Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

第 10 章 DHCP サービスの設定

ネットワーク上で DHCP サービスを設定するときは、最初のDHCP サーバーの設定と起動が中心的な作業になります。その他のサーバーは後から追加することが可能であり、追加したサーバーは共有ロケーションから同じデータにアクセスできます。この章では、DHCP サーバーの設定手順と、ネットワークおよびそれらのネットワークに対応する IP アドレスを DHCP の管理下に置くための手順について説明します。また、サーバーの設定解除についても解説します。

この章では、DHCP Manager を使用した設定手順と、dhcpconfig を使用した設定手順を、それぞれの節で説明します。この章には次のような情報が含まれます。

DHCP Manager の使用による DHCP サーバーの設定および設定解除

この節では、 DHCP Manager を使用してサーバーを設定および設定解除する手順について説明します。なお、DHCP Manager を使用するには、CDE などの X Window System が動作していなければなりません。

最初にシステム上で DHCP Manager を起動すると、図 10-1 ような画面が表示され、DHCP サーバーまたは BOOTP リレーエージェントのどちらを設定するか選択できます。

図 10-1 「サーバー構成の選択 (Choose Server Configuration)」ダイアログ

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DHCP サーバーの設定

DHCP サーバーの設定を行う場合、DHCP Manager が DHCP 構成ウィザードを起動し、このウィザードはサーバーの設定に必要な情報の入力を促します。図 10-2 に示すような、ウィザードの初期画面が現れます。

図 10-2 「DHCP 構成ウィザード (DHCP Configuration Wizard)」の初期画面

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ウィザードの入力要求に応答すると、DHCP Manager は 表 10-1 に列記されている項目を作成します。

表 10-1 DHCP サーバーの設定時に作成される項目

項目 

説明 

内容 

サービス構成ファイル /etc/default/dhcp

サーバー設定オプションのキーワードおよび値を記録する 

データ保存形式とその場所、システムのブート時に、DHCP デーモンを起動するために in.dhcpd に指定するオプション

dhcptab ファイル

dhcptab ファイルがまだ存在しない場合、DHCP Manager は空の dhcptab ファイルを生成する

値が割り当てられたマクロとオプション 

オプションとして指定する Locale マクロ

ユニバーサル時間 (UTC) からのローカルな時間帯のオフセット (秒単位) が含まれる 

UTCoffst オプション

サーバーのノード名と一致するように名前が設定されたサーバーマクロ 

DHCP サーバーを設定する管理者の入力を使用して設定された値を持つオプションが含まれる。オプションは、サーバーが所有するアドレスを使用するすべてのクライアントに適用される 

Locale マクロと次のオプション

  • Timeserv。サーバーの一次 IP アドレスを指し示すように設定されている

  • LeaseTim と、ネゴシエーション可能なリースを選択している場合には LeaseNeg

  • DNSdmain および DNSserv (DNSが設定されている場合)

  • Hostname。このオプションに値を設定してはならない。このオプションが存在すると、ホスト名はネームサービスから取得されなくてはならないことを意味する

ネットワークアドレスマクロ 

その名前はクライアントのネットワークアドレスと同じである 

DHCP サーバーを設定する管理者の入力により設定された値を持つオプションが含まれる。オプションは、マクロ名に一致するネットワーク上に存在するすべてのクライアントに適用される 

次のオプション

  • Subnet

  • Router または RDiscvyF

  • Broadcst (ネットワークが LAN の場合)

  • MTU

  • NISdmain および NISserv (NIS が設定されている場合)

  • NIS+dom および NIS+serv (NIS+ が設定されている場合)

ネットワークのためのネットワークテーブル 

ネットワークの IP アドレスが作成されるまで、空のテーブルとして作成される 

IP アドレスを追加するまで、なし 

DHCP サービススクリプト /etc/init.d/dhcp へのリンク

システムのブート時に、DHCP デーモンが自動的に起動できるようにする 

次のリンクが作成される

  • /etc/rc0.d/K34dhcp

  • /etc/rc1.d/K34dhcp

  • /etc/rc2.d/K34dhcp

  • /etc/rc3.d/K34dhcp

DHCP サーバーの設定方法 (DHCP Manager)

