Solaris のシステム管理 (基本編)

regadm コマンドを使用した自動登録機能の構成

regadm コマンドを使用して、自動登録を構成したり、構成の詳細を表示したりできます。システムを登録する前に、認証などの特定の構成タスクを実行する必要があります。詳細は、「登録前に実行する必要のあるタスク」を参照してください。

表 17–2 自動登録プロパティーの構成 (作業マップ)

作業 

説明 

参照先 

現在の自動登録構成を表示します。 

regadm list コマンドを使用して、現在の自動登録構成を表示します。このコマンドにより、ユーザーアカウント資格およびネットワーク接続情報が表示されます。

「現在の自動登録構成を表示する」

現在の自動登録構成を消去します。 

regadm clear コマンドを使用して、現在の自動登録構成をリセットします。この処理により、プロパティーがすべて消去されることに留意してください。

「現在の自動登録構成を消去する方法」

HTTP プロキシとポート設定を構成します。 

regadm set コマンドを使用して、ネットワーク接続情報を構成します。

「HTTP プロキシとポートを設定する方法」

HTTP プロキシ認証設定を構成します。 

サイトのポリシーおよび要件ごとに HTTP プロキシ認証設定を構成する場合にも regadm set コマンドを使用します。

「HTTP プロキシ認証を構成する方法」

My Oracle Support で名前付きの資格を指定して、特定のユーザーまたはアカウントを認証します。 

登録済みのシステムを特定のユーザーまたはアカウントに関連付ける場合には、regadm auth コマンドを使用します。

「名前付きサポート資格を指定してユーザーを認証する方法」

登録前に実行する必要のあるタスク

regadm コマンドを使用したシステムの登録プロセスには、登録前の情報収集、および特定タスクの実行が含まれます。次にタスクフローを示します。

  1. HTTP プロキシ情報を、必要に応じ、サイトポリシーごとに構成します。

  2. HTTP プロキシ認証を、必要に応じ、サイトポリシーごとに構成します。

    HTTP プロキシ設定の構成については、「自動登録プロパティーを構成する」を参照してください。

  3. 登録方法を選択します。

    登録方法は、名前付きのサポート資格を指定する方法と、匿名で登録する方法があります。

現在の自動登録構成を表示する

現在認証されているユーザー名とネットワーク接続情報をを表示するには、regadm list コマンドを次のように使用します。


# regadm list

構成のプロパティー設定をすべてリセットする必要がある場合は、regadm clear コマンドを使用します。詳細は、「現在の自動登録構成を消去する方法」を参照してください。

次に、さまざまな種類の自動登録構成の例を示します。


例 17–1 認証済みユーザー (プロキシなし)


# regadm list
        My Oracle Support username      user@example.com
        HTTP Proxy                      <not configured>
        HTTP proxy port                 <not configured>
        HTTP proxy user                 <not configured>
        HTTP proxy password             <not configured>


例 17–2 認証済みユーザー (オープンプロキシ、認証なし)


# regadm list
        My Oracle Support username      user@example.com
        HTTP Proxy                      webproxy.example.com
        HTTP proxy port                 8080
        HTTP proxy user                 <not configured>
        HTTP proxy password             <not configured>


例 17–3 認証済みユーザー (認証の必要なプロキシ)


# regadm list
        My Oracle Support username      user@example.com
        HTTP Proxy                      webproxy.example.com
        HTTP proxy port                 8080
        HTTP proxy user                 webuser
        HTTP proxy password             ******

Procedure現在の自動登録構成を消去する方法

現在の構成を消去すると、すべての自動登録プロパティーがデフォルトに設定されます。この操作は、ファクトリリセットを実行した場合と基本的に同じ効果が得られます。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. 現在の自動登録構成をリスト表示します。


    # regadm list
    
  3. 現在の自動登録構成を消去します。


    # regadm clear
    
  4. 現在の構成が消去されたことを確認します。


    # regadm list
    

    すべてのプロパティー値のデフォルト設定が、出力に表示されます。デフォルトのプロパティー値は not configured です。


例 17–4 現在の自動登録構成を消去する

次の例では、regadm clear コマンドを使って現在の自動登録構成のプロパティー値を消去します。


# regadm list
        My Oracle Support username      user@example.com
        HTTP Proxy                      webproxy.example.com
        HTTP proxy port                 8080
        HTTP proxy user                 webuser
        HTTP proxy password             ******
# regadm clear
# regadm list
        My Oracle Support username      <not configured>
        HTTP Proxy                      <not configured>
        HTTP proxy port                 <not configured>
        HTTP proxy user                 <not configured>
        HTTP proxy password             <not configured>

自動登録プロパティーを構成する

regadm コマンドを使用して、次の自動登録プロパティーを構成できます。

以前に設定した HTTP プロキシとポートを、regadm clear コマンドを使って直接ネットワーク接続に変更またはリセットできます。手順については、「現在の自動登録構成を消去する方法」を参照してください。

ProcedureHTTP プロキシとポートを設定する方法

以前に直接ネットワーク接続を使ってシステムを登録した場合、または新たな登録を実行する場合、システムを登録する前に HTTP プロキシとポートの設定が必要になることがあります。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. HTTP プロキシを設定します。


