Sun Java System Web Proxy Server 4.0.4 管理ガイド

第 16 章 テンプレートとリソースの管理

テンプレートを使用すると、複数の URL をグループ化して、プロキシによる処理方法を設定できます。クライアントが取得しようとする URL によって異なるプロキシの動作を設定できます。たとえば、特定のドメインから URL にアクセスするときに、ユーザー名とパスワードを入力して、クライアントの認証を求めることもできます。または、イメージファイルをポイントする URL へのアクセスを拒否するようにすることもできます。ファイルタイプに基づいて、別々のキャッシュ更新方法を設定できます。

この章の内容は次のとおりです。

テンプレートについて

テンプレートとは、リソースと呼ばれる URL の集合です。リソースは、単一の URL、なんらかの共通点を持つ複数の URL のグループ、またはプロトコル全体である場合があります。テンプレートを作成して名前を付けたら、そのテンプレートに、正規表現を使用して URL を割り当てます。このようにして、さまざまな URL の要求に対して、異なる処理ができるように、Proxy Server を設定できます。正規表現を使用して作成できる URL パターンはすべて、テンプレートに含めることができます。次の表は、デフォルトのリソースを表示し、ほかのテンプレートの内容をいくつか示しています。

表 16–1 リソースの正規表現のワイルドカードパターン

正規表現のパターン 

設定内容 

ftp://.*

すべての FTP 要求 

http://.*

すべての HTTP 要求 

https://.*

すべてのセキュリティー保護された HTTP 要求 

gopher://.*

すべての Gopher 要求 

connect://.*:443

HTTPS ポートに対するすべての SSL (セキュリティー保護された) トランザクション 

http://home\.example\.com.*

home.example.com Web サイト上のすべてのドキュメント

.*\.gif.*

文字列 .gif を含むすべての URL

.*\.edu.*

文字列 .edu を含むすべての URL

http://.*\.edu.*

.edu ドメイン内のコンピュータに移動するすべての URL

正規表現について

Proxy Server では、正規表現を使用してリソースを特定することができます。正規表現では、文字列のパターンを指定します。Proxy Server では、URL 内の一致パターンを見つけるために正規表現が使用されます。

正規表現の例を次に示します。

[a-z]*://[^:/]*\.abc\.com.*

この正規表現は、.abc.com ドメインにある任意のドキュメントに一致します。どのプロトコルのドキュメントでも、どのファイル拡張子が付いていてもかまいません。

次の表は、正規表現と、それぞれに対応する意味を示します。

表 16–2 正規表現とその意味

表現 

意味 

。 

改行文字を除く、任意の単一文字に一致します。 

x?

正規表現の x が 0 回または 1 回出現するものに一致します。

x*

正規表現の x が 0 回以上出現するものに一致します。

x+

正規表現の x が 1 回以上出現するものに一致します。

x{n,m}

文字 x に一致します。ここで x の出現は n 回以上、m 回以下です。

x{n,}

文字 x に一致します。ここで x の出現は n 回以上です。

x{n}

文字 x に一致します。ここで x の出現はちょうど n 回です。

[abc]

角括弧に囲まれた任意の文字に一致します。 

[^abc]

角括弧に囲まれていない任意の文字に一致します。 

[a-z]

角括弧内に示された範囲内の任意の文字に一致します。 

x

文字 x に一致します。ここで x は特殊文字ではありません。

\x

特殊文字 x の意味を削除します。

"x"

特殊文字 x の意味を削除します。

xy

正規表現 x が出現し、それに続いて正規表現 y が出現するものに一致します。

x|y

正規表現 x か、正規表現 y のどちらかが出現するものに一致します。

^

文字列の冒頭に一致します。 

$

文字列の末尾に一致します。 

(x)

正規表現をグループ化します。 

次の例は、「正規表現について」に示した正規表現のうち、いくつかの使用方法について示したものです。

[a-z]*://([^.:/]*[:/]|.*\.local\.com).*

「正規表現について」に示したように、円記号は、特殊文字の意味をエスケープまたは削除するために使用することができます。ピリオドや疑問符などの文字には特別な意味があるので、それ自体を表すものとしてこれらの文字を使用する場合は、エスケープする必要があります。特に、ピリオドは多くの URL 内で使用されています。したがって、正規表現内でピリオドの特殊な意味を削除するために、ピリオドの前に円記号を付ける必要があります。

