Java Desktop System Release 3 システム管理

第 9 章 パフォーマンスの改善

この章では、Java Desktop System のパフォーマンスを改善する方法について説明します。

パフォーマンスの改善の概要

この章では、Java Desktop System のパフォーマンスを改善するために変更できるいくつかの設定について説明します。ユーザー設定について値を設定するには、gconftool-2 コマンドを使用します。この章のコマンド例では、ユーザー設定ソースの値を変更する方法を示します。

--direct および --config-source オプションを使用して、設定の必須値またはデフォルト値をセットできます。また、スクリプト内で gconftool-2 コマンドを使用して、多数の設定値をセットすることもできます。gconftool-2 コマンドと、このコマンドに使用できるオプションについては、第 1 章「GConf の使用方法」を参照してください。

CPU 使用率の低減

この節では、Java Desktop System の CPU 使用率を減らすための設定について説明します。

CPU リソースをあまり必要としないコントロールテーマオプションを使用する

一部のコントロールテーマオプションは、CPU リソースが限られたシステムでは動作が遅くなる恐れがあります。CPU 使用率を減らすには、次のいずれかのコントロールオプションを使用します。

コントロールテーマオプションを変更するには、以下のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/interface/gtk_theme option-name

Simple を使用する場合は、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/interface/gtk_theme Simple

または、テーマ設定ツールで適当なオプションを選択します。

CPU リソースをあまり必要としないウィンドウフレームオプションを使用する

一部のウィンドウフレームテーマオプションは、ウィンドウフレームを描くのにイメージファイルを読み込みます。ほかのオプションは、より簡単な方法でウィンドウフレームを描きます。

Crux ウィンドウフレームオプションは画像ファイルをロードするので、CPU リソースが限られたシステムでは動作が遅くなる恐れがあります。CPU 使用率を減らすには、以下のいずれかのウィンドウフレームオプションを使用します。

以下のウィンドウフレームオプションも、Crux よりは CPU リソースの使用率が少なくなります。


注 –

Metabox は、HighContrastInverse などの反転制御オプションとは正しく動作しません。反転制御オプションを使用する場合は、Atlanta を使ってください。


ウィンドウフレームテーマのオプションを変更するには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type string --set /apps/metacity/general/theme option-name

Atlanta を使用する場合は、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type string --set /apps/metacity/general/theme Atlanta

または、テーマ設定ツールで適当なオプションを選択します。


ヒント –

Metacity テーマビューアを使用して、ウィンドウフレームオプションのパフォーマンスを測定したり、オプションをプレビューできます。Metacity テーマビューアを起動するには、次のコマンドを使用します。

# metacity-theme-viewer option-name

たとえば、Atlanta のパフォーマンスを測定し、Atlanta をプレビューするには、次のコマンドを実行します。

# metacity-theme-viewer Atlanta


メニュー上のアイコンをオフにして CPU 使用率を減らす

メニュー上のいくつかの項目は、その項目の横にアイコンが表示されます。この機能をオフにするには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type bool --set /desktop/gnome/interface/menus_have_icons false

または、Menus & Toolbars 設定ツールで「メニューにアイコンを表示」オプションの選択を解除します。

スプラッシュ画面をオフにして CPU 使用率を減らす

デフォルトでは、デスクトップ環境にログインすると、スプラッシュ画面が表示されます。ログインしている間は、スプラッシュ画面にアイコンが表示されています。スプラッシュ画面をオフにすると、ログインしている間の CPU 使用率を減らせます。

スプラッシュ画面をオフにするには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type bool --set /apps/gnome-session/options/show_splash_screen false

または、セッション 設定ツールで「ログイン時にスプラッシュ画面を表示する」オプションの選択を解除します。

パネルアニメーションをオフにして CPU 使用率を減らす

パネルを表示または非表示にするときに、動画形式でパネルを表示または非表示にすることができます。パネルアニメーションをオフにするには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type bool --set /apps/panel/global/enable_animations false

または、パネル 設定ツールで「引出しとパネルのアニメーション」オプションの選択を解除します。

ファイルマネージャのパフォーマンスの改善

Nautilus ファイルマネージャの一部の機能を変更して、パフォーマンスを改善できます。

パフォーマンス設定を変更する

ファイルマネージャには、パフォーマンスに関連する設定があります。各パフォーマンス設定は、3 つの値のうち 1 つを持ちます。次の表は、3 つの値を説明しています。

