Solaris 8 オペレーティング環境の概要

第 2 章 新規機能の詳細説明

この章では、Solaris 8 の新規機能について詳しく説明します。機能の概要については、第 1 章「新機能の概要」を参照してください。

Solaris 8 オペレーティング環境には、マルチスレッド化、対称型多重処理、TCP/IP ベースの統合的なネットワーキング、64 ビットオペレーティング環境上の大規模ファイルの処理、一元化されたネットワーク管理などに対応する高度な技術とツールが含まれます。この Solaris リリースの多くの新機能により、強力で安定したオペレーティング環境をさらに向上させることができます。

主要な機能を次に示します。

IPv6

IPV6 (インターネットプロトコル (IP) バージョン 6) は、現バージョン IPv4 を発展させたものです。一定の移行メカニズムを使用して IPv6 を導入しても、現行オペレーションを混乱させることはありません。IPv6 はアドレス空間を増やし、ヘッダーフォーマットの簡潔化、認証とプライバシのサポート、およびアドレス割り当ての自動構成によりインターネット機能を向上させ、新しいサービス品質機能を可能にします。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。

ネイティブ LDAP

ネイティブ LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) は、LDAP ベースのディレクトリサービスに対してネームサービスのスイッチバックエンドサポートを提供します。Solaris 8 オペレーティング環境では、ネットワーク管理者は nsswitch.ldap テンプレートファイルを /etc/nsswitch.conf にコピーすることにより、LDAP をディレクトリエントリアクセスに適したネームサービスとして指定できます。詳細は、『Solaris ネーミングの管理』と『Solaris ネーミングの設定と構成』を参照してください。

Java 2 SDK for Solaris

Java 2 SDK Standard Edition バージョン 1.2.1_04 は、1.1 リリースと比較してかなり拡張されたスケーラビリティとパフォーマンスを提供します。この向上は、サーバークラスのアプリケーションで特に顕著です。Java 2 SDK for Solaris で強化された点は次のとおりです。

Solaris 8 オペレーティング環境では、JDK 1.1 に代わり Java 2 がデフォルトの JDK になっています。デフォルトの Java 2 JDK との互換性がないアプリケーションは、これまでどおり JDK 1.1.8_09 を使用できます。

詳細は、『Java 2 SDK 開発ガイド (Solaris 編)』を参照してください。

インストールとシステム管理

Solaris オペレーティング環境は大規模で機能に富み、その構造はユーザーの要求に十分こたえる柔軟性を備えています。このリリースの新しい機能により、ユーザーは Solaris 環境のインストールと管理を簡単に行えるようになりました。

Solaris Web Start インストールの変更

Solaris Web Start は、Solaris オペレーティング環境およびその他のソフトウェアをインストールする、Java 技術を利用したウィザードベースのグラフィカルアプリケーションです。このリリースでは Solaris オペレーティング環境とは別の Installation CD で提供されています。Solaris Web Start には、アップグレード機能と、Solaris オペレーティング環境のインストール時に情報 (マニュアルや Web ページなど) を表示する Kiosk というブラウザベースの環境も含まれます。

詳細は、または『Solaris 8 インストールガイド (SPARC 版)』または『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版)』を参照してください。

DHCP によるネットワークを介したブート

ネットワークを介してシステムをブートするための動的ホスト構成プロトコル (DHCP) のサポートが追加されました。

これにより、ネットワーク上のシステムは、ネットワークを介したブートに必要なブートパラメタとネットワーク構成情報を DHCP を使用して取得できるようになりました。DHCP ブートがサポートされるのは、特定の SPARC システムと IA ベースのシステムだけです。

これまでのリリースでは、デフォルトでは Reverse Address Resolution Protocol (RARP) を使用してシステムのネットワークブートが行われました。このリリースでは、DHCP または RARP のどちらかを選択してネットワークブートが行えます。

DHCP を使用してシステムのネットワークブートを行う前に、あらかじめ DHCP サーバーをインストールし、ネットワークに対応するように構成する必要があります。DHCP サーバーの設定については、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。ネットワークを介したブートについては、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。

IA: Solaris 8 におけるブートパーティション

Intel 版 Solaris を使用している場合は、Solaris Web Start を使用して Intel 版 Solaris 8 にアップグレードする際に、IA ブートパーティションを指定する必要があります。10M バイトのディスク容量を必要とするこのブートパーティションは、Solaris オペレーティング環境の他の部分とは別のディスクにインストールできます。そのため、1 台のマシンに複数のオペレーティングシステムをインストールできます。ただし、ブートパーティションはブートディスクにインストールする必要があります。

詳細は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』を参照してください。

IA: CD-ROM ブート

この新しい機能により、これまでのように、Device Configuration Assistant フロッピーディスクではなく、E1 Torito 標準を使用して Installation CD からシステムをブートできるようになりました。

1997 年の後半以降に製造されたほとんどの IA ベースのマザーボードの BIOS は E1 Torito 標準をサポートするため、CD-ROM ドライブをブートデバイスとして認識します。この機能を有効にするには、システムの BIOS 設定ツールを実行してください。

DHCP Manager

DHCP Manager は、Java 技術に基づいた Solaris DHCP サーバーと DHCP データベースの構成および管理に必要なグラフィカルインタフェースを提供します。システム管理者は、このツールだけですべての DHCP 管理作業 (DHCP サーバーの設定と管理、クライアント構成オプションとマクロの管理、DHCP 管理下のネットワークや IP アドレスの管理など) を実行できます。

DHCP Manager は、Solaris DHCP コマンド行ユーティリティの代わりとして使用したり、DHCP コマンド行ユーティリティと組み合わせて使用したりできます。

DHCP Manager には次の利点があります。

DHCP Manager の詳細は、dhcpmgr(1M) のマニュアルページと『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。

IA: 大容量ディスクのサポート

ディスクアクセスの BIOS インタフェースが向上したため、Intel 版 Solaris 8 では 8G バイトを超えるディスクを完全に使用できるようになりました。これまでのリリースでは、Intel 版 Solaris は IDE ディスクの最初の 8G バイトしか使用できませんでした。また、SCSI または IDE ディスクがルートスライス用に使用できたのも最初の 8G バイトだけでした。BIOS インタフェースの向上により、システム上のこれらの制限は除かれました。詳細は、『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版)』を参照してください。

Solaris WBEM Services

Solaris WBEM Services ソフトウェアは、Solaris オペレーティング環境に Web-Based Enterprise Management (WBEM) を実装したものです。WBEM は、複数のプラットフォーム上のシステム、ネットワーク、およびデバイスの Web ベース管理に関する標準を含む、業界規模の提唱です。Solaris WBEM Services ソフトウェアを使用すると Solaris オペレーティング環境で動作する管理アプリケーションを作成しやすくなり、Solaris オペレーティング環境の管理も容易になります。また、このソフトウェアにより、管理データのアクセスと操作も安全に行えます。この製品には、管理アプリケーションが Solaris オペレーティング環境内の管理対象リソース (デバイスおよびソフトウェア) 情報にアクセスするために使用する組み込みの Solaris プロバイダも含まれます。

Solaris WBEM Services ソフトウェアは、次のサービスを提供します。

Solaris WBEM Services の使用については、『Solaris WBEM Services の管理』を参照してください。

システム識別ユーティリティによるドメインネームシステム (DNS) のサポート

システム識別ユーティリティで構成できるネームサービスのリストにドメインネームシステム (DNS) が追加されました。ネームサービスが自動的に検出されない場合には DNS が選択肢として提示されますが、sysidcfg ファイル内に指定することもできます。sysidcfg ファイルがない場合、DNS は自動検出されません。

