Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 配備計画ガイド

パフォーマンス要件の定義

パフォーマンス要件は、ディレクトリ使用状況の一般的なモデルに基づいて定義することをお勧めします。すべてのディレクトリ配備で、Directory Server は 1 つ以上のクライアントアプリケーションをサポートします。これらのアプリケーションの要件を評価する必要があります。ディレクトリに格納される情報の分量とアクセス頻度を見積もるには、これらのアプリケーションを識別し、アプリケーションが Directory Server をどのように利用するかを特定する必要があります。

クライアントアプリケーションの識別

ディレクトリにアクセスするアプリケーションと、データに対するこれらのアプリケーションのニーズは、パフォーマンス要件に大きな影響を及ぼします。クライアントアプリケーションを識別するときは、次のことを考慮します。

ディレクトリを使用する可能性がある一般的なアプリケーションには、次のものがあります。

各アプリケーションが使用する情報を特定すると、いくつかのタイプのデータが複数のアプリケーションによって使用されていることが判明する場合があります。計画段階でこのような課題に取り組むことで、ディレクトリ内のデータが重複する問題を避けることができます。

ディレクトリエントリの数とサイズの決定

ディレクトリに格納されるエントリの数とサイズは、第 4 章「データ特性の定義」で説明したようなデータ要件に大きく左右されます。

エントリの数とサイズを計算するときは、次のことを考慮します。

読み取り数の特定

読み取りトラフィックを見積もるときは、次のことを考慮します。

読み取りパフォーマンスがもっとも重視されるビジネス環境での配備については、第 10 章「拡張配備の設計」を参照してください。ここでは、読み取りトラフィックの増加に対応できる拡張性を確保しながらディレクトリサービスを配備するための提案事項を紹介しています。

書き込み数の特定

書き込みトラフィックを見積もるときは、次のことを考慮します。

書き込みパフォーマンスがもっとも重視されるビジネス環境での配備については、第 10 章「拡張配備の設計」を参照してください。ここでは、書き込みトラフィックの増加に対応できる拡張性を確保しながらディレクトリサービスを配備するための提案事項を紹介しています。

許容可能な応答時間の見積もり

それぞれのクライアントアプリケーションについて、許容可能な最大の応答時間を特定します。許容可能な応答時間は、地理的条件や操作の種類によって異なる可能性があります。

許容可能なレプリケーション待ち時間の見積もり

マスターレプリカとコンシューマレプリカの間で必要な同期性のレベルを見積もります。Directory Server のレプリケーションモデルは疎整合です。これは、マスター上で更新が受理される際に、トポロジ内のほかのレプリカとの通信が不要なことを意味します。そのため、各レプリカの内容が一時的に異なっている可能性があります。これらのレプリカは時間の経過とともに収束し、最終的には各レプリカがデータの同じコピーを保持するようになります。パフォーマンス計画の一環として、レプリカが収束しなければならない最長の許容可能時間を決定します。

Directory Server 6.x には、新しい「優先順位付きレプリケーション」機能が含まれています。この機能では、特定の属性の変更をできるだけ早くレプリケートしなければならないことを指定できます。優先順位付きレプリケーションは、許容可能なレプリケーション待ち時間についての決定に影響を及ぼす場合があります。詳細については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 Reference』「Prioritized Replication」を参照してください。