Solaris 共通デスクトップ環境 上級ユーザ及びシステム管理者ガイド

アプリケーション・サービスの管理

この節では、次のコンポーネントの特定の構成要件について説明します。

また、ネットワーク・アプリケーションの次の 2 つの特殊構成に対するネットワーキング要件についても説明します。

検索パスの環境変数

アクション、データ型データベース、ヘルプ・ファイル、アイコン・ファイルなどのアプリケーション・デスクトップ構成ファイルを見つけるのに使用する検索パスを指定するために、デスクトップは環境変数セットを使用します。

検索パスの環境変数の使用方法の詳細は、第 9 章「デスクトップ検索パス」または dtenvvar(5) のマニュアル・ページを参照してください。

アプリケーション・サーバとそのクライアントの構成

標準アプリケーション・サーバ構成において、アプリケーション・サーバには、アプリケーションに関連付けられた次のようなバイナリ・ファイルと構成ファイルが入っています。

図 7–5 標準アプリケーション・サーバ構成

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アプリケーション・サーバを構成するには

  1. デスクトップが必要とするオペレーティング・システムのネットワーク構成を提供します。

    詳細は、デスクトップ用の基本オペレーティング・システムのネットワーキング構成を参照してください。

  2. サーバに対して必要な一般デスクトップ構成を提供します。

    詳細は、デスクトップのクライアントとサーバを構成するにはを参照してください。

  3. アプリケーションをインストールします。

  4. アプリケーションが自動的にそれ自身を登録しない場合は、登録手続きを実行しなければなりません。

    詳細は、第 5 章「アプリケーションの登録」を参照してください。

アプリケーション・サーバのクライアントを構成するには

  1. デスクトップが必要とするオペレーティング・システムのネットワーク構成を提供します。

    詳細は、デスクトップ用の基本オペレーティング・システムのネットワーキング構成を参照してください。

  2. クライアントに対して必要な一般デスクトップ構成を提供します。

    詳細は、デスクトップのクライアントとサーバを構成するにはを参照してください。

  3. システム共通か個人用かによって、アプリケーション・サーバをアプリケーション検索パスに追加します。

    システム共通 — DTSPSYSAPPHOSTS 変数を /etc/dt/config/Xsession.d/0010.dtpaths に設定します。

    個人用 — DTSPUSERAPPHOSTS 変数を HomeDirectory/.dtprofile に設定します。

たとえば、/etc/dt/config/Xsession.d/0010.dtpaths にある次の行は、SysAAASysBBB というホスト名が付いているシステムをアプリケーション検索パスに追加します。

export DTSPSYSAPPHOSTS=SysAAA:,SysBBB:

アプリケーション検索パスの設定の詳細は、次の節を参照してください。

データベース、アイコン、およびヘルプ・サービスの構成

通常は、アクションと、アプリケーションに関連付けられたデータ型定義、アイコン、ヘルプ・ファイルは、アプリケーションとして同じシステムにインストールされます。

たとえば、ヘルプのデータ・ファイルの一般的な構成について考えてみます。

ネットワークのどこかにデータベース (アクションとデータ型)、ヘルプ、またはアイコン・データを置きたい場合があるでしょう。たとえば、ネットワークが複数のセッション・サーバを使用する場合、デスクトップ・アプリケーション (ファイル・マネージャ、スタイル・マネージャなど) のすべてのへルプ・データ・ファイルが格納されているヘルプ・サーバを作成することをお勧めします。こうすると、ヘルプ・ファイルを各セッション・サーバで複製する必要がないので、ディスク・スペースを節約できます。

データベース・サーバ、ヘルプ・サーバ、またはアイコン・サーバを作成するには

  1. デスクトップが必要とするオペレーティング・システム・ネットワーク構成を提供します。

    詳細は、デスクトップ用の基本オペレーティング・システムのネットワーキング構成を参照してください。

  2. クライアントに対して必要な一般デスクトップ構成を提供します。

    詳細は、デスクトップのクライアントとサーバを構成するにはを参照してください。

  3. データベース・ファイル、ヘルプ・ファイル、またはアイコン・ファイルをインストールします。

    ファイルは、システムのどこにでも置くことができます。しかし、システムがアプリケーション・サーバを指定すると自動的に検索されるディレクトリがあるので、次の位置を使用するとより簡単になります。

    • データベース・ファイル: /etc/dt/appconfig/types/language

    • ヘルプ・ファイル: /etc/dt/appconfig/help/language

    • アイコン・ファイル: /etc/dt/appconfig/icons/language

    データベース・サーバを設定する場合、コマンド (EXEC_STRING) を実行する位置を指定するためにアクションに書き込む必要があります。詳細は、リモート実行ホストの指定を参照してください。

