Solaris のシステム管理 (上級編)

第 9 章 システムアカウンティングの設定と管理 (手順)

この章では、システムアカウンティングを設定して維持する方法について説明します。

この章の内容は以下のとおりです。

拡張アカウンティングの使用については、『Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris コンテナ : 資源管理と Oracle Solaris ゾーン)』の第 4 章「拡張アカウンティング (概要)」を参照してください。

システムアカウンティングの手順については、「システムアカウンティング (作業マップ)」を参照してください。

システムアカウンティングのさまざまなレポートについての参照情報は、第 10 章システムアカウンティング (リファレンス)を参照してください。

システムアカウンティングの新機能

この節では、Oracle Solaris のシステムアカウンティングの新機能、または機能の変更について説明します。Oracle Solaris リリースの新機能と説明の完全な一覧については、『Oracle Solaris 10 9/10 の新機能』を参照してください。

Oracle Solaris プロセスアカウンティングと統計の改善点

Oracle Solaris 10: 負荷平均の内部、cpu usr/sys/idle、およびアカウンティング機能が改善されました。マイクロステートアカウンティングが従来のアカウンティング機構の代わりに使用されるようになり、デフォルトでは常に有効になっています。したがって、プロセス利用と時間の統計において、わずかな相違が見られることがあります。

マイクロステートアカウンティングの採用によって、ユーザープロセスと、さまざまな状態においてユーザープロセスにかかる時間について、より正確なデータを得られます。さらに、この情報を使用することによって、より正確な負荷平均や統計が、/proc ファイルシステムから生成されます。詳細は、proc(4) のマニュアルページを参照してください。

システムアカウンティング

Oracle Solaris OS のシステムアカウンティングソフトウェアは、ユーザー接続時間、プロセスに使用された CPU 時間、およびディスク使用量についてのデータを収集および記録できるプログラム群です。一度このデータを収集すると、レポートを生成したり、システム使用に対して課金したりすることができます。

システムアカウンティングは、日次または月次ベースで使用できます。また、ユーザー単位のディスク使用量を追跡することもできます。

アカウンティングプログラムを使用すると、次の作業を行うことができます。

システムアカウンティングプログラムは、設定が済むと、ほとんどの場合自動的に実行されます。

システムアカウンティングの動作

自動アカウンティングは、まずアカウンティング起動スクリプトをルートの crontab ファイルに配置することによって設定します。すると、アカウンティング起動スクリプトが、cron コマンドによって自動的に起動されます。

次の概要は、システムアカウンティングのプロセスを示したものです。

  1. システムを起動してからシャットダウンするまでの間に、システムの利用に関する (ユーザーログイン、実行されたプロセス、データの格納などの) raw データがアカウンティングファイルに収集されます。

  2. 定期的に (通常 1 日に 1 回)、/usr/lib/acct/runacct スクリプトが各種のアカウンティングファイルを処理して、累積要約ファイルと日次アカウンティングレポートを生成します。次に、 /usr/lib/acct/prdaily スクリプトが日次レポートを印刷します。

    runacct スクリプトについては、runacct スクリプト」を参照してください。

  3. 毎月、monacct スクリプトを実行することによって、 runacct 累積要約ファイルを処理して印刷します。monacct スクリプトによって生成される要約レポートは、月次またはその他の会計期間ベースのユーザーに対する効率的な課金手段になります。

システムアカウンティングのコンポーネント

システムアカウンティングソフトウェアは、データから要約ファイルとレポートを生成する C 言語プログラムとシェルスクリプトを提供します。これらのプログラムは /usr/lib/acct ディレクトリにあります。アカウンティングレポートは、/var/adm/acct ディレクトリにあります。