ワイルドカードパターンについて

ワイルドカードパターンのリストを作成すると、サイトからアクセス可能な URL を指定できるようになります。ワイルドカードは、使用方法によって、正規表現かシェル表現のどちらかの形式になります。一般的な規則は次のとおりです。

正規表現のワイルドカードパターンを使用して、複数の URL を指定することができます。ワイルドカードでは、任意のドメイン名、または 指定した語が URL に含まれる任意の URL によってフィルタをかけることができます。たとえば、「careers」という文字列を含む URL へのアクセスをブロックすることもできます。このためには、テンプレートの正規表現として http://.*careers.* を指定します。

テンプレートでの作業

Procedureテンプレートを作成するには

正規表現のワイルドカードパターンを使用して、テンプレートを作成できます。その後、そのテンプレートで指定した URL のみに影響する要素を設定することができます。たとえば、あるタイプのキャッシュ設定を .GIF イメージに対して使用し、プレーンな .html ファイルに対しては別のタイプのキャッシュ設定を使用することもできます。

  1. サーバーマネージャーにアクセスし、「Templates」タブをクリックします。

    「Create Template」リンクをクリックします。「Create Template」ページが表示されます。

  2. 「Template Name」フィールドに、作成するテンプレートの名前を入力して、「了解」をクリックします。

    名前は覚えやすいものにしてください。サーバーマネージャーから、変更を保存して適用することを求めるプロンプトが表示されます。テンプレート用の正規表現を作成したら、下記の手順に従って変更を保存できます。

Procedureテンプレートを適用するには

  1. サーバーマネージャーにアクセスし、「Templates」タブをクリックします。

  2. 「Apply Template」リンクをクリックします。

    「Apply Template」ページが表示されます。

  3. 「URL Prefix Wildcard」フィールドに、テンプレートに含めるすべての URL を含む正規表現のワイルドカードパターンを入力します。

  4. 「Template」リストから、追加したばかりの新しいテンプレート名を選択します。

  5. 「了解」をクリックします。

  6. 「Restart Required」をクリックします。

    「Apply Changes」ページが表示されます。

  7. 「Restart Proxy Server」ボタンをクリックして、変更を適用します。

Procedureテンプレートを削除するには

既存のテンプレートを削除することもできます。テンプレートを削除すると、テンプレートに関連するすべての設定が削除されます。たとえば、テンプレート TEST にすべての URL に対してアクセス制御を設定した場合、TEST テンプレートを削除すると、テンプレートに含まれている URL へのアクセス制御も削除されます。

  1. サーバーマネージャーにアクセスし、「Templates」タブをクリックします。

  2. 「Remove Template」リンクをクリックします。

    「Remove Template」ページが表示されます。

  3. 「Remove」リストからテンプレートを選択します。

  4. 「了解」をクリックします。

  5. 「Restart Required」をクリックします。

    「Apply Changes」ページが表示されます。

  6. 「Restart Proxy Server」ボタンをクリックして、変更を適用します。

Procedureテンプレートを編集するには

サーバーマネージャーで作成したテンプレートを表示および編集することができます。

  1. サーバーマネージャーにアクセスし、「Templates」タブをクリックします。

  2. 「View Template」リンクをクリックします。

    「View Template」ページが表示されます。テンプレートの表には、テンプレート用の正規表現とテンプレート名が表示されます。

  3. 既存のテンプレートを編集するには、「Edit Template Assignment」リンクをクリックします。「Apply Template」ページが表示されます。

リソースの削除

「Remove Resource」ページでは、正規表現オブジェクト全体と、それに対応する設定を削除できます。たとえば、Gopher のリソースを削除することで、そのリソースに関連するすべての設定を、Proxy Server の設定ファイルから削除することができます。

Procedureリソースを削除するには

  1. サーバーマネージャーにアクセスし、「Templates」タブをクリックします。

  2. 「Remove Resource」リンクをクリックします。

    「Remove Resource」ページが表示されます。

  3. 「Remove」ドロップダウンリストから、削除するリソースを選択します。

  4. 「了解」をクリックします。

  5. 「Restart Required」をクリックします。

    「Apply Changes」ページが表示されます。

  6. 「Restart Proxy Server」ボタンをクリックして、変更を適用します。