Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

NIS 関連コマンド

NIS サービスには、特殊なデーモン、システムプログラム、コマンドが含まれています。これらのコマンドについては次の表にまとめてあります。

表 4–4 NIS コマンドについてのまとめ

コマンド 

説明 

ypserv

NIS クライアントが要求する NIS マップの情報を提供します。ypserv は、完全なマップセットを備えた NIS サーバー上で動作するデーモンです。NIS サービスが機能するには、少なくとも 1 つの ypserv デーモンがネットワークに存在する必要があります。

ypbind

クライアントに NIS サーバーバインド情報を提供します。ypbind は、要求元クライアントのドメイン内のマップにサービスを提供する ypserv プロセスを見つけてバインドを行います。ypbind はすべてのサーバーとクライアント上で実行される必要があります。

ypinit

自動的に入力ファイルから NIS サーバーのマップを作成します。ypinit はまた、クライアント上に /var/yp/binding/ domain/ypservers 初期ファイルを作成する際にも使用されます。NIS マスターサーバーおよび NIS スレーブサーバーを初めて設定する場合は、ypinit を使用します。

make

Makefile を読み込むことで NIS マップを更新します (make を /var/yp ディレクトリで実行した場合)。make を使うと、入力ファイルに基づいてすべてのマップを更新したり、個々のマップを更新したりできます。NIS の make の機能については、ypmake(1M) のマニュアルページに説明されています。

makedbm

makedbm は入力ファイルを取得し、これを dbm.dir および dbm.pag ファイルに変換します (これらのファイルは、NIS がマップとして使用できる有効な dbm ファイル)。また、makedbm -u と入力すると、マップを分解できるため、システム管理者はマップを構成するキーと値のペアを参照できます。

ypxfr

NIS 自体を転送媒体として使い、NIS マップを遠隔サーバーから /var/yp/domain ローカルディレクトリに取り込みます。システム管理者は ypxfr を対話形式で実行したり、crontab ファイルから定期的に実行したりできます。また、ypxfr が ypserv によって呼び出されると、転送が開始されます。

ypxfrd

ypxfr 要求 (一般にスレーブサーバーで発生する) に対してマップ転送サービスを提供します。ypxfr は、マスターサーバー上でだけ動作します。

yppush

NIS マップの新バージョンを NIS マスターサーバーからそのスレーブサーバーにコピーします。yppush の実行は、NIS マスターサーバー上で行います。 

ypset

指定された NIS サーバーにバインドするように ypbind プロセスに要求します。ypset は、セキュリティーの関係上、通常のオペレーションで気軽に使用できるようには設計されていません。したがって、ypset はできる限り使用しないでください。ypbind プロセスの ypset および ypsetme オプションについては、ypset(1M)ypbind(1M) のマニュアルページを参照してください。

yppoll

指定されたサーバー上で NIS マップのどのバージョンが動作しているかを通知します。yppoll はまた、NIS マップのマスターサーバーを一覧表示します。 

ypcat

NIS マップの内容を表示します。 

ypmatch

NIS マップ内の指定された 1 つ以上のキーの値を出力します。システム管理者は、NIS サーバーマップのバージョンを指定することはできません。 

ypwhich

クライアントが現在どの NIS サーバーを使用して NIS サービスを取得しているかを表示します。また、-m mapname オプションを指定してこのコマンドを起動した場合は、どの NIS サーバーが各マップのマスターサーバーであるかが表示されます。-m だけを指定した場合は、使用可能なすべてのマップ名、およびこれらのマップのマスターサーバーが表示されます。