N1 Grid Service Provisioning System ユーザーズガイドおよびリリースノート (Solaris Plug-In 2.0)

第 5 章 Solaris プラグインを使用したパッケージの配備

この章では、Solaris プラグインとともに提供される Solaris パッケージ固有のコンポーネント、コンテナ、およびシステムサービスを使用する方法について説明します。この章では、次の内容について説明します。

Solaris パッケージの紹介

Sun および Sun 以外のベンダーは、「パッケージ」という形式でソフトウェア製品を提供しています。パッケージングという用語は一般的に、ソフトウェア製品が使用されるシステムに、その製品を配布してインストールする方法を指します。パッケージは、定義済みフォーマットによるファイルとディレクトリの集まりです。このフォーマットは、アプリケーションバイナリインタフェース (ABI) に準拠します。ABI は、System V インタフェース定義を補足するものです。Solaris OS には、このフォーマットを解釈し、パッケージをインストールまたは削除したり、パッケージインストールを検査したりする方法を提供する 1 組のユーティリティがあります。

Solaris パッケージはファイルシステム形式で作成されます。パッケージは、パッケージのインストールに必要とされるファイルやスクリプトを含むディレクトリ、または一連のディレクトリです。pkgtrans(1) コマンドを使用すると、ファイルシステムを単独のデータストリームに変換できます。

Solaris パッケージの中には、インストール前に質問をする request スクリプトを含むものもあります。N1 Grid Service Provisioning System を使用し、request スクリプトを持つパッケージをインストールするには、request スクリプトによって聞かれる質問への回答を含む応答ファイルを作成する必要があります。応答ファイルを作成するには、pkgask(1M) コマンドを使用します。応答ファイルの作成と使用に関する詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』「パッケージ追加時のユーザーの対話操作を省略する (pkgadd)」を参照してください。

Solaris パッケージの配備

N1 Grid Service Provisioning System では、pkgadd(1M) コマンドを使用して Solaris パッケージをインストールし、pkgrm(1M) コマンドを使用して Solaris パッケージを削除します。

Solaris パッケージの中には、インストール前に質問をする request スクリプトを含むものもあります。N1 Grid Service Provisioning System を使用し、request スクリプトを持つパッケージをインストールするには、request スクリプトによって聞かれる質問への回答を含む応答ファイルを作成する必要があります。Solaris パッケージのインストールには、次のいずれかの手順を使用します。

Procedure応答ファイルを使用せずに Solaris パッケージまたはデータストリームパッケージを配備する

インストールするパッケージに、応答を必要とする request スクリプトがない場合は、N1 Grid Service Provisioning System を使用してパッケージをインストールするには次の手順を実行します。

始める前に

インストールするパッケージを入手します。


注意 – 注意 –

N1 Grid Service Provisioning System では、パッケージの依存関係を確認しません。依存関係が明確になるように、パッケージは正しい順序でインストールする必要があります。


手順
  1. 左側のコントロールパネルの「Common Tasks」から、「Sun Solaris」アイコンをクリックします。

    Solaris プラグインの共通のタスクが ブラウザインタフェース の右側のパネルに表示されます。

  2. Package コンポーネントを作成します。

    • Solaris ファイルシステムパッケージを配備する場合は、「Solaris Package: Create Package Component」リンクをクリックします。

    • Solaris データストリームパッケージを配備するには、「Solaris Datastream Package: Create Datastream Package Component」リンクをクリックします。

  3. 左側のコントロールパネルの「Application Deployment」から「Components」をクリックします。

  4. コンポーネントのリストから、作成したコンポーネントをクリックします。

  5. (省略可能) 「Edit」ボタンをクリックし、コンポーネント変数を編集します。


    注 –

    データストリームパッケージを配備する場合は、パッケージを正常に配備するために pkgName コンポーネント変数を編集する必要がある場合があります。


    詳細については、「コンポーネント変数」を参照してください。

  6. 「Component Procedures」セクションで、実行するコンポーネントプロシージャーに関連付けられている「Run」リンクをクリックします。

    詳細については、「コンポーネントプロシージャー」を参照してください。

Procedure応答ファイルを含む Solaris パッケージまたはデータストリームパッケージを配備する

インストールするパッケージに、インストール前に質問をする request スクリプトが含まれている場合は、次の手順に従ってパッケージをインストールします。

始める前に

インストールするパッケージを入手します。

応答ファイルを作成するには、pkgask(1M) コマンドを使用します。応答ファイルの作成と使用に関する詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』「パッケージ追加時のユーザーの対話操作を省略する (pkgadd)」を参照してください。


注意 – 注意 –

N1 Grid Service Provisioning System では、パッケージの依存関係を確認しません。依存関係が明確になるように、パッケージは正しい順序でインストールする必要があります。


手順
  1. 左側のコントロールパネルの「Common Tasks」から、「Sun Solaris」アイコンをクリックします。

    Solaris プラグインの共通のタスクが ブラウザインタフェース の右側のパネルに表示されます。

  2. Package コンポーネントを作成します。

    • Solaris ファイルシステムパッケージを配備する場合は、「Solaris Package: Create Package Component」リンクをクリックします。