値 

説明 

always

ローカルファイルと、別のファイルシステム上のファイルの両方に対して、動作を実行する 

local_only

ローカルファイルに対してのみ動作を実行する。パフォーマンス設定を local_only セットすると、CPU 使用率は減少する

never

動作を実行しない。パフォーマンス設定を never にセットすると、CPU 使用率とネットワークトラフィックは減少する 

次の表は、ファイルマネージャのパフォーマンス設定を説明しています。パフォーマンスを最大にするには、設定値を never に設定します。

設定 

説明 

show_icon_text

ファイルを表すアイコンで、テキストファイルの内容をいつプレビューするかを指定します。テキストファイルの内容をプレビューしない場合は、次のコマンドを実行します 

# gconftool-2 --type string --set /apps/nautilus/preferences/ show_icon_text never

または、次の手順を実行します 

  1. ファイルマネージャウィンドウで「編集」-> 「設定」を選択して、「プレビュー」を選択します

  2. 「アイコンにテキストを表示」設定のオプションを選択します

show_directory_item_counts

フォルダ内のアイテム数をいつ表示するかを指定します。フォルダ内の項目数を表示しない場合は、次のコマンドを実行します 

# gconftool-2 --type string --set /apps/nautilus/preferences/ show_directory_item_counts never

または、次の手順を実行します 

  1. ファイルマネージャウィンドウで「編集」-> 「設定」を選択して、「プレビュー」を選択します

  2. 「アイテム数のカウント」設定のオプションを選択します

show_image_thumbnails

イメージファイルのサムネイルをいつ表示するかを指定します。サムネイルを表示しない場合は、次のコマンドを実行します 

# gconftool-2 --type string --set /apps/nautilus/preferences/ show_image_thumbnails never

または、次の手順を実行します 

  1. ファイルマネージャウィンドウで「編集」-> 「設定」を選択して、「プレビュー」を選択します

  2. 「サムネイルの表示」設定のオプションを選択します

preview_sound

サウンドファイルの内容をいつプレビューするかを指定します。サウンドファイルの内容をプレビューしない場合は、次のコマンドを実行します 

# gconftool-2 --type string --set /apps/nautilus/preferences/preview_sound never

または、次の手順を実行します 

  1. ファイルマネージャウィンドウで「編集」-> 「設定」を選択して、「プレビュー」を選択します

  2. 「サウンドファイルをプレビュー」設定のオプションを選択します

サイド区画、ツールバー、ロケーションバーをオフにする

ファイルマネージャには、サイド区画とツールバーをオフにできる設定が含まれています。サイド区画とツールバーをオフにすると、ファイルマネージャのパフォーマンスが改善します。

サイド区画をオフにするには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/start_with_sidebar false

ツールバーをオフにするには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/start_with_toolbar false

ロケーションバーもオフに設定できます。Ctrl + L キーボードショートカットを使用して、ロケーションバーを必要に応じて表示できます。

ロケーションバーをオフにするには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/start_with_location_bar false

デスクトップ背景をオフにする

ファイルマネージャには、ファイルマネージャを使用してデスクトップ背景を管理できる設定が含まれています。デスクトップ背景を無効にすることで、パフォーマンスを改善できます。デスクトップ背景を無効にした場合、次の操作を行えません。

デスクトップ背景を無効にするには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/show_desktop false

省リソースモードを有効化して CPU 使用率を減らす

Metacity ウィンドウマネージャは、ウィンドウの移動およびサイズ変更の際にワイヤーフレームとしてウィンドウを描画するための、省リソースモードを備えています。省リソースモードがオンの場合、ウィンドウの移動やサイズ変更を行うと、ウィンドウの外枠のみが表示されます。移動またはサイズ変更中、ウィンドウの内容を更新する必要がないからです。ウィンドウの内容は、移動またはサイズ変更が終了すると表示されます。また、省リソースモードが有効な場合は、ウィンドウの移動およびサイズ変更時にウィンドウがアニメーション化されません。

省リソースモードを有効にするには、以下のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type bool --set /apps/metacity/general/reduced_resources true

