Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

第 44 章 ソフトウェア管理の問題の解決

この章では、ソフトウェアパッケージをインストールまたは削除するときに発生する問題について説明します。この章には、2 つの節があります。「特定のソフトウェア管理エラー」では、パッケージのインストールエラーと管理エラーについて説明します。「一般的なソフトウェア管理障害」では、特定のエラーメッセージを出さない障害について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

ソフトウェアパッケージの管理については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』の「ソフトウェア管理 (概要)」を参照してください。

ソフトウェア管理の問題解決における新しい機能

以前の Solaris リリースでは、ソフトウェアパッケージを作成するときに、シンボリックリンクのリンク先を pkgmap ファイルに指定できませんでした。そのため、pkgadd コマンドでパッケージを追加する場合、パッケージまたはパッチ関連のシンボリックリンクには、シンボリックリンクのリンク先ではなくシンボリックリンクのソースが使用されていました。したがって、パッケージやパッチパッケージのアップグレードの際にシンボリックリンクのリンク先を別のものに変更する必要があるという問題がありました。この Solaris リリースでは、パッケージのシンボリックリンクのリンク先を変更する必要がある場合、デフォルトで、シンボリックリンクのソースの代わりにリンク先が pkgadd コマンドによって調べられます。

しかしながら、パッケージによっては pkgadd のこの新しい動作に準拠していない場合があります。

pkgadd シンボリックリンクの新旧動作に対応するために PKG_NONABI_SYMLINKS 環境変数が使用できます。この環境変数が真に設定されていると、pkgadd はシンボリックリンクのソースを使用します。

pkgadd コマンドを使ってパッケージを追加する前に管理者がこの変数を設定すれば、新しい動作に対応していないパッケージを以前の動作で処理できます。

pkgadd コマンドを使って既存のパッケージを追加する場合、pkgadd シンボリックリンクの新しい動作が原因でパッケージを追加できないことがあります。その場合には、次のエラーメッセージが表示されます。


unable to create symbolic link to <path>

この問題のためにパッケージをインストールできない場合は、次の手順に従います。

  1. Sun 提供のパッケージの場合は、ご購入先に新動作に対応していないパッケージ名をお知らせください。

  2. PKG_NONABI_SYMLINKS 環境変数を設定し、pkgadd コマンドを使ってパッケージを再び追加してください。


    # PKG_NONABI_SYMLINKS=true
    # export PKG_NONABI_SYMLINKS
    # pkgadd pkg-name
    

特定のソフトウェア管理エラー


WARNING: filename <not present on Read Only file system>

エラーの発生原因 

解決方法 

このエラーメッセージは、パッケージの一部のファイルがインストールできなかったことを示す。このエラーは、通常、pkgadd を使用してパッケージをクライアントにインストールするときに発生する。この場合、pkgadd は、サーバーからマウントしているファイルシステムにパッケージをインストールしようとする。しかし pkgadd は、そのためのアクセス権を持っていない

パッケージのインストール中にこの警告メッセージが表示された場合、パッケージをサーバーにもインストールしなければならない。詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』の「ソフトウェアの管理 (概要)」を参照

一般的なソフトウェア管理時の問題

エラーの発生原因 

解決方法 

Solaris 2.5 およびその互換バージョンより前に開発された一部のパッケージの追加と削除に関連して、既知の問題が存在する。このようなパッケージを追加または削除すると、ユーザーとの対話中にインストールが失敗するか、ユーザーとの対話のためにプロンプトが出されるが、ユーザーの応答は無視されることがある 

次の環境変数を設定して、パッケージを追加し直す。 

NONABI_SCRIPTS=TRUE