詳細は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 5/99 リリースで初めてサポートされました。

システム識別ユーティリティによる IPv6 のサポート

インストール時に IPv4 だけでなく IPv6 にも対応するようにシステムを構成できるようになりました。IPv6 を自動検出する方法は現在ありません。そのため、IPv6 の使用を sysidcfg ファイルで指定しないかぎり、IPv6 を使用するようにシステムを構成するかどうかインストール時に尋ねられます。

詳細は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』を参照してください。

使用できる疑似端末の数が無制限

Solaris 8 ソフトウェアでは、rlogintelnet のようなプログラムで使用する疑似端末をいくつでも開くことができます。これまでのリリースでは、デフォルトでは 48 の疑似端末しか割り当てられませんでした。Solaris 8 ソフトウェアは、現在、必要時に疑似端末を動的に割り当て、作業負荷を自動的に調整します。これは、多数のオープン端末セッションを処理するデスクトップユーザーやシステム管理者にとって便利です。

Solaris 8 Documentation CD から文書を読む

ab2cd スクリプトを使用して Solaris 8 Documentation CD から直接 AnswerBook2 形式の文書を読むことができます。Solaris 8 Documentation CD では、ユーザーフィードバックが改善されています。ab2cd が動作するポート番号を設定したり、システムにすでにインストールされている文書を読んだりすることができます。

ab2cd の詳細は、ab2cd(1M) のマニュアルページを参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 8/99 リリースで初めてサポートされました。

Product Registry

Solaris Product Registry は、Solaris Web Start 3.0 または Solaris パッケージ管理コマンド (pkgadd など) を使用してインストールされたソフトウェアを管理するツールです。このツールを使用して、次の作業を実行できます。

詳細は、『Solaris 8 インストールガイド (SPARC 版)』または『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版)』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 3/99 リリースで初めてサポートされました。

ネットワーキング機能

Solaris オペレーティング環境は、安定した信頼性の高いネットワーク環境を提供します。このリリースにおける新しいネットワーク管理機能とシステム管理機能は、この環境を管理するツールを拡張します。

SPARC: InterDomain Networks

InterDomain Networks (IDNs) によりユーザーは、特殊なハードウェアを使用せずに、動的なシステムドメイン間に高速ネットワーク接続を設定できます。IDNs をサポートするのは特定の SPARC サーバーだけです。使用しているサーバーが IDNs をサポートするかどうかについては、ハードウェアメーカーのマニュアルを参照してください。詳細は、『Sun Enterprise 10000 InterDomain Networks User Guide』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 11/99 リリースで初めてサポートされました。

IPv4 の IPsec

IP セキュリティアーキテクチャ (IPsec) は、IP データグラムの保護を目的とした機能です。この保護には、機密性、データ完全性、部分的なシーケンス (再実行) の完全性を確保する機能、データ認証などがあります。IPsec は、IP 層に影響を与える、認証および暗号化のメカニズムです。IPsec は、アプリケーションを認識せずに有効にすることも、アプリケーションを認識して有効にすることもできます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。

IPv6 NFS と RPC に準拠

IPv6 は、NFS と RPC をシームレスにサポートできるようになりました。既存の NFS 関連コマンドに変更はなく、ほとんどの RPC アプリケーションも変更を加えずに IPv6 で実行できます。トランスポートを認識する一部の上級 RPC アプリケーションは、更新が必要な場合があります。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。

Logical Link Controller (LLC2) プロトコル

クラス II の論理リンク制御 (LLC2) ドライバは、Solaris オペレーティング環境で動作しているネットワークソフトウェア (NetBIOS、SNA、OSI など) と、通信アダプタで制御されている物理 LAN ネットワークをつなぐ、インタフェースとして機能します。ネットワークソフトウェアのドライバとして扱われる LLC2 ドライバはカーネルに常駐し、標準の UNIX STREAMS 機能によってアクセスされます。

この LLC2 ドライババージョンには、適切な Solaris MAC レイヤードライバを経由した、Ethernet、Token Ring、および FDDI アダプタを操作する、クラス II の論理リンク制御 (LLC2) をサポートします。コネクションレス型およびコネクション型の両方をサポートしています。LLC2 ドライバの Data Link Provider Interface (DLPI) により、種類の異なる複数のプロトコルスタック (NetBIOS、SNA など) が 1 つ以上の LAN で同時に動作できます。

LLC2 の詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。DLPI の詳細は、『STREAMS Programming Guide』と dlpi(7P) のマニュアルページを参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 8/99 リリースで初めてサポートされました。

IPv6 による転送で NIS/NIS+ を使用

NIS、NIS+、および DNS ネーミングサービスに IPv6 アドレスを格納できるとともに、IPv6 RPC による転送で NIS と NIS+ を使用し、任意の NIS データまたは NIS+ データを取り出すことができます。NIS 用に、新しいマップ ipnodes.bynameipnodes.byaddr の 2 つが追加されました。これらのマップは、IPv4 情報と IPv6 情報の両方を含むことができます。NIS+ 用としては、新しいテーブル ipnodes.org_dir が追加されました。このテーブルも、IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方を含むことができます。IPv4、IPv6 とも新しい ipnodes(4) データベースを使用することをお勧めしますが、IPv4 アドレスには hosts(4) データベースがこれまでどおりサポートされます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。

sendmail 8.9.3

あらゆるメッセージ内のヘッダー行すべての合計長を制限する新しいオプション MaxHeadersLength が含まれます。このオプションにより、サービス拒否攻撃を防ぐことができます。また、Local Mail Transfer Protocol、RFC 2033 を実装する新バージョンの mail.local も含まれます。この変更により、エラーが発生する場合に受信者全員にメッセージを再送信するのではなく、メッセージを受信しなかった受信者に対してメールを再度待ち行列に入れることができるようになりました。sendmail を開始するオプションを /etc/default/sendmail という新しいファイルを使用して格納すれば、アップグレード時にオプションが変更されることを防止できます。また、新しいユーティリティ smrsh を使用すると、sendmail|program 構文によって実行できるコマンド数を減らすことができ、セキュリティが向上します。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。

サービスロケーションプロトコル (SLP)

サービスロケーションプロトコル (SLP) は、企業ネットワーク内の共有資源 (プリンタ、ファイルサーバー、インターネットカメラなど) を検索するための IETF (Interenet Engineering Task Force) プロトコルです。Solaris 8 オペレーティング環境では、API も含めて、SLP が完全実装されています。SLP の API を使用して、開発者は SLP 対応アプリケーションを作成し、システム管理作業を簡便化することができます。

詳細は、『サービスロケーションプロトコルの管理』を参照してください。

Solaris STREAMS フレームワークの拡張

Solaris 8 オペレーティング環境の STREAMS フレームワークが向上したため、STREAMS プロセスはユーザープロセスの優先順位にぶつからない優先順位を使用できるようになりました。これにより、リアルタイムプロセスの応答時間が確定しやすくなりました。

Solaris 8 オペレーティング環境ではまた、次の Solaris STREAMS サポート関数は Solaris オペレーティング環境の DDI 指定インタフェースに適合する必要があります。

Solaris オペレーティング環境の DDI 指定インタフェースへの適合は、どのような使用状況においても上記の関数をこれらの関数の ddi.h 実装にリダイレクトすることによって実施されました。


注意 - 注意 -

この適合により、上記の関数を不正に使用する、DDI に準拠しないドライバおよびモジュールにシステムエラーが発生する可能性があります。DDI に準拠しないドライバとモジュールの場合、それらのバージョン更新は必要ですが、コードを変更する必要はありません。


上記の関数の詳しい仕様は、『STREAMS Programming Guide』を参照してください。

ネットワークタイムプロトコル (NTP)

NTP は、次に示す新機能が追加されて 3.4y から 3-5.93e にアップグレードしました。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』を参照してください。