日次アカウンティングによって、次の 4 種類の監査を行うことができます。

接続アカウンティング

接続アカウンティングでは、次のデータを調べることができます。

この接続セッション情報を提供するために、システムは次のデータを格納します。

これらのレコードは、dateinitloginttymonacctwtmp などのシステムプログラムの出力によって生成されます。これらは /var/adm/wtmpx ファイルに格納されます。

wtmpx ファイルのエントリには、次の情報を入れることができます。

プロセスアカウンティング

プロセスアカウンティングでは、システムで実行される各プロセスに関する次のデータを追跡できます。

プロセスが終了するたびに、exit プログラムは上記のデータを収集し、/var/adm/pacct ファイルに書き込みます。

ディスクアカウンティング

ディスクアカウンティングでは、各ユーザーがディスク上に持っているファイルについて、次のデータを収集しフォーマットできます。

これらのデータは、/usr/lib/acct/dodisk シェルスクリプトによって収集されますが、収集周期は /var/spool/cron/crontabs/root ファイルに追加するエントリによって決定されます。一方、dodisk スクリプトは、acctdisk コマンドと acctdusg コマンドを起動します。これらのコマンドは、ログイン名ごとのディスク使用量を収集します。


注意 – 注意 –

dodisk スクリプトを実行して収集された情報は /var/adm/acct/nite/disktacct ファイルに格納されます。これらの情報は、次に dodisk スクリプトを実行したときに上書きされます。したがって、dodisk スクリプトは同じ日に 2 回以上実行しないでください。


acctdusg コマンドは、ランダムに書き込まれたため穴があいたファイルに対して過剰に課金します。このような問題が起こるのは、acctdusg コマンドが、ファイルサイズを決めるときに、ファイルの間接ブロックを読み取らないからです。 acctdusg コマンドは、i ノードの現在のファイルサイズの値をチェックして、ファイルのサイズを決めます。

料金計算

chargefee ユーティリティーは、ユーザーに提供した特別なサービスに対する課金を、/var/adm/fee ファイルに格納します。特別なサービスとは、たとえば、ファイルの復元です。 このファイルの各エントリは、ユーザーのログイン名、ユーザー ID、および料金から構成されています。このファイルは、runacct スクリプトによって毎日チェックされて、新しいエントリが全体のアカウンティングレコードにマージされます。chargefee スクリプトを実行してユーザーに課金する方法については、「ユーザーに課金する方法」を参照してください。

日次アカウンティング機能の動作

次に、日次アカウンティング機能がどのように動作するかを要約して示します。

  1. システムをマルチユーザーモードに切り替えると、/usr/lib/acct/startup プログラムが実行されます。この startup プログラムは、それぞれ日次アカウンティング機能を呼び出す他のプログラムを実行します。

  2. acctwtmp プログラムは、/var/adm/wtmpx ファイルに「ブート」レコードを追加します。このレコードには、システム名が wtmpx レコード内のユーザー名として示されます。次の表に、raw アカウンティングデータがどのように収集され、どこに格納されるかをまとめて示します。

    /var/adm 内のファイル

    格納される情報 

    データを書き込むプログラム 

    表記形式 

    wtmpx

    接続セッション数  

    logininit

    バイナリ形式 

     

    変更

    date

    バイナリ形式 

     

    リブート

    acctwtmp

    バイナリ形式 

     

    シャットダウン

    shutacct

    バイナリ形式 

    pacctn

    プロセス数 

    カーネル (プロセス終了時)  

    バイナリ形式 

     

     

    turnacct switch (古いファイルの内容が 500 ブロックに達すると、新しいファイルが作成される)

    バイナリ形式 

    fee

    特別料金 

    chargefee

    ASCII 

    acct/nite/disktacct

    使用ディスク領域 

    dodisk

    バイナリ形式 

  3. turnacct スクリプトが -on オプションで起動されて、プロセスアカウンティングを開始します。具体的には、turnacct スクリプトは、/var/adm/pacct 引数を使用して accton プログラムを実行します。

  4. remove シェルスクリプトが、runacct によって sum ディレクトリに保存されている pacct および wtmpx ファイルを「整理」します。

  5. login および init プログラムが、 /var/adm/wtmpx ファイルにレコードを書き込み、接続セッションを記録します。すべての日付変更 (引数を指定して date を使用) も /var/adm/wtmpx ファイルに書き込まれます。リブート回数とシャットダウン回数も、acctwtmp コマンドを使用して、 /var/adm/wtmpx ファイルに記録されます。

