Solaris 8 のインストール (上級編)

プロファイルの作成

プロファイルとは

プロファイルは、どのように Solaris ソフトウェアをシステムにインストールするか (たとえば、どのソフトウェアグループをインストールするか) を定義するテキストファイルです。すべてのルールはプロファイルを指定して、JumpStart インストール時にルールが一致したときにシステムがどのようにインストールされるかを定義します。通常は、ルールごとに異なるプロファイルを作成します。しかし、複数のルールで同じプロファイルを使用することも可能です。

プロファイルは、1 つまたは複数のプロファイルキーワードとそれらの値から構成されます。各プロファイルキーワードは、JumpStart がどのようにしてシステムに Solaris ソフトウェアをインストールするかを制御するコマンドです。たとえば、次のようなプロファイルキーワードとプロファイル値があります。

system_type  server

これは JumpStart に、システムをサーバーとしてインストールするよう指示します。


注 -

「プロファイルサーバーの作成」または 「プロファイルフロッピーディスクの作成」の手順を使用して JumpStart ディレクトリを作成した場合、プロファイルのサンプルが JumpStart ディレクトリにあります。


プロファイルの構文

プロファイルの条件は、次のとおりです。

プロファイルでは、次のことが許可されています。

プロファイルキーワードとプロファイル値の説明

次の節では、プロファイルで使用できるプロファイルキーワードとプロファイル値を説明します。


注 -

プロファイルキーワードとプロファイル値には、大文字と小文字の区別があります。


表 6-4 を使用すれば、どのキーワードがユーザーのインストールに適しているかを簡単に決定できます。プロファイルキーワードの説明で特に注記されていないかぎり、プロファイルキーワードは初期インストールオプションだけで使用できます。

表 6-4 プロファイルキーワード
 

インストール方法 

 

 

プロファイルキーワード 

スタンドアロンシステム (ネットワークに接続されていない) 

スタンドアロンシステム (ネットワークに接続されている) またはサーバー 

OS サーバー 

アップグレード 

ディスク領域を割り当てし直すアップグレード 

backup_media

    

boot_device

  

client_arch

  

  

client_root

  

  

client_swap

  

  

cluster (ソフトウェアグループを追加する場合)

  

cluster (クラスタを追加または削除する場合)

dontuse

  

fdisk (IA のみ)

  

filesys (リモートファイルシステムをマウントする場合)

 

  

filesys (ローカルファイルシステムを作成する場合)

  

geo

install_type

isa_bits

layout_constraint

    

locale

num_clients

  

  

package

partitioning

 

 

root_device

system_type

 

 

usedisk

  

backup_media プロファイルキーワード

backup_media type path

注 -

backup_media は、ディスク領域を割り当てし直すことが必要なアップグレードオプションだけで使用できます。


backup_media は、ディスク容量不足のためにアップグレード中にディスク領域を割り当てし直す必要があるファイルシステムのバックアップをとるために使用する媒体を定義します。バックアップ用に複数のテープまたはフロッピーディスクが必要な場合は、アップグレード中にテープまたはフロッピーディスクの挿入を求めるプロンプトが表示されます。

有効な type

有効な path

説明 

local_tape

/dev/rmt/n

アップグレードされるシステムのローカルテープドライブを指定する。path は、テープドライブのキャラクタ型 (raw) デバイスのパスでなければならない。n はテープドライブの番号

local_diskette

/dev/rdisketten

アップグレードされるシステムのローカルフロッピーディスクドライブを指定する。path は、フロッピーディスクドライブのキャラクタ型 (raw) デバイスのパスでなければならない。n はフロッピーディスクドライブの番号


注 -

バックアップで使用するフロッピーディスクは、フォーマットされていなければなりません。


local_filesystem

/dev/dsk/cwtxdysz

/file_system

アップグレードされるシステムのローカルファイルシステムを指定する。アップグレードで変更されるローカルファイルシステムは指定できない。path は、ディスクスライスのブロック型デバイスのパス (/dev/dsk/cwtxdysz 内の tx は必須ではない) か、/etc/vfstab ファイルでマウントされたファイルシステムへの絶対パスのいずれかである

remote_filesystem

host:/file_system

リモートシステムの NFS ファイルシステムを指定する。path は、リモートシステム (host) の名前または IP アドレスと、NFS ファイルシステム (file_system) への絶対パスを含まなければならない。NFS ファイルシステムは、読み取り権と書き込み権を持っている必要がある

remote_systemuser@host:/directory

リモートシェル (rsh) で到達できるリモートシステム上のディレクトリを指定する。アップグレードされるシステムは、リモートシステムの .rhosts ファイル経由で、リモートシステムにアクセスできなければならない。path は、リモートシステム (host) の名前と、そのディレクトリ (directory) への絶対パスを含まなければならない。ユーザーログイン (user) を指定しないと、スーパーユーザーとしてログインされる