ファイルシステムの拡張機能

この節では、Solaris 8 オペレーティング環境の新規機能のうち、ファイルシステム管理とロギングに関連する機能について説明します。

ユニバーサルディスクフォーマット (UDF) ファイルシステム

Solaris 8 では、光学式媒体技術の情報を格納するための業界標準のフォーマットである UDF ファイルシステムがサポートされています。次のコンポーネントでは、UDF フォーマットでデータを交換できます。

UDF ファイルシステムは、動的に読み込める 32 ビットおよび 64 ビットのモジュールとして提供されています。このシステムには、SPARC プラットフォームと IA プラットフォーム上でファイルシステムの作成、マウント、およびチェックを行うシステム管理ユーティリティが含まれます。

UDF ファイルシステムがマウントされると、デバイスからファイルの読み取り、書き込み、または表示が行え、アプリケーションは標準のシステムコールを使用して UDF ファイルと UDF ディレクトリにアクセスできます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』と mount_udfs(1M) のマニュアルページを参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 11/99 リリースで初めてサポートされました。

NFS サーバーロギング

NFS サーバーロギングにより、NFS サーバーでそのファイルシステム上で実行されたファイルトランザクションのログを取得できるようになります。このログには、アクセスされた内容、その時間、アクセスしたユーザーを追跡した情報が含まれます。この情報を保持するログの位置は、構成オプションを使用して指定できます。これらのオプションは、ログに記録すべき操作の選択にも使用できます。この機能は、NFS クライアントと WebNFS クライアントが使用できる匿名の FTP アーカイブを作成するサイトに特に便利です。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。

IA: XMEM (Extended Memory) のサポート

XMEM のサポートにより、1 つの 32 ビットプロセスが 4G バイト以上の物理メモリーを効率的に割り当てて管理できる機構が提供されます。XMEM 機能は、ファイルシステム (xmemfs) として実装されます。システム管理者は、xmemfs をマウントしてアプリケーションのメモリーを予約できます。

詳細は、mount_xmemfs(1M)xmemfs(7FS) のマニュアルページを参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 11/99 リリースで初めてサポートされました。

WebNFS JavaBeans コンポーネント

WebNFS JavaBeans コンポーネントには、Java 2 API の JFileChooser グラフィカルコンポーネントを拡張する XFileChooser クラスが含まれます。WebNFS JavaBeans は、入力 (開く) または出力 (保存) するファイルをユーザーが選択できるようにファイルチューザを表示する必要がある任意の Java 2 アプリケーションで使用できます。XFileChooser を使用すると、アプリケーションは NFS URL ネーミングを介してローカルディスクまたは NFS サーバー上のファイルにアクセスできます。

詳細は、『WebNFS Developer's Guide』を参照してください。

UFS ファイルシステムにおける遅延アクセスタイム更新

新しい 2 つのマウントオプション dfratimenodfratime により、UFS ファイルシステムにおける遅延アクセスタイム更新を有効または無効にできます。有効に設定すると、アクセスタイムの更新以外の理由でディスクがアクセスされるまで、ファイルシステムの書き込みアクセスタイム更新が延期される場合があります。デフォルトの動作は dfratime です。nodfratime オプションは、この機能を無効にする場合に使用します。mount オプションの noatime を使用すると、dfratime または nodfratime 値にかかわらずアクセスタイムの記録が無効になります。

UFS マウントオプションの詳細は、mount_ufs(1M) のマニュアルページを参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 3/99 リリースで初めてサポートされました。

診断機能と可用性の拡張

この節では、Solaris 8 オペレーティング環境の新規機能のうち、システム構成と障害追跡に関連する機能について説明します。

コアファイル管理の拡張

coreadm コマンド

Solaris 8 では、コアファイルの命名規則が柔軟になり、コアファイルの保存が容易になる、coreadm コマンドが追加されました。たとえば、coreadm コマンドを使用して、すべてのプロセスコアファイルが単一のシステムディレクトリに置かれるようにシステムを構成できます。このため、Solaris のプロセスまたはデーモンが異常終了する場合は、いつでも特定のディレクトリ内のコアファイルを調べて容易に問題を追跡できます。

プロセスごとまたは汎用的に構成可能な新しい core ファイルパスは、個々に有効または無効にできます。プロセスが異常終了する場合、以前の Solaris リリースと同様に現在のディレクトリに core ファイルが作成されます。しかし、汎用的なコアファイルパスが有効にされ特定のパス (/corefiles/core など) が設定されている場合、異常終了するプロセスごとに現在の作業ディレクトリ内のコアファイルと指定されているディレクトリ内のコアファイル (/corefiles/core) の 2 つが作成されます。

デフォルトでは、Solaris のコアパスとコアファイル保存は同じに維持されます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』と coreadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 8/99 リリースで初めてサポートされました。

proc ツールによるコアファイルの検査

いくつかの proc ツールにおいては、活動状態のプロセスだけでなくプロセスのコアファイルも検査するように機能が拡張されました。proc ツールとは、/proc ファイルシステムの機能を操作するためのユーティリティです。

Solaris 8 では、コマンド行でコアファイル名を指定することにより /usr/proc/bin/pstackpmapplddpflags、および pcred ツールをコアファイルに適用できます。これは、これらのコマンドにプロセス ID を指定する方法に似ています。次に例を示します。


$ ./a.out
Segmentation Fault(coredump)
$ /usr/proc/bin/pstack ./core
core './core' of 19305: ./a.out
 000108c4 main     (1, ffbef5cc, ffbef5d4, 20800, 0, 0) + 1c
 00010880 _start   (0, 0, 0, 0, 0, 0) + b8

proc ツールを使用してコアファイルを調べる方法については、proc(1) のマニュアルページを参照してください。

デバイス構成の改良 (devfsadm)

/dev および /devices ディレクトリ内の特殊なデバイスファイルを管理する devfsadm コマンドのメカニズムが改良され、動的再構成イベントなどがサポートされるようになりました。

以前の Solaris リリースでは、デバイス構成は /devices ディレクトリ内の物理デバイスエントリを管理する drvconfig と、/dev ディレクトリ内の論理デバイスエントリを管理する 5 つのリンクジェネレータ (devlinksdiskstapesports、および audlinks) によって処理されました。互換性を維持するため、drvconfig とその他のリンクジェネレータは、devfsadm ユーティリティにシンボリックリンクされます。

動的再構成イベントに応答するための再構成ブート処理と /dev および /devices ディレクトリの更新は、両方とも devfsadm コマンドのデーモン版である devfsadmd によって処理されます。このデーモンは、システムのブート時に /etc/rc* スクリプトから起動します。

devfsadmd (devfsadm デーモン) は、あらゆる再構成イベントが生成するデバイス構成変更を自動検出するため、このコマンドを対話方式で実行する必要はありません。

この機能は、Solaris 7 - 11/99 リリースで初めてサポートされました。

詳細は、devfsadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

システムエラーメッセージの改良

syslog(1M) ログ機能によって生成されるシステムのブートメッセージやエラーメッセージに、数値の識別子、モジュール名、およびタイムスタンプが提供されるようになりました。また、これまではシステムパニックやリブートの後に消失していたメッセージが保存されるようになりました。

この機能は、Solaris 7 - 3/99 リリースで初めてサポートされました。

モジューラデバッガ

モジューラデバッガ (mdb) は、動作中のオペレーティングシステム、オペレーティングシステムのクラッシュダンプ、ユーザープロセス、ユーザープロセスのコアダンプ、およびオブジェクトファイルの低レベルデバッグと編集を行う、拡張性のある新しいユーティリティです。mdb は、相当に最適化されたプログラム、デバッグ情報が削除されたプログラム、それ自体が低レベルのデバッグツールであるプログラムなどのための複雑なソフトウェアシステム (オペレーティングシステムなど) をデバッグする、全面的にカスタマイズが可能な環境を提供します。mdb は、開発者が事後分析情報にしかアクセスできない顧客状況も処理します。