  6. プロセスが終了すると、カーネルが /var/adm/pacct ファイルにプロセスごとに 1 レコードを acct.h 形式で書き込みます。

    cron コマンドは、1 時間ごとに ckpacct スクリプトを実行して、/var/adm/pacctファイルのサイズをチェックします。このファイルが 500 ブロック (デフォルト) よりも大きくなった場合は、turnacct switch コマンドが実行されます。このプログラムは pacct ファイルを pacctn ファイルに移動して、新しいファイルを作成します。pacct ファイルを小さく分けることの利点は、それらのレコードを処理するときに障害が発生して、runacct スクリプトを再起動しようとしたときに明らかになります。

  7. runacct スクリプトは、cron コマンドによって毎晩実行されます。runacct スクリプトは、アカウンティングファイルを処理し、ユーザー別のコマンド要約と利用状況要約を生成します。処理されるアカウンティングファイルは以下のとおりです。 /var/adm/pacct n/var/adm/wtmpx/var/adm/fee、および /var/adm/acct/nite/disktacct

  8. /usr/lib/acct/prdaily スクリプトは、runacct スクリプトによって1 日1 回実行され、/var/adm/acct/sum/rprtMMDD ファイルに日次アカウンティング情報を書き込みます。

  9. monacct スクリプトを月に 1 回 (または毎会計期の終わりなど、ユーザーが決めた周期で) 実行すべきです。monacct スクリプトは、sum ディレクトリに格納されているデータに基づいてレポートを作成します。これらのデータは runacct スクリプトによって毎日更新されています。このレポートを作成後、monacct スクリプトは sum ディレクトリを「整理」して、新しい runacct データを格納するためのファイルを準備します。

システムがシャットダウンしたときの動作

shutdown コマンドを使用してシステムをシャットダウンした場合は、shutacct スクリプトが自動的に実行されます。shutacct スクリプトは /var/adm/wtmpx ファイルに「理由レコード」を書き込み、プロセスアカウンティングを無効にします。

システムアカウンティング (作業マップ)

作業 

説明 

参照先 

システムアカウンティングを設定する 

次の作業を実行し、システムアカウンティングを設定します。

  • /etc/rc0.d/K22acct ファイルと /etc/rc2.d/S22acct ファイルを作成します。

  • crontab ファイル /var/spool/cron/crontabs/adm および /var/spool/cron/crontabs/root を変更します。

「システムアカウンティングを設定する方法」

ユーザーに課金する 

/usr/lib/acct/chargefee username amount コマンドを実行します。

「ユーザーに課金する方法」

壊れた wtmpx ファイルを修復する

wtmpx ファイルの形式をバイナリから ASCII に変換します。

「壊れた wtmpx ファイルの修復方法」

tacct エラーを修復する

prtacct スクリプトを実行し、 /var/adm/acct/sum/tacctprev ファイルをチェックします。次に、最新の /var/adm/acct/sum/tacct MMDD ファイルに修正します。/var/adm/acct/sum/tacct ファイルを再作成する必要があります。

tacct エラーを修復する方法」

runacct スクリプトを再起動する

lastdate ファイルとロックファイルを削除します。次に、runacct スクリプトを手動で再起動します。

runacct スクリプトを再起動する方法」

システムアカウンティングを一時的に停止する 

admcrontab ファイルを編集し、 ckpacctrunacct、および monacct プログラムを実行しないようにします。

「一時的にシステムアカウンティングを停止する方法」

システムアカウンティングを永続的に無効にする 

crontab ファイルと adm ファイルの ckpacctrunacct、および monacct プログラムのエントリを削除します。

「システムアカウンティングを永続的に無効にする方法」

システムアカウンティングの設定

システムアカウンティングは、システムがマルチユーザーモード (実行レベル 2) のときに実行されるように設定できます。このタスクには通常、次の内容が含まれます。

  1. /etc/rc0.d/K22acct および /etc/rc2.d/S22acct 起動スクリプトの作成

  2. crontab ファイル /var/spool/cron/crontabs/adm および /var/spool/cron/crontabs/root の変更