例:

backup_media local_tape /dev/rmt/0

backup_media local_diskette /dev/rdiskette1

backup_media local_filesystem /dev/dsk/c0t3d0s4

backup_media local_filesystem /export

backup_media remote_filesystem system1:/export/temp

backup_media remote_system user1@system1:/export/temp

boot_device プロファイルキーワード

boot_device device eeprom

boot_device は、JumpStart がルート (/) ファイルシステムをインストールするデバイスを (つまり、システムのブートデバイスを) 指定します。

boot_device キーワードをプロファイルに指定しない場合、インストール中にデフォルトで次の boot_device キーワードが指定されます。

boot_device any update

device - ブートデバイスにするデバイスを選択します。

eeprom - システムの EEPROM を変更または保存する場合に選択します。

システムの EEPROM を、指定したブートデバイスに変更または保存する場合に選択します。

preserve 値を指定しなければなりません。


SPARC のみ -

SPARC システムでは、システムの現在のブートデバイスを変更する場合、eeprom の値でもシステムの EEPROM を変更できます。これにより、システムは新しいブートデバイスから自動的にブートできます。


例:

boot_device c0t0d0s2 update

注 -

boot_device は、ルートファイルシステムを指定する filesys キーワードと (指定した場合は) root_device キーワードに一致しなければなりません。


client_arch プロファイルキーワード

client_arch karch_value ...

client_arch は、OS サーバーが使用するものとは異なるプラットフォームグループをサポートすることを定義します。client_arch を指定しない場合、OS サーバーを使用するどのディスクレスクライアントも、サーバーと同じプラットフォームグループでなくてはなりません。OS サーバーがサポートしてほしいプラットフォームグループごとに指定する必要があります。

karch_value の有効な値は、sun4dsun4msun4ui86pc です。(各システムのプラットフォーム名については、付録 A 「プラットフォーム名とグループ」 を参照してください。)


注 -

client_arch は、system_typeserver を指定したときだけ使用できます。


client_root プロファイルキーワード

client_root root_size

client_root は、各クライアント用に割り当てるルート領域の大きさ (root_size、M バイト単位) を定義します。サーバーのプロファイルに client_root の指定がない場合は、1 クライアントあたり 15M バイトのルート領域が自動的に割り当てられます。このクライアント用のルート領域の大きさは、num_clients キーワードを組み合わせて、/export/root ファイルシステム用に確保する領域の大きさを決定するときに使用されます。


注 -

client_root は、system_typeserver を指定したときだけ使用できます。


client_swap プロファイルキーワード

client_swap swap_size

プロファイル内の client_swap は、各ディスクレスクライアントに割り当てるスワップ領域の大きさ (swap_size、M バイト単位) を定義します。client_swap を指定しない場合、32M バイトのスワップ領域がデフォルトで割り当てられます。

例:

client_swap 64

この例は、各ディスクレスクライアントが 64M バイトのスワップ領域を持つことを定義します。


注 -

client_swap は、system_typeserver を指定したときだけ使用できます。


cluster プロファイルキーワード (ソフトウェアグループの追加)

cluster group_name

cluster は、どのソフトウェアグループをシステムに追加するかを指定します。各ソフトウェアグループの group_name 名は次のとおりです。

ソフトウェアグループ 

group_name

コアシステムサポート 

SUNWCreq

エンドユーザーシステムサポート 

SUNWCuser

開発者システムサポート 

SUNWCprog

全体ディストリビューション 

SUNWCall

全体ディストリビューションと OEM サポート 

SUNWCXall

1 つのプロファイルに 1 つのソフトウェアグループだけ指定できます。ソフトウェアグループは、他の cluster エントリと package エントリの前に指定しなければなりません。プロファイル内の cluster でソフトウェアグループを指定しない場合、デフォルトによりエンドユーザーソフトウェアグループ (SUNWCuser) がシステムにインストールされます。

