Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 インストールガイド

システムコンポーネント

次の図に示すように、Identity Synchronization for Windows は一連のコアコンポーネント、および任意の数の個々のコネクタとコネクタサブコンポーネントで構成されます。これらのシステムコンポーネントは、Sun Java System Directory Server (Directory Server) ディレクトリと Windows ディレクトリの間でパスワードおよびユーザー属性の更新を同期することに対応しています。

図 3–1 システムコンポーネント

主要なシステムコンポーネントを示したブロック図。

この節では、これらの Identity Synchronization for Windows コンポーネントについて定義し、説明します。

ウォッチドッグプロセス

ウォッチドッグとは、個々のバックグラウンド Java プロセスを起動、再起動、および停止する、Identity Synchronization for Windows Java テクノロジベースのプロセス (Java プロセス) です。ウォッチドッグは、セントラルロガー、システムマネージャー、およびコネクタを起動および監視します。ウォッチドッグは、サブコンポーネント、Message Queue、または Identity Synchronization for Windows コンソールを監視しません。

ウォッチドッグは、コアコンポーネントをインストールした場所にインストールされ、SolarisTM ソフトウェアデーモン、Red Hat Linux デーモン、または Windows サービスとして起動できます。

コア

Identity Synchronization for Windows をインストールするときは、先にコアコンポーネントをインストールしてから、使用している環境に合わせて設定します。

コアコンポーネントは、次のコンポーネントで構成されます。

設定ディレクトリ

Identity Synchronization for Windows は、自身の設定データを Directory Server の 設定ディレクトリに格納します。設定ディレクトリはインストールされません。

コンソール、システムマネージャー、コマンド行ユーティリティー、およびインストーラのいずれも、次のような製品の設定データを設定ディレクトリで読み書きします。

コンソール

Identity Synchronization for Windows では、製品コンポーネントの設定および管理タスクのすべてを集中化するコンソールを提供しています。

コンソールを使用すると、次の操作を実行できます。

コマンド行ユーティリティー

Identity Synchronization for Windows では、次のタスクをコマンド行から直接実行できるようにするコマンド行ユーティリティーも提供します。

製品のコマンド行ユーティリティーの詳細とその使用方法については、付録 A 「Identity Synchronization for Windows コマンド行ユーティリティーの使用」を参照してください。

システムマネージャー

Identity Synchronization for Windows システムマネージャーは、次の処理を実行する独立した Java プロセスです。

セントラルロガー

コネクタは、遠隔の地域に広く分散されるようにインストールできます。そのため、すべてのロギング情報を集中化することには、管理上大きな価値があります。このように集中化することで、管理者は同期アクティビティーを監視したり、エラーを検出したり、システム全体の健全性を評価したりすることが一箇所から行えるようになります。

管理者は、セントラルロガーのログを使用して、次のようなタスクを実行できます。

ログの種類には、次の 2 種類があります。


注 –

Identity Synchronization for Windows では、すべてのエラーログメッセージが監査ログにも書き込まれるため、ほかのイベントとの相関性がわかりやすくなります。


コネクタ

コネクタは、単一のデータソースタイプでの同期プロセスを管理する Java プロセスです。コネクタは、データソースでユーザーによる変更を検出し、Message Queue を介してこれらの変更をリモートコネクタに発行します。

Identity Synchronization for Windows では、次のディレクトリ固有のコネクタを提供します。これらのコネクタは、ディレクトリやドメイン間でユーザー属性およびパスワード更新を双方向に同期します。


注 –

ウォッチドッグは、コネクタをインストールした場所にインストールされ、コネクタを起動、再起動、および停止します。詳細については、「ウォッチドッグプロセス」を参照してください。


コネクタサブコンポーネント

サブコンポーネントは、コネクタとは独立して実行される軽量プロセスまたはライブラリです。コネクタは、Directory Server や Windows NT の内部でパスワードを収集するといった遠隔からアクセスできないネイティブリソースにアクセスするためにサブコンポーネントを使用します。

次のコネクタサブコンポーネントは、同期されるディレクトリで設定またはインストールされ、暗号化された接続を介して対応するコネクタと通信します。


注 –

Active Directory コネクタは、サブコンポーネントを必要としません。


ディレクトリサーバープラグイン

ディレクトリサーバープラグインは、ディレクトリサーバーコネクタのサブコンポーネントです。同期される Directory Server ごとにディレクトリサーバープラグインを設定します。

このプラグインには、次の機能があります。


注 –

これまで Identity Synchronization for Windows では、2 方向のマルチマスターレプリケーション (MMR) のみをサポートしていました。これからは N 方向の MMR 環境でもディレクトリサーバープラグインが機能します。


Windows NT コネクタサブコンポーネント

使用しているインストールで Windows NT SAM レジストリとの同期が必要な場合は、Identity Synchronization for Windows のインストールプログラムによって、Windows NT コネクタとともに次の項目がプライマリドメインコントローラ (PDC) にインストールされます。

Message Queue

Identity Synchronization for Windows では、パブリッシュ/サブスクライブモデルの持続的なメッセージキューメカニズムである Sun Java System Message Queue (Message Queue) を使用して、属性およびパスワードの変更をディレクトリソース間で伝播させます。Message Queue は、ディレクトリソースの同期を管理するコネクタに対して、管理情報および設定情報も配信します。

Message Queue は、Java Message Service オープン標準を実装した企業向けのメッセージングシステムです。この仕様では、Java アプリケーションが分散環境でメッセージを作成、送信、受信、および読み取る共通の方法を提供する、一連のプログラミングインタフェースを記述しています。

Message Queue は、共通のメッセージサービスを使用してメッセージを交換するメッセージの発行元とサブスクライバで構成されます。このサービスは、1 つ以上の専用のメッセージ ブローカから成ります。メッセージブローカはメッセージキューへのアクセス制御、アクティブな発行元およびサブスクライバに関する情報の維持、およびメッセージが配信されたことの確認を行います。

Message Queue は次の処理を行います。