詳細は、『Solaris モジューラデバッガ』と mdb(1) のマニュアルページを参照してください。

リモートコンソールメッセージング機能

Solaris 8 には、シリアルデバイスをリモートシステムの障害を追跡する補助 (リモート) コンソールとして選択できる consadm コマンドが含まれます。

この機能を使用すると、モデムを使用してシリアルポートにダイアルインし、コンソールメッセージの監視と init 状態遷移への関与が行えます。

詳細は、consadm(1M) のマニュアルページと『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 5/99 リリースで初めてサポートされました。

TCP/IP 内部トレース機能

TCP/IP に内部トレース機能が追加されたため、RST パケットによって接続が中断される場合には TCP 通信のログが記録されます。RST パケットが送受信される場合、その接続が確立される直前に送受信されたパケット 10 個分の情報が接続情報とともにログに記録されます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 5/99 リリースで初めてサポートされました。

パフォーマンスとスケーラビリティの拡張

この節では、Solaris 8 オペレーティング環境の新しいツールのうち、システム性能の監視と向上に使用するツールについて説明します。

IA: 物理アドレス拡張 (PAE) モードのサポートを追加

Intel 社は Pentium Pro のリリースとともに、上級プロセッサ上に PAE というモードを導入しました。PAE を使用すると、Intel 版 Solaris は最大 32G バイトの物理メモリーを指定できます。個々のプロセスは、これまでどおり最大 3.5G バイトの仮想アドレス空間に限定されます。

PAE モードを使用すると、データベース、およびメモリーを多用するアプリケーションの複数のインスタンスを実行できるとともに、1 台のマシンで多数のオンラインユーザーをサポートできます。

一番望ましいのは、マシン内の DAC (Dual Address Cycle) をサポートする PCI ディスクコントローラを使用することです。これは、このような PCI ディスクコントローラは任意の物理位置との間でデータの転送が行えるためです。他のカードは 4G バイトの物理メモリーに制限されており、システムがメモリーをさらにコピーしてデータ転送を行う必要があるため性能速度が落ちる可能性があります。


注意 - 注意 -

デバイスドライバの中には、まだ PAE モードを利用できないものもあります。Sun では、4G バイトを超えるメモリーを持つ IA ベースのマシンを使用して、Sun が作成した PCI デバイスドライバのテストを行いました。Sun の OEM パートナーは、4G バイトを超えるメモリーを持つ IA ベースマシンで、パートナーが供給するデバイスが使用されたマシンをテストします。しかし場合によっては、システムに Sun 以外のデバイスドライバを追加すると、システムが不安定になってパニックを起こし、データ破壊につながる場合があります。システムが不安定になるがそのドライバが必要という場合は、PAE モードサポートは無効にする必要があります。詳細は、『Solaris 8 デバイスの構成 (Intel 版)』を参照してください。


この機能は、Solaris 7 - 3/99 リリースで初めてサポートされました。

apptrace

アプリケーション開発者やシステムサポート担当者は、新しいアプリケーションデバッグツール apptrace を使用して、アプリケーションまたはシステムの障害をデバッグできます。apptrace は、障害が発生してから現在に至るまでの一連のイベントを示すコールトレースを Solaris の共有ライブラリに提供します。

apptrace ツールは、これまで使用できた sotruss コマンドよりも信頼性の高いコールトレースを提供します。また、関数の引数、戻り値、Solaris ライブラリインタフェースのエラー状況などの表示も sotruss より優れています。

デフォルトでは、apptrace トレースは、コマンド行に指定される実行可能オブジェクトから、その実行可能オブジェクトが依存する各共有ライブラリに対して直接呼び出します。

詳細は、apptrace(1) のマニュアルページを参照してください。

SPARC: busstat

新しいシステム監視ツール busstat を使用すると、コマンド行を使用してシステム上のバスに関連するハードウェアパフォーマンスのカウンタにアクセスできます。このツールによって、システムハードウェアからシステム全体のバス統計情報を測定できます。現在サポートされているハードウェアは、SBus、AC、および PCI デバイスです。これらはすべて SPARC システムデバイスです。現在、IA デバイスはサポートされていません。

busstat コマンドを実行すると、メモリーバンクの読み取りまたは書き込み、クロックサイクル、割り込み数、ストリーム DVMA の読み取りまたは書き込み転送など、システム全体の統計情報を測定できます。

スーパーユーザーは、busstat を使用してこれらのカウンタを設定できます。他のユーザーは、スーザーユーザーがあらかじめ設定したカウンタを読み取ることしかできません。

busstat コマンドは、これらのハードウェアパフォーマンスカウンタをサポートすることが確認された、システム内のデバイスを表示します。システム内にサポートされるデバイスが見つからない場合には、次のメッセージが表示されます。


busstat: No devices available in system. 

この監視ツールの使用方法については、busstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

サーバーブートの高速化

Solaris 8 オペレーティング環境では、大規模サーバーのブート時間が大幅に短縮されました。ブート性能向上の一環として、Solaris 8 オペレーティングシステムは複数の SCSI デバイスを同時に調べます。古いデュアルポート SCSI デバイスの中には同時検査をサポートしないものもあり、これらは Solaris 8 オペレーティング環境のインストールまたはこのオペレーティング環境へのアップグレードの前にシステムから削除することをお勧めします。

poll() に代わる新しいインタフェース

入出力イベントの完了をポーリングする新しい方法として /dev/poll が追加されました。/dev/poll は、長時間開いたままになっているファイル記述子についてポーリングを行わなければならないようなイベントが大量にある場合、パフォーマンスを大幅に改善します。この機能は poll(2) を補うものですが、完全に poll(2) の代替にはなりません。

詳細は、『システムインタフェース』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 5/99 リリースで初めてサポートされました。

prstat

prstat ユーティリティは、システム上のすべてのアクティブプロセスを対話方式で調べ、選択されている出力モードとソート順序にもとづいて各種の統計値を報告します。prstat は、微細なアカウンティング情報の報告と、CPU 利用とメモリー利用の要約にも使用できます。

詳細は、prstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

IA: Xeon の拡張機能

Intel 版 Solaris 8 では、最高のパフォーマンスを得るために、Intel IA-32 プロセッサ (Pentium II と Pentium III) の PAT (Page Attribute Table) 機能をサポートするようになりました。このサポートによりデバイスドライバの作成者は、BIOS が書き込み結合用のデバイスを設定しない場合でも、書き込み結合に対応したデバイスに対してこの機能を利用することができます。

詳細は、『Writing Device Drivers』を参照してください。

セキュリティの強化

この節では、Solaris 8 オペレーティング環境の新規機能のうち、システムセキュリティ、およびファイルシステムとディレクトリの所有権に関連する機能について説明します。

Solaris スマートカード

Solaris スマートカード機能は、Open Card Framework (OCF) 1.1 標準を実装しています。この技術によりセキュリティ管理者は、ユーザーにスマートカードを使用して自己の証明をさせ、コンピュータデスクトップまたは個々のアプリケーションを保護できます。Solaris スマートカードによって保護される各ホストには、カードリーダーが必要です。保護されたデスクトップまたはアプリケーションにアクセスするには、ユーザーはまず自分のスマートカードをリーダーに挿入し、続いてカードの PIN を入力します。ホストマシンは、カードに埋め込まれた PIN とユーザーのパスワードを使用してそのユーザーを検証します。