  1. DHCP サーバーとして使用するシステムを選択します。

    「サーバー設定における決定事項」のガイドラインに従います。

  2. データ保存、リースポリシー、およびルーター情報について決定を行います。

    「サーバー設定における決定事項」のガイドラインに従います。

  3. サーバーシステム上でスーパーユーザーになります。

  4. 次のコマンドを入力します。


    #/usr/sadm/admin/bin/dhcpmgr &
    
  5. 「DHCP サーバーとして構成」オプションを選択します。

    DHCP 構成ウィザードが起動し、サーバーの設定方法を指示します。

  6. 計画作成段階で決定した決定事項に基づいて、オプションを選択するか、要求された情報を入力します。

    わからないことがあれば、ウィザードウィンドウ内のヘルプをクリックして Web ブラウザを開き、DHCP 構成ウィザードのヘルプを表示します。

  7. 要求された情報の入力が終了したら、「完了」をクリックしてサーバー設定を完了します。

  8. アドレス起動ウィザードウィンドウで「はい」をクリックし、サーバーのアドレスの設定を開始します。

    このウィザードでは、DHCP の制御下に置くアドレスを指定することができます。

  9. 計画作成段階での決定事項に従って、入力要求に応答します。

    詳細は、「IP アドレス管理のための決定事項」を参照してください。わからないことがあれば、ウィザードウィンドウ内のヘルプをクリックして Web ブラウザを開き、アドレス追加ウィザードのヘルプを表示します。

  10. 選択した項目を確認し、「完了」をクリックしてネットワークテーブルにアドレスを追加します。

    ネットワークテーブルが、指定した範囲内にある各アドレスのレコードについて更新されます。

ネットワークウィザードを使用して、DHCP サーバーにさらにネットワークを追加することができます。「DHCP ネットワークの追加」を参照してください。

BOOTP リレーエージェントの設定

BOOTP リレーエージェントを設定するときは、DHCP Manager は次の動作を行います。

BOOTP リレーエージェントの設定を選択した場合に表示される画面を図 10-3 に示します。

図 10-3 「BOOTP リレーの構成 (Configure BOOTP Relay)」ダイアログボックス

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BOOTP リレーエージェントの設定方法 (DHCP Manager)

  1. BOOTP リレーエージェントとして使用するシステムを選択します。

    「DHCP を使用するためのサーバーの選択」を参照してください。

  2. サーバーシステム上でスーパーユーザーになります。

  3. 次のコマンドを入力します。


    #/usr/sadm/admin/bin/dhcpmgr &
    

    システムが DHCP サーバーまたは BOOTP リレーエージェントとして設定されていない場合は、DHCP 構成ウィザードが起動します。システムがすでに DHCP サーバーとして設定されている場合には、そのサーバーの設定解除をしなければ、そのサーバーを BOOTP リレーエージェントとして設定することはできません。「DHCP サーバーと BOOTP リレーエージェントの設定解除」を参照してください。

  4. 「BOOTP リレーとして構成」を選択します。

    「BOOTP リレーの構成」ダイアログボックスが表示されます。

  5. この BOOTP リレーエージェントにより受信される BOOTP または DHCP 要求を処理するように設定されている、1 つ以上の DHCP サーバーの IP アドレスまたはホスト名を入力し、「追加」をクリックします。

    「了解」をクリックすると、DHCP Manager はアプリケーションを終了するための「ファイル」メニューと、サーバーを管理するための「サービス」メニューだけを表示します。その他のメニューオプションは、DHCP サーバー上でのみ有効なため、ここでは使用できません。

DHCP サーバーと BOOTP リレーエージェントの設定解除

DHCP サーバーまたは BOOTP リレーエージェントを設定解除するときは、DHCP Manager は次の動作を行います。

DHCP サーバーの設定解除を選択した場合の画面を図 10-4 に示します。

図 10-4 「サービスの解除 (Unconfigure Service)」ダイアログボックス

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DHCP サーバーの設定解除を行う場合、DHCP データファイル (dhcptab と DHCP ネットワークテーブル) の取り扱いを決める必要があります。データが複数のサーバー間で共有される場合、dhcptab および DHCP ネットワークテーブルは削除しないようにします。ネットワーク全体に渡って DHCP を使用することができなくなります。データは NIS+ 経由で、またはエクスポートされたローカルファイルシステム上で共有することができます。/etc/default/dhcp ファイルには、使用するデータ保存方式とその場所が記録されています。

