この章では日本語入力の基本的な操作について説明します。また、楽々入力機能、単語登録についても説明します。
wnn8le による日本語入力の基本的な操作方法を解説します。
Wnn8 では「wnn8le」を利用して日本語入力を行います。
wnn8le は、IIIMF (Internet/Intranet Input Method Framework) に対応した入力システムです。
wnn8le で日本語入力オンの状態にすると、画面上に wnn8le ツールパレットが表示されます。
直接かな入力をご利用の場合
直接かな入力において wnn8le の仕様により、「ー」 (長音) の入力は Shift + ¥ で行うようになっています。また、「々」の入力はサポートしておりません。
wnn8le の環境設定は wnnlerc ファイルで行います。
wnnlerc は以下の優先順で参照されますので、必要に応じて作成してください。
$HOME/.Wnn8/wnnlerc (ユーザー設定)
/etc/wnn/ja_JP/wnlerc (システム設定)
/usr/lib/wnn/ja_JP/wnnlerc (初期設定)
以下のエントリが設定可能です。
set_jserver サーバーホスト名 |
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接続する jserver が稼動するホスト名を指定します。 初期値は "localhost" です。 |
|
set_geometry [+-] X 座標 [+-] Y 座標 |
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ツールパレットの表示位置を指定します。 指定方法は X Window System でのポジション指定に準拠します。 |
|
henkanon_map TRUE/FALSE |
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ツールパレットの表示方式を指定します。初期値は "TRUE" です。 TRUE … 入力オンの状態でのみ表示します FALSE … 常に表示します |
まずは日本語入力とかな漢字変換を行ってみましょう。
※ 本書では「ATOK 風 キースタイル」に基づいて解説します。
アプリケーションを起動する
日本語入力処理を行いたいアプリケーション (ターミナルエミュレータなど) を起動します。
日本語入力モードをオンにする
日本語 on-off キー、半角/全角 キー、または Ctrl + Space を入力して、左端が「あr」の状態でツールパレットが表示されたら、日本語入力モードの状態です。
ひらがなを入力する
ローマ字入力または、直接かな入力でひらがなを入力します。
漢字に変換する
Space または Shift + Space を入力し、かな漢字変換を実行します。反転表示されている文節が現在の変換対象です。
入力したい語句に変換されていた場合は、Enter または Ctrl + M で確定します。
別の候補を参照する
さらに Space または Shift + Space を入力すると、候補一覧が表示 されます。
次の文節に移動する
次の文節に移動する場合は Ctrl + L を押します。
別の候補に変換する場合は、移動後に Space または Shift + Space を押します。
前の文節に戻る
前の文節に戻る場合は Ctrl + K を押します。
変換結果の文節区切り位置を変更したい場合、次の操作で文節を伸縮することができます。
※ 本書では「ATOK 風 キースタイル」に基づいて解説します。
変換する
ひらがなを入力し、Space または Shift + Space で変換を行います。
反転表示が変換したい文節とは異なっている場合、文節の伸縮をキー操作で行います。
文節を縮める
<- を押して変換対象の文節を縮めます。
文節を縮めたら Space または Shift + Space で変換します。
文節を伸ばす
-> を押すと、変換対象の文節を伸ばすことができます。
かな漢字変換の途中で誤入力に気づいた場合、次の操作で文節を訂正することができます。
※本書では「ATOK 風 キースタイル」に基づいて解説します。
変換を中断し、ひらがな表示に戻す
変換中に、変換前のひらがな表示に戻すには BackSpace を押します。
確定する前に BackSpace を押す
BackSpace を押すと、カーソルの位置より後ろの語句や文節がひらがな表示に戻ります。
変換中の語句を訂正する
