Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

SEAM クライアントの構成

SEAM クライアントは、SEAM サービスを使用する同じネットワーク上のすべてのホスト (KDC サーバーを除く) です。この節では、SEAM クライアントのインストール手順と、root 認証を使用して NFS ファイルシステムをマウントするための特定の方法を説明します。

SEAM クライアントを構成する手順は 2 つあります。「SEAM クライアントの構成を完成する方法」は、システムのインストール中に部分的に設定された SEAM クライアントを構成する情報です。「SEAM クライアントを構成する方法」は、Solaris 8 リリースのインストールで SEAM の構成を全く行わなかった場合の SEAM クライアントの構成手順です。

SEAM クライアントを構成する方法

次の構成パラメータが使用されます。

  1. SEAM クライアントを構成するための前提条件

    admin サーバーの KDC がすでに構成され、動作していなければなりません。さらに、DNS がインストールされ、/etc/resolv.conf ファイルが正しく構成されている必要があります。

  2. クライアント上でスーパーユーザーになります。

  3. PAM 構成ファイル (pam.conf) を編集します。

    最後の 8 行からコメント記号を削除して Kerberos PAM モジュールを有効にします。


    client1 # tail -11 /etc/pam.conf
    #
    # Support for Kerberos V5 authentication (uncomment to use Kerberos)
    #
    rlogin auth optional   /usr/lib/security/$ISA/pam_krb5.so.1 try_first_pass
    login  auth optional   /usr/lib/security/$ISA/pam_krb5.so.1 try_first_pass
    dtlogin        auth optional   /usr/lib/security/$ISA/pam_krb5.so.1 try_first_pass
    other  auth optional   /usr/lib/security/$ISA/pam_krb5.so.1 try_first_pass
    dtlogin        account optional /usr/lib/security/$ISA/pam_krb5.so.1
    other  account optional /usr/lib/security/$ISA/pam_krb5.so.1
    other  session optional /usr/lib/security/$ISA/pam_krb5.so.1
    other  password optional /usr/lib/security/$ISA/pam_krb5.so.1 try_first_pass
  4. NFS セキュリティサービス構成ファイル (nfssec.conf) を編集します。

    Kerberos サービスを記述する行からコメント記号を削除します。


    client1 # cat /etc/nfssec.conf
      .
      .
    #
    # Uncomment the following lines to use Kerberos V5 with NFS
    #
    krb5           390003  kerberos_v5     default -       # RPCSEC_GSS
    krb5i          390004  kerberos_v5     default integrity       # RPCSEC_GSS
    default         1       -       -       -       # default is AUTH_SYS
  5. Kerberos 構成ファイル (krb5.conf) を編集します。

    デフォルトのファイルを変更する場合は、レルム名とサーバー名を変更する必要があります。


    client1 # cat /etc/krb5/krb5.conf
    [libdefaults]
            default_realm = ACME.COM
    
    [realms]
                    ACME.COM = {
                    kdc = kdc1.acme.com
                    kdc = kdc2.acme.com
                    admin_server = kdc1.acme.com
            }
    
    [domain_realm]
            .acme.com = ACME.COM
    
  6. (省略可能) NTP または別のクロック同期化機構を使用して、マスター KDC のクロックと同期させます。

    NTP については、「KDC と SEAM クライアントのクロックの同期化」を参照してください。

  7. 新しいプリンシパルを追加します。

    KDC とともに提供される管理ツールを使用して、クライアントに対して新しいプリンシパルを追加します。

    1. NFS サービスプリンシパルを次の名前で作成します。

      nfs/client1.acme.com

    2. root プリンシパルを次の名前で作成します。

      root/client1.acme.com

    3. host プリンシパルを次の名前で作成します。

      host/client1.acme.com

    4. root プリンシパルを keytab ファイルに追加します。

      root/client1.acme.com プリンシパルが keytab ファイルに追加されていることを確認します。

  8. クライアントから Kerberos チケットの期限切れをユーザーに警告する場合は、/etc/krb5/warn.conf ファイルのエントリを構成します。

    詳細は、warn.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

SEAM クライアントの構成を完成する方法

クライアントをインストールするときに部分的にインストールされた SEAM クライアントを構成する場合は、「SEAM クライアントを構成する方法」の手順に従ってください。ただし、インストールはすでに開始されているため、pam.confnfssec.conkrb5.conf を編集しないでその内容を確認してください。