Solaris 共通デスクトップ環境 上級ユーザ及びシステム管理者ガイド

セッションの起動方法

セッション・マネージャは起動すると、次の手順に従ってセッションを起動します。

  1. HomeDirectory/.dtprofile スクリプトを参照します。

  2. Xsession.d スクリプトを参照します。

  3. ウェルカム・メッセージを表示します。

  4. デスクトップ検索パスを設定します。

  5. 使用可能なアプリケーションを集めます。

  6. (省略可能) HomeDirectory/.profile または HomeDirectory/.login を参照します。

  7. ToolTalkTM メッセージ・デーモンを起動します。

  8. セッション・リソースを読み込みます。

  9. カラー・サーバを起動します。

  10. ワークスペース・マネージャを起動します。

  11. セッション・アプリケーションを起動します。

次の節では、上記の手順について説明します。

.dtprofile スクリプトの参照

セッションの起動時に、Xsession スクリプトは、HomeDirectory/.dtprofile スクリプトを参照します。HomeDirectory/.dtprofile スクリプトは、セッションに対して環境変数を設定できる /bin/sh または /bin/ksh スクリプトです。環境変数の設定の詳細は、「追加セッション起動のカスタマイズ」を参照してください。

デスクトップに最初にログインしたときなど HomeDirectory/.dtprofile スクリプトが存在しない場合、Xsession はデスクトップのデフォルトの sys.dtprofileHomeDirectory/.dtprofile にコピーします。

デスクトップのデフォルトは、/usr/dt/config/sys.dtprofile です。sys.dtprofile スクリプトをカスタマイズするには、sys.dtprofile/usr/dt/config から /etc/dt/config にコピーし、新規ファイルを編集します。

Xsession.d スクリプトの参照

HomeDirectory/.dtprofile スクリプトを参照した後で、Xsession スクリプトは Xsession.d スクリプトを参照します。これらのスクリプトは追加する環境変数を設定し、ユーザのセッションに対して任意のデーモンを起動するために使用されます。デフォルトの Xsession.d スクリプトは次のとおりです。

0010.dtpaths - カスタマイズ可能なデスクトップ検索パスを文書化します。

0020.dtims - 任意の入力方式サーバを起動します。

0030.dttmpdir - ユーザごと、セッションごとに一時ディレクトリを作成します。

0040.xmbind - デスクトップ・デフォルトに $XMBINDDIR を設定します。

Xsession.d には、追加されたベンダ固有のスクリプトがあることもあります。

Xsession は最初に、/etc/dt/config/Xsession.d ディレクトリにあるすべてのファイルを参照し、続いて /usr/dt/config/Xsession.d ディレクトリにあるファイルを参照します。

デスクトップのデフォルトの Xsession.d スクリプトは、/usr/dt/config/Xsession.d ディレクトリに位置付けられます。Xsession.d スクリプトをカスタマイズするには、スクリプトを /usr/dt/config/Xsession.d から /etc/dt/config/Xsession.d にコピーし、新規ファイルを編集します。このタスクを実行するには、実行権を持っていなければなりません。

また、Xsession がユーザ独自のスクリプトを自動的に参照するには、そのスクリプトを /etc/dt/config/Xsession.d にコピーします。


注 -

Xsession.d スクリプトを変更または作成する場合、コマンドの所要時間はセッションの起動時間に直接影響を与えるため、発行したフォアグラウンド・コマンドが短期のものであることを確認します。フォアグラウンド・コマンドが終了していないセッションの起動はハングアップします。セッションの継続中に実行を続行したい Xsession.d スクリプトで実行されるコマンドは、バックグラウンドで実行されます。


ウェルカム・メッセージの表示

HomeDirectory/.dtprofile スクリプトと Xsession.d スクリプトを参照した後、Xsession は画面をカバーするウェルカム・メッセージを表示します。表示されるウェルカム・メッセージは、カスタマイズしたり、メッセージを完全にオフにしたりできます。dthello クライアントはメッセージを表示するのに使用します。

メッセージ・テキストを変更するには、dtstart_hello[0] 変数を変更することにより dthello オプションを変更します。

dtstart_hello[0] を変更するには、新しい値を設定する /etc/dt/config/Xsession.d スクリプトを作成します。すべてのユーザにその日のメッセージを表示するには、実行可能な sh または ksh スクリプト (たとえば、/etc/dt/config/Xsession.d/myvars) を作成し、dtstart_hello[0] を次のように設定します。

dtstart_hello[0]="/usr/dt/bin/dthello -file /etc/motd &"

同様に、ユーザは HomeDirectory/.dtprofiledtstart_hello[0] を設定することにより、それらのセッションのウェルカム・メッセージを変更できます。