Solaris スマートカードは、Sun Smart Card Reader I と iButton Reader の 2 種類の外部カードリーダーをサポートします。サポートされるスマートカードは、Java ベースの iButton カードと Cyberflex カード、および Payflex スマートカードです。

サイトにおけるスマートカードサポートの設定方法は、『Solaris スマートカードの管理』で説明します。このマニュアルでは、スマートカードの技術についても紹介します。

デフォルトのファイルシステムとディレクトリのアクセス権

Solaris 8 リリースのシステムファイルとディレクトリの多くは、デフォルトの所有権が以前のリリースとは異なり、アクセス権もより厳密なものになっています。デフォルトの所有権とアクセス権の変更を次に示します。

Solaris 8 リリースを使用したシステムに追加するパッケージを作成する場合は、次の点を考慮してください。

これらの変更は、このリリースのすべてのファイルとディレクトリに適用されるわけではありません。たとえば、OpenWindows または CDE のファイルとディレクトリには適用されません。

役割によるアクセス制御

従来のスーパーユーザーベースのシステムは、スーパーユーザーになれるユーザー全員に完全なスーパーユーザー権限を与えます。Solaris 8 オペレーティング環境の役割によるアクセス制御を使用すると、管理者は通常のユーザーに制限付きの管理権限を割り当てることができます。この割り当ては、次の 3 つの新機能を使用して行います。

管理者は、特定の作業のための、認証と特権コマンドを含む実行プロファイルを作成します。作成された実行プロファイルは、ユーザーまたは役割に直接割り当てることができます。役割は、ユーザーに割り当てられます。割り当てられた役割を持つユーザーは、su コマンドを実行して役割へのアクセス権を取得します。役割には、個々の役割が変化する場合に更新する必要がない共有アカウントという利点があります。次に示す新しいファイルは、役割によるアクセス制御をサポートします。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』を参照してください。

ユーザー監査イベントの一元管理

ネームスイッチでは、ユーザーと役割の監査事前選択クラスを格納する /etc/security/audit_user ファイルがサポートされるようになりました。現在は、ユーザーがアクセスできるシステムごとにユーザーの監査イベントを設定する必要はありません。

Sun Enterprise 認証メカニズム (Kerberos V5) クライアントサポート

この機能は、Kerberos V5 のクライアント側インフラストラクチャ (PAM (Pluggable Authentication Module) への追加) と、NFS サービスのような RPC ベースアプリケーションの保護に使用できるユーティリティプログラムを提供します。Kerberos は、選択可能なユーザーレベルまたはサーバーレベルの強い認証、完全性、またはプライバシサポートを提供します。Kerberos クライアントを Sun Enterprise 認証メカニズム (SEAM) (SEAS 3.0 の一部) やその他の Kerberos V5 ソフトウェア (MIT 配布など) と組み合わせて使用し、完結した単一のネットワークサインオンソリューションを作成できます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』を参照してください。

リアルタイムシステムの拡張

この節では、Solaris 8 オペレーティング環境の新規機能のうち、リアルタイムプロセスに関連する機能について説明します。

高精度のタイマー

高精度のタイマー (HRT) は、これまでの 100 ミリ秒単位のクロックインタフェースではなく、ハードウェアからの物理クロック割り込みの精度を使用するようになります。HRT インタフェースによって、リアルタイムプロセスは (マルチプロセッサシステムの) 1 つのプロセッサを制御し、タイミングイベントに求められる任意の精度で動作できます。

高精度のタイマーは、従来のリアルタイムアプリケーションが Solaris で動作する上で欠くことのできない要素です。

詳細は、『システムインタフェース』を参照してください。

ユーザーレベル優先順位の継承

リアルタイム (RT) アプリケーションは、リアルタイムスケジューリングクラス内で一度に複数のスレッドを実行できます。たとえば、優先度の低い RT スレッドが相互排除ロックを取得後、優先度の高い RT スレッドがそのロックを要求できます。この場合、優先度の高いスレッドは、優先度の低いスレッドが相互排除ロックの処理を終えてロックを解放するのを待つ必要があります。この状態を「優先順位の逆転」と言います。

RT スレッド機能は、優先度の低いスレッドがロックを解放するまで、優先順位の高いスレッドが優先度の低いスレッドにその優先順位を「貸し与える」ことを許可する POSIX インタフェースを実装しています。このインタフェースは、以前のリリースではダミー化されていました。

優先順位の継承または優先順位の上限ロックを使用する RT スレッドは、PTHREAD_SCOPE_SYSTEM スケジューリングスコープ (または結合スレッド) を使用する必要があります。PTHREAD_SCOPE_PROCESS スケジューリングを使用する非結合スレッドは、リアルタイムアプリケーションのニーズには不向きです。

詳細は、『マルチスレッドのプログラミング』を参照してください。

共通デスクトップ環境 (CDE) の拡張機能

共通デスクトップ環境 (CDE) は、Motif ベースの上級デスクトップに簡単に使用できるインタフェースを提供します。最新の CDE リリースには、デスクトップの生産性、相互運用性、およびデスクトップ管理を拡張する新しい包括的な機能が含まれます。

PDA のサポート

PDA の同期 (PDA Sync) アプリケーションを使用すると、デスクトップのカレンダ、メール、メモ、アドレス帳のような Sun アプリケーションのデータと、ユーザーの PDA (携帯情報端末) 上の類似アプリケーションのデータを同期させることができます。PDA Sync ソフトウェアを使用して、ワークステーションまたはサーバーからアプリケーションやデータベースを PDA にインストールすることもできます。PDA Sync は、Palm OS 互換のデバイスをサポートします。

PDA Sync アプリケーションについては、PDA Sync ソフトウェアのヘルプ情報を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 11/99 リリースで初めてサポートされました。

ホットキーエディタ

ホットキーエディタは、特定のファンクションキーに一連のコマンドをあらかじめ設定することにより、実行可能ファイルや CDE アクションの実行のような繰り返しの多いタスクを自動化するために使用します。ホットキーエディタは、新しいホットキーを作成、編集、削除する機能のほか、キーの名称、状況、および機能が示されたホットキーリストを表示できる GUI を提供します。

詳細は、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

Java Media Framework

Java 技術を利用したアプリケーションである Java Media Framework (JMF) は、MPEG1、MPEG2、Quicktime、および AVI に高品質のストリーミングビデオファイル形式を提供するとともに、MIDI にオーディオサポートを提供します。この機能により、ビデオ作成やブロードキャスト機能をリアルタイムで利用できます。

詳細は、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

SPARC: オーディオミキサー

CDE には現在、audiocontrol の後継である新しい GUI ツール sdtaudiocontrol が含まれます。sdtaudiocontrol はオーディオミキサー機能を使用しており、次の機能も提供します。

「SPARC: オーディオミキサー」も参照してください。

SPARC: PC launcher 1.0

SunPCi 版 PC launcher を使用すると、関連する Windows アプリケーションとファイルを自動的に起動し、シームレスなアクセスと権限を取得して一般に使用されているさまざまな形式の PC ファイルやアタッチメントを即座に表示、編集、または印刷できます。PC launcher を Solaris デスクトップに組み込むと、Microsoft Word、Excel、PowerPoint、Lotus 1-2-3、および AutoCAD アプリケーションで作成したアタッチメントとファイルを共有できます。

この機能は、Solaris 7 - 5/99 リリースで初めてサポートされました。

Netscape Application Launcher

Netscape Application Launcher を使用すると、Netscape アプリケーション (Composer など) に関連付けられた Netscape ファイルに簡単にアクセスして自動的に起動できます。この機能により Netscape 環境全体を実行する必要がなくなり、Netscape アプリケーションのアクセスが簡易化されます。

詳細は、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 11/99 リリースで初めてサポートされました。