データを削除するためのいずれオプションも選択しなければ、データをそのままの形で残し、DHCP サーバーを設定解除できます。データをそのままの形で残し、設定を解除すると、DHCP サーバーが使用できなくなります。

データを削除したい場合は、dhcptab およびネットワークテーブルを削除するためのオプションを選択します。DHCP アドレスに対応するクライアント名をすでに生成している場合には、/etc/inet/hosts または NIS+ の hosts テーブルからそれらのエントリを削除するように選択できます。

BOOTP リレーエージェントを設定解除する前に、DHCP サーバーへ要求を転送するために、このエージェントを使用しているクライアントが存在しないことを確認してください。

DHCP サーバーまたは BOOTP リレーエージェントの設定解除方法 (DHCP Manager)

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のコマンドを入力します。


    # /usr/sadm/admin/bin/dhcpmgr &
    
  3. 「サービス」メニューから、「解除」を選択します。

    「サービスの解除」ダイアログボックスが表示されます。サーバーが BOOTP リレーエージェントの場合、このダイアログボックスでリレーエージェントを設定解除することが確認できます。サーバーが DHCP サーバーの場合、このダイアログボックス内で選択を行うことにより、DHCP データの扱いについて決定を行う必要があります。図 10-4 を参照してください。

  4. (省略可能) データを削除するためのオプションを選択します。

    サーバーが共有データを使用している場合 (NIS+、または NFS 経由で共有されているファイルを使用している場合)、データを削除するオプションは選択しないでください。共有データを使用していない DHCP サーバーの場合には、いずれかの、または両方のオプションを選択して、データを削除します。

    データの削除については、「DHCP サーバーと BOOTP リレーエージェントの設定解除」を参照してください。

  5. 「了解」をクリックします。

dhcpconfig を使用する DHCP サーバーの設定および設定解除

この節では、dhcpconfig を使用して DHCP サーバーまたは BOOTP リレーエージェントを設定および設定解除する手順について説明します。dhcpconfig の起動時に、図 10-5 のような「DHCP Configuration」メニューが表示されます。

図 10-5 dhcpconfig のメニュー


***         DHCP Configuration              ***
 
Would you like to:
 
        1) Configure DHCP Service
 
        2) Configure BOOTP Relay Agent
 
        3) Unconfigure DHCP or Relay Service
 
        4) Exit
  
Choice:  

DHCP サーバーの設定方法 (dhcpconfig)

  1. DHCP サーバーとして使用するシステムを選択します。

    「サーバー設定における決定事項」のガイドラインに従います。

  2. データ保存、リースポリシー、およびルーター情報について決定を行います。

    「サーバー設定における決定事項」のガイドラインに従います。

  3. スーパーユーザーになります。

  4. 次のコマンドを入力します。


    #/usr/sbin/dhcpconfig
    

    テキスト形式の「DHCP Configuration」メニューが表示されます。

  5. 1 と入力し、Return を押して、「Configure DHCP Service」を選択します。

  6. 次のプロンプトに対して応答を入力します。

    ここでは、第 9 章「DHCP サービスの使用計画」を読んで決定した決定事項を使用します。なお、各プロンプトにおけるデフォルト値は角括弧で囲まれています。デフォルト値を使用する場合には、そのプロンプトで Return を押します。


    Would you like to stop the DHCP service? (recommended) ([Y]/N)Y
    

    Y を押し、DHCP サービスを停止します。この操作により、サーバーが不完全な構成情報をクライアントに送信しないようにします。


    ###     DHCP Service Configuration      ###
    ###     Configure DHCP Database Type and  Location      ###
     
    Enter datastore (files or nisplus) [nisplus]:

    使用するデータ保存方法の名前、(files または nisplus) を入力します。

    データ保存方法についてのより詳しい情報が必要な場合は、「データ保存方法の選択」のガイドラインを参照してください。選択結果は /etc/default/dhcp に記録されます。


