Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

パスワードファイルのフィールド

passwd ファイルの各フィールドはコロンで区切られ、次のような情報が入っています。

username:password:uid:gid:comment:home-directory:login-shell

具体的な例は次のようになります。

kryten:x:101:100:Kryten Series 4000 Mechanoid:/export/home/kryten:/bin/csh

表 2-6 に、passwd ファイルの各フィールドについて説明します。

表 2-6 passwd ファイルのフィールド

フィールド名 

説明 

username

ユーザー (またはログイン) 名。ユーザー名は固有で、 1 から 8 文字の英字 (A-Z、a-z) と数字 (0-9) を使用する。最初の文字は英字で、少なくとも 1 文字は小文字を使用する。ユーザー名には下線や空白文字は使用できない。 

password

暗号化されたパスワードの代わりの x (パスワードフィールドはもう使用されない)。暗号化されたパスワードは shadow ファイルに格納される。

uid

ユーザーをシステムに識別させるユーザー識別番号 (UID)。一般ユーザーの UID は 100 から 60000 までの範囲とする。UID 番号はすべて固有でなければならない。 

gid

ユーザーの一次グループのグループ識別番号 (GID)。各 GID は 0 から 60002 までの範囲の整数でなければならない (60001 と 60002 はそれぞれ nobodynoaccess に割り当てられる)。

comment

通常はユーザーのフルネーム。 (このフィールドはコメントとしての情報専用。) このフィールドは、もともとは、Bell 研究所の UNIX システムから GECOS (General Electric Computer Operating System) を実行するメインフレームにバッチジョブを依頼する場合、必要なログイン情報を保持するために使われていたので、GCOS フィールドと呼ばれることもある。 

home-directory

ユーザーのホームディレクトリのパス名。 

login-shell

ユーザーのデフォルトログインシェル。これは /bin/sh/bin/csh/bin/ksh のどれかになる。表 2-13 のシェル機能の説明を参照のこと。

デフォルトの passwd ファイル

Solaris のデフォルトの passwd ファイルには、標準のデーモン用のエントリが入っています。デーモンとは、通常ブート時に起動され、システム全体で有効なタスク (印刷、ネットワークの管理、ポートの監視など) を実行するプロセスです。


root:x:0:1:Super-User:/:/sbin/sh
daemon:x:1:1::/:
bin:x:2:2::/usr/bin:
sys:x:3:3::/:
adm:x:4:4:Admin:/var/adm:
lp:x:71:8:Line Printer Admin:/usr/spool/lp:
uucp:x:5:5:uucp Admin:/usr/lib/uucp:
nuucp:x:9:9:uucp Admin:/var/spool/uucppublic:/usr/lib/uucp/uucico
listen:x:37:4:Network Admin:/usr/net/nls:
nobody:x:60001:60001:Nobody:/:
noaccess:x:60002:60002:No Access User:/:
nobody4:x:65534:65534:SunOS 4.x Nobody:/:
表 2-7 デフォルトの passwd ファイルのエントリ

ユーザー名 

ユーザー ID 

説明 

root

0

スーパーユーザーのアカウント 

daemon

1

カレンダの更新などに関連するシステム包括デーモン 

bin

2

ルーチンシステムタスクを実行するシステムバイナリの実行に関連する管理デーモン 

sys

3

システムのログの記録や一時ディレクトリのファイルの更新に関連する管理デーモン 

adm

4

システムのログの記録に関連する管理デーモン 

 

71

ラインプリンタのデーモン 

uucp

5

uucp デーモン 

nuucp

6

uucp デーモン 

listen

37

ネットワーク監視デーモン 

nobody

60001

未承認の root ユーザーから要求を受信したときに NFS サーバーが割り当てる匿名ユーザー用のアカウント。nobody ユーザーアカウントは、特別なアクセス権を必要としない、あるいは持つべきではないソフトウェアプロセスに割り当てられる。

noaccess

60002

あるアプリケーションを経由するが実際にログインをしないで、システムにアクセスする必要があるユーザーまたはプロセスに割り当てられるアカウント。 

nobody4

65534

SunOS 4.0 または 4.1 の nobody ユーザーアカウント