Sun Java System Application Server 9.1 高可用性 (HA) 管理ガイド

HADB マシンの管理

HADB は、ミラーノードにデータをレプリケートすることによって耐障害性を実現します。『Sun Java System Application Server 9.1 配備計画ガイド』に説明されているように、本稼働環境では、ミラーノードはミラーリング対象のノードとは別個の DRU 上に配置されます。

障害とは、ハードウェアの故障、停電、オペレーティングシステムの再起動など予期しない出来事のことです。HADB は、単一の障害に対する耐性を備えています。したがって、単一のノード、ミラーノードペアを持たない単一のマシン、同一の DRU に属する 1 つ以上のマシン、単一の DRU 全体などが対象となります。しかし HADB は、二重障害、すなわち 1 つ以上のミラーノードペアで同時に起きた障害からは自動的に回復しません。二重障害が起きた場合は、HADB を解除してセッションストアを再作成する必要があり、このとき HADB のデータはすべて消去されます。

対象のマシンが 1 つか複数かに応じて、保守手順は異なります。

Procedure単一のマシンに対して保守を実行する

この手順は計画的な保守と予定外の保守の両方に適用でき、それによって HADB の利用が中断されることはありません。

  1. 保守手順を実行し、マシンを稼働状態にします。

  2. ma が実行中であることを確認します。

    ma が Windows サービスとして実行されているか、または init.d スクリプトの下で実行されている場合 (配備環境で推奨されている方法)、おそらくそれはオペレーティングシステムによって起動されています。そうでない場合は ma を手動で起動します。「管理エージェントの起動」を参照してください。

  3. マシン上のすべてのノードを起動します。

    詳細については、「ノードの起動」を参照してください。

  4. ノードがアクティブで実行状態であるかどうかを確認します。

    詳細については、「HADB の状態の取得」を参照してください。

Procedureすべての HADB マシンに対して計画的な保守を実行する

計画的な保守には、ハードウェアとソフトウェアのアップグレードなどの操作が含まれます。この手順によって HADB の利用が中断されることはありません。

  1. 1 つ目の DRU 内の各スペアマシンに対して、「単一のマシンに対して保守を実行する」で説明されている手順に従って、単一マシン用の手順を順番に繰り返します。

  2. 1 つ目の DRU 内のアクティブな各マシンに対して、「単一のマシンに対して保守を実行する」で説明されている手順に従って、単一マシン用の手順を順番に繰り返します。

  3. 2 番目の DRU に対して、ステップ 1 と 2 を繰り返します。

Procedureすべての HADB マシンに対して計画的な保守を実行する

この手順は、HADB が 1 つまたは複数のマシン上に配置されている場合に適用されます。保守手順の実行中は、HADB サービスが中断されます。

  1. HADB を停止します。「データベースの停止」を参照してください。

  2. 保守手順を実行し、すべてのマシンを稼働状態にします。

  3. ma が実行中であることを確認します。

  4. HADB を起動します。

    詳細については、「データベースの起動」を参照してください。

    最後のステップを完了したあとに、HADB はふたたび利用可能になります。

Procedure障害発生時に予定外の保守を実行する

  1. データベースの状態を確認します。

    「HADB の状態の取得」を参照してください。

    • データベースの状態が「稼働」またはそれよりよい場合は、次のようにします。

      予定外の保守を必要とするマシンに、ミラーノードは含まれません。DRU 別に、障害の発生した各マシンに対して、単一マシン用の保守手順を行います。HADB サービスは中断されません。

    • データベースの状態が「非稼働」の場合は、次のようにします。

      予定外の保守を必要とするマシンに、ミラーノードが含まれます。たとえば、HADB 全体が障害の発生した単一のマシンに置かれているようなケースです。まず、すべてのマシンを稼働状態にします。次に、HADB を解除して、セッションストアを再作成します。「データベースの解除」を参照してください。この手順により、HADB サービスは中断されます。

履歴ファイルの消去と保存

HADB 履歴ファイルには、すべてのデータベース操作とエラーメッセージが記録されます。HADB は既存の履歴ファイルの末尾に記録を追加していくため、時間の経過とともにファイルのサイズは大きくなります。ディスク容量を節約し、ファイルが大きくなりすぎないようにするために、履歴ファイルを定期的に消去および保存します。

データベースの履歴ファイルを消去するには、hadbm clearhistory コマンドを使用します。

コマンド構文は次のとおりです。

hadbm clearhistory  
[--saveto=path]  
[dbname]  
[--adminpassword=password | --adminpasswordfile=file]  
[--agent=maurl]

dbname オペランドにはデータベース名を指定します。デフォルトは hadb です。

--saveto オプション (省略形 -o) は、古い履歴ファイルを格納するディレクトリを指定します。このディレクトリには適切な書き込み権が必要です。その他のコマンドオプションの説明は、「一般的なオプション」を参照してください。

詳細については、hadbm-clearhistory(1)を参照してください。

hadbm create コマンドの --historypath オプションは、履歴ファイルの場所を特定します。履歴ファイルの名前は dbname.out.nodeno という形式です。hadbm createについては、「データベースの作成」を参照してください。

履歴ファイルの書式

履歴ファイルの各メッセージには、次の情報が含まれています。

リソースの不足に関するメッセージには、文字列「HIGH LOAD」が含まれています。

履歴ファイルに含まれるすべての項目に関する詳しい知識は必要ありません。何らかの理由で履歴ファイルを詳細に分析する必要がある場合には、Sun カスタマサポートにご連絡ください。