    Enter absolute path to datastore directory [/var/dhcp]:

    データ保存方式に使用する files または NIS+ ディレクトリへのパスを入力します。データ保存方式に files を選択した場合のデフォルトディレクトリは /var/dhcp です。NIS+ を選択した場合のデフォルトディレクトリは、yourcompany.com などの、サーバーが現在使用している NIS+ ディレクトリの場所になります。


    Would you like to specify nondefault daemon options (Y/[N]):

    上記のプロンプトで N を入力した場合、デフォルト以外のデーモンオプションを指定しなくても、サーバーを正常に設定できます。

    Y と入力した場合は、次のプロンプトが表示されます。


    Do you want to enable transaction logging? (Y/[N]):Y
    

    トランザクションログを有効にしたい場合は、Y と入力します。トランザクションログについては、第 11 章「DHCP の管理」を参照してください。トランザクションログを有効に設定した場合にのみ、次のプロンプトが表示されます。


    Which syslog local facility [0-7] do you wish to log to? [0]:

    トランザクションログを記録するためのローカル機能については、第 11 章「DHCP の管理」を参照してください。


    How long (in seconds) should the DHCP server keep outstanding OFFERs? [10]:

    サーバーがクライアントに提供する IP アドレスをキャッシュに保持する秒数を入力します。デフォルトの秒数は 10 秒であり、ほとんどのネットワークでは、これが適切な秒数です。秒数を増加することは可能ですが、ネットワーク性能が低下します。


    How often (in minutes) should the DHCP server rescan the dhcptab? [Never]:

    デフォルトでは DHCP サーバーは起動時に、あるいは DHCP Manager から読み込みの指示を受けた場合にのみ、dhcptab を読み込みます。DHCP Manager を使用すると、設定データを変更した後で dhcptab をリロードすることにより、サーバーを更新することができます。そのため、DHCP Manager を使用している場合は、dhcptab の自動再走査は必要ありません。一般に、再走査間隔は次のような状況でのみ使用します。

    • データ保存が NIS+ 内に配置されており、ネットワーク上に複数の DHCP サーバーが存在する場合。再走査によって、すべてのサーバーが最新の情報を持っていることが保証されます。

    • DHCP Manager ではなく、dhtadm を使用して設定変更を行った場合。dhtadm ユーティリティには、設定変更後に dhcptab の再走査を強制するオプションはありません。

    dhcptab に対して自動再走査を実行する場合は、サーバーが dhcptab ファイル内にクライアントの設定情報をリロードするまでの待機時間間隔を分単位で入力します。


    Do you want to enable BOOTP compatibility mode? (Y/[N]):

    デフォルトでは BOOTP 互換性は無効になっています。BOOTP 互換性を有効にする場合は、「DHCP サービスを使用した BOOTP クライアントのサポート」を参照してください。

    デフォルト以外のデーモンおよびサーバーオプションに関する情報の入力が終了したら、次のプロンプトが表示されます。


    Enter default DHCP lease policy (in days) [3]:

    リース期間の日数を入力します。デフォルト設定は 3 日です。詳細については、「リースポリシーの設定」 を参照してください。


    Do you want to allow clients to renegotiate their leases? ([Y]/N):

    デフォルト設定はリースネゴシエーションを有効にする Y です。リースネゴシエーションについての詳細は、「リースポリシーの設定」を参照してください。N と入力した場合、クライアントはリースの期限が切れた時点で IP アドレスを放棄し、新たなリースと IP アドレスを取得しなければなりません。


    Enable DHCP/BOOTP support of networks you select? ([Y]/N):

    この時点で、DHCP を使用するネットワークの構成が可能になります。「IP アドレス管理のための決定事項」を読んだ後に選んだ決定事項を参照してください。IP アドレスを設定する準備が整っていない場合は、N と入力します。dhcpconfig は DHCP サービスを再度実行するように促すプロンプトを表示して、初期メニューに戻ります。少なくとも 1 つのネットワーク上で DHCP または BOOTP のサポートを有効にしない限り、DHCP を使用することはできません。