ウェルカム・メッセージをオフにするには、dtstart_hello[0]="" を設定します。

dthello の詳細は、dthello(1X) のマニュアル・ページを参照してください。

デスクトップ検索パスの設定

デスクトップ検索パスは、dtsearchpath によるログイン時に作成されます。dtsearchpath によって使用される環境変数のカテゴリは 2 種類あります。

入力変数 - 値がシステム管理者かエンド・ユーザによって設定されるシステム共通環境変数と個人用環境変数

出力変数 - dtsearchpath によって作成され、値が割り当てられた変数。各変数の値はデスクトップ・セッションの検索パスです。

dtsearchpath のコマンド行オプションを変更するには、dtstart_searchpath 変数を変更します。すべてのユーザの dtstart_searchpath 変数を変更するには、実行可能な sh または ksh スクリプト (たとえば、/etc/dt/config/Xsession.d/myvars) を作成し、dtstart_searchpath を次のように設定します。

dtstart_searchpath="/usr/dt/bin/dtsearchpath"

同様に、HomeDirectory/.dtprofiledtstart_searchpath を設定することによってのみ、ユーザのセッションの dtsearchpath オプションを変更できます。

dtsearchpath の詳細は、第 9 章「デスクトップ検索パス」を参照してください。dtsearchpath オプションの詳細は、dtsearchpath(1) のマニュアル・ページを参照してください。

使用可能なアプリケーションの収集

デスクトップ検索パスの設定の次の手順は、dtappgather を使用して使用可能なアプリケーションを収集することです。dtappgather のコマンド行オプションを変更するには、dtstart_appgather 変数を変更します。すべてのユーザの dtstart_appgather 変数を変更するには、実行可能な sh または ksh スクリプト (たとえば、/etc/dt/config/Xsession.d/myvars) を作成し、dtstart_appgather を次のように設定します。

dtstart_appgather="/usr/dt/bin/dtappgather &"

同様に、HomeDirectory/.dtprofiledtstart_appgather を設定することによって、ユーザのセッションのみの dtappgather オプションを変更できます。

dtappgather オプションの詳細は、dtappgather(4) のマニュアル・ページを参照してください。

オプションとしての .profile または .login スクリプトの参照

Xsession は、従来の HomeDirectory/.profile スクリプトまたは HomeDirectory/.login スクリプトを参照できます。デフォルトではこの機能は使用できません。Xsession.profile スクリプトか .login スクリプトを参照するように通知するには、DTSOURCEPROFILEtrue を設定します。

すべてのユーザの DTSOURCEPROFILE を変更するには、新しい値を設定する /etc/dt/config/Xsession.d スクリプトを作成します。すべてのユーザに対して DTSOURCEPROFILEtrue を設定するには、実行可能な sh または ksh スクリプト (たとえば、/etc/dt/config/Xsession.d/myvars) を作成し、DTSOURCEPROFILE を次のように設定します。

DTSOURCEPROFILE=true

同様に、HomeDirectory/.dtprofileDTSOURCEPROFILEtrue を設定することによって、ユーザのセッションの DTSOURCEPROFILE を変更できます。

ToolTalk メッセージ・デーモンの起動

ToolTalk メッセージ・デーモンの ttsession により、互いに依存しないアプリケーションは、お互いについて直接認識していなくても交信できます。アプリケーションは、お互いに交信できるように ToolTalk メッセージを作成して送信します。ttsession はネットワーク上で交信し、メッセージを配信します。

ttsession のコマンド行オプションを変更するには、dtstart_ttsession 変数を変更します。すべてのユーザの dtstart_ttsession 変数を変更するには、実行可能な sh または ksh スクリプト (たとえば、/etc/dt/config/Xsession.d/myvars) を作成し、dtstart_ttsession を次のように設定します。

dtstart_ttsession="/usr/dt/bin/ttsession -s"

同様に、 HomeDirectory/.dtprofiledtstart_ttsession を設定することによって、ユーザのセッションの ttsession オプションを変更できます。

ttsession オプションの詳細は、ttsession(1) のマニュアル・ページを参照してください。ttsession の詳細は、『共通デスクトップ環境 ToolTalk メッセージの概要』を参照してください。

セッション・マネージャ・クライアントの起動

この時点で、Xsession/usr/dt/bin/dtsession を起動し、セッション起動プロセスを続行します。

セッション・リソースの読み込み

セッション・マネージャは X サーバの RESOURCE_MANAGER 属性を使用して、デスクトップ・リソースをすべてのアプリケーションに対して使用可能にします。次の手順を実行することにより、セッション・マネージャは RESOURCE_MANAGER を読み込みます。

デスクトップのデフォルト・リソースは /usr/dt/config/language/sys.resources にあります。これらのリソースは、RESOURCE_MANAGER 属性を介して各ユーザ・セッションに対して使用可能にされます。このファイルは、その後のデスクトップのインストール時に上書きされてしまうので、編集しないでください。

