Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

ディスクラベルについて

どのディスクにも、そのディスクのコントローラ、ジオメトリ、スライスに関する情報を格納する特殊な領域が確保されています。そのような情報をディスクの「ラベル」と呼びます。また、ディスクラベルを表すのに VTOC (Volume Table of Contents) という用語を使用することもあります。「ディスクにラベルを付ける」とは、ディスクにスライス情報を書き込むことを意味します。通常は、ディスクのスライスを変更した後にラベルを付けます。

スライスを作成した後でディスクにラベルを付けないと、オペレーティングシステムはスライスを「認識」する方法がないので、そのスライスを利用できなくなります。

パーティションテーブル

ディスクラベルのうち重要な部分は「パーティションテーブル」です。この部分は、ディスクのスライス、スライスの境界 (シリンダ単位)、スライスの合計サイズを表します。ディスクのパーティションテーブルは、format ユーティリティを使用して表示できます。表 28-7 にパーティションテーブル関連の用語を示します。

表 28-7 パーティションテーブル関連の用語

用語 

値 

説明 

番号 

0-7

パーティション (またはスライス番号)。有効な番号は 0 から 7 まで。 

タグ 

0=UNASSIGNED
1=BOOT
2=ROOT
3=SWAP
4=USR
5=BACKUP
7=VAR
8=HOME

一般にこのパーティションにマウントされたファイルシステムを記述する数値。 

フラグ 

 
wm 

パーティションは書き込み可能でマウント可能である。 

 
wu rm

パーティションは書き込み可能でマウント不可である。これは、スワップ領域専用のパーティションのデフォルト状態である。ただし、mount コマンドでは「マウント不可」のフラグはチェックされない。

 
rm

パーティションは読み取り専用でマウント可能である。 

パーティションのフラグとタグは必ず割り当てられるので、管理する必要はありません。

パーティションテーブルを表示する手順については、「ディスクスライス情報を表示する方法」または 「ディスクラベルを検査する方法」を参照してください。

例 - パーティションテーブル

次のパーティションテーブルの例は、1.05G バイトのディスクについて format ユーティリティを使用して表示したものです。


Total disk cylinders available: 2036 + 2 (reserved cylinders)
 
Part      Tag    Flag     Cylinders        Size            Blocks
  0       root    wm       0 -  300      148.15MB    (301/0/0)   303408
  1       swap    wu     301 -  524      110.25MB    (224/0/0)   225792
  2     backup    wm       0 - 2035     1002.09MB    (2036/0/0) 2052288
  3 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
  4 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
  5 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
  6        usr    wm     525 - 2035      743.70MB    (1511/0/0) 1523088
  7 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0

このパーティションテーブルには、次の情報が入っています。

カラム名 

説明 

Part

パーティション (またはスライス番号)。このカラムについての説明は、表 28-7 を参照。

Tag

パーティションのタグ。このカラムについての説明は、表 28-7 を参照。

Flags

パーティションのフラグ。このカラムについての説明は、表 28-7 を参照。

Cylinders

スライスの開始シリンダ番号と終了シリンダ番号を示す。 

Size

スライスのサイズを M バイト単位で示す。 

Blocks

合計シリンダ数と 1 スライス当たりの合計セクター数 (カラムの右端) を示す。 

次の例では、prtvtoc コマンドを使用してディスクラベルを表示します。


# prtvtoc /dev/rdsk/c0t1d0s0
* /dev/rdsk/c0t1d0s0 partition map
*
* Dimensions:
*     512 bytes/sector
*      72 sectors/track
*      14 tracks/cylinder
*    1008 sectors/cylinder
*    2038 cylinders
*    2036 accessible cylinders
*
* Flags:
*   1: unmountable
*  10: read-only
*
*                          First     Sector    Last
* Partition  Tag  Flags    Sector     Count    Sector  Mount Directory
       0      2    00          0    303408    303407   /
       1      3    01     303408    225792    529199
       2      5    00          0   2052288   2052287
       6      4    00     529200   1523088   2052287   /usr

ディスクラベルには、次の情報が入っています。

Dimensions - このセクションには、ディスクドライブの物理的な構成が示されます。

Flags - このセクションには、パーティションテーブルのセクションに記載されたフラグが記述されます。パーティションフラグについての説明は、表 28-7 を参照してください。

パーティション (またはスライス) テーブル - このセクションには次の情報が入っています。

カラム名 

説明 

Partition

パーティション (またはスライス番号)。このカラムについての説明は、表 28-7 を参照。

Tag

パーティションのタグ。このカラムについての説明は、表 28-7 を参照。

Flags

パーティションのフラグ。このカラムについての説明は、表 28-7 を参照。

First Sector

スライスの最初のセクターを示す。 

Sector Count

スライス内の合計セクター数を示す。 

Last Sector

スライス内の最後のセクター番号を示す。 

Mount Directory

ファイルシステムの最後のマウントポイントのディレクトリを示す。