして構成します。以下の手順は、「シンプルな構成」 で解説した構成が使用され、BEA WebLogic Server が 「BEA WebLogic Server アプリケーションのインストールと構成」 に従って構成されていることを想定しています。また、これらの手順はユーザーがすでにリソースグループ RG1 と RG2 を作成し、これらのリソースグループ内にリソース logical-host-1 と logical-host-2 を作成してあることを前提としています。論理ホスト名リソースの作成方法については、「ノードを準備する」を参照してください。別の構成を計画している場合は、BEA WebLogic Server リソースを適宜構成する必要があります。
データベースを使用している場合は、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server を起動する前にデータベースがアクセス可能かをチェックしてください。
BEA WebLogic Server リソースタイプを追加します。
# scrgadm -a -t SUNW.wls |
RG1 リソースグループ内に BEA WebLogic Admin Server リソースを作成します。
# scrgadm -a -j admin-rs -t SUNW.wls -g RG1\ -x Confdir_list=/global/bea/beahome/weblogic700\ -x Server_url=http://logical-host-1:7001\ -x Start_script=/global/bea/beahome/user_projects\ /petstore/startWebLogic.sh |
この構成ではスムーズなシャットダウンは有効になりません。Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server の stop メソッドは、BEA WebLogic Administration Server を強制的にシャットダウンします (プロセスを終了する)。スムーズなシャットダウンを有効にする構成については、「スムーズにシャットダウンするリソースを作成する」を参照してください。詳細は、「STOP メソッド」を参照してください。
RG2 リソースグループ内に BEA WebLogic Managed Server リソースを作成します。
# scrgadm -a -j managed-rs -t SUNW.wls -g RG2 \ -x Confdir_list=/global/bea/beahome/weblogic700\ -x Server_url=http://logical-host-2:7004\ -x Start_script=/global/bea/beahome/user_projects\ /petstore/startManagedWebLogic.sh |
ここでは、データサービスが正しくインストールされ構成されているかどうかを確認する手順について説明します。
次の手順で、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server が正しくインストールされ、構成されているかどうかを確認します。
クラスタ上で BEA WebLogic Server リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -z -g RG1 -h cluster-node1 # scswitch -z -g RG2 -h cluster-node1 |
BEA WebLogic Administration Server と Managed Server は cluster-node1 でオンラインでなければなりません。
クライアントから BEA WebLogic サーバーに正常に接続できることと、Administration Server と Managed Server の両方が RUNNING モードであることを確認します。
リソースグループを cluster-node2 に切り替えます。
# scswitch -z -g RG1 -h cluster-node2 # scswitch -z -g RG2 -h cluster-node2 |
BEA WebLogic Administration および Managed Server は、cluster-node1 でオフラインに、cluster-node2 ではオンラインにする必要があります。cluster-node1 での BEA WebLogic Server プロセスが停止していることを確認します。スムーズなシャットダウンが有効になっていないため、BEA WebLogic Server プロセスのスムーズなシャットダウンは行われず、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server STOP メソッドによって終了されます。スムーズなシャットダウンを有効にする構成については、「スムーズにシャットダウンするリソースを作成する」を参照してください。詳細情報については、「STOP メソッド」を参照してください。
クライアントから BEA WebLogic サーバーに正常に接続できることと、Administration Server と Managed Server の両方が RUNNING モードであることを確認します。
BEA WebLogic Server が cluster-node1 でオフラインになり cluster-node2 でオンラインになる際に、クライアントセッションは消失する可能性があります。
cluster-node2 で、Administration Server プロセスを終了します。
Fault Monitor によってこの終了が検出され、Administration Server が再起動されます。
Administration Server プロセスを繰り返し終了します。
設定された再試行時間内に再試行回数が限度を超えたあと、Administration Server Resource グループがフェイルオーバーします。
cluster-node2 で、Managed Server プロセスを終了します。
Fault Monitor によってこの停止が検出され、Managed Server が再起動されます。
Managed Server プロセスを繰り返し終了します。
設定された再試行時間内に再試行回数が限度を超えたあと、Managed Server Resource グループがフェイルオーバーします。
以上の手順が正常に進んだ場合は、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server の構成は正しく行われています。
BEA WebLogic Administration Server と Managed Server が Sun Cluster の制御下で本稼動状態になったなら、手動、あるいは Administration Console を通して、それらのサーバーの起動または停止を行わないでください。サーバーの保守作業を行う必要がある場合は、初めにそれらに関連付けられたリソースを無効にする必要があります。