印刷クライアントの拡張

印刷クライアントを使用すると、システム管理者の手を借りずにユーザー自身で複数のプリンタとデフォルトプリンタを簡単に構成できます。

詳細は、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

sdtimage の拡張

sdtimage 機能によって、コマンド行にコマンドを入力してから簡単にすばやく画面のスナップショットを取ることができます。

詳細は、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

スマートカードのサポート

CDE は、スマートカードによる認証セキュリティ技術をサポートするようになりました。保護されたシステム上の CDE にログインする場合や、画面ロック後ログインする場合、スマートカードを取り出したあと再度認証を行う場合などに、ユーザーはスマートカードを使用して自己を証明できます。CDE は、外付けおよび内蔵のスマートカードデバイスをサポートします。

詳細は、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

ツールチップ機能

ツールチップ機能は、カーソルをアイコンの上に置いたときに、アイコンの機能についての説明を表示するバルーンヘルプを提供します。Solaris 8 では、カーソルをアイコンに合わせると、アイコンの機能が表示されるようになりました。

詳細は、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 3/99 リリースで初めてサポートされました。

X11R6.4 サポート

拡張されたこの新しいバージョンの X サーバーは、生産性とモビリティを向上させる主要な機能を含んでいます。これらの新しい機能を次に示します。

この機能は、Solaris 7 - 11/99 リリースで初めてサポートされました。

制御パネルの拡張

この機能は、デスクトップカスタマイズのための統一的で一貫した拡張性のある起動パッド (色、フォント、背景、アプリケーションマネージャなどのデスクトップ制御など) を提供します。

Web サービス

この節では、Web ブラウジングと、Web ページで動作中の Java アプリケーションに関連する新しい機能、および新しい Web サーバーについて説明します。

Java Plug-in

Solaris オペレーティング環境用の Java Plug-in は、Netscape Navigator のアドオン製品です。この製品を利用すると、Navigator に付属しているデフォルトの Java Virtual Machine (JVM) ではなく Java Runtime Environment (JRE) 1.2 を使用して Java アプレットと JavaBeans のコンポーネントを Web ページで実行できます。

詳細は、『Solaris Java Plug-in ユーザーズガイド』を参照してください。

Netscape Communicator 4.7

Solaris 8 には Netscape Communicator 4.7 が含まれており、システムにデフォルトでこの製品がインストールされます。

Netscape Communicator を使用すると、インターネット上で情報の通信、共有、アクセスなどが行えます。この製品は次のツールから構成されます。

Solaris Network Cache and Accelerator

Solaris Network Cache and Accelerator (NCA) は、HTTP 要求の際にアクセスされる Web ページのカーネル内キャッシュを維持することにより、Web サーバーの性能を向上させます。NCA は、要求をそれ自体で処理するか、あるいは Web サーバーに渡して処理を行わせることにより、完全な HTTP (バージョン 1.1 まで) プロトコルサポートを提供します。この機能は、NCA 互換の Web サーバーを必要とします。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』を参照してください。

Apache Web サーバー

Apache は、HTTP Web サーバーのオープンソース実装です。Apache は、インターネットで現在もっとも人気のある Web サーバーの 1 つです。Solaris には、現在、このオープンソースの Apache Web サーバーが含まれています。このコンポーネントには、プロクシサーバーサポート、mod_perl モジュールなど、標準の Apache モジュールがすべて入っています。

この製品には、Apache Group (http://www.apache.org) によって開発された、Apache HTTP サーバープロジェクトで使用するためのソフトウェアが含まれます。

詳細は、apache(1) のマニュアルページを参照してください。

印刷機能

この節では、Solaris 8 オペレーティング環境の新規機能のうち、プリンタの構成と管理に関連する機能について説明します。

印刷指定の拡張機能

Solaris 8 では、ネームサービス切り替えファイル /etc/nsswitch.confprinters データベースがサポートされています。printers データベースは、ネットワーク上の印刷クライアントに、一括管理されているプリンタ構成情報を提供します。

printers データベースおよび対応する情報ソースをネームサービスのスイッチファイルに含めることにより、印刷クライアントはそれ自体のシステムにプリンタ構成情報を加えることなく、この情報に自動的にアクセスできます。

Solaris Print Manager を使用してネットワーク内の印刷を設定する場合、/etc/nsswitch.conf ファイル内の printers データベースではなく、「ネームサービスを選択」メニューからプリンタ構成情報のソースを選択します。

次の表は、各環境 (files、NIS、および NIS+) の /etc/nsswitch.conf ファイル内のデフォルトの printers エントリを説明しています。キーワード nisplus は、printers.org_dir テーブルを示します。キーワード xfn は、FNS プリンタコンテキストを示します。

ネームサービスの種類 

デフォルトの printers エントリ

files

printers: user files

nis

printers: user files nis

nis+

printers: user nisplus files xfn

たとえば、ネームサービス環境が NIS の場合、プリンタクライアント上のプリンタ構成情報は次に示すソースでこの順に照合されます。

  1. user - ユーザーの $HOME/.printers ファイルを示す

  2. files - /etc/printers.conf ファイルを示す

  3. nis - rprinters.conf.byname テーブルを示す

詳細は、nsswitch.conf(4) のマニュアルページと『Solaris ネーミングの管理』を参照してください。

Solaris Print Manager

Solaris Print Manager は、ローカルおよびリモートのプリンタアクセスの管理に使用できる Java 技術を利用したグラフィカルユーザーインタフェースです。このツールは、ネームサービス環境 (NIS、NIS+、フェデレーテッド・ネーミング・サービス (FNS) を使用した NIS+、および files) 内で使用できます。このツールを使用するには、スーパーユーザーとしてログインする必要があります。

ネームサービス環境で Solaris Print Manager を使用すると、プリンタ情報が一元化されます。そのため、プリンタアクセスの管理には AdminToolsTM の「ブラウズ」メニューの「プリンタ」ではなく Solaris Print Manager を使用することをお勧めします。

Solaris Print Manager は、プリンタサーバー、印刷クライアント、およびネームサービスデータベース上の既存のプリンタ情報を認識します。印刷クライアントが Solaris 2.6 リリースまたはこの互換バージョンを使用している場合は、変換作業を行わずにこの新しい Solaris Print Manager を使用できます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』を参照してください。

言語サポート

この Solaris 8 オペレーティング環境は、90 個以上のロケールのサポート、言語のインストールに使用できる新しい直感的なインタフェース、拡張された Unicode サポート、機能向上したデータ相互運用性ユーティリティなどを提供します。

広範囲の言語のサポート

Solaris 8 オペレーティング環境は、Solaris 8 Software CD と Solaris 8 Languages CD の両方で、37 種類の言語に対応する 90 個以上のロケールがサポートされています。

Solaris 8 Software CD には、テキストを目的の言語 (複数バイトロケールを含む) で入力、表示、および印刷するための英語インタフェースが含まれます。さらに、Languages CD には、各言語対応のインタフェースと文書も含まれます。

この新しいパッケージ方式により国際市場をねらったアプリケーションの開発とテストが大幅に単純化されるとともに、英語以外による開発や製品環境を設定するためにメディアキットを別途購入する必要がなくなりました。

ロケールのインストールメカニズムも変更されました。以前の Solaris リリースでは、オペレーティング環境に含まれるヨーロッパ系のロケールサポートはインストールされるソフトウェアクラスタで決まりました。Solaris 8 オペレーティング環境の新しいインストールインタフェースを使用すると、必要なロケールサポートを地域ごとにインストールできます。

詳細は、『国際化対応言語環境の利用ガイド』を参照してください。

言語のインストールと設定の改良

Solaris 8 オペレーティング環境に含まれる単一の言語または 37 言語すべてをインストールする場合でも、設定とインストールが簡単に行えるようになりました。

