Solaris のシステム管理 (上級編)

第 3 章 サービスアクセス機能によるシリアルポートの管理 (手順)

この章では、サービスアクセス機能 (SAF) によるシリアルポートサービスの管理方法を説明します。

さらに、サービス管理機能 (SMF) を使用してコンソールを管理する方法についても説明します。


注 –

SAF と SMF は、Oracle Solaris OS で使用される 2 つの異なるツールです。Oracle Solaris 10 より、システムコンソールでの ttymon の起動は SMF により管理されるようになりました。SAF は、現バージョンでも端末、モデム、その他のネットワーク装置を管理するためのツールとして使用されます。


この章の内容は以下のとおりです。

シリアルポートを管理する手順については、以下を参照してください。

SAF の参照情報については、「サービスアクセス機能の管理 (リファレンス)」を参照してください。

シリアルポートの管理 (作業マップ)

作業 

説明 

参照先 

コンソール管理を行います。 

次のコンソール管理作業を行う必要があります。  

  • ttymon コンソールの端末タイプを設定します。

    Oracle Solaris 10 からは、svccfg コマンドを使用して ttymon コンソールの端末タイプを指定する必要があります。

  • ttymon コンソールの端末ボーレート速度を設定します。

 

ttymon コンソールの端末タイプを設定する方法」

 

ttymon コンソールの端末でボーレート速度を設定する方法」

ttymon ポートモニターを追加します。

sacadm コマンドを使用して ttymon ポートモニターを追加します。

ttymon ポートモニターを追加する方法」

ttymon ポートモニターの状態を表示します。

sacadm コマンドを使用して ttymon ポートモニターの状態を表示します。

ttymon ポートモニターの状態を表示する方法」

ttymon ポートモニターを停止します。

sacadm コマンドを使用して ttymon ポートモニターを停止します。

ttymon ポートモニターを停止する方法」

ttymon ポートモニターを起動します。

sacadm コマンドを使用して ttymon ポートモニターを起動します。

ttymon ポートモニターを起動する方法」

ttymon ポートモニターを無効にします。

sacadm コマンドを使用して ttymon ポートモニターを無効にします。

ttymon ポートモニターを無効にする方法」

ttymon ポートモニターを有効にします。

sacadm コマンドを使用して ttymon ポートモニターを有効にします。

ttymon ポートモニターを有効にする方法」

ttymon ポートモニターを削除します。

sacadm コマンドを使用して ttymon ポートモニターを削除します。

ttymon ポートモニターを削除する方法」

サービスアクセス機能 (SAF) の概要

Solaris 管理コンソールのシリアルポートツールまたは SAF コマンドを使用して、端末とモデムを設定することができます。

SAF は、端末、モデム、およびその他のネットワークデバイスを管理するためのツールです。SAF プログラムの最上位には、サービスアクセスコントローラ (SAC) があります。SAC は、sacadm コマンドを使用して管理するポートモニターを制御します。各ポートモニターは 1 つ以上のポートを管理できます。

管理者は pmadm コマンドを使用して、ポートに対応するサービスを管理します。SAC が提供するサービスはネットワークによって異なりますが、SAC と管理コマンド sacadmpmadm はネットワークには依存しません。

次の表に SAF の制御階層を示します。sacadm コマンドを使用すると、ttymon および listen ポートモニターを制御する SAC を管理できます。

一方、 ttymonlisten のサービスは pmadm コマンドによって制御されます。ttymon の 1 つのインスタンスは複数のポートにサービスを提供できます。また、listen の 1 つのインスタンスは、ネットワークインタフェース上で複数のサービスを提供できます。

表 3–1 SAF の制御階層

機能 

プログラム 

説明 

全体の管理 

sacadm

ポートモニターの追加および削除用コマンド 

サービスアクセスコントローラ 

sac

SAF のマスタープログラム 

ポートモニター 

ttymon

listen

シリアルポートのログイン要求を監視します 

ネットワークのサービス要求を監視します 

ポートモニターサービスの管理 

pmadm

ポートモニターのサービス制御用コマンド 

サービス 

ログイン、リモートプロシージャーコール 

SAF がアクセスを可能にするサービス 

コンソールの管理 

コンソールログイン 

コンソールサービスは SMF サービス (svc:/system/console-login:default ) で管理されます。このサービスは、ttymon ポートモニターを起動します。pmadm コマンドや sacadm コマンドを使用してコンソールを管理しないでください。詳細は、ttymon とコンソールポート」ttymon コンソールの端末タイプを設定する方法」、および ttymon コンソールの端末でボーレート速度を設定する方法」を参照してください。