    # regadm set -n http_proxy -v webproxy-host
    

    Web プロキシは、IP アドレス、完全指定でないホスト名、または完全指定のホスト名の場合があります。

  3. HTTP ポートを設定します。


    # regadm set -n http_port -v port-number
    

ProcedureHTTP プロキシ認証を構成する方法

サイトで HTTP プロキシ認証が実装されている場合は、HTTP プロキシ認証設定 (ユーザー名とパスワード) も構成する必要があります。パスワードをテキストファイル内で 1 行で指定して、regadm コマンドに渡す必要があります。次の手順は、パスワードファイルをその使用中に保護する方法を示します。regadm コマンドの実行後、ただちにこのファイルを削除してください。

regadm コマンドがパスワードファイルを受け付けるのは、次の 2 つの場合です。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. HTTP プロキシのユーザー名を設定します。


    # regadm set -n http_proxy_user -v webuser
    

    webuser には、HTTP プロキシサーバーでのユーザー認証に使用する、サイトで指定された値を設定します。

  3. 一時パスワードファイルを作成します。


    # touch pwfile
    
  4. ファイルのアクセス権をセキュリティー保護します。


    # chmod 600 pwfile
    
  5. テキストエディタを使用して一時パスワードファイルを編集し、パスワード情報を含む 1 行のエントリを挿入します。

  6. HTTP パスワード認証情報を設定します。


    # regadm set -n http_proxy_pw -v pwfile
    

    pwfile には、手順 3 で作成したパスワードファイルを指定します。

  7. パスワードファイルを削除します。


    # rm pwfile
    

例 17–5 HTTP プロキシ認証設定を構成する

次の例は、認証に HTTP ユーザー名とパスワードを必要とするサイトの HTTP 認証プロパティーの構成方法を示します。


# regadm set -n http_proxy_user -v webuser
# touch myhttppasswd
# chmod 600 myhttppasswd
# vi myhttppasswd
.
.
.

# regadm set -n http_proxy_pw -v myhttppasswd
# rm myhttppasswd


例 17–6 HTTP プロキシネットワーク構成から直接接続に切り替える

ネットワーク接続を直接接続に切り替える場合は、次の例に示すように、すべての HTTP プロキシ設定を null 値 (not configured) にする必要があります。


# regadm set -n http_proxy ""
# regadm set -n http_proxy_port ""
# regadm set -n http_proxy_user ""
# regadm set -n http_proxy_pw ""
# regadm list
        My Oracle Support username      <not configured>
        HTTP Proxy                      <not configured>
        HTTP proxy port                 <not configured>
        HTTP proxy user                 <not configured>
        HTTP proxy password             <not configured>

名前付きサポート資格を指定してユーザーを認証する

システムの製品を登録する前に、有効な My Oracle Support 資格または有効な Sun Online アカウント資格を指定して、ユーザーまたはアカウントを認証する必要があります。サポート資格を指定しない場合、匿名の My Oracle Support アカウントを使ってシステムが登録されます。regadm コマンドと auth サブコマンドを対話的または非対話的に使用して、Oracle 製品登録システムで自分自身を認証できます。


注 –

regadm register コマンドを使って登録を実行する前に、認証を行う必要があります。


次に示すように、regadm auth コマンドを -u および - p オプションと組み合わせて使用します。


# regadm auth -u username -p pwfile

-u オプションでは、有効なユーザー名を指定します。-p オプションでは、ユーザーアカウントのパスワード情報を含むファイルを指定します。

パスワードファイルは 1 行のファイルで、これに regadm コマンドに渡す資格を作成して追加します。パスワードファイルの内容は非公開です。セキュリティー上の理由で、情報を regadm コマンドに渡し、認証に成功したなら、このファイルをただちに削除してください。


注 –

成功した認証はリブート後も持続するため、指定する必要があるのは 1 回だけです。 認証は、インストール前またはインストール中に行うか、インストール後に regadm auth コマンドを使って行えます。パスワードがシステムに保存されることはありません。認証が成功したあとも維持されるのは、不透明なトークンだけです。


Procedure名前付きサポート資格を指定してユーザーを認証する方法

My Oracle Support でユーザーを認証する場合、regadm auth コマンドを対話的または非対話的に使用できます。次の手順に、このコマンドを非対話的に使用する方法を示します。次の例は、このコマンドを両方のモードで実行する方法を示しています。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. 一時パスワードファイルを作成します。


    # touch pwfile
    
  3. ファイルのアクセス権をセキュリティー保護します。


    # chmod 600 pwfile
    
  4. テキストエディタを使って、作成したばかりの一時パスワードファイルを編集します。パスワード情報を含む 1 行のエントリを挿入します。

  5. My Oracle Support で、名前付きサポート資格を指定して認証を行います。


    # regadm auth -u user@example.com -p pwfile
    

    user@example.com には My Oracle Support または Sun Online アカウントのユーザー名を、pwfile には手順 2 で作成したパスワードファイルをそれぞれ指定します。

    認証が成功した、または失敗したことを示すメッセージが表示されます。

  6. 次のいずれかを実行します。

  7. 一時パスワードファイルを削除します。


    # rm pwfile
    

例 17–7 名前付きサポート資格を使ってユーザーを認証する (非対話型)


# touch mospwfile
# chmod 600 mospwfile
# vi mospwfile
.
.
.
# regadm auth -u jdoe@mycompany.com -p mospwfile
Authenticating "jdoe@mycompany.com" with My Oracle Support
Authentication sucessful

You can now register this system with My Oracle Support
via "regadm register"
# rm mospwfile


例 17–8 名前付きサポート資格を使ってユーザーを認証する (対話型)


# regadm auth
Enter your My Oracle Support username: jdoe@mycompany.com
Enter password:
Enter password again:
Authenticating "jdoe@mycompany.com" with My Oracle Support
Authentication successful

You can now register this system with My Oracle Support
via "regadm register"