    • Solaris データストリームパッケージを配備するには、「Solaris Datastream Package: Create Datastream Package Component」リンクをクリックします。

  3. 左側のコントロールパネルの「Common Tasks」から、「Sun Solaris」アイコンをクリックします。

    Solaris プラグイン の共通のタスクが ブラウザインタフェース の右側のパネルに表示されます。

  4. 「Response File: Create Response File Component」リンクをクリックします。

    インストールするパッケージ用として作成された応答ファイルを参照する、応答ファイルのコンポーネントを定義します。

  5. 左側のコントロールパネルの「Common Tasks」から、「Sun Solaris」アイコンをクリックします。

    Solaris プラグイン の共通のタスクが ブラウザインタフェース の右側のパネルに表示されます。

  6. Package コンポーネントと、Response File コンポーネントを含むコンテナを作成します。

    • Solaris ファイルシステムパッケージを配備するには、「Package with Response File: Create Package With Response File Container」リンクをクリックします。

    • Solaris データストリームパッケージを配備するには、「Datastream Package with Response File: Create Datastream Package With Response File Container」リンクをクリックします。

  7. 左側のコントロールパネルの「Application Deployment」から「Components」をクリックします。

  8. コンポーネントのリストから、作成したコンテナをクリックします。

  9. (省略可能) 「Edit」ボタンをクリックし、コンポーネント変数を編集します。


    注 –

    データストリームパッケージを配備する場合は、パッケージを正常に配備するために pkgName コンポーネント変数を編集する必要がある場合があります。


    詳細については、「コンポーネント変数」を参照してください。

  10. 「Component Procedures」セクションで、実行するコンポーネントプロシージャーに関連付けられている「Run」リンクをクリックします。

    詳細については、「コンポーネントプロシージャー」を参照してください。

Solaris パッケージコンポーネント

パッケージコンポーネントとデータストリームパッケージコンポーネント

インストールまたは削除するパッケージを含むコンポーネントを作成するには、Package コンポーネントを使用します。コンポーネント作成に関する詳細については、『N1 Grid Service Provisioning System 5.0 プランとコンポーネントの開発者ガイド』の第 4 章「プラン」を参照してください。

「Solaris Package: Create Package Component」リンクでは、タイプが com.sun.solaris#Package のコンポーネントが作成されます。このコンポーネントは、ファイルシステムパッケージを参照します。ファイルシステムパッケージには、パッケージのインストールに必要とされるファイルやスクリプトを含むディレクトリ、または一連のディレクトリが格納されます。

「Solaris Datastream Package: Create Datastream Package Component」リンクでは、タイプが com.sun.solaris#StreamPackage のコンポーネントが作成されます。このコンポーネントは、データストリームパッケージを参照します。データストリームパッケージは、ファイルシステムパッケージを 1 つのデータストリームに変換したパッケージです。データストリームパッケージに関する詳細については、pkgtrans(1) のマニュアルページを参照してください。

Package コンポーネントと、Datastream Package コンポーネントには、同じコンポーネント変数とコンポーネントプロシージャーが含まれます。変数とプロシージャーは次に解説します。

コンポーネント変数

installName

パッケージがインストールされたときに使用する名前。デフォルトでは、パッケージコンポーネントの名前になります。

installPath

パッケージをダウンロードするターゲットホスト上のパス。

installRoot

パッケージをインストールするターゲットホスト上のパス。

pkgName

パッケージ名。

データストリームパッケージをインストールするときに、この変数の値を変更する必要がある場合があります。pkgadd コマンドを使用してデータストリームパッケージをインストールするときに、パッケージ名を入力するよう求められます。プロビジョニングシステムでは、パッケージのインストール時にパッケージ名の入力を求めないので、ここでパッケージ名を入力する必要があります。

データストリームパッケージのパッケージ名は、データストリームファイルのヘッダにあります。次の例では、パッケージ名は SMCcvs です。


% head cvs-1.11.17-sol9-sparc-local
# PaCkAgE DaTaStReAm
SMCcvs 1 16852
# end of header
NAME=cvs
ARCH=sparc
VERSION=1.11.17
CATEGORY=application
VENDOR=Joe Smith et al
EMAIL=joe@smith.work.net
PSTAMP=Bob Miller
verboseMode

この変数は、パッケージがターゲットホストに追加されたときに -v オプションを pkgadd(1M) に提供するために使われます。-v オプションは、pkginst/install ディレクトリに格納されている pkgadd が実行するすべてのスクリプトを追跡します。このオプションを使用し、プロシージャースクリプトおよび非プロシージャースクリプトをデバッグします。有効な値は、true および false です。