データベース・サーバ、アイコン・サーバ、またはヘルプ・サーバを見つけるためにセッション・サーバを構成するには

  1. デスクトップが必要とするオペレーティング・サーバ・ネットワーク構成を提供します。

    詳細は、デスクトップ用の基本オペレーティング・システムのネットワーキング構成を参照してください。

  2. クライアントに対して必要な一般デスクトップ構成を提供します。

    詳細は、デスクトップのクライアントとサーバを構成するにはを参照してください。

  3. データベース・サーバ、アイコン・サーバ、またはヘルプ・サーバを適切な検索パスに追加します。

    たとえば、ヘルプ・ファイルをシステム SysCCC にあるディレクトリ /etc/dt/help に格納した場合、次の行を /etc/dt/config/Xsession.d/0010.dtpaths に追加します。

       export DTSPSYSHELP=/net/SysCCC/etc/dt/help

検索パスの設定の詳細は、次の節を参照してください。

特殊ネットワーク・アプリケーション構成

この節では、次のようなアプリケーションを実行するためにシステムを構成する方法について説明します。

リモート実行ホストの指定

典型的なアプリケーション・サーバ構成では、アクション定義はアプリケーション実行可能ファイルと同じシステムにあります。しかし、アクションは他のシステムにあるコマンドを実行するために書き込むことができます。この構成では、アプリケーションが入っているシステムは「実行ホスト」と呼びます。

アクション定義は、セッション・サーバまたはセッション・サーバにアクションとデータ型のサービスを提供するシステムに置くことができます。このシステムを「データベース・サーバ」または「データベース・ホスト」と呼びます。

アクション定義は、コマンド (EXEC_STRING) を実行する位置を指定するために EXEC_HOST フィールドを使用します。たとえば次のアクション定義は、ホスト名が SysDDD であるシステムで xload クライアントが実行されるように指定します。

ACTION XloadSysDDD
 {	
 	TYPE			COMMAND
 	EXEC_HOST		SysDDD
 	EXEC_STRING		/usr/bin/X11/xload -label SysDDD
 }

EXEC_HOST フィールドが 2 つ以上のホスト名を指定する場合、デスクトップはアクションを実行できるホストを見つけるまで順番に各ホストで EXEC_STRING を実行しようとします。たとえば、次の EXEC_HOST フィールドはアクションが最初に SysDDD、失敗した場合は SysEEEEXEC_STRING を実行するように指定しています。

EXEC_HOST				SysDDD,SYSEEE

EXEC_HOST フィールドがアクション用に設定されていない場合、デフォルト値は %DatabaseHost% になります。%DatabaseHost% の値はデータ検索パスから取得されます。

たとえば、データベース検索パスは /etc/dt/config/Xsession.d/0010.dtpaths に次の行を追加することによって変更されたとします。

DTSPSYSDATABASEHOSTS=SysAAA:,/net/SysBBB/etc/dt/appconfig/types/C  

SysAAA は、ホスト修飾子構文を使用して指定されます。つまり SysAAA: になります。検索パスのこの要素を使用して見つけられるアクション定義は、データベース・ホストを SysAAA に設定します。しかし、検索パスの /net/SysBBB… 部分を使用して見つけられるアクションは、構文にはホスト修飾子が含まれていないのでデータベース・ホストにローカル・システムを設定します。

リモート実行ホストを構成するには

  1. デスクトップが必要とするオペレーティング・システムのネットワーク構成を提供します。

    詳細は、デスクトップ用の基本オペレーティング・システムのネットワーキング構成を参照してください。

  2. サーバに対して必要な一般デスクトップ構成を提供します。

    詳細は、デスクトップのクライアントとサーバを構成するにはを参照してください。

  3. アプリケーションをローカル実行のために適切な方法で確実にインストールし構成します。

アクション定義が入っているシステムを構成するには

  1. デスクトップが必要とするオペレーティング・システム・ネットワーク構成を提供します。

    詳細は、デスクトップ用の基本オペレーティング・システムのネットワーキング構成を参照してください。

  2. サーバに対して必要な一般デスクトップ構成を提供します。

    詳細は、デスクトップのクライアントとサーバを構成するにはを参照してください。

  3. アクション定義とアプリケーション・グループを作成しインストールします。

    詳細は、リモート・システムでアプリケーションを実行するアクションの作成一般アプリケーション・グループの作成と管理を参照してください。

セッション・サーバを構成するには

  1. デスクトップが必要とするオペレーティング・システム・ネットワーク構成を提供します。

    詳細は、デスクトップ用の基本オペレーティング・システムのネットワーキング構成を参照してください。

  2. クライアントに対して必要な一般デスクトップ構成を提供します。

    詳細は、デスクトップのクライアントとサーバを構成するにはを参照してください。

  3. データベース・ホストを組み込むためにアクション検索パスを変更します。

    詳細は、データベース (アクションとデータ型) 検索パスを参照してください。

  4. 実行ホストを組み込むためにアプリケーション検索パスを変更します。

    詳細は、アプリケーション検索パスを参照してください。

アプリケーションをローカルに実行

標準アプリケーション・サーバ構成は、アプリケーション・サーバでアプリケーションを実行します。リモート・システムにアプリケーションをインストールし、セッション・サーバでローカルに実行する方が望ましいこともあります。

図 7–6 マウント・ポイントでの実行

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アプリケーション・サーバを構成するには

特別な構成は必要ありません。

セッション・サーバを構成するには

    アプリケーション検索パスを変更します。アプリケーションへのローカル絶対パスを使用します。

たとえば、sysAAA に登録されたアプリケーションを見つけるには、次の変数定義を使用します。

DTSPSYSAPPHOSTS=/net/SysAAA/etc/dt/appconfig/appmanager/C

セッション・サーバは、app-defaults、メッセージ・カタログ、共有ライブラリなどのアプリケーションの構成ファイルにアクセスできなければなりません。