この章で解説するインストール、登録、および構成手順では、「シンプルな構成」 の解説に従い、シンプル構成をインストールすることを想定しています。この節では、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server で選択できるほかの構成例を示します。
この構成では、START スクリプト startWebLogic.sh が、引数の指定なしに BEA WebLogic Server を起動できることが前提となります。BEA WebLogic Server の起動に必要な username と password は、START スクリプト内または boot.properties ファイルに設定することができます。
# scrgadm -a -j bea-rs -t SUNW.wls- -g bea-rg\ -x Confdir_list=/global/bea/beahome/weblogic700\ -x Server_url=http://logical_host1:7001\ -x Start_script=/global/bea/beahome/user_projects/petstore/startWebLogic.sh |
BEA WebLogic Server の START スクリプト startManagedWebLogic.sh が Managed Server 名を引数として使用する場合、拡張プロパティ Server_name を設定できます。START スクリプト startManagedWebLogic.sh は、複数の Managed Server の起動に使用できます。この START スクリプトには ADMIN_URL を設定する必要があります。BEA WebLogic Server を手動で起動するには、以下のコマンドを使用します。
cluster-node-1> cd /global/wls/user_projects/petstore cluster-node-1> ./startManagedWebLogic.sh petstore1 |
start スクリプトがサーバー名 petstore1 を受け付ける Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server リソースを構成するには、以下のコマンドを使用します。
# scrgadm -a -j bea-rs -t SUNW.wls -g bea-rg\ -x Confdir_list=/global/bea/beahome/weblogic700\ -x Server_url=http://logical_host1:7001\ -x Start_script=/global/bea/beahome/user_projects/petstore/startWebLogic.sh\ -x Server_name=petstore1 |
異なるサーバー petstore2 に同じ START スクリプトを使用する別の Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server リソースを構成するには、以下のコマンドを使用します。
# scrgadm -a -j bea-rs -t SUNW.wls -g bea-rg\ -x Confdir_list=/global/bea/beahome/weblogic700\ -x Server_url=http://logical_host1:7001\ -x Start_script=/global/bea/beahome/user_projects/petstore/startWebLogic.sh\ -x Server_name=petstore2 |
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server STOP メソッドは、デフォルトでは BEA WebLogic Server のプロセスを終了してインスタンスをシャットダウンします。このような動作が望ましくない場合は、Smooth_shutdown 拡張プロパティを TRUE に設定して BEA WebLogic Server のスムーズなシャットダウンを有効にします。この拡張プロパティを有効にする場合は、WLS_USER と WLS_PW を START スクリプト内に設定する必要があります。この設定ではセキュリティー上で懸念がある場合は、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server によりデフォルトの強制的なシャットダウン (プロセスの終了) を行う必要があります。
スムーズにシャットダウンするリソースを構成するには、以下のコマンドを使用します。
# scrgadm -a -j bea-rs -t SUNW.wls -g bea-rg\ -x Confdir_list=/global/bea/beahome/weblogic700\ -x Server_url=http://logical_host1:7001\ -x Start_script=/global/bea/beahome/user_projects/petstore/startWebLogic.sh\ -x Server_name=petstore1\ -x Smooth_shutdown=TRUE |
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server はデータベースの状態を検査しません。Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server の起動時にデータベースが停止していると、データサービスは開始されません。Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server によってデータベースを検査したい場合は、独自のデータベース検証スクリプトを拡張プロパティとして Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server に渡すことができます。このデータベース検証は、正常に完了した場合にゼロを、失敗時にゼロ以外を返すものでなければなりません。
スクリプト拡張プロパティ DB_probe を設定してリソースを構成するには、以下のコマンドを使用します。
