Sun Java System Application Server 9.1 配備計画ガイド

可用性を向上させるためのクラスタの使用

もっとも基本的なレベルで言えば、クラスタとは、クライアントには 1 つのインスタンスとして見えるアプリケーションサーバーインスタンスのグループであり、たいていは複数の物理サーバー上にホストされています。これにより、水平方向のスケーラビリティーや、1 台のマシン上の 1 つのインスタンスより高い可用性が提供されます。この基本的なレベルのクラスタ分布が Application Server の HTTP ロードバランサプラグインと連携して動作します。このプラグインは、HTTP および HTTPS 要求を受け付け、それをクラスタ内のアプリケーションサーバーインスタンスの 1 つに転送します。また、ORB や、統合されている JMS ブローカも、アプリケーションサーバークラスタへの負荷分散を実行します。ネットワーク障害のためにインスタンスが失敗して使用不可になるか、または応答しなくなると、要求は既存の使用可能なマシンにのみリダイレクトされます。ロードバランサはまた、失敗したインスタンスが復旧したことを認識し、それに応じて負荷を再配分することもできます。

HTTP ロードバランサにはまた、サーバーや特定の URL を監視してそれらが使用可能かどうかを判定できる診断プログラムも用意されています。診断プログラムのオーバーヘッドを、それ自体が処理の大きな負荷にならないように慎重に管理してください。

状態を持たないアプリケーションや、低い値の単純なユーザートランザクションのみが含まれるアプリケーションには、たいてい、負荷分散された単純なクラスタがあれば十分です。状態のあるミッションクリティカルなアプリケーションに対しては、セッション持続性のために HADB を使用することを考慮してください。HADB の概要については、『Application Server 管理ガイド』の第 1 章「製品概念」にある 「高可用性データベース」を参照してください。

アプリケーションのオンラインアップグレードを実行するには、アプリケーションサーバーインスタンスを複数のクラスタにグループ化する方法が最適です。Application Server には、アプリケーションとインスタンスの両方を休止する機能があります。休止とは、インスタンス (またはインスタンスのグループ) あるいは特定のアプリケーションを、現在そのインスタンスまたはアプリケーションからサービスを受けているユーザーに影響を与えることなく、制御された方法でオフラインにする機能です。あるインスタンスが休止されると、新しいユーザーは、別のインスタンス上のアップグレードされたアプリケーションからサービスを受けます。この種類のアプリケーションアップグレードは、順次アップグレードと呼ばれます。生存中のアプリケーションのアップグレードの詳細については、『Sun Java System Application Server 9.1 高可用性 (HA) 管理ガイド』「可用性を低下させないアプリケーションのアップグレード」を参照してください。