SAF 全体の管理 (sacadm)

sacadm コマンドは、SAF の上位レベルにあります。sacadm コマンドは主に、ttymon および listen などのポートモニターを追加または削除するのに使用します。sacadm にはそれ以外に、ポートモニターの現在の状態の表示、ポートモニターの構成スクリプトの管理などの機能があります。

サービスアクセスコントローラ (SAC プログラム)

サービスアクセスコントローラ (SAC) プログラムは、すべてのポートモニターを監視します。システムはマルチユーザーモードになると自動的に SAC を起動します。

SAC プログラムは、起動されるとまず、各システムの構成スクリプトを探して解釈します。構成スクリプトを使用すると、SAC プログラムの環境をカスタマイズできます。このスクリプトは、デフォルトでは空の状態です。ここで行われる SAC の環境に対する変更は、SAC のすべての「子プロセス」に継承されます。継承された環境は継承した子プロセスで変更できます。

SAC プログラムは、システムごとの構成スクリプトの解釈が終わると、 SAC プログラムの管理ファイルを読み取り、指定されたポートモニターを起動します。各ポートモニターについて、SAC プログラムはそれ自身のコピーを実行します (技術的には、SAC が子プロセスをフォークします)。次に、各子プロセスは、それぞれのポートモニターごとの構成スクリプトがあればそれを解釈します。

各ポートモニターの構成スクリプトに指定されている環境を変更すると、それぞれのポートモニターが影響を受け、さらにそれがポートモニターのすべての子プロセスに継承されます。最後に、子プロセスは、SAC プログラム管理ファイル内のコマンドを使用して、ポートモニタープログラムを実行します。

SAC の初期化プロセス

次に、SAC を初めて起動したときの一連の処理を要約します。

  1. SAC プログラムは、SMF サービス (svc:/system/sac:default) によって起動されます。

  2. SAC プログラムがシステムごとの構成スクリプト/etc/saf/_sysconfigを読み取ります。

  3. SAC プログラムが SAC 管理ファイル /etc/saf/_sactab を読み取ります。

  4. SAC プログラムが起動する各ポートモニターの子プロセスをフォークします。

  5. 各ポートモニターがポートモニターごとの構成スクリプト /etc/saf/pmtag/_config を読み取ります。

ポートモニターサービス管理 (pmadm)

pmadm コマンドを使用すると、ポートモニターのサービスを管理できます。pmadm コマンドは特にサービスを追加または削除したり、サービスを有効または無効にしたりする場合に使用します。このコマンドでは、さらに、各サービスの構成スクリプトをインストールしたり置き換えたり、サービスに関する情報を出力したりすることもできます。

サービスの各インスタンスは、ポートモニター別、ポート別に一意に識別できなければなりません。pmadm コマンドを使用してサービスを管理する場合、pmtag 引数で特定のポートモニターを、また svctag 引数で特定のポートをそれぞれ指定します。

ポートモニターのタイプごとに、SAF はポートモニター固有の構成データのフォーマットを定義するための特別なコマンドを必要とします。このデータは pmadm コマンドで使用します。ttymon および listen ポートモニター用の特別なコマンドは、それぞれ ttyadmnlsadmin です。

ttymon ポートモニター

直結モデムまたは文字端末を通してログインしようとするたびに、ttymon は動作を開始します。まず、SAC プロセスが SMF によって起動されます。SAC が起動されると、今度は SAC がその管理ファイル (/etc/saf/_sactab) に指定されているポートモニターを自動的に起動します。ttymon ポートモニターは起動されると、シリアルポート回線を監視してサービス要求がないかどうかを調べます。

英数字端末またはモデム経由でログインが試行されると、シリアルポートドライバはその操作をオペレーティングシステムに渡します。ttymon ポートモニターはシリアルポートの操作を監視し、通信リンクを確立しようとします。ttymon ポートモニターは、装置との通信に必要なデータ転送速度、回線制御手順、およびハンドシェークプロトコルを決定します。