    IP アドレスを設定する準備が整っている場合は、Y と入力し 手順 4 へ進みます。

BOOTP リレーエージェントの設定方法 (dhcpconfig)

  1. 設定を行うシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. 次のように入力します。


    # /usr/sbin/dhcpconfig
    

    テキスト形式の「Configure DHCP Service」メニューが表示されます。

  3. 2 と入力し、Return を押して「Configure BOOTP Relay Agent」を選択します。

  4. プロンプトに対し、次のように応答します。


    Would you like to stop the DHCP service? (recommended) ([Y]/N):Y
    ###     BOOTP Relay Agent Configuration ###
    
    ###     Common daemon option setup      ###
    Would you like to specify nondefault daemon options (Y/[N]):Y
    

    このプロンプトに対して N と入力した場合、デフォルト以外のデーモンオプションを指定しなくても、サーバーを正常に設定できます。

    Y と入力した場合には、次のプロンプトが表示されます。


    Do you want to enable transaction logging? (Y/[N]):Y
    

    トランザクションログを有効にしたい場合は、Y と入力します。トランザクションログについては、第 11 章「DHCP の管理」を参照してください。トランザクションログを有効にした場合にのみ、次のプロンプトが表示されます。


    Which syslog local facility [0-7] do you wish to log to? [0]:

    トランザクションログを記録するためのローカル機能については、第 11 章「DHCP の管理」を参照してください。


    Enter destination BOOTP/DHCP servers. Type '.' when finished.
    IP address or Hostname: 

    要求の転送先となる BOOTP または DHCP サーバーの IP アドレスまたはホストネームを 1 つ入力し、Return を押します。プロンプトが再表示され、アドレスおよびホストネームの入力が引き続き可能な状態になります。終了する場合はピリオド (.) を入力し、Return を押します。


    Would you like to restart the DHCP service? (recommended) ([Y]/N):Y
    

    「Configure DHCP Service」メニューが再表示されます。

  5. dhcpconfig を終了するには、4 と入力します。

dhcpconfig の使用によるネットワークの構成

この項では dhcpconfig を使用して、ネットワークを DHCP の管理下に置くための手順について説明します。以下の各手順では、サーバーの設定が完了し、DHCP データ保存に新たなネットワークを追加している段階であることを前提としています。

ローカルネットワークの構成方法 (dhcpconfig)

  1. DHCP サーバーシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. 次のコマンドを入力します。


    # /usr/sbin/dhcpconfig
    

    テキスト形式の「Configure DHCP Service」メニューが表示されます。

  3. プロンプトに対して次のように応答し、ネットワーク構成オプションへ進みます。


    Would you like to stop the DHCP service? (recommended) ([Y]/N)Y
    Would you like to specify nondefault daemon options (Y/[N]):N
    Do you want to merge initialization data with the existing table? (Y/[N]):Y
    Enable DHCP/BOOTP support of networks you select? ([Y]/N):Y
    
  4. プロンプトに対して次のように応答し、ローカルネットワークを構成します。


    Configure BOOTP/DHCP on local LAN network: 172.21.0.0? ([Y]/N):Y
    
  5. クライアント名の生成についての各プロンプトに対して、次のように応答します。


    Do you want hostnames generated and inserted in the files hosts table? (Y/[N]):

    サーバーはホスト名を作成し、各名前を IP アドレスに対応付けることができます。詳細については、「クライアントホスト名の生成」を参照してください。

    Y と入力した場合は次のプロンプトに応答します。N と入力した場合は、手順 6 へ進みます。


    What rootname do you want to use for generated names? [yourserver-]:

    生成されたクライアント名のデフォルトのプレフィックス、つまりルート名 (rootname) が DHCP サーバーの名前になります。この名前はそのままクライアント名として使用しても、他の名前に変更してもかまいません。


    Is Rootname name_you_typed- correct? ([Y]/N):Y
    

    入力に間違いがあった場合は、ここで N と入力し再度ルート名の入力を求めるプロンプトへ戻ります。


    What base number do you want to start with? [1]: 