cluster プロファイルキーワード (クラスタの追加または削除)

cluster cluster_name add_delete_switch

注 -

cluster (クラスタの追加または削除) は、初期インストールオプションとアップグレードオプションの両方で使用できます。


cluster は、システムにインストールされるソフトウェアグループにクラスタを追加または削除するかを指定します。

cluster_nameSUNWCname 形式で指定します。インストールが終了したシステムで Admintool を起動し、「ブラウズ」メニューから「ソフトウェア」を選択すると、クラスタの詳細情報とクラスタ名を表示できます。

add_delete_switch はオプションの add または delete を示します。これを使用すると、指定したクラスタを追加または削除できます。add_delete_switch を指定しないと、デフォルトで add が使用されます。

アップグレードの場合

dontuse プロファイルキーワード

dontuse disk_name ...

dontuse は、partitioning default を指定しているときに、JumpStart が使用してはならない 1 つ以上のディスクを指定します (デフォルトでは、システムのすべての使用可能なディスクを使用します)。disk_name は、cxtydz または cydz の形式 (たとえば、c0t0d0) で指定する必要があります。


注 -

1 つのプロファイルで、dontuse キーワードと usedisk キーワードを同時に指定することはできません。


IA: fdisk プロファイルキーワード

fdisk disk_name type size

fdisk は、IA 搭載システムで fdisk パーティションを設定する方法を定義します。fdisk は 2 回以上指定できます。次に、IA 搭載システムでの fdisk パーティションのデフォルトの動作について説明します。

disk_name - fdisk パーティションを作成または削除する場所を指定します。

type - 指定したディスク上で作成または削除する fdisk パーティションのタイプを指定します。

いくつかの fdisk タイプの整数と 16 進数での表し方を次の表に示します。

fdisk タイプ

DDD

HH

DOSOS12 

1

01

PCIXOS 

2

02

DOSOS16 

4

04

EXTDOS 

5

05

DOSHUGE 

6

06

DOSDATA 

86

56

OTHEROS 

98

62

UNIXOS 

99

63

size - 次の内から 1 つを指定します。

filesys プロファイルキーワード (リモートファイルシステムのマウント)

filesys server:path server_address mount_pt_name [[mount_options]]

この場合の filesys の例は、インストールしたシステムが起動するときに、自動的にリモートファイルシステムをマウントするよう設定します。2 回以上 filesys を指定できます。

例:

filesys sherlock:/export/home/user2 - /home

server: -リモートファイルシステムが存在するサーバー名 (後ろにコロンをつけます)

path - リモートファイルシステムのマウントポイント名。たとえば /usr または /export/home

server_address - server:path で指定するサーバーの IP アドレス。ネットワーク上で実行されているネームサービスがない場合、この値を使用して、サーバーのホスト名とIP アドレスを登録している /etc/hosts ファイルを生成できます。サーバーの IP アドレスを指定したくない場合 (ネットワーク上で実行中のネームサービスがある場合) は、マイナス記号 (-) を指定する必要があります。

mount_pt_name - リモートファイルシステムをマウントするマウントポイント名

mount_options - 指定した mount_pt_name/etc/vfstab エントリに追加する 1 つ以上のマウントオプション (mount(1M) コマンドの -o オプションと同じ)


注 -

複数のマウントオプションを指定する場合は、マウントオプションは、スペースではなくコンマで区切ってください。例: ro,quota


filesys プロファイルキーワード (ローカルファイルシステムの作成)

filesys slice size [[file_system optional_parameters]]

この場合の filesys は、インストール中にローカルファイルシステムを作成します。filesys は 2 回以上指定できます。

slice - 次のいずれか 1 つを指定します。

size - 次のいずれか 1 つを指定します。

file_system - sliceany または cwtxdysz を指定しているときに、このオプション値を使用できます。この値を指定しないと、デフォルトによって unnamed が設定されますが、optional_parameters 値を使用できません。次のいずれか 1 つを指定してください。

optional_parameters - 次のいずれか 1 つを指定します。

geo locale プロファイルキーワード

geo locale

注 -

geo は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


geo は、システムにインストールする (またはシステムのアップグレード時に追加する) 地域ロケールを指定します。locale に指定できる値は、次のとおりです。