Solaris システムで mediaLib ライブラリを使用する

mediaLibTM ライブラリは、共通のマルチメディア操作を高速化する関数の集まりです。mediaLib ライブラリがシステムにインストールされている場合、Java Desktop System はこのライブラリを使用します。Java Desktop System のパフォーマンス、特にファイルマネージャは、mediaLib ライブラリがインストールされていると著しく向上します。Java Desktop System では、mediaLib version 2.0 以降が必要です。

mediaLib ライブラリの入手方法およびインストール方法については、次の URL にある mediaLib の Web サイトを参照してください。

http://www.sun.com/processors/vis/mlib.html

X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックの低減

この節では、Java Desktop System で X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックを減少させる設定について説明します。

ネットワークトラフィックの少ないウィンドウフレームテーマオプションを使用する

リモートディスプレイプロトコルは、ピクセルブロック内のピクセルがすべて同じ色の場合、そのブロック内のすべてのピクセルを転送しません。

X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックを減らすには、単一色を使用するウィンドウフレームテーマオプションを使用します。つまり、次のいずれかのウィンドウフレームオプションを使用します。

テーマオプションの変更方法については、「CPU リソースをあまり必要としないウィンドウフレームオプションを使用する」を参照してください。

メニュー上のアイコンをオフにしてネットワークトラフィックを減らす

メニュー上のいくつかの項目は、その項目の横にアイコンが表示されます。アイコンが別のファイルシステム上にある場合、この機能が原因で X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックが増大します。また、パネルがリモートホスト上で表示される場合も、X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックが増大します。たとえば、Sun Ray サーバーでパネルを起動し、そのパネルを Sun Ray クライアント上で表示する場合です。

この機能を無効にする方法については、「メニュー上のアイコンをオフにして CPU 使用率を減らす」を参照してください。

省リソースモードを有効化してネットワークトラフィックを減らす

ウィンドウを表示するアプリケーションがリモートホストで実行されている場合は、省リソースモードを有効にすると X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックが減少します。

省リソースモードについては、「省リソースモードを有効化して CPU 使用率を減らす」を参照してください。

Solaris システムで色の使用を減らし表示品質を改善する

多くの現代のコンピュータシステムが 24 ビット色 (16,777,216 色) をサポートします。しかし、多くのユーザーが今だ 8 ビット色 (256 色) をサポートするシステムを使用しています。

Java Desktop System は、websafe カラーパレットを使用します。このパレットは 216 色の汎用パレットであり、8 ビット色をサポートするシステム上での色の使用を最適化するように設計されています。一方、 Java Desktop System の一部の視覚構成要素は、24 ビット色をサポートするシステム用に設計されています。

以下に示す表示上の問題が、8 ビットをサポートするシステムで発生する可能性があります。

このあとの節では、8 ビット色をサポートするシステムで、Java Desktop System デスクトップの外観を最適化する方法について説明します。

websafe カラーパレットを使用するテーマオプションを使用する

一部のウィンドウフレームテーマオプションは、websafe カラーパレット内の色を使用します。Bright と Esco は、websafe カラーパレットを使用します。Bright と Esco は、8 ビットのカラーディスプレイでのほかのウィンドウフレームオプションのように粒子が粗くありません。8 ビットのビジュアルモードでは、Bright または Esco を使用すると色がきれいに表示されます。

テーマオプションの変更方法については、「CPU リソースをあまり必要としないウィンドウフレームオプションを使用する」を参照してください。

メニュー上のアイコンをオフにして色の使用を減らす

メニュー上のいくつかの項目は、その項目の横にアイコンが表示されます。アイコンに websafe カラーパレットにはない色が含まれている場合、この機能によって使用される色の数が増えます。

この機能を無効にする方法については、「メニュー上のアイコンをオフにして CPU 使用率を減らす」を参照してください。

スプラッシュ画面をオフにして色の使用を減らす

スプラッシュ画面をオフにすると、 Java Desktop System およびアプリケーションが利用できる色が増えます。

スプラッシュ画面をオフにする方法については、「スプラッシュ画面をオフにして CPU 使用率を減らす」を参照してください。

デスクトップ背景に単一色を使用して色の使用を減らす

デスクトップ背景には単一色を使用します。単一色の使用により、Java Desktop System が使用する色の数が減ります。

デスクトップ背景に単一色をセットするには、次のコマンドを実行します。

# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/background/picture_options none

# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/background/color_shading_type solid

# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/background/primary_color \#hexadecimal-color

または、デスクトップの背景 設定ツールでデスクトップ背景の単一色を選択します。