Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

クライアントとサービス主体の名前

Kerberos サービスを使用しているときは、すべてのホストで DNS が有効である必要があります。DNS では、主体名に各ホストの完全指定のドメイン名 (FQDN) を含める必要があります。たとえば、ホスト名が boston、DNS ドメイン名が example.com、およびレルム名が EXAMPLE.COM の場合、ホストの主体名は host/boston.example.com@EXAMPLE.COM にするようにしてください。このマニュアルの例では、DNS を構成する必要があり、各ホストの FQDN を使用しています。

Kerberos サービスは DNS を介してホストの別名を正規化し、関連するサービスのサービス主体を構築する際には正規化された形式 (正規名) を使用します。そのため、サービス主体を作成する場合、サービス主体名のホスト名コンポーネントは、サービスをホストするシステムのホスト名の正規化形式にする必要があります。

次の例では、Kerberos サービスでホスト名を正規化する方法を示します。ユーザーがコマンド「ssh alpha.example.com」を実行するとします。ここで、alpha.example.com は正規名 beta.example.com の DNS ホストの別名です。ssh が Kerberos を呼び出し、alpha.example.com のホストサービスチケットを要求する場合、Kerberos サービスは、alpha.example.combeta.example.com に正規化し、KDC からサービス主体「host/beta.example.com」のチケットを要求します。

ホストの FQDN を含む主体名は、/etc/resolv.conf ファイルの DNS ドメイン名を表す文字列と一致していることが重要です。Kerberos サービスでは、主体に FQDN を指定するときに、DNS ドメイン名は小文字にする必要があります。DNS ドメイン名には大文字と小文字を使用できますが、ホスト主体を作成する場合は小文字だけを使用します。たとえば、DNS ドメイン名には、example.comExample.COM などの形式が使用できますが、ホストの主体名は、host/boston.example.com@EXAMPLE.COM でなければなりません。

また、サービス管理機能は、DNS クライアントサービスが実行されていない場合に多くのデーモンまたはコマンドが起動しないように構成されています。kdb5_utilkadmindkpropd デーモン、および kprop コマンドは、DNS サービスに依存するように構成されています。Kerberos サービスおよび SMF を使用して利用可能な機能を完全に活用するには、すべてのホスト上で DNS クライアントサービスを有効にする必要があります。