値 

説明 

N_Africa

北アフリカ。エジプトを含む 

C_America

中央アメリカ。コスタリカ、エルサルバドル、グァテマラ、メキシコ、ニカラグア、パナマを含む 

N_America

北アメリカ。カナダ、アメリカ合衆国を含む 

S_America

南アメリカ。アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ、ベネズエラを含む 

Asia

アジア。日本、韓国、中国、台湾、タイを含む 

Ausi

オーストラリア。オーストラリア、ニュージーランドを含む 

C_Europe

中央ヨーロッパ、オーストリア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、スイスを含む 

E_Europe

東ヨーロッパ。アルバニア、ボスニア、ブルガリア、クロアチア、エストニア、ラトビア、リトアニア、マケドニア、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロヴェニア、トルコを含む 

N_Europe

北ヨーロッパ。デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンを含む 

S_Europe

南ヨーロッパ。ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインを含む 

W_Europe

西ヨーロッパ。ベルギー、フランス、イギリス、アイルランド、オランダを含む 

M_East

中近東。イスラエルを含む 

上記の各地域ロケールを構成するコンポーネントロケール値の完全なリストは、付録 B 「言語とロケールの値」 に記載されています。


注 -

システムに追加する必要がある各ロケールごとに、geo キーワードを指定します。


install_type プロファイルキーワード

install_type initial_install_upgrade_switch

install_type は、削除してシステムに新しい Solaris オペレーティング環境をインストールするか、または既存の Solaris 環境をアップグレードするかどうかを定義します。


注 -

install_type は、各プロファイル内で最初のプロファイルキーワードでなければなりません。


initial_install_upgrade_switch は、オプションの initial_install または upgrade を表します。このオプションは、実行するインストールのタイプを指定するために使用します。

initial_install_upgrade_switch は指定しなければなりません。


注 -

一部のプロファイルキーワードは、initial_install オプションだけで使用できます。これは、upgrade オプションでも同様です。


isa_bits プロファイルキーワード

isa_bits bit_switch

isa_bits は、64 ビットまたは 32 ビットの Solaris 8 パッケージをインストールするかどうかを指定します。

bit_switch は、オプション 64 または 32 を表します。これは、64 ビットまたは 32 ビットのどちらの Solaris 8 パッケージをインストールするかを指定するために使用します。このキーワードをプロファイルに設定しないと、JumpStart によって、次のものがインストールされます。


注 -

isa_bits キーワードを使用する場合は、Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (SPARC) または Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD (Intel) 上の Solaris_8/Misc/jumpstart_sample ディレクトリの最新の check スクリプトを使用する必要があります。


layout_constraint プロファイルキーワード

layout_constraint slice constraint [[minimum_size]]

注 -

layout_constraint は、ディスク容量の再割り当てが必要なアップグレードオプションだけで使用できます。


layout_constraint は、ファイルシステムがディスク容量不足のためにアップグレード中にディスク容量を再割り当てする必要がある場合に、制約付き自動配置がファイルシステムで行われることを示します。

layout_constraint キーワードを指定しないと、次のようになります。

1 つ以上の layout_constraint キーワードを指定すると、次のようになります。

アップグレード用により多くの容量を必要とするファイルシステムの制約は変更できませんが (changeable とマークされなければならない)、このようなファイルシステムに layout_constraint を使用すれば、その minimum_size 値を変更できます。


注 -

自動配置がディスク容量の再割り当てを行う際には、より多くのファイルシステム、特にアップグレード用により多くの容量を必要とするファイルシステムと同じディスク上にあるファイルシステムを、changeable または movable であると選択します。


slice - これは、制約を指定するファイルシステムのディスクスライスです。cwtxdysz または cxdysz の形式で指定しなければなりません。

constraint - 指定したファイルシステムに対して、次のいずれか 1 つの制約を選択します。

minimum_size - この値は、自動配置が領域を再割り当てするときに、ファイルシステムに割り当てる最小サイズを指定します (基本的に、ファイルシステムのサイズを変更します)。ファイルシステムのサイズは、まだ割り当てられていない領域が追加される場合、最終的にはこの指定した値よりは大きくなります。このオプション値は、ファイルシステムを changeable とマークした場合のみ使用できます。最小サイズは、ファイルシステムの既存の内容に必要なサイズより小さい値には設定できません。