# scrgadm -a -j bea-rs -t SUNW.wls -g bea-rg\ -x Confdir_list=/global/bea/beahome/weblogic700\ -x Server_url=http://logical_host1:7001\ -x Start_script=/global/bea/beahome/user_projects/petstore/startWebLogic.sh\ -x Server_name=petstore1\ -x Smooth_shtudown=TRUE\ -x DB_probe_script=/global/bea/script/db_probe_script |
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server リソース内で構成された BEA WebLogic Server のサービスを受ける URI を監視するように設定するには、以下のコマンドを使用して拡張プロパティ Monitor_uri_list を設定してください。
# scrgadm -a -j bea-rs -t SUNW.wls -g bea-rg\ -x Confdir_list=/global/bea/beahome/weblogic700\ -x Server_url=http://logical_host1:7001\ -x Start_script=/global/bea/beahome/user_projects/petstore/startWebLogic.sh\ -x Server_name=petstore1\ Smooth_shutdown=TRUE\ DB_probe_script=/global/bea/script/db_probe_script\ -x Monitor_uri_list=http://logical_host1:7001/petstore,http://logical_host1:7001/bookstore |
この節では、Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server 障害モニターについて解説します。
Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server は、以下の拡張プロパティを使用します。次の拡張プロパティを調整できます。拡張プロパティの確認または設定の方法については、「Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server 拡張プロパティ」を参照してください。
表 1–3 Sun Cluster HA for BEA WebLogic Server 拡張プロパティ
名前/データタイプ |
説明 |
||
---|---|---|---|
Confdir_list (文字列配列) |
BEA WebLogic Server のホームディレクトリ $WL_HOME のフルパスは、この拡張プロパティに設定します。 注 – setWLSEnv.sh と startWLS.sh が標準の場所 $confdir_list/server/bin に存在しない場合には、$confdir_list/server/bin ディレクトリからこれらのファイルに対してリンクを作成する必要があります。このリンクを作成しないと、BEA WebLogic Server リソースの作成は失敗します。 初期値: なし 調整:作成時 |
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Start_Script (文字列) |
BEA WebLogic Server インスタンス (Administration または Managed) の起動に使用されるスクリプトのフルパス。このスクリプトは通常、config.xml ファイルとともにドメイン名ディレクトリの下に存在します。各 BEA WebLogic Server を起動するために、個別スクリプトまたは単一スクリプトを設定することが可能です。詳細は、「構成に関する要件」を参照してください。 初期値: なし 調整:作成時 |
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Server_Url (文字列) |
このリソースによって起動する BEA WebLogic Server の完全な URL (サーバーに接続するために使用されるプロトコルを含む)。検証メソッドは、この URL から HTTP GET を実行して、サーバーの健全性を検査します。URL 内のプロトコルは http に設定する必要があります。完全な URL 形式は次のようになります。
Server_Url の詳細については、使用するバージョンの BEA WebLogic Server マニュアルを参照してください。たとえば、BEA WebLogic Server 7.0 の場合は、マニュアルは以下の Web サイトにあります。
server_url と monitor_uri_list には、必ず解決可能なホスト名を使用してください。Fully Qualified Domain Names (FQDNs) を使用する場合、DNS を使用するホスト名を解釈処理するためには、 DNS が使用可能で、さらに /etc/nsswitch.conf のエントリが正しくなければなりません。 初期値: なし 調整:作成時 |
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Monitor_Uri_List (文字列) |
単一の URI またはコンマ区切りの URI リストです。障害モニターはこの URI に対して HTTP GET を実行することにより BEA WebLogic Server の機能性をテストします。Server_Url 拡張プロパティは、ホスト名とポートの単純な検証用です。この拡張プロパティで WLS の機能性を検証する場合、Java サーブレットを取得するか、WLS からアプリケーションを起動して HTTP サーバーのリターンコードを取得する必要があります。HTTP サーバーのリターンコードが 500 (Internal Server Error) となるか接続に失敗した場合、検証は対応処置を実行します。詳細は、検証メソッドの説明を参照してください。 server_url と monitor_uri_list には、必ず解決可能なホスト名を使用してください。Fully Qualified Domain Names (FQDNs) を使用する場合、DNS を使用するホスト名を解釈処理するためには、 DNS が使用可能で、さらに /etc/nsswitch.conf のエントリが正しくなければなりません。 初期値:Null 調整:任意の時点 |
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Server_name (文字列) |
単一の起動スクリプトを使用してすべての Managed Server を起動する場合、起動スクリプトの引数として Managed Server 名を渡します。Agent 起動メソッドは、起動スクリプトの引数としてサーバー名を渡す必要が生じると、Managed Server 名をこの拡張プロパティに設定します。 初期値:Null 調整:任意の時点 |
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DB_Probe_Script (文字列) |