モデムや端末との通信用の正しいパラメータの設定が終わると、 ttymon ポートモニターはそれらのパラメータをログインプログラムに渡し、制御を移します。

ポートの初期化プロセス

ttymon ポートモニターのインスタンスが SAC によって実行されると、ttymon はポートの監視を始めます。ttymon ポートモニターは、ポートごとに、回線制御手順が指定されていればその手順を最初に初期化し、次に回線速度と端末の設定を初期化します。初期化に使用される値は、/etc/ttydefs の該当するエントリから得られます。

ttymon ポートモニターは、次に、プロンプトを表示してユーザーからの入力を待ちます。ユーザーが Break キーを押して回線速度が不適当であるという指示を与えると、ttymon ポートモニターは次の速度を設定して、再びプロンプトを表示します。

自動ボーレート」がポートで有効な場合は、 ttymon ポートモニターはそのポートのボーレートを自動的に決めようとします。ttymon ポートモニターがボーレートを認識してプロンプトを表示する前に、ユーザは Return キーを押す必要があります。

有効な入力を受け取ると、ttymon ポートモニターは次のタスクを実行します。

サービスが終了すると、ttymon ポートモニターは、/etc/utmpx エントリがあれば削除し、ポートを初期状態に戻します。

発着信両用サービス

ポートが発着信両用サービスに設定されている場合、ttymon ポートモニターは次のように動作します。

TTY モニターとネットワークリスナーポートモニター

SAF は、将来のポートモニターや他社製のポートモニターに対応するために一般的な管理方法を提供していますが、Oracle Solaris リリースでは ttymonlisten の 2 つのポートモニターだけが実装されています。

TTY ポートモニター (ttymon)

ttymon ポートモニターは、STREAMS をベースにしており、以下を実行します。

ttymon ポートモニターは、以前のバージョンの SunOS 4.1 ソフトウェアの getty ポートモニターと同じサービスを ユーザーに提供します。

ttymon ポートモニターは SAC プログラムで実行され、sacadm コマンドを使用して構成します。ttymon の各インスタンスはそれぞれに複数のポートを監視できます。それらのポートはポートモニターの管理ファイル内に指定します。この管理ファイルは pmadm コマンドおよび ttyadm コマンドを使用して構成します。

ttymon とコンソールポート

コンソールサービスは、サービスアクセスコントローラや、明示的な ttymon 管理ファイルによって管理されるわけではありません。ttymon の呼び出しは SMF によって管理されます。そのため、 /etc/inittab ファイルにエントリを追加し、ttymon を起動することはできなくなりました。タイプが application、名前が ttymon のプロパティーグループが SMF サービス (svc:/system/console-login:default) に追加されました。このプロパティーグループに含まれるプロパティーは、メソッドスクリプト ( /lib/svc/method/console-login) によって使用されます。このスクリプトは、プロパティー値を ttymon 起動の際の引数として使用します。通常、値が空白であったり、値がどのプロパティーでも指定されていない場合は、値は ttymon によって使用されません。ただし、ttymon デバイス値が空白であったり、設定されていない場合は、/dev/consolettymon 実行のデフォルトとして使用されます。

この SMF サービス (svc:/system/console-login:default) では、以下のプロパティーが使用できます。

ttymon/nohangup

nohangup プロパティーを指定します。 true に設定されている場合、デフォルトまたは指定した速度に設定する前に回線速度をゼロに設定し、回線を強制的にハングアップさせないでください。

ttymon/prompt

コンソールポート用のプロンプト文字列を指定します。

ttymon/terminal_type

コンソールのデフォルトの端末タイプを指定します。

ttymon/device

コンソールデバイスを指定します。

ttymon/label

/etc/ttydefs 行の TTY 名を指定します。

ttymon 固有の管理コマンド (ttyadm)

ttymon の管理ファイルは、sacadm および pmadm コマンドの他に ttyadm コマンドによっても更新できます。ttyadm コマンドは、ttymon 固有の情報を書式化し、その情報を標準出力に書き出し、書式化された ttymon 固有のデータを sacadm コマンドおよび pmadm コマンドに提示する手段を提供します。

