Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 管理ガイド

部分レプリケーション

デフォルトでは、レプリケーション操作によって、レプリケートされたサフィックスに含まれるすべてのエントリがコンシューマレプリカにコピーされます。部分レプリケーション機能を用いると、選択したサフィックスのどの属性をレプリケーションの対象とし、どの属性を対象外とするかを選択できます。部分レプリケーションはレプリケーションアグリーメントに設定されるので、マスターのコンシューマのレプリカサフィックスごとに属性セットを定義できます。配信するデータを制御し、レプリケーションの帯域幅とコンシューマリソースをより効率的に利用できます。

たとえば、photojpegPhotoaudio のように一般に値が大きい属性をレプリケーションの対象外とすることで、レプリケーションの帯域幅を節約できます。この場合、コンシューマではこれらの属性を利用できなくなります。また、認証に必要な uid 属性と userpassword 属性だけをコンシューマサーバーにレプリケートすることもできます。

部分レプリケーションに関する注意点


注 –

部分レプリケーションは、Directory Server 5.2 より前のバージョンの製品では使用できません。部分レプリケーションアグリーメントを設定する場合は、マスターとコンシューマレプリカが共に Directory Server 5.2 以上を使用している必要があります。


属性の部分的なセットを有効化または変更するには、コンシューマレプリカを初期化し直す必要があります。このため、配備前に部分レプリケーションの必要性を検討し、レプリケートされたサフィックスを初期化する前に属性セットを設定しておく必要があります。

ACI、ロール、CoS などの複雑な機能が特定の属性に依存する小規模な属性セットをレプリケートするときは、慎重な対応が必要です。さらに、ACI、ロール、または CoS メカニズムの指示子やフィルタで示されているその他の属性をレプリケートしないと、データのセキュリティーが損なわれる可能性があります。レプリケートしないと、検索で返される属性セットが異なる可能性もあります。レプリケーションの対象に含める属性のリストを管理するよりも、除外する属性のリストを管理する方法が安全であり、人的なミスも少なくなります。

レプリケートするすべてのエントリがスキーマに準拠しない属性セットをレプリケートするときは、コンシューマサーバーのスキーマチェックを無効にする必要があります。スキーマに準拠しないエントリをレプリケートしても、レプリケーションメカニズムはコンシューマ上でのスキーマチェックを行わないため、エラーは発生しません。しかし、スキーマに準拠しないエントリがコンシューマに含まれるようになるので、クライアントにとって一貫した状態にする必要があるためスキーマチェックを無効にする必要があります。

部分レプリケーションは、ハブと専用コンシューマのマスターレプリカのレプリケーションアグリーメントに設定します。マルチマスターレプリケーション環境の 2 つのマスターレプリカ間での部分レプリケーションは設定できません。また、複数のマスターが同じレプリカとの間でレプリケーションアグリーメントを持つ場合、同じ属性セットをレプリケートするようにすべてのアグリーメントを設定する必要があります。

Procedure部分レプリケーションを設定する

部分レプリケーションを設定するには、サフィックスを指定し、そのサフィックスの属性を含めるか除外するかを決定して、含めるかまたは除外する属性を選択します。サフィックスの属性を除外するように選択すると、他のすべての属性が自動的に含まれます。同様に、サフィックスの特定の属性を含めるように選択すると、他のすべての属性が自動的に除外されます。

このタスクは DSCC を使用して実行することができます。詳細については、「Directory Service Control Center のインタフェース」および DSCC オンラインヘルプを参照してください。

  1. ソースサーバーに存在するレプリケーションアグリーメントに部分レプリケーションを設定します。


    $ dsconf set-repl-agmt-prop -h host -p port suffix-DN consumer-host:consumer-port property:value
    

    propertyrepl-fractional-exclude-attr または repl-fractional-include-attr です。

    たとえば、JPEG と TIFF の写真をサフィックス dc=example,dc=com でレプリケートされる属性から除外する部分アグリーメントを設定する場合、次のコマンドを使用します。


    $ dsconf set-repl-agmt-prop -h host2 -p 1389 dc=example,dc=com host1:1389 
     repl-fractional-exclude-attr:jpegPhoto repl-fractional-exclude-attr:tiffPhoto

    除外する属性の既存リストに属性を追加するには、次のコマンドを使用します。


    $ dsconf set-repl-agmt-prop -h host -p port suffix-DN consumer-host:consumer-port repl-fractional-exclude-att
    r+:attribute