Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

LDAP のアップグレード情報

この節では、Solaris 8 リリースから Solaris 9 以降のリリースにアップグレードする際の考慮事項について説明します。

互換性

Solaris 9 以降の Solaris ソフトウェアリリースで構成されたクライアントは、バージョン 1 のプロファイルのみに対応する Solaris 8 クライアント用に設定されたディレクトリサーバーと完全な互換性があります。ただし、Solaris 9 以降のリリースで導入された新しい機能を利用し、新しいセキュリティーモデルを使用するには、バージョン 2 のプロファイルを使用する必要があります。

サーバーは、旧クライアントと新クライアントの混在環境に対応します。スキーママッピングが無効であり、バージョン 2 のプロファイルが serviceSearchDescriptors 属性の特殊フィルタを使用しないように構成されている限り、どちらのクライアントでも同じ結果を得ることができます。サーバーがデフォルトのスキーマを使用しない場合、Solaris 8 クライアントはデフォルト以外のスキーマを任意に対応づけできないため、旧クライアントはそのサーバーを使用できません。

ldap_cachemgr デーモンの実行

Solaris 9 リリース以降では、ldap_cachemgr デーモンを常に実行している必要があります。このデーモンは、クライアントが適正に動作するために「必須」です。サービス管理機能の svcadm コマンドを使用して LDAP クライアントを起動すると、ldap_cachemgr デーモンが自動的に起動します。詳細については、ldap_cachemgr(1M) のマニュアルページを参照してください。

新しい automount スキーマ

Solaris 9 リリース以降、Solaris ソフトウェアは、automount エントリ用の新しいスキーマをデフォルトで使用します。この新しいスキーマは、Solaris 8 クライアントが使用していた汎用の NIS マップスキーマに置き換わります。このため Solaris 9 以降のソフトウェアツールを使用してサーバーを設定した場合、Solaris 8 クライアントから automount エントリを表示できなくなります。サイトで Solaris 8 クライアントとそれ以降の Solaris ソフトウェアクライアントの両方に対応するサーバーを設定する場合、自動マウントエントリを追加する前に、プロファイルを作成してスキーマを以前のスキーマに対応づけてください。この操作により、ldapaddent(1M) が、以前のスキーマを使用してエントリを追加することが保証されます。ただし、Solaris 9 以降のソフトウェアに基づくすべてのクライアントで、automount 用スキーマに対応づけられたプロファイルを使用する必要があることに注意してください。

このマッピングを有効にするため、次のマッピング属性をプロファイルに追加する必要があります。


attributeMap: 		automount:automountMapName=nisMapName
attributeMap: 		automount:automountKey=cn
attributeMap: 		automount:automountInformation=nisMapEntry
objectclassMap: 	  automount:automountMap=nisMap
objectclassMap: 	  automount:automount=nisObject