Solaris 8 CD のパッケージが変更されたことにより、複数の言語をインストールするのに伴うインストールサーバーのディスク容量が縮小されました。また、インストールインタフェースの変更 (ロケールの地域によるグループ化) により、ロケールの選択が容易になりました。

詳細は、『Solaris 8 インストールガイド (SPARC 版)』または『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版))』を参照してください。

Unicode のサポート拡張

Solaris 8 オペレーティング環境では Unicode のサポートが拡張され、簡体中国語と繁体中国語の新しい Unicode (UTF-8) ロケールがサポートされました。

また、CTL (Complex Text Layout) スクリプトも完全にサポートされるようになりました。このため、アラビア語、ヘブライ語、タイ語のように双方向性があり、状況によって形状が変化するスクリプトを Unicode ロケールで正しく描画できます。

Unicode は、単一の環境で複数の言語のテキストを表示しなければならない混合されたスクリプト環境でよく使用されます。日時、貨幣形式、照合のような文化独自の慣習をサポートする必要がある場合、Solaris が提供する複数の Unicode ロケールは非常に便利です。

詳細は、『国際化対応言語環境の利用ガイド』を参照してください。

拡張可能なコードセット変換機能 (geniconvtbl)

Solaris 8 オペレーティング環境では、開発者は geniconvtbl ユーティリティを使用してユーザー定義のコードセットコンバータを作成できます。テーブル方式でコードセットを作成でき、新しいコードセット変換も簡単に追加できます。

このため、標準のシステムユーティリティおよびインタフェース (iconv(1)iconv(3C) など) で、独自に設定されたカスタマイズ可能なコードセット変換を使用できます。この新しい機能は、アプリケーションが互換性のないデータ形式 (特にメーカー独自のアプリケーションや従来のアプリケーションのデータ) を扱う機能を向上させます。既存の Solaris コードセット変換を変更することもできます。

詳細は、『国際化対応言語環境の利用ガイド』を参照してください。

データの相互運用性の改良

Solaris 8 では、次の iconv データ変換ユーティリティが追加され、Solaris 以外の環境とのデータの相互運用性が改良されました。

詳細は、『国際化対応言語環境の利用ガイド』を参照してください。

新しいロケールの追加

Solaris 8 には、アイスランド語ロケール (ISO8859-15) とロシア語ロケール (ANSI1251) の 2 つが新しく追加されました。新しいロシア語ロケールは既存のロシア語ロケール (8859-5) に加え、ネイティブの Microsoft データエンコーディングをサポートするために追加されました。

詳細は、『国際化対応言語環境の利用ガイド』を参照してください。

マニュアル

この節では、AnswerBook2 文書サーバーソフトウェアの改良と、リファレンスマニュアルの再編成について説明します。

Solaris 8 マニュアルセットの変更の詳細は、『Solaris 8 マニュアルの概要』を参照してください。

AnswerBook2 1.4.2 文書サーバー

AnswerBook2 バージョン 1.4.2 文書サーバーソフトウェアは、パフォーマンスが大幅に改良され、これまでのグラフィック方式のナビゲーションインタフェースがテキスト方式に変わり、コレクションごとに情報を表示または検索できるようになりました。

詳細は、『Solaris 8 インストールガイド (SPARC 版)』または『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版)』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 8/99 リリースで初めてサポートされました。

リファレンスマニュアルの再編成

man pages section』のうち、C ライブラリ関数 (システムコールは含まない) について説明しているセクションは、従来は 1 つの AnswerBook で構成されていましたが、Solaris 8 では、次の 6 つのマニュアルで構成されるようになりました。() 内は『SunOS リファレンスマニュアル』で日本語化されているマニュアルページ名です。

また、多くのマニュアルページの接尾辞が、関数が含まれているライブラリを表す接尾辞に変更されました。たとえば、libnsl に含まれる関数について説明したマニュアルページはすべて接尾辞 .3NSL が付いています。

詳細は、Intro(1) のマニュアルページと『Solaris 8 マニュアルの概要』を参照してください。

SPARC: オーディオミキサー

オーディオミキサードライバーは、複数のアプリケーションが同時にオーディオを再生、記録できるように機能が改良されました。この新しい機能は、単一の再生アプリケーションと単一の記録アプリケーションしかサポートしなかった以前の機能の後継となります。

オーディオミキサー機能はデフォルトでは有効に設定されますが、新しい mixerctl(1) ユーティリティまたは audiocs(7D) のマニュアルページに記載された方法を使用して有効または無効に切り替えることができます。


注 -

SunVTSTM を実行する際には、ミキサー機能は無効にする必要があります。


また、CDE 1.4 には、現在、audiocontrol の後継である新しい GUI ツール sdtaudiocontrol が含まれています。sdtaudiocontrol はオーディオミキサー機能を使用しており、次の機能を提供します。

詳細は、audiocs(7D)audio_support(7I)、および mixer(7I) のマニュアルページを参照してください。

ソフトウェア開発環境

Solaris オペレーティング環境は、開発者が Solaris 実行時環境用のソフトウェアアプリケーションを開発するために必要とするマニュアル、開発ソフトウェアライブラリ、生産性向上ツール、サンプルコード、テストツールなどを提供します。

SPARC: 64 ビットの Kodak Color Management System (KCMS) ライブラリ

Kodak Color Management System (KCMS) は、64 ビット対応のライブラリを提供します。現在 KCMS を使用し、64 ビットのオペレーティング環境用に変換する必要があるアプリケーションでは、色の管理を保持できるようになりました。

詳細は、『KCMS Application Developer's Guide』と『KCMS CMM Developer's Guide』を参照してください。

電源管理システムによる電源管理

Solaris 8 オペレーティング環境は、新しい自動デバイス電源管理システムフレームワークを提供します。この新しいインタフェースを使用したデバイスドライバは、該当するプラットフォーム上で自動的に電源の管理が行われます。以前のリリースと異なり、デバイスの電源管理を開始するために /etc/power.conf ファイルを手動で更新する必要はありません。

詳細は、『Writing Device Drivers』を参照してください。

cpustatcputrack コマンド

システム管理者は、新しい cpustatcputrack コマンドを使用してシステムまたはプロセスの性能を監視できます。

cpustat コマンドは、システム全体の CPU 情報を収集します。このコマンドを実行できるのは、スーパーユーザーだけです。cputrack コマンドは、アプリケーションまたはプロセスの情報を表示する truss コマンドに似ています。このコマンドは、通常のユーザーも実行できます。

開発者は、cpustat コマンドの構築に使用されたものと同じライブラリ API を使用して、これらの監視ツールの独自のバージョンを作成できます。

詳細は、cpustat(1M)cputrack(1) のマニュアルページを参照してください。

実行時リンク監査の拡張

リンクエディタオプション -p-P によって、実行時リンク監査ライブラリを呼び出す方法が追加されました。追加された実行時リンク監査インタフェースは、la_activity()la_objsearch() です。

詳細は、『リンカーとライブラリ』を参照してください。

Perl (Practical Extraction and Report Language) 5 の使用

Perl (Practical Extraction and Report Language) は強力な汎用プログラミング言語です (通常フリーソフトウェアとして配布されています)。Solaris 8 には、5.005_03 が加わりました。

プロセス、ファイル、テキストなどの卓越した操作機能を持つ Perl は、グラフィックやネットワーク、Web プログラミングのような複雑なシステム管理作業のための標準的な開発ツールとして出現しました。

Perl 5 には動的に読み込めるモジュールフレームワーク含まれるため、特定のタスク用に新しい機能を追加できます。多くのモジュールは、Comprehensive Perl Archive Network (CPAN) のサイト http://www.cpan.org から自由にダウンロードできます。