次の表に、デフォルトのアカウンティングスクリプトを説明します。

表 9–1 デフォルトのアカウンティングスクリプト

目的 

アカウンティングスクリプト 

マニュアルページ 

実行頻度 

/usr/adm/pacct ログファイルのサイズをチェックし、ファイルが大きくなりすぎていないことを確認する

ckpacct

acctsh(1M)

定期的 

接続、ディスク、および料金のアカウンティング情報を処理する。このスクリプトから、処理したくないアカウンティング機能のコマンドを削除できる 

runacct

runacct(1M)

日次 

会計アカウンティング要約レポートを月に 1 回のベースで生成する。このスクリプトの実行頻度を決めることができる。このスクリプトから、使用したくないアカウンティング機能のコマンドを削除できる 

monacct

acctsh(1M)

会計期間に基づく 

デフォルトでどのアカウンティングスクリプトを実行するのかを選択できます。これらのエントリを crontab ファイルに追加すると、システムアカウンティングは自動的に実行されるようになります。

Procedureシステムアカウンティングを設定する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 必要な場合は、pkgadd コマンドを使用して、システムに SUNWaccr パッケージと SUNWaccu パッケージをインストールします。

  3. /etc/init.d/acct を実行レベル 2 の起動スクリプトとしてインストールします。


    # ln /etc/init.d/acct /etc/rc2.d/S22acct
    
  4. /etc/init.d/acct を実行レベル 0 の停止スクリプトとしてインストールします。


    # ln /etc/init.d/acct /etc/rc0.d/K22acct
    
  5. ckpacctrunacct、および monacct スクリプトが自動的に起動するように、adm ユーザーの crontab ファイルに次の行を追加します。


    # EDITOR=vi; export EDITOR
    # crontab -e adm
    0 * * * * /usr/lib/acct/ckpacct
    30 2 * * * /usr/lib/acct/runacct 2> /var/adm/acct/nite/fd2log
    30 7 1 * * /usr/lib/acct/monacct
  6. dodisk スクリプトが自動的に起動するように、rootcrontab ファイルに次の行を追加します。


    # crontab -e
    30 22 * * 4 /usr/lib/acct/dodisk
  7. /etc/acct/holidays を編集して祭日と休日を含めます。

    詳細については、holidays(4) のマニュアルページと、次の例を参照してください。

  8. システムをリブートするか、次のように入力して、手動でシステムアカウンティングを起動します。


    # /etc/init.d/acct start
    

例 9–1 アカウンティングを設定する (adm の crontab)

この編集された adm の crontab には、ckpacctrunacct、および monacct スクリプトのエントリが含まれています。


#ident  "@(#)adm        1.5     92/07/14 SMI"    /* SVr4.0 1.2   */
#
# The adm crontab file should contain startup of performance 
# collection if the profiling and performance feature has been 
# installed.
0 * * * * /usr/lib/acct/ckpacct
30 2 * * * /usr/lib/acct/runacct 2> /var/adm/acct/nite/fd2log
30 7 1 * * /usr/lib/acct/monacct


例 9–2 アカウンティングを設定する (root の crontab)

この編集された root の crontab には、dodisk プログラムのエントリが含まれています。


#ident  "@(#)root       1.19    98/07/06 SMI"   /* SVr4.0 1.1.3.1       */
#
# The root crontab should be used to perform accounting data collection.
#
#
10 3 * * * /usr/sbin/logadm
15 3 * * 0 /usr/lib/fs/nfs/nfsfind
30 3 * * * [ -x /usr/lib/gss/gsscred_clean ] && /usr/lib/gss/gsscred_clean
30 22 * * 4 /usr/lib/acct/dodisk


例 9–3 アカウンティングを設定する (/etc/acct/holidays)

次に、/etc/acct/holidays ファイルの例を示します。


* @(#)holidays	January 1, 2004
*
* Prime/Nonprime Table for UNIX Accounting System
*
* Curr	Prime	Non-Prime
* Year	Start	Start
*
  2004	0800	1800
*
* only the first column (month/day) is significant.
*
* month/day	Company
* 		Holiday
*
1/1		New Years Day
7/4		Indep. Day
12/25		Christmas