したがって、ttyadm コマンドは ttymon を直接管理するわけではありません。ttyadm コマンドは、一般的な管理用コマンドである sacadm および pmadm を補足します。詳細は、ttyadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

ネットワークリスナーサービス (listen)

listen ポートモニターは SAC プログラムで動作し、以下を実行します。

listen ポートモニターは sacadm コマンドを使用して構成します。listen の各インスタンスはそれぞれに複数のサービスを提供できます。それらのサービスはポートモニターの管理ファイル内に指定します。この管理ファイルは pmadm コマンドおよび nlsadmin コマンドを使用して構成します。

ネットワークリスナープロセスは、トランスポート層インタフェース (TLI) 仕様に準拠する任意の接続型トランスポートプロバイダで使用できます。Oracle Solaris OS では、listen ポートモニターは、inetd サービスが提供しない追加ネットワークサービスを提供できます。

listen 固有の管理コマンド (nlsadmin)

listen ポートモニターの管理ファイルは、sacadm コマンドおよび pmadm コマンドのほかに、nlsadmin コマンドでも更新できます。nlsadmin コマンドは、listen 固有の情報を書式化し、その情報を標準出力に書き出し、書式化された listen 固有のデータを sacadm コマンドおよび pmadm コマンドに提示する手段を提供します。

したがって、nlsadmin コマンドが listen を直接管理するわけではありません。このコマンドは、一般的な管理用コマンドである sacadm および pmadm を補足します。

個別に構成される各ネットワークには、ネットワークリスナープロセスのインスタンスが少なくとも 1 つは存在します。nlsadmin コマンドは listen ポートモニターの動作状態を制御します。

nlsadmin コマンドは、あるネットワーク用に listen ポートモニターを設定し、そのポートモニターの固有の属性を構成し、そのモニターを起動したり、強制終了させたりすることができます。さらに、マシン上にある listen ポートモニターについて報告することもできます。

詳細は、nlsadmin(1M) のマニュアルページを参照してください。

ttymon ポートモニターの管理

ttymon のコンソール管理は、SMF で管理されるようになりました。svccfg コマンドを使用し、ttymon システムコンソールのプロパティーを設定します。今後も sacadm コマンドを使用して ttymon ポートモニターを追加、表示、削除、終了、起動、あるいは有効または無効にすることができます。

Procedurettymon コンソールの端末タイプを設定する方法

この手順では、svccfg コマンドを使用してコンソールの端末タイプを変更する方法を説明します。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. svccfg コマンドを実行して、変更するサービスインスタンスのプロパティーを設定します。


    # svccfg -s console-login setprop ttymon/terminal_type = "xterm"
    

    xterm」とは、使用する端末タイプの例です。

  3. (省略可能) サービスインスタンスを再起動します。


    # svcadm restart svc:/system/console-login:default
    

    注意 – 注意 –

    サービスインスタンスを即座に再起動する場合は、コンソールからログアウトされます。サービスインスタンスを即座に再起動しない場合は、プロパティーの変更は、次回ログイン時にコンソールのプロンプトで適用されます。


Procedurettymon コンソールの端末でボーレート速度を設定する方法

次の手順では、ttymon コンソールの端末でボーレート速度を設定する方法を示します。x86 ベースのシステムでのコンソール速度のサポートは、特定のプラットフォームに依存します。

SPARC ベースのシステムには、次のコンソール速度がサポートされています。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. システムタイプに適したボーレート速度を設定するには eeprom コマンドを使用します。


    # eeprom ttya-mode=baud-rate,8,n,1,-
    

    たとえば、x86 ベースのシステムのコンソールのボーレート速度を 38400 に変更するには、次のように入力します。


    # eeprom ttya-mode=38400,8,n,1,-
    
  3. /etc/ttydefs ファイルのコンソール行を次のように変更します。


    console baud-rate hupcl opost onlcr:baud-rate::console
  4. システムのタイプに合わせて、次の追加変更を行います。