かな漢字変換の途中で誤入力に気付いた場合、訂正したい文節に移動して BackSpace を押します。ひらがな表示に戻ったら正しい語句に入力訂正します。
ひらがな、カタカナ、英数字への変換は、ファンクションキーを使って行います。
【ひらがな、カタカナ、英数の変換】 |
|
ひらがなに変換 |
F6 |
カタカナに変換 |
F7 |
全角英数字に変換 |
F9 |
半角に変換 |
F8 |
ファンクションキー F6 で、変換中 (入力中) の文字列をひらがなに変換できます。
ファンクションキー F7 で、変換中 (入力中) の文字列をカタカナに変換できます。
ファンクションキー F9 で、変換中 (入力中) の文字列を全角英数字に変換できます。また繰り返しキー入力を行うことで、[全て小文字] – [先頭文字のみ大文字] – [全て大文字] というパターンで順に変換されます。
ファンクションキー F8 で、変換中 (入力中) の全角文字を半角文字に変換できます。
全角のひらがな、カタカナは半角カタカナに変換します。
新規全角の英数字は半角の英数字に変換します。
また英数字の場合、繰り返しキー入力を行うことで、[すべて小文字] – [先頭文字のみ大文字] – [すべて大文字] のように順に変換されます。
Wnn8 で記号を入力する場合は、先頭に「@」をつけた記号の読みを入力しその読みを変換します。
「あr」の入力変換モードで、「@さんかく」と入力します。
Space や Shift + Space を実行すると、対応する記号に変換します。
さらに変換すると候補一覧が表示され、同じ記号の異なるパターンを選択できます。
入力可能な記号の一覧と対応する読みについては、付録 G の「シンボル (記号) 一覧」に記載されています。
「@」をつけない読みで変換したい場合
記号の変換はシンボル辞書「symbol.dic」で実現していますが、Wnn8 には @ が不要なシンボル辞書「symbol_noat.dic」も用意しています。
symbol.dic の代わりに symbol_noat.dic を辞書として用いれば @ なしで記号の変換が可能となります。辞書環境の設定方法は、第 6 章の「環境設定」を参照してください。
wnn8le のツールパレットの左端にあるのが「入力変換モード表示」ラベルです。変換モードは、ひらがな、カタカナ、全角英数、半角英数、直接かな入力など 10 種類が用意されており、入力したキーは変換モードを反映して画面上に表示されます。
【入力変換モードの表示】
(ローマ字入力 / ひらがな表示モード)
入力変換モードの種類
入力変換モードは下記の種類があります。
モード表示 |
種類 |
表示 |
[あr] |
ローマ字で入力してひらがなを出力します。 |
あいう |
[アr] |
ローマ字で入力して全角カタカナを出力します。 |
アイウ |
[アイr]1 |
ローマ字入力して半角カタカナ2を出力します。 |
アイウ3 |
[あ] |
全角英数字を出力します。 |
aiu/AIU |
[Aあ] |
半角英数字を出力します。 |
aiu/AIU |
[ア] |
全角英数字を出力します。 |
aiu/AIU |
[アイA]4 |
半角英数字を出力します。 |
aiu/AIU |
[ひ] |
直接ひらがなを出力します。 |
ちにな |
[カ] |
直接カタカナを出力します。 |
チニナ |
[カナ]5 |
直接半角カタカナを出力します。 |
チニナ6 |
[q] |
クォートモード (半角英数字を出力します。) |
aiu/AIU |
[Q] |
クォートモード (全角英数字を出力します。) |
aiu/AIU |
[---] |
変換モード OFF |
aiu/AIU |
1. [アイr] は半角表示です。2. [カタカナ] は半角表示です。3. [アイウ] は半角表示です。4. [アイA] は半角表示です。5. [カナ] は半角表示です。6. [チニナ] は半角表示です。
※ 「表示」欄は、各モードのとき「A」「I」「U」を順番にキー入力した際に画面に表示される文字です。
入力変換モードの切り替え
各モードは次のキーを入力することで切り替えができます。
入力方法 |
キー |
切り替え内容 |
ローマ字 入力 |
F1 |
ひらがな⇔カタカナ |
F2 |
全角 ⇔ 半角 |
|
F3 |
ローマ字入力 -> 半角英数字入力 |
|
q |
クォートモード (半角) |
|
Q |
クォートモード (全角) |
|
Ctrl + G |
半角 / 全角英数字 -> かな変換モード |
|
かな |
直接かな入力 ⇔ ローマ字入力 |
※ MS-IME 風、EGG 風ローマ字スタイルではクォートモードは無効になります。
クォート (quote)モードとは?
