Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

format.dat ファイル中のキーワード

データファイルには、起動時に format に読み込まれるディスク定義が入っています。各定義は、キーワード search_pathdisk_type、または partition で始まります。表 32-6 を参照してください。

表 32-6 format.dat のキーワードの説明

キーワード 

用途 

search_path

このキーワードは format.dat ファイルでは使用しない。Solaris 2.0 リリース以降は、format ユーティリティは論理デバイス階層 (/dev) を検索するので、このキーワードを設定してシステムのディスクを検索する必要がなくなった。

disk_type

コントローラとディスクのモデルを定義する。各 disk_type 定義には、ディスクの物理ジオメトリに関する情報が入っている。デフォルトのデータファイルには、Solaris オペレーティング環境でサポートされるコントローラとディスクの定義が入っている。サポートされないディスクを使用する場合にのみ、新しい disk_type を追加する必要がある。必要に応じて、disk_type 定義をデータファイルにいくつ追加してもかまわない。

partition

ディスクタイプのスライステーブルを定義する。スライステーブルには、スライス情報だけでなく、format 内で参照できる名前が入っている。デフォルトのデータファイルには、数種類のディスクドライブに対応するデフォルトのスライス定義が入っている。システムのディスク上にスライスを作成し直した場合は、スライス定義を追加する。必要に応じて、スライス情報をデータファイルにいくつ追加してもかまわない。

ディスクタイプ (format.dat)

disk_type は、コントローラとディスクのモデルを定義します。各 disk_type 定義には、ディスクの物理ジオメトリに関する情報が入っています。デフォルトのデータファイルには、Solaris オペレーティング環境でサポートされるコントローラとディスクの定義が入っています。サポートされないディスクを使用する場合に限り、新しい disk_type を追加する必要があります。必要に応じて、disk_type 定義をデータファイルにいくつ追加してもかまいません。

キーワード自体が、ディスクタイプ名になります。この名前は、ディスクのラベルの一部になり、format の実行時にディスクタイプを識別するために使用されます。空白が含まれている名前は、二重引用符で囲んでください。表 32-7に、すべての disk_type 定義でキーワードの他に割り当てなければならない識別子を示します。

表 32-7 必須の disk_type 識別子

識別子 

説明 

ctlr

ディスクタイプに有効なコントローラのタイプ。現在、この代入式に有効な値は SCSI と ISP-80 (IPI コントローラ) である。 

ncyl

ディスクタイプ内のデータシリンダ数。この数によって、システムがアクセスできるディスクの論理シリンダ数が決まる。 

acyl

ディスクタイプ内の代替シリンダ数。format は、これらのシリンダを使用して、ドライブの欠陥リストなどの情報を格納する。代替シリンダとして、常に 2 つはシリンダを残しておく必要がある。

pcyl

ディスクタイプ内の物理シリンダ数。この数は、ディスク媒体の境界を計算するために使用される。通常、この数値は ncylacyl の合計に等しくなるが、そうでない場合もある。

nhead

ディスクタイプ内のヘッド数。この数値は、ディスク媒体の境界を計算するために使用される。 

nsect

ディスクタイプ内の 1 トラック当たりのデータセクター数。この数値は、ディスク媒体の境界を計算するために使用される。これはデータセクターだけで、スペアは割り当てには含まれない。 

rpm

ディスクタイプの 1 分当たりの回転数。この情報はラベルに書き込まれ、後からファイルシステムでファイルデータの最適位置の計算に使用される。 

コントローラによっては、他の代入式が必要な場合があります。表 32-8に、SCSI コントローラに必要な代入式を示します。

表 32-8 SCSI コントローラの disk_type 識別子

識別子 

説明 

fmt_time

所定のドライブのフォーマットに要する時間を示す数値。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 

cache

format の処理中にオンボードキャッシュの動作を制御する数値。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。

trks_zone

代替セクターのマッピング内で使用される 1 つの欠陥領域当たりのトラック数を指定した数値。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 

asect

このパラメータに代入した数値は、所定の欠陥領域内で代替マッピングに利用できるセクター数を指定する。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 

次に、disk_type 定義の例を示します。


disk_type = "SUN1.3G" ¥
        : ctlr = SCSI : fmt_time = 4 ¥
        : trks_zone = 17 : asect = 6 : atrks = 17 ¥
        : ncyl = 1965 : acyl = 2 : pcyl = 3500 : nhead = 17 : nsect = 80 ¥
        : rpm = 5400 : bpt = 44823

disk_type = "SUN2.1G" ¥
        : ctlr = SCSI : fmt_time = 4 ¥
        : ncyl = 2733 : acyl = 2 : pcyl = 3500 : nhead = 19 : nsect = 80 ¥
        : rpm = 5400 : bpt = 44823

disk_type = "SUN2.9G" ¥
        : ctlr = SCSI : fmt_time = 4 ¥
        : ncyl = 2734 : acyl = 2 : pcyl = 3500 : nhead = 21 : nsect = 99 ¥
        : rpm = 5400