    これらの変更はプラットフォームに依存することに注意してください。

    • SPARC ベースのシステム: /kernel/drv/options.conf ファイルでボーレート速度を変更します。

      ボーレートを 9600 に変更するには、次のコマンドを使用します。


      # 9600             :bd:
      ttymodes="2502:1805:bd:8a3b:3:1c:7f:15:4:0:0:0:11:13:1a:19:12:f:17:16";
      

      ボーレート速度を 19200 に変更するには、次のコマンドを使用します。


      # 19200            :be:
      ttymodes="2502:1805:be:8a3b:3:1c:7f:15:4:0:0:0:11:13:1a:19:12:f:17:16";
      

      ボーレート速度を 38400 に変更するには、次のコマンドを使用します。


      # 38400            :bf:
      ttymodes="2502:1805:bf:8a3b:3:1c:7f:15:4:0:0:0:11:13:1a:19:12:f:17:16";
      
    • x86 ベースのシステム: BIOS のシリアル切り替えが有効である場合にコンソール速度を変更します。コンソール速度を変更する方法は、プラットフォームに依存します。

Procedurettymon ポートモニターを追加する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ttymon ポートモニターを追加します。


    # sacadm -a -p mbmon -t ttymon -c /usr/lib/saf/ttymon -v `ttyadm
    -V` -y "TTY Ports a & b"
    
    -a

    ポートモニター追加用のオプションを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

    -t

    ポートモニタータイプを ttymon として指定します。

    -c

    ポートモニターを起動するのに使用するコマンド文字列を定義します。

    -v

    ポートモニターのバージョン番号を指定します。

    -y

    ポートモニターのインスタンスを説明するコメントを定義します。

Procedurettymon ポートモニターの状態を表示する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ttymon ポートモニターの状態を表示します。


    # sacadm -l -p mbmon
    
    -l

    ポートモニター状態表示用のフラグを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。


例 3–1 ttymon ポートモニターの状態を表示する

この例では、mbmon と呼ばれるポートモニターを表示する方法を示します。


# sacadm -l -p mbmon
PMTAG  PMTYPE  FLGS RCNT STATUS    COMMAND
mbmon  ttymon  -    0    STARTING  /usr/lib/saf/ttymon #TTY Ports a & b
PMTAG

ポートモニター名が mbmon であることを示します。

PMTYPE

ポートモニターのタイプが ttymon であることを示します。

FLGS

次のフラグが設定されているかどうかを示します。

d

新しいポートモニターを有効にしません。

x

新しいポートモニターを起動しません。

ダッシュ (-)

フラグを設定しません。

RCNT

戻りカウント値を示します。0 の戻りカウントは、ポートモニターが失敗した場合でも再起動しないことを示します。

STATUS

ポートモニターの現在の状態を示します。

COMMAND

ポートモニターを起動するコマンドを示します。

#TTY Ports a & b

ポートモニターを説明するコメントを示します。


Procedurettymon ポートモニターを停止する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ttymon ポートモニターを停止します。


    # sacadm -k -p mbmon
    
    -k

    ポートモニターを終了状態にするフラグを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

Procedurettymon ポートモニターを起動する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 終了状態の ttymon ポートモニターを起動します。


    # sacadm -s -p mbmon
    
    -s

    ポートモニターを起動状態にするフラグを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

Procedurettymon ポートモニターを無効にする方法

ポートモニターを無効にすると、以前から存在しているサービスをそのまま有効にするため、新しいサービスが起動できなくなります。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ttymon ポートモニターを無効にします。


    # sacadm -d -p mbmon
    
    -d

    ポートモニターを無効状態にするフラグを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

Procedurettymon ポートモニターを有効にする方法

ttymon ポートモニターを有効にすると、そのモニターが新しい要求にサービスを提供できるようになります。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ttymon ポートモニターを有効にします。


    # sacadm -e -p mbmon
    
    -e

    ポートモニターを有効状態にするフラグを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

Procedurettymon ポートモニターを削除する方法

ポートモニターを削除すると、それに関連するすべての構成ファイルが削除されます。


注 –

ポートモニター構成ファイルは sacadm コマンドでは更新や変更ができません。ポートモニターを再構成するには、古いポートモニターを削除してから新しいポートモニターを追加してください。


  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ttymon ポートモニターを削除します。


    # sacadm -r -p mbmon
    
    -r

    ポートモニター削除用のフラグを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

ttymon サービスの管理 (作業マップ)