残りのコンポーネント変数は、パッケージをインストールするときに使用される管理ファイルに対し、プロビジョニングシステムが設定する変数の値と直接対応します。プロビジョニングシステムは管理ファイルを作成し、pkgadd コマンドにインストールの流れを示す情報を提供します。管理ファイルに関する詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』「管理ファイルの使用」を参照してください。次に示す変数と、各変数の有効な値に関する詳細については、admin(4) のマニュアルページを参照してください。


注 –

プロビジョニングシステムが管理ファイル変数に対して設定する値は、Solaris OS とともに /var/sadm/install/admin ディレクトリに格納されている管理ファイルで設定されているデフォルト値とは一致しません。プロビジョニングシステムによって設定される値は、ユーザーによる介入なくパッケージのインストールを完了するためのものです。Solaris OS とともにインストールされる管理ファイルで設定されるデフォルト値に関する詳細については、admin(4) のマニュアルページを参照してください。


コンポーネントプロシージャー

default: install

このプロシージャーを使用し、1 つまたは複数のターゲットシステムにパッケージをインストールします。

mark Only: install

1 つまたは複数のターゲットシステムにパッケージを手動でインストールしたが、これらのシステムにパッケージがインストールされていることをプロビジョニングシステムデータベースに知らせるには、このプロシージャーを使用します。

default: uninstall

このプロシージャーを使用し、1 つまたは複数のターゲットシステムからパッケージをアンインストールします。

markOnly: uninstall

1 つまたは複数のターゲットシステムからパッケージを手動でアンインストールしたが、これらのシステムからパッケージがアンインストールされたことをプロビジョニングシステムデータベースに知らせるには、このプロシージャーを使用します。

応答ファイルコンポーネント

パッケージとともに使用する応答ファイルを作成したら、Response File コンポーネントを作成します。Solaris パッケージの中には、インストール前に質問をする request スクリプトを含むものもあります。N1 Grid Service Provisioning System を使用し、request スクリプトを持つパッケージをインストールするには、request スクリプトによって問われる質問への回答を含む応答ファイルを作成する必要があります。Response File コンポーネントで参照する応答ファイルを作成するには、pkgask(1M) コマンドを使用します。応答ファイルに関する詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』「パッケージ追加時のユーザーの対話操作を省略する (pkgadd)」を参照してください。

「Response File: Create Response File Component」リンクは、タイプが com.sun.solaris#ResponseFile のコンポーネントを作成します。このコンポーネントは、パッケージで使用するよう作成した応答ファイルを参照します。

Solaris パッケージコンテナコンポーネント

コンテナとは、ほかのコンポーネントを参照するコンポーネントを指します。Package コンポーネントと、対応する Response File コンポーネントを含むコンポーネントを作成するには、Package コンテナを使用します。コンテナに関する詳細については、『N1 Grid Service Provisioning System 5.0 プランとコンポーネントの開発者ガイド』の第 1 章「プランおよびコンポーネント開発の概要」を参照してください。

パッケージコンテナコンポーネントとデータストリームパッケージコンテナコンポーネント

応答ファイルとともに Solaris パッケージを配備するには、Solaris の「Common Tasks」ページで「Package with Response File: Create Package with Response File Container」リンクをクリックします。このリンクをクリックすると、タイプが com.sun.solaris#PackageWithResp のコンテナコンポーネントを作成できます。このコンテナコンポーネントを作成するときには、Package コンポーネントと、対応する Response File コンポーネントをコンテナコンポーネントに含めます。

応答ファイルを含む Solaris データストリームパッケージを配備するには、Solaris の「Common Tasks」ページで「Datastream Package with Response File: Create Datastream Package with Response File Container」リンクをクリックします。このリンクをクリックすると、タイプが com.sun.solaris#StreamPackageWithResp のコンテナコンポーネントを作成できます。このコンテナコンポーネントを作成するときには、Datastream Package コンポーネントと、対応する Response File コンポーネントをコンテナコンポーネントに含めます。

Package Container コンポーネントと、Datastream Package Container コンポーネントには、同じコンポーネント変数とコンポーネントプロシージャーが含まれます。変数とプロシージャーは次に解説します。

コンポーネント変数

installPath

パッケージファイルと応答ファイルがダウンロードされる、ターゲットホスト上のパスを示します。

コンポーネントプロシージャー

default: install

1 つまたは複数のターゲットシステムにパッケージと応答ファイルをインストールするには、このプロシージャーを使用します。

mark Only: install

1 つまたは複数のターゲットシステムに、パッケージと応答ファイルを手動でインストールしたが、これらのシステムにパッケージがインストールされていることをプロビジョニングシステムのデータベースに知らせるには、このプロシージャーを使用します。

default: uninstall

1 つまたは複数のターゲットシステムからパッケージと応答ファイルをアンインストールするには、このプロシージャーを使用します。

markOnly: uninstall

1 つまたは複数のターゲットシステムからパッケージと応答ファイルを手動でアンインストールしたが、これらのシステムからパッケージがアンインストールされたことをプロビジョニングシステムデータベースに知らせるには、このプロシージャーを使用します。