この拡張プロパティでは、データベース検証スクリプトへの絶対パスを設定します。HA-WLS 検証メソッドは、WLS インスタンスだけを検証します。管理者は、HA_WLS で DB も検証したい場合に、この拡張スクリプトからデータベース検証スクリプトを取得することができます。この検証スクリプトは、成功すると 0 を返します。BEA WebLogic Server は、データベース検証が成功すると起動されます。HA-WLS 検証は、WLS インスタンスの障害検出時にこの拡張プロパティが設定されていると、データベース検証が成功した場合にのみアクションを実行します。詳細については、「検証アルゴリズムと機能」を参照してください。 初期値:Null 調整:任意の時点 |
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Smooth_shutdown |
これは、WebLogic クラスを使用してスムーズなシャットダウンを有効にする拡張プロパティです。Admin クラスWLS プロセスの終了前にスムーズシャットダウンを実行する方が望ましい場合は、この拡張プロパティを TRUE に設定します。このとき WLS_USER と WLS_PW は、boot.properties ではなく start_script に設定する必要があります。
初期値:False 調整:任意の時点 |
障害モニターは、障害を検出して処理を行います。BEA WebLogic Server 内で障害を検出すると、障害モニターは初めに BEA WebLogic Server の再起動を行います。一定の時間内に BEA WebLogic Server が一定の回数停止すると (時間と回数は管理者が設定可能)、BEA WebLogic Server を含んでいるリソースグループは動作中のほかのクラスタノードにフェイルオーバーして再起動します。
Fault Monitor メソッドは、デフォルトでは拡張プロパティ Server_url に設定されているサーバー URL の検証を行います。この検証メソッドはホスト名とポートに接続し、続いて URL に対して HTTP GET 要求を実行します。接続が失敗する場合は完全な障害とみなされ、BEA WebLogic Server を含むリソースグループの再起動が行われるか、あるいは動作中のほかのクラスタノードにフェイルオーバーし、再起動します。接続が成功したが http 応答コードが 500 (内部的なサーバーエラー) の場合も完全な障害とみなされ、リソースグループの再起動またはフェイルオーバーが行われます。ほかの http 応答コードはすべて正常とみなされます。
monitor_uri_list 拡張プロパティを設定すると、検証メソッドはリスト内に示された URI に接続し、障害が発生している場合は処理を行います。検証メソッドは、指定された URI (1 つ以上) に対して HTTP GET を実行します。
BEA WebLogic Server インスタンスの完全な停止が検証 (URL または URI の検証) によって検出された場合と、拡張プロパティ db_probe_script でデータベース検証スクリプトが指定された場合には、検証メソッドは BEA WebLogic Server リソースに対して処理を行う前にデータベースを検証します。データベース検証スクリプトが成功を示すコードを返す (データベースが稼動している) 場合は、BEA WebLogic Server リソースに対して処理が行われます。データベース検証スクリプトが障害を示すコードを返す (データベースが停止している) 場合は、BEA WebLogic Server 検証メソッドはデータベースが起動するまで何の処理 (再起動またはフェイルオーバー) も行いません。
リソース内で構成された BEA WebLogic Server が起動する前に、BEA WebLogic Server 構成とリソース拡張プロパティが検証されます。db_probe_script 拡張プロパティが設定されている場合には、この拡張プロパティに設定されたスクリプトを起動してデータベースの検証が行われます。データベースが起動している場合は、pmf 下の拡張プロパティ Start_script に構成されている START スクリプトを呼び出すことによって BEA WebLogic Server が起動されます。データベースが起動していない場合は、START メソッドは成功を示すコードを返し、検証メソッドに BEA WebLogic Server ソフトウェアの起動処理を任せます。「検証アルゴリズムと機能」で説明しているように、検証メソッドはデータベースが稼動状態になるのを待ってからBEA WebLogic Server を起動します。
pmf 下の START スクリプトを起動したあと、START メソッドは BEA WebLogic Server が RUNNING モードになるのを待ってから、成功を宣言します。BEA WebLogic Server の稼動を待機する間、検証メソッドはサーバーの起動をチェックするためにサーバーに接続を試みます。起動時に、コンソールにはメッセージが表示されます。メッセージ「Failed to connect to host logical-host-1 and port 7001:Connection refused」は、BEA WebLogic Server が完全に起動するまで継続して表示されます。BEA WebLogic Server が RUNNING モードになった時点で、START メソッドはステータスを「Started Successfully」に設定します。
STOP メソッドは、リソース内で構成された BEA WebLogic Server を停止します。STOP メソッドは、デフォルトでは SIGKILL を BEA WebLogic プロセスに送って BEA WebLogic Server を終了します。smooth_shutdown 拡張プロパティが TRUE に設定されている場合、STOP メソッドは次のコマンドを実行して BEA WebLogic インスタンスの停止を試みます。
java weblogic.Admin -url hostname:port -username $WLS_USER -password $WLS_PW SHUTDOWN |
このコマンドが失敗する場合、BEA WebLogic Server は SIGKILL によってシャットダウンされます。このコマンドが成功する場合でも、STOP メソッドは SIGKILL を送信して BEA WebLogic プロセスを確実に停止します。
拡張プロパティ smooth_shutdown を TRUE に設定する場合は、必ず WLS_USER と WLS_PW を BEA WebLogic Server START スクリプトに設定してください。Smooth_shutdown を TRUE に設定すると、この拡張プロパティを再び FALSE に設定しないかぎり、WLS_USER と WLS_PW を START スクリプトから削除できません。