作業 

説明 

参照先 

ttymon サービスを追加します。

pmadm コマンドを使用してサービスを追加します。

「サービスを追加する方法」

TTY ポートサービスの状態を表示します。 

pmadm コマンドを使用して TTY ポートの状態を表示します。

「TTY ポートサービスの状態を表示する方法」

ポートモニターサービスを有効にします。 

pmadm コマンドを -eオプションとともに使用し、ポートモニターを有効にします。

「ポートモニターサービスを有効にする方法」

ポートモニターサービスを無効にします。 

pmadm コマンドを -dオプションとともに使用し、ポートモニターを無効にします。

「ポートモニターサービスを無効にする方法」

ttymon サービスの管理

pmadm コマンドを使用すると、サービスを追加したり、ポートモニターに関連付けられている 1 つ以上のポートのサービスを表示したり、サービスを有効または無効にしたりできます。

Procedureサービスを追加する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. mbmon ポートモニターに、標準の端末サービスを追加します。


    # pmadm -a -p mbmon -s a -i root -v `ttyadm -V` -m "`ttyadm -i 'Terminal
     disabled' -l contty -m ldterm,ttcompat -S y -d /dev/term/a 
    -s /usr/bin/login`"
    

    注 –

    上記の例では入力が自動的に次の行にまたがっています。実際には Return キーを押さずに (改行なしに) 入力します。


    -a

    ポートモニター追加用のフラグを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

    -s

    a をポートモニターサービスタグとして指定します。

    -i

    識別情報を、サービス実行中にポートモニターサービスタグに割り当てられるように指定します。

    -v

    ポートモニターのバージョン番号を指定します。

    -m

    ttyadm により書式化された ttymon 固有の構成データを指定します。

    上記の pmadm コマンドには ttyadm コマンドが組み込まれています。その組み込みコマンドの中の指定項目の意味は次のとおりです。

    -b

    ポートを双方向用にするフラグを指定します。

    -i

    inactive (無効応答) メッセージを指定します。

    -l

    /etc/ttydefs ファイルにあるどの TTY 名を使用するか指定します。

    -m

    サービスを起動する前にプッシュする STREAMS モジュールを指定します。

    -d

    TTY ポートに使用する装置へのフルパス名を指定します。

    -s

    接続要求を受信したとき起動するサービスへのフルパス名を指定します。引数が必要な場合、コマンドと引数を二重引用符 (“) で囲みます。

ProcedureTTY ポートサービスの状態を表示する方法

pmadm コマンドを次に示すように使用して、特定のポートモニターに設定されている 1 つまたはすべての TTY ポートの状態を表示します。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ポートモニターのいずれかのサービスをリストします。


    # pmadm -l -p mbmon -s a
    
    -l

    システム上のサービス情報を表示します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

    -s

    a をポートモニターサービスタグとして指定します。


例 3–2 1 つの TTY ポートモニターサービスの状態を表示する

この例は、ポートモニターのすべてのサービスを表示します。


# pmadm -l -p mbmon
PMTAG  PMTYPE  SVCTAG FLAGS ID    <PMSPECIFIC> 
mbmon  ttymon  a      -     root  /dev/term/a - - /usr/bin/login - contty
ldterm,ttcompat login:  Terminal disabled tvi925 y  #
PMTAG

pmadm -p コマンドを使用して設定された、ポートモニター名 mbmon を示します。

PMTYPE

ポートモニターのタイプが ttymon であることを示します。

SVCTAG

pmadm -s コマンドを使用して設定された、サービスタグ値を示します。

FLAGS

次のフラグが pmadm -f コマンドを使用して設定されているかどうかを指定します。

  • x — サービスを有効にしません。

  • u — サービス用の utmpx エントリを作成します。

  • ダッシュ (-) — フラグを設定しません。

ID

起動時にサービスに割り当てられた ID を示します。この値は、pmadm -i コマンドを使用して設定されます。

<PMSPECIFIC>

情報

/dev/term/a

ttyadm -d コマンドを使用して設定された、TTY ポートパス名を示します。

-

次のフラグが ttyadm -c -b -h -I -r コマンドを使用して設定されているかどうかを示します。

  • c — キャリア検出時に接続するよう、ポートを設定します。

  • b — ポートが双方向性である (着信トラフィックと発信トラフィックの両方を許可する) と設定します。

  • h — 着呼が受信された直後の自動ハングアップを抑制します。

  • I — ポートを初期化します。

  • rlogin: メッセージを出力する前に、ポートから文字を受信するまで、ttymon を待機させます。

  • ダッシュ (-) — フラグを設定しません。

-

ttyadm -r count オプションを使用して設定された値を示します。このオプションは、ポートからデータを受信したあとに、ttymon がプロンプトを表示するタイミングを決定します。count が 0 の場合、ttymon は任意の文字を受信するまで待機します。count が 0 より大きい場合、ttymoncount の数だけ新規行を受信するまで待機します。この例では、値は設定されていません。

