特定の記憶方式を実装する前に、どのような記憶デバイスを使用するかを決める必要があります。この一連の指針では、選択が容易になるように、各種の記憶装置を比較します。Solaris ボリュームマネージャで実装する場合、記憶装置のタイプごとに適用される指針がほかにもあります。詳細は、個々のボリュームタイプに関する章を参照してください。
下記の記憶装置のタイプは、排他的ではありません。つまり、これらのボリュームを組み合わせて使用することによって、複数の目的を達成することができます。たとえば、まず、RAID-1 ボリュームを作成して冗長性を確保します。次に、RAID-1 ボリューム上にソフトパーティションを作成すると、独立したファイルシステムの数を増やすことができます。
次の表で、記憶装置のタイプ別に使用できる機能を比較します。
表 2–1 記憶装置のタイプ別比較
要件 |
RAID-0 (連結) |
RAID-0 (ストライプ) |
RAID-1 (ミラー) |
RAID-5 |
ソフトパーティション |
---|---|---|---|---|---|
データの冗長性 |
不可 |
不可 |
可能 |
可能 |
不可 |
読み取り性能の改善 |
不可 |
可能 |
使用するデバイスによって異なる |
可能 |
不可 |
書き込み性能の改善 |
不可 |
可能 |
不可 |
不可 |
不可 |
デバイス当たり 8 個以上のスライスの作成 |
不可 |
不可 |
不可 |
不可 |
可能 |
使用可能な記憶装置の増加 |
可能 |
可能 |
不可 |
可能 |
不可 |
次の表に、RAID-1 と RAID-5 のボリュームについて、書き込み操作、ランダムな読み取り、ハードウェアコストのトレードオフの概略を示します。
表 2–2 冗長性の最適化
RAID-1 (ミラー) |
RAID-5 |
|
---|---|---|
書き込み操作 |
高速 |
低速 |
ランダム読み込み |
高速 |
低速 |
ハードウェアコスト |
高い |
少ない |
表の情報について簡単に説明します。
RAID-0 ボリューム (ストライプ方式および連結方式) とソフトパーティションは、データの冗長性を提供しません。
連結は、小規模なランダム入出力操作に適しています。
ストライプ化は、大規模な順次入出力操作や、ランダムな入出力操作に適しています。
読み取り- 変更- 書き込みという RAID-5 ボリュームの性質上、書き込みが 20 パーセントを超えるボリュームでは、RAID-5 を使用してはなりません。冗長性が必要な場合は、ミラー化を検討してください。
RAID-5 の書き込み性能は、ミラー化の書き込み性能よりも常に低くなります。ミラー化の書き込みは、書き込みを保護しない方式よりも常に低速です。
ソフトパーティションは、非常に大規模な記憶デバイスの管理に有効です。
Solaris ボリュームマネージャを使用して冗長性を備えたデバイスをサポートする方法については、これらの一般的な記憶方式のほかにも、「ホットスペア集合」を参照してください。