この Solaris Perl インストールに含まれるコアモジュールには、CGINDBM_FileGetopt などがあります。これらのモジュールは、/usr/perl5/5.00503 ディレクトリに入っています。site_perl ディレクトリは初めは空です。このディレクトリには、ローカルにインストールする Perl 5 モジュールを格納できます。

Perl5 のマニュアルページにアクセスするには、MANPATH 環境変数に /usr/perl5/man を追加してください。Perl の一般情報は、perl(1) のマニュアルページを参照してください。

開発者用の役割によるアクセス制御 (RBAC)

Solaris オペレーティング環境に役割によるアクセス制御 (RBAC) が追加されたため、開発者は新規アプリケーションと改訂アプリケーションをきめ細かに保護できます。RBAC は、従来のスーパーユーザーベースのシステムに特有の一括的なセキュリティモデルに代わるものです。RBAC を使用すると、管理者は特権機能を特定のユーザーアカウント (または「役割」と呼ばれる特殊なアカウント) に割り当てることができます。開発者は、特定の ID (スーパーユーザーなど) をチェックせずに、承認をチェックする特権機能を作成できます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』と rbac(5) のマニュアルページを参照してください。

strftime() 関数の更新

strftime() 関数の %u 変換指定は、平日を 10 進数 [1,7] の形式で示します (このリリースでは 1 は月曜日を表す。Solaris 7 オペレーティング環境では 1 は日曜日)。この新しい動作は、『X/Open CAE Specification, System Interfaces and Headers』に準拠しています。

詳細は、『国際化対応言語環境の利用ガイド』を参照してください。

セキュリティ保護されたパス名は /usr/lib から /usr/lib/secure に変更

ファイルを事前に読み込めるセキュリティ保護されたディレクトリは、/usr/lib/secure (32 ビットオブジェクト) と /usr/lib/secure/sparcv9 (64 ビット SPARCV9 オブジェクト) に変更されました。

詳細は、『リンカーとライブラリ』を参照してください。

動的な文字列トークンのサポート

新しい動的文字列トークン $ISALIST$OSNAME、および $OSREL により、命令セット固有またはシステム固有の依存性を柔軟に確立できるようになりました。

詳細は、『リンカーとライブラリ』を参照してください。

単一レベルの代替ライブスレッド

標準の Solaris スレッド実装は、ユーザーレベルのスレッドが (スレッドよりも少ない) 軽量プロセス (LWP) に多重化される 2 レベルモデルです。LWP は、オペレーティングシステムによってプロセッサに振り分けられる基本的な実行単位です。

Solaris 8 ソフトウェアは、ユーザーレベルのスレッドが軽量プロセス (LWP) と 1 対 1 で関連付けられる代替スレッド実装 (単一レベルモデル) を提供します。この実装は標準実装よりシンプルで、一部のマルチスレッド対応アプリケーションには有利です。この実装は、標準実装に対するインタフェースと同じインタフェースを POSIX スレッドと Solaris スレッドに提供します。

既存のマルチスレッド対応プログラムは、LD_LIBRARY_PATHLD_LIBRARY_PATH_64 環境変数を使用して実行時に代替ライブスレッドに結合できます。

詳しい使用方法は、threads(3THR) のマニュアルページを参照してください。

クラスタ対応デバイスドライバ用 DDI インタフェースの更新

Writing Device Drivers』の概要ページで、デバイスクラスの概念、およびデバイスドライバ作成者が行う必要があるインタフェースの変更と追加について紹介しています。

この機能は、Solaris 7 - 3/99 リリースで初めてサポートされました。

8 ビットビジュアルサポート

8 ビットのビジュアル共有ライブラリが提供する変換機能により、ビジュアルの深さとして 24 ビットしかサポートしないハードウェアで 8 ビットのビジュアルアプリケーションを実行できます。これらの機能は、8 ビットビジュアルサポートを要求するアプリケーションに対して、デバイスドライバのネイティブ 24 ビット描画関数呼び出しを使用します。この処理は、24 ビットハードウェアビジュアルがサポートされたプラットフォームでイメージを描画する前に、8 ビット疑似カラーのカラーマップピクセルデータを 24 ビットトゥルーカラーのカラーマップピクセルデータに変換することにより行われます。

この機能は、Solaris 7 - 8/99 リリースで初めてサポートされました。

IA ハードウェア

この節では、Solaris 8 オペレーティング環境の新規機能のうち、IA プラットフォーム固有の機能について説明します。

IA: Advanced Configuration and Power Interface (ACPI)

ACPI は、IA ハードウェアの構成と制御に柔軟性を提供する新しいインタフェースです。ACPI では現在、プラグアンドプレイ (PnP) BIOS や Intel マルチプロセッサ仕様 (MPSPEC) は使用されていません。IA システムで ACPI を使用できる場合は、Solaris 8 によって ACPI が自動的に使用され、ハードウェアが構成されます。Solaris 8 オペレーティング環境は、ACPI ベースの電源管理はまだサポートしていません。

IA: PCI ホットプラグ機能のサポート

この機能を使用すると、Intel 版 Solaris を実行し、ホットプラグ機能が有効になったマシンに対し、標準 PCI アダプタをホットプラグする (実行中のシステムにアダプタを追加したり、実行中のシステムからアダプタを取り外したりする) ことができます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』と『Writing Device Drivers』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 11/99 リリースで初めてサポートされました。

IA: キーボードデバイスとマウスデバイスを対象としたユニバーサルシリアルバス (USB) のサポート

Intel 版 Solaris は、キーボードやマウスデバイスを対象に USB をサポートします。USB は、多様な周辺装置 (スピーカ、モデム、プリンタ、カメラ、キーボード、マウスデバイスなど) をサポートする先端入出力バス標準の 1 つです。USB は比較的新しい標準ですが、Intel 市場では急速に地位を固めつつあります。USB ポートは多くの IA ベースマシンで標準となりつつあり、最近では USB サポートがどの Intel PCI チップセットにも統合されるようになりました。

IA: X サーバーのビデオドライバ拡張機能

Intel 版 Solaris は、次のビデオデバイスをサポートします。

詳細は、『Solaris 8 ハードウェア互換リスト (Intel 版)』を参照してください。

IA SCSI ドライバ

この節では、Intel 版 Solaris 8 オペレーティング環境における拡張機能について説明します。

cadp ドライバの拡張機能

Solaris cadp ドライバは品質とパフォーマンスが改良されたほか、次のものをサポートするように拡張されました。

詳細は、『Solaris 8 デバイスの構成 (Intel 版)』を参照してください。

この機能は、Solaris 7 - 8/99 リリースで初めてサポートされました。

ncrs デバイスドライバの拡張機能

Solaris ncrs デバイスドライバは、一般的な機能とパフォーマンスが改良されたほか、SCSI のホットプラグ機能と Ultra2 デバイスをサポートするようになりました。

詳細は、『Solaris 8 デバイスの構成 (Intel 版)』と『Solaris 8 ハードウェア互換リスト (Intel 版)』を参照してください。

symhisl デバイスドライバ

SYM53C896 チップ、SYM22910 アダプタ、および SYM21002 アダプタをサポートする symhisl デバイスドライバが、Intel 版 Solaris に提供されるようになりました。

詳細は、『Solaris 8 ハードウェア互換リスト (Intel 版)』を参照してください。

その他のソフトウェア

Early Access ソフトウェア

Solaris 8 リリースには、Early Access (EA) ソフトウェアが入った Early Access ディレクトリが含まれます。詳細は、Solaris 8 SOFTWARE 2 of 2 CD にある README を参照してください。

フリーウェア

Solaris 8 リリースには、フリーウェアのツールとライブラリがいくつか含まれます。ツールの一部を次に示します。