ユーザーへの課金

要求に応じて特別なユーザーサービスを提供する場合、chargefee ユーティリティーを実行してユーザーに課金することができます。特別なサービスには、ファイルの復元やリモート印刷などがあります。chargefee ユーティリティーは、 /var/adm/fee ファイルに料金を記録します。runacct ユーティリティーが実行されるたびに、新しいエントリが拾い出されて、全体のアカウンティングレコードにマージされます。

詳細については、acctsh(1M) のマニュアルページを参照してください。

Procedureユーザーに課金する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 特別なサービスに対し、ユーザーに課金します。


    # /usr/lib/acct/chargefee username amount
    
    username

    課金したいユーザーアカウントを指定します。

    amount

    ユーザーに対する課金の単位数。この値は、ファイルの印刷や復元のような作業に対してユーザーに課金するために設定する任意の単位。 chargefee ユーティリティーを実行し、特定の作業に対してユーザーに課金するスクリプトを書く必要がある


例 9–4 ユーザーへの課金

次の例では、ユーザー print_customer に 10 単位を課金します。


# /usr/lib/acct/chargefee print_customer 10

アカウンティング情報の管理

この節では、壊れたシステムアカウンティングファイルを修復し、runacct スクリプトを再起動する方法を説明します。

壊れたファイルと wtmpx エラーを修復する

システムアカウンティングは絶対に障害が発生しないわけではありません。ファイルが壊れたり、失われることがあります。ファイルによっては、単に無視してよいものや、バックアップから復元できるものがあります。ただし、特定のファイルは、アカウンティングシステムの完全性を維持するために修復しなければなりません。

wtmpx ファイルは、システムアカウンティングを日常的に運用する上で発生する問題の大部分の原因になっています。日付を手動で変更したときに、システムがマルチユーザーモードになっていると、一連の日付変更レコードが /var/adm/wtmpx ファイルに書き込まれます。wtmpfix ユーティリティーは、日付変更が行われたときに、wtmp レコードのタイムスタンプを調整するように設計されています。ただし、日付変更とリブートの組み合わせによっては、wtmpfix の処理から漏れて、acctcon プログラムの処理が失敗することがあります。

Procedure壊れた wtmpx ファイルの修復方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. /var/adm ディレクトリに移動します。

  3. wtmpx ファイルの形式をバイナリから ASCII 形式に変換します。


    # /usr/lib/acct/fwtmp < wtmpx > wtmpx.ascii 
    
  4. wtmpx.ascii ファイルを編集して、壊れたレコードを削除します。

  5. wtmpx.ascii ファイルを再びバイナリファイルに変換します。


    # /usr/lib/acct/fwtmp -ic < wtmpx.ascii > wtmpx
    

    詳細については、fwtmp(1M) のマニュアルページを参照してください。

tacct エラーを修復する

/var/adm/acct/sum/tacct ファイルの完全性は、システム資源に対してユーザーに課金している場合は重要です。負の数値、重複ユーザー ID、または 65535 のユーザー ID とともに不正な tacct レコードが表示されることがあります。このような場合はまず、prtacct スクリプトを使用して、 /var/adm/acct/sum/tacctprev ファイルを表示してチェックします。内容が正しい場合は、最新の /var/adm/acct/sum/tacct MMDD ファイルに修正します。次に、/var/adm/acct/sum/tacct ファイルを作成し直します。次の手順は、簡単な修復手順の概要を説明しています。

Proceduretacct エラーを修復する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ディレクトリ /var/adm/acct/sum に移動します。

