ZFS ルート環境にはスワップデバイスおよびダンプデバイスとして別個のデバイスが必要なので、ZFS ルートファイルシステムに最小限必要なプール容量は、UFS ルートファイルシステムの場合よりも大きくなります。UFS ルートファイルシステムの場合、デフォルトではスワップデバイスとダンプデバイスは同一のデバイスです。
システムを ZFS ルートファイルシステムでインストールまたはアップグレードする場合、スワップ領域とダンプデバイスのサイズは、物理メモリーの容量によって決まります。ブート可能な ZFS ルートファイルシステムに最小限必要なプール容量は、物理メモリーの容量、利用可能なディスク容量、および作成するブート環境 (BE) の数によって決まります。
次の ZFS ストレージプールのディスク容量要件を確認してください。
ZFS ルートファイルシステムのインストールに必要な最小メモリー容量は 768M バイトです。
ZFS の全体的なパフォーマンスを向上させるには、1G バイトのメモリーを搭載することをお勧めします。
推奨される最小ディスク容量は 16G バイトです。ディスク容量は次のように消費されます。
スワップ領域とダンプデバイス – Solaris インストールプログラムによって作成されるスワップボリュームとダンプボリュームのデフォルトのサイズは、次のとおりです。
Solaris 初期インストール – 新しい ZFS ブート環境のスワップボリュームのデフォルトサイズは、物理メモリーのサイズの半分 (一般に 512M バイトから 2G バイトの範囲) として計算されます。スワップサイズは、初期インストール時に調整することができます。
ダンプボリュームのデフォルトのサイズは、dumpadm の情報と物理メモリーのサイズに基づいて、カーネルによって計算されます。ダンプサイズは、初期インストール時に調整することができます。
Oracle Solaris Live Upgrade – UFS ルートファイルシステムを ZFS ルートファイルシステムに移行する場合、ZFS BE のスワップボリュームのデフォルトサイズは、UFS BE のスワップデバイスのサイズとして計算されます。スワップボリュームのデフォルトサイズの計算では、UFS BE 内のすべてのスワップデバイスのサイズが合計され、そのサイズの ZFS ボリュームが ZFS BE 内に作成されます。UFS BE にスワップデバイスが定義されていない場合、スワップボリュームのデフォルトサイズは 512M バイトに設定されます。
ZFS BE のダンプボリュームのデフォルトサイズは、物理メモリーのサイズの半分 (512M バイトから 2G バイトの間) に設定されます。
スワップボリュームとダンプボリュームのサイズを新しいサイズに調整することができます。ただし、システムの動作をサポートするサイズを選択する必要があります。詳細は、「ZFS スワップデバイスおよびダンプデバイスのサイズを調整する」を参照してください。
ブート環境 (BE) – 新しいスワップおよびダンプの容量要件、または調整したスワップおよびダンプのデバイスサイズのほかに、UFS BE から移行した ZFS BE には約 6G バイトが必要です。別の ZFS BE から複製された各 ZFS BE には、追加のディスク容量は必要ありませんが、パッチが適用されると BE のサイズが増加することを考慮してください。同じルートプール内の ZFS BE はすべて、同じスワップデバイスとダンプデバイスを使用します。
Solaris OS コンポーネント – ルートファイルシステムの、OS イメージの一部となっているサブディレクトリのうち、/var 以外のものはすべて、ルートファイルシステムと同じデータセット内に存在している必要があります。さらに、スワップデバイスとダンプデバイス以外の Solaris OS コンポーネントはすべて、ルートプール内に存在している必要があります。
さらに、/var ディレクトリまたはデータセットは単一のデータセットでなければならない、という制限もあります。たとえば、Oracle Solaris Live Upgrade を使って ZFS BE の移行やパッチ適用を行ったり、このプールの ZFS フラッシュアーカイブを作成したりする必要もある場合には、/var/tmp のような /var の下位データセットを作成することはできません。
たとえば、ブート可能な ZFS 環境には、12G バイトのディスク容量を備えたシステムでは小さすぎる可能性があります。UFS BE から移行した ZFS BE の場合、スワップデバイスとダンプデバイスにそれぞれ約 6G バイトのディスク容量が必要になるためです。