Sun Java System Application Server 9.1 配備計画ガイド

管理ドメイン

「管理ドメイン」(または単に「ドメイン」) は、まとめて管理されるサーバーインスタンスのグループです。1 つのサーバーインスタンスは単一の管理ドメインに属します。ドメイン内のインスタンスは、複数の異なる物理ホスト上で実行できます。

Application Server の 1 つのインストールから複数のドメインを作成できます。サーバーインスタンスをドメインにグループ化することにより、さまざまな組織および管理者が 1 つの Application Server インストールを共有できます。各ドメインには、固有の設定、ログファイル、およびアプリケーションの配備領域があり、これらはほかのドメインとは無関係です。あるドメインの構成を変更しても、ほかのドメインの構成には影響しません。同様に、あるドメインにアプリケーションを配備しても、そのアプリケーションがほかのドメインに配備されたり、ほかのドメインから認識可能になることはありません。管理者は常に 1 つのドメインに対する認証しか受けられず、そのドメイン上での管理しか実行できません。

ドメイン管理サーバー (DAS)

ドメインには 1 つのドメイン管理サーバー (DAS) があります。これは、管理アプリケーションのホストとなる、特別に設計されたアプリケーションサーバーインスタンスです。DAS は管理者を認証し、管理ツールからの要求を受け付け、ドメイン内のサーバーインスタンスと通信して要求を実行します。

管理ツールには、コマンド行ツールの asadmin と、ブラウザベースの管理コンソールがあります。Application Server では、サーバー管理のための JMX ベースの API も提供されます。管理者が同時に表示および管理できるのは 1 つのドメインのみであり、これによってセキュリティーで保護された分離が実現されています。

DAS のことを「管理サーバー」または「デフォルトサーバー」と呼ぶ場合もあります。DAS をデフォルトサーバーと呼ぶ理由は、一部の管理操作のデフォルトターゲットであるためです。

DAS はアプリケーションサーバーインスタンスであるため、テスト目的で Java EE アプリケーションをホストすることもできます。ただし、本番アプリケーションのホストを目的として DAS を使用しないでください。たとえば、本番アプリケーションをホストする予定のクラスタやインスタンスをまだ作成していない場合に、アプリケーションを DAS に配備することができます。

DAS は、各ドメインおよびすべての配備済みアプリケーションの設定を格納するリポジトリを保持します。DAS がアクティブでないか停止している場合、アクティブなサーバーインスタンスのパフォーマンスまたは可用性への影響はありませんが、管理上の変更は実行できません。状況によっては、セキュリティー上の理由から、本番構成を凍結することなどを目的として意図的に DAS プロセスを停止すると便利な場合があります。

ドメイン設定やアプリケーションをバックアップおよび復元するための管理コマンドが用意されています。標準のバックアップ手順および復元手順を使用して、作業中の構成を迅速に復元できます。DAS ホストで障害が発生した場合、以前のドメイン設定を復元するために新しい DAS インストールを作成する必要があります。手順については、『Sun Java System Application Server 9.1 管理ガイド』「ドメイン管理サーバーの再作成」を参照してください。

Sun Cluster Data Services は、DAS ホストの IP アドレスのフェイルオーバーと、グローバルファイルシステムの使用によって高可用性を実現します。このソリューションにより、多くの種類の障害に対してほとんど停止しないレベルの可用性が、DAS およびリポジトリに対して提供されます。Sun Cluster Data Services は、Sun Java Enterprise System に付属するか、または Sun Cluster とともに別途購入する形で提供されます。詳細は、Sun Cluster Data Services のマニュアルを参照してください。