Oracle Solaris ZFS ルートファイルシステムからのブートが、Oracle Solaris でサポートされるようになりました。インストールソフトウェアには、ZFS ルートを含むシステムのアップグレードやパッチ適用のサポートも含まれています。ブート方法、システム操作、およびインストール手順は、この変更をサポートするように修正されました。ブートに関する変更には、SPARC プラットフォームでの新しいブートアーキテクチャーの実装があります。新しい SPARC ブート設計では、Solaris x86 ブートアーキテクチャーとの共通性を高める機能強化が行われています。
この機能を使用する前に、『Oracle Solaris 10 9/10 ご使用にあたって』で既知の問題に関する情報を確認してください。
用語の完全なリストなど、Oracle Solaris ZFS の詳細は、『Oracle Solaris ZFS 管理ガイド』の「ZFS の用語」を参照してください。
Oracle Solaris の新規インストールを実行する前、または Oracle Solaris Live Upgrade を使って UFS ルートファイルシステムを Oracle Solaris ZFS ルートファイルシステムに移行する前に、次の要件が満たされていることを確認してください。
Solaris リリース情報
Oracle Solaris ZFS·ルートファイルシステムからインストールやブートを行う機能は、Solaris 10 10/09 リリースから使用できます。Oracle Solaris Live Upgrade の操作を実行して ZFS ルートファイルシステムに移行するには、Solaris 10 10/09 リリースをインストールしておくか、そのリリースにアップグレードしておく必要があります。
Oracle Solaris ZFS ストレージプールの容量要件:
スワップデバイスとダンプデバイスは ZFS ルート環境で共有されないため、ブート可能な ZFS ルートファイルシステムに必要なプールの最小容量は、ブート可能な UFS ルートファイルシステムの場合よりも大きくなります。
スワップボリュームのサイズは物理メモリーのサイズの 1/2 (ただし 2G バイト以下かつ 512M バイト以上) として計算されます。ダンプボリュームのサイズは、dumpadm の情報と物理メモリーのサイズに基づいて、カーネルによって計算されます。新しいサイズがシステムの運用をサポートする限り、Oracle Solaris JumpStart プロファイルで、または最初のインストール時に、スワップボリュームとダンプボリュームのサイズを好きなサイズに調整できます詳細は、『Oracle Solaris ZFS 管理ガイド』の「スワップデバイスおよびダンプデバイスの ZFS サポート」を参照してください。
Oracle Solaris ZFS ルートファイルシステムからのブート動作は、UFS ファイルシステムからブートする場合とは異なります。ZFS はインストールやブートに新しい概念をいくつか適用するため、システムのブートに関する基本的な管理業務がいくつか変更されました。ZFS ルートファイルシステムからのブートと UFS ルートファイルシステムからのブートのもっとも重要な違いは、ZFS からのブートでは、デバイス識別子がルートファイルシステムを一意に特定しないことです。これはつまり、ブート環境 (BE) であると言えます。ZFS を使用した場合は、デバイス識別子によって「ストレージプール」が一意に識別されます。ストレージプールには、複数のブート可能データセット (ルートファイルシステム) が含まれていることがあります。そのため、ブートデバイスを指定するほかに、ブートデバイスによって識別されるプール内のルートファイルシステムも指定する必要があります。
x86 システムでは、GRUB によって識別されるブートデバイスに ZFS ストレージプールが含まれている場合、GRUB メニューの作成に使われる menu.lst ファイルがそのプールのデータセット階層のルートにあるデータセットに格納されています。このデータセットには、プールと同じ名前が付いています。各プールにそのようなデータセットが 1 つあります。
「デフォルトのブート可能データセット」は、ブート時にマウントされ、ルートプールの bootfs プロパティーによって定義される、プールのブート可能データセットです。ルートプール内のデバイスがブートすると、このプロパティーによって指定されるデータセットがルートファイルシステムとしてマウントされます。
新しい bootfs プールプロパティーは、指定されたプールのデフォルトのブート可能データセットを指定するためにシステムが使用するメカニズムです。ルートプール内のデバイスが起動すると、デフォルトでルートファイルシステムとしてマウントされるデータセットは bootfs プールプロパティーによって識別されるデータセットになります。
SPARC システムでは、boot コマンドの新しい -Z dataset オプションを使用することで、デフォルトの bootfs プールプロパティーが上書きされます。
x86 システムでは、ブート時に GRUB メニューで代替ブート環境を選択することで、デフォルトの bootfs プールプロパティーが上書きされます。
SPARC プラットフォームでは、次の 2 つのブートオプションが新たに追加されました。
-L オプション。システム上の使用可能なすべての BE のリストを表示します。
ok boot -L |
-L オプションは、ok プロンプトから実行されます。このオプションは、システム上の使用可能な BE のリストを表示するだけです。システムをブートするには、- Z ブートオプションを使用します。
-Z オプション。boot コマンドでこのオプションを使用すると、bootfs プールプロパティーによって指定されるデフォルトのデータセット以外のブート可能データセットを指定できます。
ok boot -Z dataset |
ZFS ブートローダーを備えたデバイスで -L オプションを使用したときに表示される BE のリストは、当該システムで使用可能な menu.lst エントリを反映しています。使用可能な BE のリストのほかに、BE を選択する方法や -Z オプションを使ってシステムをブートする方法も表示されます。メニュー項目の bootfs 値によって指定されたデータセットは、ブーターによって読み込まれる後続のすべてのファイル (/etc ディレクトリに格納されているブートアーカイブや各種の構成ファイルなど) に使用されます。その後、このデータセットはルートファイルシステムとしてマウントされます。
手順については、「SPARC システムで指定した ZFS ルートファイルシステムからブートする」を参照してください。
x86 プラットフォームでは、新しい GRUB キーワード $ZFS-BOOTFS が導入されました。x86 システムのブート時に、GRUB メニューエントリに対応するルートファイルシステムが ZFS データセットである場合は、GRUB メニューエントリに、デフォルトで -$ZFS-BOOTFS トークンを持つ B オプションが含まれます。ZFS ブートローダーをサポートするリリースをインストールする場合は、GRUB menu.lst ファイルがこの情報で自動的に更新されます。デフォルトのブート可能データセットは、bootfs プロパティーによって識別されます。
ZFS ブートローダーをサポートするリリースが稼働する x86 システムでは、この情報は GRUB menu.lst ファイルに組み込まれます。
ZFS からシステムをブートする手順については、「x86: x86 システムで指定した ZFS ルートファイルシステムからブートする」を参照してください。