Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 配備計画ガイド

Directory Server Enterprise Edition の管理モデル

Directory Server Enterprise Edition では、管理者がインスタンスの作成や管理をより細かく制御できるようになりました。この制御は、2 つの新しいコマンド dsadmdsconf を使用して実現されます。これらのコマンドは、以前の directoryserver コマンドで提供されていたすべての機能に加え、追加の機能を提供します。

dsadm コマンドを使用すると、管理者は Directory Server インスタンスを作成、起動、および停止できます。このコマンドは、Directory Server インスタンスへのファイルシステムアクセスが必要なすべての操作を行います。このコマンドは、インスタンスをホストするマシン上で実行してください。インスタンスへの LDAP アクセスまたはエージェントへのアクセスが必要な操作は実行しません。

新しい管理モデルでは、Directory Server インスタンスの 「ServerRoot」への関連付けはなくなりました。各 Directory Server インスタンスは、通常のスタンドアロンディレクトリと同じ方法で操作できるスタンドアロンディレクトリです。

dsconf は、cn=config への書き込みアクセスが必要な管理操作を行います。dsconf コマンドは、LDAP クライアントです。アクティブな Directory Server インスタンス上でのみ実行できます。このコマンドはリモートから実行することができ、それによって、管理者は複数のインスタンスを単一のリモートマシンから設定できます。

Directory Proxy Server は、dpadmdpconf という、2 つの類似のコマンドを提供しています。dpadm コマンドを使用すると、管理者は Directory Proxy Server インスタンスを作成、起動、および停止できます。dpconf コマンドを使用すると、管理者は LDAP を使用して Directory Proxy Server を設定し、Directory Proxy Server を介して Directory Server 構成にアクセスできます。

これらのコマンド行ユーティリティーに加えて、Directory Server Enterprise Edition は Java Web コンソールにも統合されています。このコンソールを使用すると、Directory Server Enterprise Edition やその他の Sun 製品を集中管理のユーザーインタフェースから管理できます。Directory Service Control Center (DSCC) は、Directory Server と Directory Proxy Server の管理専用に用意された、Java Web コンソールのサービスです。DSCC は、コマンド行ユーティリティーと同じ機能のほか、複数のサーバーを一度に設定できるウィザードを提供しています。DSCC はまた、レプリケーショントポロジをグラフィカルに監視できる、レプリケーショントポロジの描画ツールも提供します。このツールでは、個々のマスター、ハブ、コンシューマや、それらの間のレプリケーションアグリーメントがリアルタイムに表示されるため、レプリケーションの監視が簡略化されます。

リモート管理

前の節で説明した Directory Server Enterprise Edition の管理モデルでは、トポロジ内の任意の Directory Server または Directory Proxy Server のリモート管理を行うこともできます。サーバーは、コマンド行ユーティリティーと Java Web コンソールの両方を使用して、リモートから管理できます。

dsadm および dpadm ユーティリティーはリモートからは実行できません。これらのユーティリティーは、管理対象のサーバーインスタンスと同じマシンにインストールして実行してください。dsadmdpadm で提供される機能の詳細については、dsadm(1M)dpadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

dsconf および dpconf ユーティリティーは、リモートから実行できます。dsconfdpconf で提供される機能の詳細については、dsconf(1M)dpconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

次の図は、新しい管理モデルによるリモート管理の容易性を示しています。この図は、コンソールコマンドや設定コマンドを Directory Server および Directory Proxy Server インスタンスからリモートにインストールして実行できることを示しています。管理コマンドは、これらのインスタンスに対してローカルに実行する必要があります。

図 8–1 Directory Server Enterprise Edition の管理モデル

図は、管理コマンドと設定コマンド、および Directory Control Center を含む新しい管理モデルを示しています。