    ベース番号はクライアント名の生成に用いられるルート名に付加される最初の番号です。たとえば、デフォルトのルート名とベース番号を使用した場合、クライアント名は、yourserver-1yourserver-2 のようになります。

  6. DHCP の管理下に置きたいネットワークの IP アドレスに関する次のプロンプトに応答します。


    Enter starting IP address [172.21.0.0]:  

    サーバーは管理対象とする IP アドレス範囲を生成する必要があります。DHCP の管理下に置きたい IP アドレス範囲の開始アドレスを入力します。詳細については、「IP アドレスの数と範囲」を参照してください。


    Enter the number of clients you want to add (x < 65535):

    クライアント数は DHCP の管理下に置く IP アドレスの数に相当します。dhcpconfig プログラムはこの情報とベース番号を使用して、連続した IP アドレスブロックを DHCP の管理下に追加します。


    The dhcp network table: 172.21.0.0 already exists.
    Do you want to add entries to it? ([Y]/N):

    すでにアドレス設定が完了しているネットワーク内にアドレスブロックを追加した場合、上記のプロンプトが表示されます。Y と入力してネットワークテーブルを変更しアドレスを追加します。


    Would you like to configure BOOTP/DHCP service on remote networks? ([Y]/N):

    ネットワークの追加を終了するときは、N と入力し、プロンプトの指示に従ってサーバーを再起動します。

    他のネットワークの IP アドレスを DHCP の管理下に置きたいときは、このプロンプトで Y と入力し、手順 5 に進みます。

リモートネットワークの構成方法 (dhcpconfig)

  1. DHCP サーバーシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. 次のコマンドを入力します。


    # /usr/sbin/dhcpconfig
    

    テキスト形式の「DHPC Configuration」メニューが表示されます。

  3. 1 と入力し、Return を押して「Configure DHCP Service」を選択します。

  4. プロンプトに対して次のように応答し、リモートネットワーク構成オプションへ進みます。


    Would you like to stop the DHCP service? (recommended) ([Y]/N)Y
    Would you like to specify nondefault daemon options (Y/[N]):N
    Do you want to merge initialization data with the existing table? (Y/[N]):Y
    Enable DHCP/BOOTP support of networks you select? ([Y]/N):Y
    Configure BOOTP/DHCP on local LAN network: 172.21.0.0? ([Y]/N):N
    
  5. プロンプトに対して次のように応答し、リモートネットワークを構成します。


    Would you like to configure BOOTP/DHCP service on remote networks? ([Y]/N):Y
    Enter Network Address of remote network, or <RETURN> if finished: 

    DHCP に構成したいネットワークの IP アドレスを入力します。ネットワークアドレスでは、IP アドレスのホスト部分に 0 が使用されます。


    Do clients access this remote network via LAN or PPP connection? ([L]/P): 

    L または P と入力することにより、ネットワークがローカルエリアネットワーク (LAN) またはポイントツーポイントプロトコルネットワーク (PPP) のいずれであるかを示します。


    Do you want hostnames generated and inserted in the files hosts table? (Y/[N]):

    サーバーは IP アドレスごとにホスト名を作成し、/etc/inet/hosts ファイルまたは NIS+ hosts テーブルにエントリを作成します。「クライアントホスト名の生成」を参照してください。


    Enter Router (From client's perspective), or <RETURN> if finished.
    IP address:

    このネットワーク上のクライアントが使用するルーター (複数も可) の IP アドレスを入力します。なお、クライアントがこのネットワークでルーター発見機能を使用するように指定することはできません。


    Optional: Enter Remote Network's MTU (e.g. ethernet == 1500):   

    リモートネットワークが使用している固有の最大転送単位 (MTU) がわかっている場合は、この時点で入力します。そうでなければ、Return を押して、デフォルト値をそのまま使用します。


    Enter starting IP address [172.21.0.0]   

    DHCP の管理下に置きたい IP アドレス範囲の開始 IP アドレスを入力します。デフォルト値は、ネットワークアドレスです。


    Enter the number of clients you want to add (x < 65535):   

