Sun Java System Web Proxy Server 4.0.8 管理ガイド

負荷分散のためのプロキシ

組織内で複数のプロキシサーバーを使用して、Web サーバー間のネットワーク負荷を分散することができます。このモデルでは、Proxy Server のキャッシュ機能を利用して、負荷分散のためのサーバープールを作成します。この場合、Proxy Server はファイアウォールのどちら側に配置してもかまいません。1 日に大量の要求を受信する Web サーバーがある場合、プロキシサーバーを使用することで、この Web サーバーの負荷を減らし、ネットワークアクセスの効率を上げることができます。

Proxy Server は、実際のサーバーに対するクライアント要求の橋渡し役として機能します。Proxy Server は、要求されたドキュメントをキャッシュします。複数のプロキシサーバーが存在する場合、DNS は IP アドレスを「ラウンドロビン」方式で選択して、要求をランダムにルーティングすることができます。クライアントは毎回同じ URL を使用しますが、要求は毎回異なるプロキシを経由して送信されることがあります。

アクセス回数の多い 1 台のコンテンツサーバーへの要求を、複数のプロキシを使用して処理する方法には、サーバーが 1 台の場合と比べて、より大きな負荷を、より効率的に処理できるようになるという利点があります。最初の起動時に、プロキシがコンテンツサーバーからドキュメントをはじめて取得した後は、コンテンツサーバーへの要求数が大幅に減少する可能性があります。

コンテンツサーバーに送る必要があるのは、CGI 要求とときどき発生する新規の要求だけです。それ以外の要求は、プロキシで処理できます。たとえば、サーバーへの要求の 90% は CGI 以外の要求 、つまり、キャッシュ可能な要求で、1 日あたりのコンテンツサーバーへのヒット数は 200 万回であるとします。この状況で、3 つのプロキシに接続し、各逆プロキシが 1 日あたり 200 万回のアクセスを処理すれば、1 日あたり約 600 万回のヒット数を処理することもできるようになります。コンテンツサーバーに到達する要求は 10% なので、各プロキシからの 1 日あたりのヒット数は合計 20 万回、つまり全体で 60 万回程度となり、こちらの方がはるかに効率的です。ヒット数が約 200 万回から 600万回に増加しても、コンテンツサーバー上の負荷はそれに伴って 200 万回から 60 万回に減少します。ただし、実際の結果はユーザーの状況によって異なります。

図 14–5 負荷分散のためのプロキシ

要求を任意の Proxy Server にルーティングする中央の DNS サーバーに、すべての要求が送られる場合に、負荷分散に使用されるプロキシを示す図