/usr/bin/login

接続を受信したときに呼び出されるサービスのフルパス名を示します。この値は、ttyadm -s コマンドを使用して設定されます。

-

ttyadm -t コマンドのタイムアウト値を示します。このオプションは、ポートを開くことに成功して、かつ入力データが timeout 秒内に受信されていない場合に、ttymon がポートを閉じることを意味します。この例では、タイムアウト値は設定されていません。

contty

/etc/ttydefs ファイル中の TTY 名を示します。この値は、ttyadm -l コマンドを使用して設定されます。

ldterm,ttcompat

プッシュする STREAMS モジュールを示します。これらのモジュールは、ttyadmin -m コマンドを使用して設定されます。

login: Terminal disabled

ポートが無効であるときに表示される、アクティブでないメッセージを示します。このメッセージは、ttyadm -i コマンドを使用して設定されます。

tvi925

ttyadm -T コマンドを使用して設定されている場合、端末タイプを示します。この例では、端末タイプは、tvi925 です。

y

ttyadm -S コマンドを使用して設定されたソフトウェアキャリア値を示します。n は、ソフトウェアキャリアをオフにします。y は、ソフトウェアキャリアをオンにします。この例では、ソフトウェアキャリアはオンです。

#

pmadm -y コマンドで指定した任意のコメントを示します。この例では、コメントは存在しません。


Procedureポートモニターサービスを有効にする方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 無効になっているポートモニターサービスを有効にします。


    # pmadm -e -p mbmon -s a
    
    -e

    有効フラグを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

    -s

    a をポートモニターサービスタグとして指定します。

Procedureポートモニターサービスを無効にする方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ポートモニターサービスを無効にします。


    # pmadm -d -p mbmon -s a
    
    -d

    無効フラグを指定します。

    -p

    mbmon をポートモニタータグとして指定します。

    -s

    a をポートモニターサービスタグとして指定します。

サービスアクセス機能の管理 (リファレンス)

この節には、サービスアクセス機能の管理に関するリファレンスが記載されています。

SAF に関連付けられているファイル

SAF は構成ファイルを使用しますが、このファイルは sacadm コマンドおよび pmadm コマンドを使用して変更できます。構成ファイルを手動で編集する必要はありません。

ファイル名 

説明 

/etc/saf/_sysconfig

システムごとの構成スクリプト 

/etc/saf/_sactab

SAC が制御するポートモニターの構成データが入っている SAC の管理ファイル 

/etc/saf/pmtag

ポートモニター pmtag のホームディレクトリ

/etc/saf/pmtag/_config

存在する場合、ポートモニター pmtag のポートモニターごとの構成スクリプト

/etc/saf/pmtag/ _pmtab

pmtag が提供するサービスのポートモニター固有の構成データが入っているポートモニター pmtag の管理ファイル

/etc/saf/pmtag/ svctag

サービス svctag のサービスごとの構成スクリプト

/var/saf/log

SAC のログファイル 

/var/saf/pmtag

pmtag によって作成されるファイルのディレクトリ。たとえば、ログファイルのディレクトリなど

/etc/saf/_sactab ファイル

/etc/saf/_sactab ファイルの情報は以下のとおりです。


# VERSION=1
zsmon:ttymon::0:/usr/lib/saf/ttymon
#
# VERSION=1

サービスアクセス機能のバージョン番号を示します。

zsmon

ポートモニター名です。

ttymon

ポートモニターのタイプです。

::

