Oracle Solaris ZFS 管理ガイド

ZFS のディスク領域の計上

ZFS は、プールストレージの概念に基づいて構成されます。標準的なファイルシステムでは物理ストレージにマッピングされますが、ZFS ファイルシステムはすべてがプールの中にあって 、プール内で使用可能なストレージを共有しています。このため、df などのユーティリティーから報告される使用可能なディスク領域は、ファイルシステムがアクティブでないときでも変化する可能性があります。これは、プール内のほかのファイルシステムがディスク領域を消費したり解放したりするためです。

ファイルシステムの最大サイズは、割り当て制限を使用して制限できます。割り当て制限の詳細については、「ZFS ファイルシステムに割り当て制限を設定する」を参照してください。予約を使用すれば、指定されたディスク容量をファイルシステムに保証することができます。予約については、「ZFS ファイルシステムに予約を設定する」を参照してください。このモデルは、NFS モデルによく似ています。つまり、複数のディレクトリが 1 つのファイルシステム (/home など) からマウントされます。

ZFS では、すべてのメタデータが動的に割り当てられます。ZFS 以外のほとんどのファイルシステムでは、多くのメタデータが事前に割り当てられます。そのため、ファイルシステムの作成時にこのメタデータの領域コストが即座に必要となります。これは、ファイルシステムでサポートされる合計ファイル数も、事前に決定されていることを意味します。ZFS では必要に応じてメタデータが割り当てられるので、初期領域を割り当てる必要がなく、ファイル数も使用可能なディスク領域に応じて制限されるだけです。df -g コマンドの出力は、ZFS と ZFS 以外のファイルシステムで解釈を変える必要があります。報告される total files は、プール内で使用できるストレージ容量に基づいて見積もった数値に過ぎません。

ZFS は、トランザクションファイルシステムです。ファイルシステムの変更のほとんどは、トランザクショングループに関連付けられ、ディスクに非同期にコミットされます。ディスクにコミットされる前の変更は、「保留状態の変更」と呼ばれます。ファイルまたはファイルシステムが使用するディスク領域、使用できるディスク領域、および参照するディスク領域の総計に、保留状態の変更は考慮されません。保留状態の変更は通常、数秒以内に計上されます。fsync(3c)O_SYNC を使用してディスクへの変更をコミットしても、ディスク領域の使用状況の情報がすぐに更新されることが保証されているわけではありません。

du コマンドおよび df コマンドによって報告される ZFS ディスク領域の消費量については、次のリンクを参照してください。

http://hub.opensolaris.org/bin/view/Community+Group+zfs/faq/#whydusize

領域が不足した場合の動作

ZFS では、ファイルシステムのスナップショットを負荷をかけずに簡単に作成できます。スナップショットは、ほとんどの ZFS 環境でよく使用されます。ZFS スナップショットについては、第 7 章Oracle Solaris ZFS のスナップショットとクローンの操作を参照してください。

スナップショットが存在していると、ディスク領域を解放しようとするときに、予期しない動作が発生することがあります。適切なアクセス権が付与されている場合には、通常はファイルシステム全体からファイルを削除することで、ファイルシステムで利用できるディスク領域を増やすことができます。ただし、削除しようとするファイルがファイルシステムのスナップショットとして存在する場合には、そのファイルを削除してもディスク領域は解放されません。このファイルの使用するブロックは、スナップショットから引き続き参照されます。

つまり、ファイルを削除しているのに、さらに多くのディスク領域が使用されることがあります。新しい状態の名前空間を反映するために、新しいディレクトリの作成が必要になるためです。このため、ファイルを削除しようとすると、予期しない ENOSPC または EDQUOT エラーが返される可能性があります。