ひらがな入力中に一時的にアルファベットや数字 (フルキー側) を入力したい場 合に便利なモードです。q または Q キーで入力モードを「半角 (全角) 英数字」に切り替えることができます。Ctrl + G で元の入力モードに戻ります。
半角クォートモード時のツールパレット表示 (全角クォートモード時は「Q」と表示されます)
楽々入力とは、キー入力の際に過去に確定した語句を先読みし、予測ウィンドウに入力候補として表示する機能です。Wnn8 では、より便利に柔軟な入力が可能となる「つながり予測」を採用しました。
Wnn7 の入力予測では、確定した文章全体を入力した文字に対して学習し、次回の文字入力時に予測候補として表示していました。Wnn8 の「つながり予測」では、確定した文章を文節単位で学習し、さらに入力文字だけでなく直前に確定された文節と関連付けて学習します。
従って、予測候補が表示される際にも前文節に関連のある候補のみが表示され、よりすばやく候補を選択することができます。また文節単位の候補なので、入力文の内容を途中で切り替えることも容易になります。
楽々入力には、自動的に予測候補を表示する「リアルタイム予測」と、必要なときにだけ任意に予測候補を表示させる「ユーザー指定予測」があります。
「ユーザー指定予測」の場合は、入力中に Tab キーを押すことにより、対応した予測候補が表示されます。対応する予測候補がない場合は表示されません。
楽々入力のオン / オフ、リアルタイム予測とユーザー指定予測の切り替えは、第 6 章の「環境設定」を参照してください。
楽々入力の操作方法を「リアルタイム予測」を例に解説します。
入力予測候補の学習
たとえば「今日は良い天気です」と確定します。予測学習は文節単位で行われますので、予測辞書には 3 つの語句として登録されます。
今日は | 良い | 天気です
入力予測候補ウィンドウの表示
次に「き」が入力されると、予測候補ウィンドウが表示され「き」で始まる予測候補が表示されます。
この時点では直前の文節はないため、つながり予測は行われず「き」に対する予測候補がすべて表示されます。
予測候補の絞り込み
さらに「ょ」 (xyo) を入力すると、「きょ」に対応する予測候補に絞り込まれます。
なおローマ字入力の "kyo" などではじめから「きょ」と入力した場合は、直接「きょ」に対する予測候補が表示されます。
語句の選択
入力予測候補の中に使用したい語句があれば Tab キーで選択モードに入ります。選択中の候補は反転表示され、Tab キーで順送り、Shift + Tab キーで逆送りできます。またマウスクリックでも候補を選択できます。
入力予測のキャンセル
入力予測候補に入力したい語句がなかった場合は、
そのまま入力を続ける
Gtrl + G または Esc キーで入力予測候補ウィンドウを閉じる
ことで入力予測をキャンセルできます。ただし次に入力した文字に対応する予測候補があれば、再び候補ウィンドウが表示されます。
語句の確定
Enter で選択した予測候補が確定、入力されます。
つながり予測候補の表示と選択
確定した語句に対応する「つながり予測候補」があれば、確定時点で自動 的に表示されます。
この例では以前に「今日は」に続けて確定した文節が表示されています。
候補の選択やキャンセルの方法は通常の予測候補と同じです。
候補の中から語句を選択し、確定します。
さらに確定した語句に対応する「つながり予測候補」があれば、自動的に表示されます。この例では以前に「良い」に続けて確定した文節が表示されています。
更に候補から語句を選択し、確定します。
この例では「天気です」に対応する予測候補がなかったので、予測候補は表示されていません。キーボードにて入力を再開します。
入力予測機能には以下の制限事項がありますので、ご留意ください。
個別に確定した語句は、つながり予測候補としては登録されません。
たとえば「私の」「名前は」と区切って確定した場合は関連付けが行われません。
「私の名前は」で確定された場合に、「名前は」が「私の」に対するつながり予測候補となります。
登録可能な予測候補数は最大 2048 件です。
2048 件を超えた場合、古い候補から順に自動的に削除されていきます。
全角 / 半角スペースは予測候補に登録されません。
第 4 水準 (EUC3byte コード) の文字は予測候補に登録されません。
Wnn8 の単語登録は辞書編集ツールのほかに、wnn8le のツールパレットから手軽に起動できる「単語登録(wnn8le)」が用意されています。
wnn8le 上の単語登録画面は辞書編集ツールに比べて小さい画面ですが、語句を簡単に登録や削除できることが特長です。
単語登録 (wnn8le) を起動する方法は 3 通りあります。
Wnn8le ツールパレットの単語登録起動アイコンをクリックする
Wnn8le ツールパレットの各種ツール起動アイコンをクリックする
Ctrl - T で登録画面を起動する (Wnn キースタイルの場合のみ)
wnn8le を使って日本語変換中に、Ctrl - T をキー入力すると単語登録 (wnn8le) が起動します。
単語登録 (wnn8le) 画面が起動します。
簡易表示 (下画面) と詳細表示画面が用意されています。それらの特長やキー操作など、操作方法は辞書編集ツールと同じです。
操作方法の詳細は、第 5 章の「単語登録」を参照してください。
Wnn8 には、オンラインヘルプが用意されています。
wnn8le のツールパレットや、各ツール画面のヘルプボタンから起動することができます。
wnn8le ツールパレットや各ツールにあるヘルプボタンをクリックします。
オンラインヘルプが起動します。