Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

破損したディスクラベルの復元

電源障害やシステム障害が原因で、ディスクが認識されなくなることがあります。このような場合に、かならずしもスライス情報やディスクのデータを作成し直したり、復元しなければならないとは限りません。

破損したディスクラベルを復元する作業の最初の手順は、正しいジオメトリとディスクタイプ情報を使用してディスクにラベルを付けることです。この操作は、通常のディスクラベル作成方法を使用して実行できます。つまり、自動構成するか、またはディスクタイプを手作業で指定します。

format でディスクタイプが認識されたら、次の手順はバックアップラベルを検索してディスクにラベルを付けることです。バックアップラベルを使用してディスクにラベルを付けると、ディスクタイプとジオメトリだけでなく、正しいパーティション情報を使用してディスクラベルが作成されます。

破損したディスクラベルを復元する方法

  1. システムをシングルユーザーモードにします。必要であれば、シングルユーザーモードでローカル CD-ROM またはネットワークからシステムをブートして、ディスクにアクセスします。

    システムをブートする方法については、第 10 章「SPARC: システムのブート (手順)」または第 11 章「IA: システムのブート (手順)」を参照してください。

  2. format ユーティリティを使用してディスクのラベルを作成し直します。


    # format
    

    この時点で、format はラベルが付いていない SCSI ディスクを自動構成しようとします。ラベルが付いておらず破損したディスクを自動構成できない場合は、次のメッセージが表示されます。

    cwtxdy: configured with capacity of xyzMB

    次に、システム上のディスクのリストが表示されます。

  3. 画面に表示されたリストから、復元したいディスクの番号を入力します。


    Specify disk (enter its number): 1
    
  4. ディスクラベルの作成方法を決定します。

    ディスクが正常に自動構成された場合 

    ディスクが正常に自動構成されなかった場合 

    手順 5 と 6 を実行してから、手順 12 に進む。 

    手順 7 から 11 までを実行してから手順 12 に進む。 

  5. verify コマンドを使用してバックアップラベルを検索します。


    format> verify
    Warning: Could not read primary label.
    Warning: Check the current partitioning and 'label' the disk or 
    use the 'backup' command.
    Backup label contents:
    Volume name = <        >
    ascii name  = <SUN1.05 cyl 2036 alt 2 hd 14 sec 72>
    pcyl        = 2038
    ncyl        = 2036
    acyl        =    2
    nhead       =   14
    nsect       =   72
    Part      Tag    Flag     Cylinders        Size            Blocks
      0       root    wm       0 -  300      148.15MB    (301/0/0)   303408
      1       swap    wu     301 -  524      110.25MB    (224/0/0)   225792
      2     backup    wm       0 - 2035     1002.09MB    (2036/0/0) 2052288
      3 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
      4 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
      5 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
      6        usr    wm     525 - 2035      743.70MB    (1511/0/0) 1523088
      7 unassigned    wm       0               0         (0/0/0)          0
  6. format でバックアップラベルが見つかり、バックアップラベルの内容が適切に表示された場合は、backup コマンドを実行し、バックアップラベルを使用してディスクにラベルをつけます。


    format> backup
    Disk has a primary label, still continue? y
    
    Searching for backup labels...found.
    Restoring primary label

    ディスクラベルが復元されました。手順 12 へ進みます。

  7. format でディスクを自動構成できなかった場合は、type コマンドを使用してディスクタイプを指定します。


    format> type
    

    Available Devices Type メニューが表示されます。

  8. 0 を選択してディスクを自動構成するか、またはディスクタイプの候補のリストからディスクタイプを選択します。


    Specify disk type (enter its number)[12]: 12
    
  9. ディスクが正常に自動構成された場合は、ディスクラベルを作成するかどうか尋ねるプロンプトが表示されたときに no と応答します。


    Disk not labeled.  Label it now?  no
    
  10. verify コマンドを使用してバックアップラベルを検索します。


    format> verify
    Warning: Could not read primary label.
    Warning: Check the current partitioning and 'label' the disk
    or use the 'backup' command.
    .
    .
    .
  11. format でバックアップラベルが見つかり、その内容が適切な場合は、backup コマンドを実行し、バックアップラベルを使用してディスクにラベルを付けます。


    format> backup
    Disk has a primary label, still continue? y
    
    Searching for backup labels...found.
    Restoring primary label

    ディスクラベルが復元されました。

  12. q と入力して format ユーティリティを終了します。


    format> q
    
  13. fsck コマンドを使用して、復元されたディスク上のファイルシステムを確認します。

    fsck コマンドの使用方法については、第 39 章「ファイルシステムの整合性チェック」を参照してください。