Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 配備計画ガイド

1 つのデータセンターでの可用性向上のためのレプリケーションの使用

次の図に示されているデータセンターには、3 つのマスターを含むマルチマスタートポロジが存在します。このシナリオの場合、3 番目のマスターは、障害が発生した場合の可用性のためにのみ使用されます。読み取りおよび書き込み操作は、問題が発生しないかぎり、Directory Proxy Server によってマスター 1 とマスター 2 に経路指定されます。復旧を高速化し、レプリケーションアグリーメントの数を最小限に抑えるために、復旧レプリケーションアグリーメントが作成されています。これらのアグリーメントは、デフォルトでは無効になっていますが、障害が発生した場合にはすぐに有効にできます。

図 12–1 1 つのデータセンターでのマルチマスターレプリケーション

図は、3 つのマスター Directory Server と 1 つの Directory Proxy Server を含む 1 つのデータセンターを示しています。

1 つのデータセンターの障害マトリックス

図 12–1 に示されているシナリオでは、さまざまなコンポーネントが使用不可になる可能性があります。これらの可能性のある障害の場所と、それに対応する復旧のアクションを次の表に示します。

表 12–1 1 つのデータセンターの障害マトリックス

障害が発生したコンポーネント 

アクション 

マスター 1 

読み取りおよび書き込み操作は、マスター 1 が修復されている間、Directory Proxy Server を介してマスター 2 とマスター 3 に再経路指定されます。マスター 3 への更新がマスター 2 にレプリケートされるように、マスター 2 とマスター 3 の間の復旧レプリケーションアグリーメントが有効になります。 

マスター 2 

読み取りおよび書き込み操作は、マスター 2 が修復されている間、マスター 1 とマスター 3 に再経路指定されます。マスター 3 への更新がマスター 1 にレプリケートされるように、マスター 1 とマスター 3 の間の復旧レプリケーションアグリーメントが有効になります。 

マスター 3 

マスター 3 はバックアップサーバーでしかないため、このマスターに障害が発生しても、ディレクトリサービスは影響を受けません。サービスを中断することなく、マスター 3 をオフラインにしたり、修復したりできます。 

Directory Proxy Server 

Directory Proxy Server の障害は、重大なサービス中断を引き起します。このトポロジでは、Directory Proxy Server の冗長性のあるインスタンスを作成することをお勧めします。このようなトポロジの例については、「複数の Directory Proxy Server の使用」を参照してください。

1 つのデータセンターでの復旧手順

1 つのデータセンターに 3 つのマスターが含まれている場合は、1 つのマスターに障害が発生しても、読み取りおよび書き込み機能が維持されます。ここでは、障害が発生したコンポーネントの復旧に適用できる復旧戦略の例について説明します。

次のフローチャートと手順では、マスター 1 という 1 つのコンポーネントに障害が発生したと仮定しています。2 つのマスターに同時に障害が発生した場合は、その問題を修正している間、読み取りおよび書き込み操作を残りのマスターに経路指定する必要があります。

図 12–2 1 つのデータセンターでのサンプルの復旧手順

1 つのコンポーネントに障害が発生した場合の復旧手順を示すフローチャート

Procedure1 つのコンポーネントの障害から回復するには

  1. マスター 1 がまだ停止されていない場合は、停止します。

  2. 障害の原因を特定します。

    • 障害が容易に (たとえば、ネットワークケーブルの置き換えなどにより) 修復される場合は、修復を行い、手順 3 に進みます。

    • より重大な問題の場合は、障害の修正にさらに多くの時間がかかる可能性があります。

    1. マスター 1 にアクセスするすべてのアプリケーションが、Directory Proxy Server を介して、マスター 2 またはマスター 3 をポイントするようにリダイレクトされる必要があります。

    2. 最新のバックアップが使用できることを確認します。

      • 最新のバックアップが使用できる場合は、そのバックアップからマスター 1 を再初期化し、手順 3 に進みます。

      • 最新のバックアップが使用「できない」場合は、次のいずれかの操作を行います

  3. マスター 1 がまだ起動されていない場合は、起動します。

  4. マスター 1 が読み取り専用モードになっている場合は、読み取り/書き込みモードに設定します。

  5. レプリケーションが正しく機能していることを確認します。

    レプリケーションの確認には、DSCC の dsccmon view-suffixes または insync コマンドを使用できます。

    詳細については、 『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 管理ガイド』「レプリケーションの状態の取得」dsccmon(1M)、および insync(1) を参照してください。