次の 2 つのフラグが設定されているかどうかを示します。

d

ポートモニターを有効にしません。

x

ポートモニターを起動しません。この例では、どちらのフラグも設定されていません。

0

戻りコード値を示します。0 の戻りカウントは、ポートモニターが失敗した場合でも再起動しないことを示します。

/usr/lib/saf/ttymon

ポートモニターのパス名を示します。

/etc/saf/pmtab/_pmtab ファイル

/etc/saf/pmtab/_pmtab ファイル (/etc/saf/zsmon/_pmtab など) は、次のようになります。


# VERSION=1
ttya:u:root:reserved:reserved:reserved:/dev/term/a:I::/usr/bin/login::9600:
ldterm,ttcompat:ttya login\: ::tvi925:y:# 
# VERSION=1

サービスアクセス機能のバージョン番号を示します。

ttya

サービスタグを示します。

x,u

次のフラグが設定されているかどうかを示します。

x

サービスを有効にしません。

u

サービス用の utmpx エントリを作成します。

root

サービスタグに割り当てられた ID を示します。

reserved

このフィールドは、将来の拡張のために予約されています。

reserved

このフィールドは、将来の拡張のために予約されています。

reserved

このフィールドは、将来の拡張のために予約されています。

/dev/term/a

TTY ポートパス名を示します。

/usr/bin/login

接続を受信したときに呼び出されるサービスのフルパス名を示します。

:c,b,h,I,r:

次のフラグが設定されているかどうかを示します。

c

キャリア検出時に接続するよう、ポートを設定します。

b

ポートが双方向性である (着信トラフィックと発信トラフィックの両方を許可する) と設定します。

h

着呼が受信された直後の自動着信処理を抑制します。

I

ポートを初期化します。

r

ttymonlogin: メッセージを出力する前に、ポートから文字を受信するまで ttymon を待機させます。

9600

/etc/ttydefs ファイルに定義されている TTY 名を指定します。

ldterm,ttcompat

プッシュする STREAMS モジュールを示します。

ttya login\:

表示するプロンプトを指定します。

:y/n:

「はい」か「いいえ」かの応答を示します。

message

任意のアクティブでない (無効な) 応答メッセージを指定します。

tvi925

端末タイプを指定します。

y

ソフトウェアキャリアが設定されているかどうかを示します (y/n)。

サービスの状態

sacadm コマンドは、サービスの状態を制御します。次に、サービスの起こりうる状態に関する説明を一覧で示します。

有効

デフォルト状態。ポートモニターを追加したとき、サービスが有効になります。

無効

デフォルト状態。ポートモニターを削除したとき、サービスは停止します。

特定のサービスの状態を確認するには、次のように入力します。


# pmadm -l -p portmon-name -ssvctag

ポートモニターの状態

sacadm コマンドは、ttymon ポートモニターおよび listen ポートモニターの状態を制御します。次の表は、起こりうるポートモニターの状態について説明したものです。

状態 

説明 

起動

デフォルト状態 – ポートモニターは追加されると自動的に起動されます。

有効

デフォルト状態 – ポートは追加されると自動的にサービス要求を受け付け可能になります。

停止

デフォルト状態 – ポートモニターは削除されると自動的に停止します。

無効

デフォルト状態 – ポートモニターは削除されると自動的に提供中であったサービスを続行し、新しいサービスの追加を拒否します。

起動中

中間状態 – ポートモニターの起動が進行中です。

停止中

中間状態 – ポートモニターは手作業で終了過程に入っていますが、まだシャットダウン手続きは完了していません。ポートモニターが停止状態になるまでの途中の状態です。

非動作中

アクティブではない状態 – ポートモニターが強制終了された状態です。前の動作状態のときに監視していたすべてのポートがアクセス不可になります。外部のユーザーからはポートが無効なのか、非動作状態なのか区別できません。

障害

アクティブではない状態 – ポートモニターを起動して動作状態を維持できません。

特定のポートモニターの状態を確認するには、次のコマンドを入力します。


# sacadm -l -p portmon-name

ポートの状態

ポートは、ポートを制御するポートモニターの状態によって、有効または無効にできます。

状態 

説明 

シリアル (ttymon) ポートの状態

有効

ttymon ポートモニターはポートにプロンプトメッセージを送り、ログインサービスを提供します。

無効

ttymon が強制終了されているか、無効の場合のすべてのポートのデフォルト状態。この状態を指定した場合、ttymon は接続要求を受け取ると「disabled」メッセージを送信します。