例:

layout_constraint c0t3d0s1 changeable 200

layout_constraint c0d0s4 movable

layout_constraint c0t3d1s3 available

layout_constraint c0t2d0s1 collapse

locale locale_name プロファイルキーワード

locale locale_name

注 -

locale は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


locale は、指定した locale_name に対して、どのロケールパッケージをインストール (アップグレードの場合は追加) するかを指定します。locale_name 値は、$LANG 環境変数で使用されるのと同じです。有効なロケールの値については、付録 B 「言語とロケールの値」 を参照してください。


注 -

デフォルトロケールを事前設定している場合は、そのロケールは自動的にインストールされます。English 言語パッケージはデフォルトでインストールされます。



注 -

locale キーワードは、システムに追加するロケールごとに指定できます。


num_clients プロファイルキーワード

num_clients client_num

サーバーがインストールされているときには、各ディスクレスクライアントのルート (/) と swap ファイルシステムにディスク空間が割り当てられます。num_clients は、サーバーがサポートするディスクレスクライアント数 (client_num) を定義します。num_clients を指定しないと、デフォルトで 5 つのディスクレスクライアントが割り当てられます。


注 -

num_clients は、system_typeserver として指定されているときだけ使用できます。


package プロファイルキーワード

package package_name [[add_delete_switch]]

注 -

package は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


package は、システムにインストールするソフトウェアグループにパッケージを追加または削除するかを指定します。

package_name は、SUNWname の形式で指定する必要があります。pkginfo -l コマンドまたは Admintool (「ブラウズ」メニューから「ソフトウェア」を選択) をインストールシステムに使用して、パッケージとその名前に関する詳しい情報を表示してください。

add_delete_switch は、add または delete オプションを表します。このオプションは、指定のパッケージを追加または削除するかを指定します。add_delete_switch を指定しないと、デフォルトによって add が使用されます。

アップグレードの場合

partitioning プロファイルキーワード

partitioning type

partitioning は、インストール時にファイルシステム用にディスクをスライスに分割する方法を定義します。

type - 次のオプションから 1 つを選択します。

プロファイルで partitioning を指定しないと、デフォルトで default タイプのパーティションが使用されます。

root_device プロファイルキーワード

root_device slice

注 -

root_device は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


root_device は、システムのルートディスクを指定します。詳細は、「システムのルートディスクを決定する方法」を参照してください。

アップグレードの場合

root_device は、アップグレードされるルートファイルシステム (および、その /etc/vfstab ファイルでマウントされるファイルシステム) を指定します。システム上で複数のルートファイルシステムがアップグレードできる場合は、root_device を指定しなければなりません。slice は、cwtxdysz または cxdysz 形式で指定しなければなりません。

例:

root_device c0t0d0s2

注 -

1 つだけのディスクを持つシステムで root_device を指定する場合、root_device とディスクは一致しなければなりません。また、ルートファイルシステムを指定する任意の filesys キーワードは、root_device と一致しなければなりません。


system_type プロファイルキーワード

system_type type_switch

system_type は、インストールするシステムのタイプを定義します。

type_switch は、オプション standalone または server を表します。このオプションは、Solaris をインストールするシステムのタイプを指定するために使用します。system_type をプロファイルに指定しないと、デフォルトによって standalone が使用されます。

usedisk プロファイルキーワード

usedisk disk_name ...

usedisk は、partitioning default を指定しているときに、JumpStart が使用する 1 つ以上のディスクを指定します (デフォルトではシステム上のすべての使用可能ディスクを使用します)。disk_name は、cxtydz または cydz 形式 (たとえば c0t0d0c0d0s0) で指定します。

プロファイルで usedisk を指定すると、JumpStart は usedisk キーワードで指定したディスクだけを使用します。


注 -

同じプロファイルに usedisk キーワードと dontuse キーワードを同時に指定することはできません。


スワップサイズを決定する方法

プロファイルにスワップサイズが指定されていない場合、JumpStart は、システムの物理メモリーの大きさにしたがってスワップ領域のサイズを決定します。表 6-5 は、カスタム JumpStart インストール時に確保されるスワップのサイズをまとめたものです。