/etc/dt/config/language/sys.resources を作成することによって、システムのデフォルト・リソースを引き数にできます。このファイルでは、デフォルト・リソースを無効にしたり、すべてのデスクトップのユーザに対して追加のリソースを指定したりできます。このファイルは、セッションの起動中にデスクトップのデフォルト・リソースにマージされるため、新規または更新されたリソースの指定だけをこのファイルに格納してください。このファイルに指定されたリソースは、RESOURCE_MANAGER 属性を介して各ユーザのセッションに対して使用可能にされます。このファイルに指定されたリソースは、デスクトップのデフォルト・リソース・ファイルで指定されたものよりも優先されます。

HomeDirectory/.Xdefaults ファイルを使用して、デスクトップのデフォルト・リソースとシステム共通リソースを増やすことができます。このファイルに指定されたリソースは、RESOURCE_MANAGER 属性を介してユーザのセッションに対して使用可能にされます。このファイルに指定されたリソースは、デスクトップのデフォルト・リソース・ファイルまたはシステム管理者のリソース・ファイルで指定されたものよりも優先されます。


注 -

X ツールキット・イントリンシクス・ユーティリティは、RESOURCE_MANAGER HomeDirectory/.Xdefaults のどちらかからアプリケーションのリソースを読み込むように指定します。通常、これはユーザの HomeDirectory/.Xdefault ファイルが無視されることを意味します。しかし、セッション・マネージャは上述のように、セッションの起動時に HomeDirectory/.XdefaultsRESOURCE_MANAGER にマージすることにより、HomeDirectory/.Xdefaults を格納します。

HomeDirectory/.Xdefaults を変更する場合、[リソースの再読込み] アクションを起動するまで新規アプリケーションはこの変更を表示できません。[リソースの再読込み] アクションは、デフォルト・リソース、システム共通リソース、およびユーザ指定のリソースで RESOURCE_MANAGER を再読み込みするようにセッション・マネージャに通知します。これにより、システム共通リソース・ファイルと個人用リソース・ファイルをアプリケーションが使用できるように変更されます。


詳細は、次の項目を参照してください。

カラー・サーバの起動

セッション・マネージャは、デスクトップのカラー・サーバとして機能し、そのサーバをを構成するのに使用できる次のような dtsession リソースのセットを提供します。

foregroundColor - フォアグラウンド・カラーにピクセルを割り当てるかどうかを制御する。

dynamicColor - 読み込み専用カラーを割り当てるかどうか指定する。

shadowPixmaps - トップ・シャドウまたはボトム・シャドウにカラーを割り当てるかどうかを指定する。

colorUse - カラーの割り当てを制限する。

writeXrdbColors - *background リソースと *foreground リソースをリソース・データベースに格納するかどうか指定する。

/etc/dt/config/language/sys.resources を作成し、そのファイルの中にカラー・サーバを指定して、すべてのユーザに対してカラー・サーバのリソースを設定できます。

同様に、HomeDirectory/.Xdefaults にカラー・サーバのリソースを指定することによって、ユーザのセッションに対してのカラー・サーバのリソースを設定できます。

カラー・サーバのリソースの設定の詳細は、「カラーの管理」を参照してください。

ワークスペース・マネージャの起動

セッション・マネージャは、ワークスペース・マネージャを起動します。デフォルトでは、/usr/dt/bin/dtwm が起動されます。wmStartupCommand リソースを使用すると、代わりのウィンドウ・マネージャを指定できます。

/etc/dt/config/language/sys.resources を作成し、そのファイルにある Dtsession*wmStartupCommand リソースで絶対パス名とウィンドウ・マネージャのオプションを指定して、すべてのユーザの dtwm に代わるウィンドウ・マネージャを指定できます。

同様に、HomeDirectory/.XdefaultsDtsession*wmStartupCommand リソースを指定することによって、ユーザのセッションの代わりのウィンドウ・マネージャを指定できます。

ウィンドウ・マネージャの詳細は、第 16 章「ワークスペース・マネージャのカスタマイズ」を参照してください。

セッション・アプリケーションの起動

セッションの起動時に、セッション・マネージャはセッションの一部として保存されたアプリケーションを再起動します。ユーザの初期セッションの一部として復元されるアプリケーションシステムのデフォルト・セットは、/usr/dt/config/language/sys.session にあります。このファイルは、その後のデスクトップのインストール時に必ず上書きされますので、編集しないでください。

詳細は、dtsessionfile(4) のマニュアル・ページを参照してください。

システム管理者は /usr/dt/config/language/sys.session/etc/dt/config/language/sys.session にコピーし、コピーしたファイルを変更することにより、ユーザの初期セッションの一部として起動されるアプリケーションのセットを置き換えることができます。リソース・ファイルとは違い、このファイルはデスクトップのデフォルト・ファイルを完全に置き換えたものとして使用されますので、システムのデフォルト・ファイルのコピーを作成し、必要に応じて変更できます。