  3. tacctMMDD ファイルの形式をバイナリから ASCII 形式に変換します。


    # /usr/lib/acct/acctmerg -v < tacctMMDD > xtacct
    

    MMDD は、月と日をあらわす 2 桁の数値を組み合わせたものです。

  4. xtacct ファイルを編集して、壊れたレコードを削除し、重複レコードを別のファイルに書き込みます。

  5. xtacct ファイルを ASCII 形式からバイナリ形式に変換します。


    # /usr/lib/acct/acctmerg -i < xtacct > tacctMMDD
    
  6. tacctprev ファイルと tacct.MMDD ファイルをマージして tacct ファイルを生成します。


    # /usr/lib/acct/acctmerg < tacctprev tacctMMDD > tacct
    

runacct スクリプトを再起動する

runacct スクリプトは、さまざまな理由で失敗することがあります。

一般的な理由には、以下のようなものがあります。

active.MMDD ファイルが存在する場合は、まずエラーメッセージをチェックします。active ファイルおよび lock ファイルが存在する場合は、異常なメッセージがないかどうか fd2log ファイルを調べます。

runacct スクリプトは、引数を指定しないで実行すると、その呼び出しがその日の最初の呼び出しであると想定します。runacct スクリプトを再起動し、runacct スクリプトがアカウントを返す月と日を指定する場合は、引数 MMDD が必要になります。処理のエントリポイントは statefile ファイルの内容に基づきます。statefile ファイルを無効にするには、処理を開始したい状態をコマンド行に指定します。利用可能な状態の説明については、runacct(1M) のマニュアルページを参照してください。


注意 – 注意 –

runacct プログラムを手動で実行するときは、ユーザー adm として実行していることを確認してください。


Procedurerunacct スクリプトを再起動する方法

  1. /var/adm/acct/nite ディレクトリに移動します。


    $ cd /var/adm/acct/nite
    
  2. lastdate ファイルと lock* ファイル (もしあれば) を削除します。


    $ rm lastdate lock*
    

    lastdate ファイルには、 runacct プログラムが最後に実行された日付が含まれています。次の手順で runacct スクリプトを再起動することによって、このファイルが作成し直されます。

  3. runacct スクリプトを再起動する


    $ /usr/lib/acct/runacct MMDD [state] 2> /var/adm/acct/nite/fd2log &
    
    MMDD

    月日を 2 桁の数値で指定する

    state

    runacct スクリプトの処理を開始させたい状態または開始点を指定する。

システムアカウンティングの停止と無効

システムアカウンティングは、一時的に停止することも、永続的に無効にすることもできます。

Procedure一時的にシステムアカウンティングを停止する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. 適切な行をコメントアウトすることによって、プログラム ckpacctrunacct、および monacct の実行が停止するように、ユーザー admcrontab ファイルを編集します。


    # EDITOR=vi; export EDITOR
    # crontab -e adm
    #0 * * * * /usr/lib/acct/ckpacct
    #30 2 * * * /usr/lib/acct/runacct 2> /var/adm/acct/nite/fd2log
    #30 7 1 * * /usr/lib/acct/monacct
  3. 適切な行をコメントアウトすることによって、プログラム dodisk の実行が停止するように、root の crontab ファイルを編集します。


    # crontab -e
    #30 22 * * 4 /usr/lib/acct/dodisk
  4. システムアカウンティングプログラムを停止します。


    # /etc/init.d/acct stop
    
  5. (省略可能) 新規に追加したコメント記号を crontab ファイルから削除します。

  6. システムアカウンティングプログラムを再起動して、システムアカウンティングを再び利用できるようにします。


    # /etc/init.d/acct start
    

Procedureシステムアカウンティングを永続的に無効にする方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  2. ユーザー admcrontab ファイルを編集して、プログラム ckpacctrunacct、および monacct 用のエントリを削除します。


    # EDITOR=vi; export EDITOR
    # crontab -e adm
    
  3. ユーザー rootcrontab ファイルを編集して、プログラム dodisk 用のエントリを削除します。


    # crontab -e
    
  4. 実行レベル 2 用の起動スクリプトのリンクを取り外します。


    # unlink /etc/rc2.d/S22acct
    
  5. 実行レベル 0 用の停止スクリプトのリンクを取り外します。


    # unlink /etc/rc0.d/K22acct
    
  6. システムアカウンティングプログラムを停止します。


    # /etc/init.d/acct stop