表 6-5 スワップのサイズの決定方法

物理メモリー (M バイト) 

スワップのサイズ (M バイト) 

16 - 64 

32 

64 - 128 

64 

128 - 512 

128 

512 を超える場合 

256 

他のファイルシステムを配置した後にディスクに十分な空き容量がない場合、JumpStart は、スワップ領域のサイズが全ディスク容量の 20% を超えないようにします。空き容量が存在する場合は、表 6-5 に示すサイズまでスワップ領域を割り当てます。


注 -

物理メモリーとスワップ領域の合計は、32M バイト以上必要です。


システムのルートディスクを決定する方法

システムのルートディスクは、ルート (/) ファイルシステムを含むシステム上のディスクです。プロファイル内では、Solaris インストールプログラムがシステムのルートディスクを設定するディスク名の代わりに、この rootdisk 変数を使用できます。表 6-6 に、インストールプログラムがインストール用にシステムのルートディスクを決定する方法を説明しています。


注 -

これは初期インストール時だけに適用されます。アップグレードの場合、システムのルートディスクは変更できません。


表 6-6 JumpStart がシステムのルートディスクを決定する方法 (初期インストールのみ)

手順 

動作 

プロファイル内で root_device キーワードが指定されている場合、インストールプログラムは rootdisk をルートデバイスに設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、boot_device キーワードが指定されている場合、インストールプログラムは rootdisk をブートデバイスに設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、filesys cwtxdysz size / エントリが指定されている場合、JumpStart は rootdisk をエントリで指定されたディスクに設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、rootdisk.sn エントリが指定されている場合、JumpStart はシステムのディスクで、(カーネルのプローブ順で) 指定したスライス上の既存のルートファイルシステムを検索します。ディスクが見つかった場合、JumpStart は見つかったディスクに rootdisk を設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、partitioning existing が指定されている場合、JumpStart はシステムのディスクで、(カーネルのプローブ順で) 既存のルートファイルシステムを検索します。ルートファイルシステムが見つからなかった場合、あるいは複数のルートファイルシステムが見つかった場合は、エラーが発生します。ルートファイルシステムが見つかった場合、JumpStart は見つかったディスクに rootdisk を設定します。

プロファイル内で rootdisk が設定されていない場合、JumpStart は、ルートファイルシステムがインストールされるディスクに rootdisk を設定します。

プロファイルを作成する方法

  1. 任意のテキストエディタを使用して、新しいテキストファイルを開いて内容を示す名前を指定するか、作成した JumpStart ディレクトリ内のサンプルプロファイルを開きます。


    注 -

    プロファイルには、システムへの Solaris のインストール時にどのように使用するかを示す名前を指定してください (たとえば、basic_installeng_profile、または user_profile など)。


  2. プロファイルにプロファイルキーワードと値を追加します。

  3. JumpStart ディレクトリにプロファイルを保存します。

    root がプロファイルを所有していて、そのアクセス権が 644 に設定されていることを確認します。

  4. (省略可能) プロファイルをテストします。

    プロファイルのテストに関する情報については、「プロファイルのテスト」を参照してください。

サンプルプロファイル

次のサンプルプロファイルは、さまざまなプロファイルキーワードとプロファイル値を使用して、Solaris ソフトウェアをシステムにどのようにインストールするかを指定する方法を示しています。「プロファイルキーワードとプロファイル値の説明」には、プロファイルキーワードと値の説明を示してあります。


注 -

左の列に示された数字は挿入しないでください。これらの数字は、サンプルの説明に使用している番号です。


リモートファイルシステムのマウントとパッケージの追加および削除

# profile keywords        profile values
# -----------------       -----------------
1 install_type            initial_install
2 system_type             standalone
3 partitioning            default
  filesys                 any 60 swap   # specify size of /swap
  filesys                 s_ref:/usr/share/man - /usr/share/man ro
  filesys                 s_ref:/usr/openwin/share/man - 
                                /usr/openwin/share/man ro,quota
4 cluster                 SUNWCprog
5 package                 SUNWman delete
  package                 SUNWolman delete
  package                 SUNWxwman delete
  package                 SUNWoldem add
  package                 SUNWxwdem add
  package                 SUNWoldim add
  package                 SUNWxwdim add

