OpenBoot 2.x コマンド・リファレンスマニュアル

付録 D 障害追跡ガイド

この付録では、システムが正常に起動できない場合、いくつかの一般的な障害とそれらを軽減する方法について説明します。

電源投入時の初期設定処理

システム電源投入時の初期設定メッセージについてよく理解してください。これらのメッセージは、システム起動時のさまざまな段階でシステムが実行する機能を示すため、問題をより正確に判断できます。さらに、POST から OpenBoot ファームウェア、起動プログラム、カーネルへの制御の移動も示します。

次の例では、SPARCstation 10 システムでの OpenBoot 初期設定処理を示します。バナーの前のメッセージは、diag-switch? 変数が真の場合だけ ttya に表示されます。


注 -

表示されるカーネルメッセージは、使用するオペレーティングシステムのバージョンによって変わることがあります。



ttya initialized
     (ここで POST は実行を終了し、OpenBootファームウェアに制御を移す。)
Cpu #0 TI,TMS390Z50
     (CPU モジュールをプローブする)
Cpu #1 Nothing there
Cpu #2 Nothing there
Cpu #3 Nothing there	
Probing Memory Bank #0 16 Megabytes of DRAM
     (メモリーをプローブする)
Probing Memory Bank #1 Nothing there
Probing Memory Bank #2 Nothing there
Probing Memory Bank #3 Nothing there
Probing Memory Bank #4 Nothing there
Probing Memory Bank #5 Nothing there
Probing Memory Bank #6 Nothing there
Probing Memory Bank #7 Nothing there	
     (デバイスをプローブする前に、use-nvramrc? が真なら 
      NVRAMRC コマンドを実行し、Stop コマンドの
      キーボード LED フラッシュをチェックする。	
Probing /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000 at f,0
     (デバイスをプローブする) 
       espdma esp sd st ledma le SUNW,bpp SUNW,DBRIa
Probing /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000 at 0,0 
      	Nothing there
Probing /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000 at 1,0 
	      Nothing there
Probing /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000 at 2,0 
      	Nothing there
Probing /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000 at 3,0 
     	Nothing there


SPARCstation 10 (1 X 390Z50), Keyboard Present	
     (バナーを表示する) 
ROM Rev. 2.10, 16 MB memory installed, Serial #4194577.
Ethernet address 8:0:20:10:61:b5, Host ID: 72400111.

Boot device: /iommu/sbus/espdma@f,400000/esp@f,800000/
     (ファームウェアが起動プログラムで tftp を実行する。)
	sd@3,0 File and args:
     (このメッセージが表示されたあと、 制御が 起動プログラムへ移される。) 
root on /iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000/espdma@
     (起動プログラムが実行を開始する。) 
	f,400000/esp@f,800000/sd@3,0:a fstype 4.2
	
Boot: vmunix
Size: 1425408+436752+176288 bytes
     (このメッセージが表示されたあと、制御が カーネルへ移される。) 
Viking/NE: PAC ENABLED         (カーネルが実行を開始する。)
  ...     (カーネルメッセージが続く。)

緊急の手順

表 D-1 に、一部の障害の解決に有効なコマンドについて説明します。これらのコマンドのどれを実行するときも、システムに電源を投入した直後に対応のキーを、キーボードの LED が点灯するまで押し続けてください。

表 D-1 緊急キーボードコマンド

コマンド 

説明 

Stop

POST を省略します。このコマンドはセキュリティモードには依存しません。(注 : 一部のシステムはデフォルトで POST を省略します。そのような場合は Stop-D を使用して POST を起動してください。)

Stop-A

強制終了させます。 

Stop-D

診断モードに入ります (diag-switch?true に設定します)。

Stop-F

プローブを行わず、TTYA で FORTH に入ります。 fexit を使用して初期設定処理を続けます。ハードウェアが壊れている場合に効果があります。

Stop-N

NVRAM の内容をデフォルト設定に戻します。 


注 -

これらのコマンドは、PROM セキュリティーがオンの場合は使用不可になります。また、システムが full セキュリティーを有効にしている場合も、ok プロンプトを表示できるパスワードがなければ、上記のコマンドはどれも使えません。


システムクラッシュ後のデータの保存

sync コマンドは、処理中のどのような情報でもただちに強制的にハードディスクに書き出します。これは、オペレーティングシステムがクラッシュしたり、すべてのデータを保存できないうちに中断されてしまった場合に効果があります。

sync は実際には制御をオペレーティングシステムに戻し、データ保存処理が行われます。ディスクデータが書き込まれると、オペレーティングシステムは自身のコアイメージの保存を開始します。このコアダンプが必要でない場合は、Stop-A キー処理でこの保存処理を中断できます。

一般的な障害

この節では、一部の一般的障害とそれらの障害の解決方法について説明します。

画面がブランクになる - 出力を表示できない

障害 : システムの画面がブランクになり、出力をまったく表示しない。

この問題の考えられる原因を次に示します。

システムが誤ったデバイスから起動される

障害 : システムが、ディスクから起動されることになっているのに、ネットワークから起動される。

この問題の考えられる原因は次の 2 つです。

障害 : システムがネットワークからでなくディスクから起動する。

障害 : システムが誤ったディスクから起動する。(たとえば、システムにディスクが複数あって、システムを disk2 から起動したいのに、disk1 から起動する。)

システムが Ethernet から起動しない

障害 : システムがネットワークから起動しない。

この問題の考えられる原因は次の 2 つです。

システムがディスクから起動しない

障害 : ディスクからシステムを起動しようとすると、失敗し、次のようなメッセージが表示される。

The file just loaded does not appear to be executable.

障害 : ディスクからシステムを起動しようとすると、失敗し、次のようなメッセージが表示される。

Can't open boot device.

SCSI の問題

障害 : システムにディスクが複数インストールされていて、SCSI 関係のエラーメッセージが表示される。

次の手順を行ってみてください。

  1. 1 つだけ残して、すべてのディスクの接続を外します。

  2. ok プロンプトで次のように入力します。


    ok probe-scsi-all
    

    ターゲット番号とその対応ユニット番号を書き留めてください。

  3. 別のディスクを接続して手順 b をもう一度実行します。

  4. エラーが発生したら、そのディスクのターゲット番号を使用されていない別のターゲット番号に変更します。

  5. すべてのディスクが再び接続されるまで、手順 b、c、d を繰り返します。

コンソールを特定のモニターに設定する

障害 : システムに複数のモニターが接続されていて、コンソールが意図するモニターに設定されていない。