1. このプロファイルキーワードは、すべてのプロファイルに必要です。

2. このプロファイルキーワードは、システムをスタンドアロンシステムとしてインストールするように定義します。

3. ファイルシステムスライスは、インストールするソフトウェアによって決定します (default 値)。ただし、swap のサイズは 60M バイトに設定されて、すべてのディスク (any 値) にインストールされます。標準および OpenWindows のマニュアルページは、ネットワーク上のファイルサーバー s_ref からマウントされます。

4. 開発者システムサポートソフトウェアグループ (SUNWCprog) がシステムにインストールされます。

5. マニュアルページはリモートからマウントされるため、これらのパッケージはシステムにインストールされません。ただし、OPEN LOOK および X Window System のデモプログラムとイメージはシステムにインストールされます。

ファイルシステムのインストール場所の指定

# profile keywords        profile values
# ----------------        -------------------
  install_type	           initial_install
	 system_type             standalone
 
1	partitioning            explicit
	 filesys                 c0t0d0s0 auto /
  filesys                 c0t3d0s1 32 swap
  filesys                 any auto usr
2 cluster                 SUNWCall

1. ファイルシステムスライスは、filesys キーワード (explicit 値) によって指定します。ルート (/) のサイズは選択したソフトウェア (auto 値) に基づき、c0t0d0s0 にインストールされます。swap のサイズは 32M バイトに設定されて、c0t3d0s1 にインストールされます。usr は選択したソフトウェアに基づき、インストールプログラムがそのインストール場所を決定します (any 値)。

2. 全体ディストリビューションソフトウェアグループ (SUNWCall) がシステムにインストールされます。

IA: fdisk キーワードの使用方法

# profile keywords      profile values
# ----------------      -------------------
	 install_type          initial_install
	 system_type           standalone
 
1	fdisk                 c0t0d0 0x04 delete
2	fdisk	                c0t0d0 solaris maxfree
3	cluster               SUNWCall
4	cluster               SUNWCacc delete

1. タイプ DOSOS16 (04 16 進) の fdisk パーティションはすべて、c0t0d0 ディスクから削除されます。

2. Solaris fdisk パーティションが、c0t0d0 ディスク上の最大の連続空き領域に作成されます。

3. 全体ディストリビューションソフトウェアグループ (SUNWCall) がシステムにインストールされます。

4. システムアカウントユーティリティ (SUNWCacc) は、システムにインストールされません。

アップグレード用ディスク領域の再割り当て

# profile keywords         profile values
# ----------------         -------------------
1	install_type             upgrade
 
2	root_device              c0t3d0s2
 
3 backup_media             remote_filesystem timber:/export/scratch
4 layout_constraint        c0t3d0s2 changeable 100
  layout_constraint        c0t3d0s4 changeable
  layout_constraint        c0t3d0s5 movable
 
5	package                  SUNWbcp delete
6	package                  SUNWolman add
  package                  SUNWxwman add
	 cluster                  SUNWCumux add
 
7	locale                   de

1. このプロファイルは、ディスク領域を再割り当てすることによってシステムをアップグレードします。この例では、システム上のファイルシステムのいくつかに十分なアップグレード用容量がないため、ディスク領域を再割り当てする必要があります。

2. c0t3d0s2 のルートファイルシステムがアップグレードされます。

3. リモートシステム timber が、ディスク領域再割り当て中のデータのバックアップに使用されます。

4. layout_constraint キーワードは、自動配置がスライス 2 と 4 を変更できて (スライスを別の位置に移動して、そのサイズを変更できる)、アップグレード用ディスク領域の再割り当て時にスライス 5 を移動できる (スライスを別の場所に移動できるが、サイズはそのままになる) ように指定します。

5. バイナリ互換パッケージ (SUNWbcp) は、アップグレード後、システムにインストールされません。

6. このコードは、OPEN LOOK と X Window System のマニュアルページと汎用マルチプレクサソフトウェアがまだシステムにインストールされていない場合に、インストールされるようにするものです。(すでにシステム上にあるパッケージはすべて、自動的にアップグレードされます。)

7. ドイツ語ローカライズパッケージがシステムにインストールされます。