    DHCP の管理下に置きたい IP アドレスの個数を入力します。dhcpconfig は、この値と、直前に入力した開始 IP アドレスを基に、DHCP の管理下に置く一連の IP アドレスを決定します。入力する値は、プロンプトで示される値よりも小さくなればなりません。なお、プロンプトで表示される値は、ネットマスクを基に生成されたものです。上記の例の場合は、65535 未満の値を指定する必要があります。


    dhcptab macro "172.21.0.0" already exists.
    Do you want to merge initialization data with the existing macro? ([Y]/N):   

    このネットワークがすでに構成済みの場合は、上記のメッセージが表示されます。既存のマクロにデータをマージする必要があるのは、追加しているネットワーク上の全クライントに指定の情報を適用する場合だけです。


    Disable (ping) verification of 172.21.0.0 address(es)? (Y/[N]):   

    dhcpconfig は、追加しているアドレスに対して ping を実行し、それらのアドレスが使用されていないことを確認し、使用中のアドレスはスキップします。このプロンプトに対し Y と入力すると、dhcpconfig は、アドレスに対して ping を実行しません。


    Network: 172.21.0.0 complete.
    Enter Network Address of remote network, or <RETURN>  if finished:

    別のリモートネットワークを構成したい場合は、そのネットワークアドレスを入力し、ネットワークに関するプロンプトに応答します。構成するリモートネットワークが他にない場合は、上記のプロンプトに対して Return を押します。


    Would you like to restart the DHCP service? (recommended) ([Y]/N):   

    Y と入力して、DHCP サービスを再起動します。

dhcpconfig の使用による DHCP サーバーおよび BOOTP リレーエージェントの設定解除

DHCP サーバーの設定を解除すると、サーバープロセスが停止し、システムのリブート時に自動的に起動されなくなります。また、これによって、/etc/default/dhcp ファイルが削除されます。このファイルには、データの保存場所およびサーバーの起動オプションに関する情報が格納されています。DHCP サーバーの設定を解除する際には、DHCP データファイル (dhcptab と DHCP の各ネットワークテーブル) の扱いを決定する必要があります。サーバー間でデータを共有している場合は、dhcptab と DHCP の各ネットワークテーブルを削除してはなりません。DHCP サーバーの設定を解除することによって、ネットワーク全体に渡って DHCP を使用することができなくなるからです。データの共有は、NIS+ またはエクスポートしたローカルファイルシステムを使用して行えます。これらのテーブルを保持したままでも、DHCP サーバーの設定を解除することができます。テーブルをそのまま保持するには、テーブルを削除するかどうかを尋ねるプロンプトに、NO と応答します。

DHCP サーバーまたは BOOTP リレーエージェントの設定解除方法 (dhcpconfig)

  1. サーバーシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. 次のコマンドを入力します。


    # /usr/sbin/dhcpconfig
    

    テキスト形式の「DHPC Configuration」メニューが表示されます。

  3. 3 と入力し、Return を押して、「Unconfigure DHCP or Relay Service」を選択します。

  4. プロンプトに対して次のように応答します。


    Unconfigure will stop the DHCP service and remove /etc/default/dhcp.
    Are you SURE you want to disable the DHCP service? ([Y]/N):

    Y と入力し、サーバーの設定を解除します。


    Are you SURE you want to remove the DHCP tables? (Y/[N]):

    DHCP データが他の DHCP サーバーと共有されていないことが確実な場合にだけ、Y と入力します。N と入力すると、サーバーが使用できなくなりますが、データはそのままに保持されます。

Solaris DHCP クライアントの設定および設定解除

CD-ROM から Solaris オペレーティング環境をインストールすると、DHCP を使用して、ネットワークインタフェースを設定するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されます。これに対して yes と応答すると、Solaris のインストール中に、使用しているシステム上で DHCP クライアントソフトウェアが使用可能になります。DHCP を使用するためにクライアントマシン上で行う作業は、これ以外にはありません。

クライアントマシン上ですでに Solaris オペレーティング環境が稼働しているが、DHCP をまだ使用していない場合は、Solaris システムの設定を解除し、いくつかのコマンドを発行して、システムのブート時に DHCP を使用するようにシステムをセットアップします。

Solaris 以外のクライアントを使用している場合の DHCP クライアントの設定方法については、そのクライアントのマニュアルを参照してください。

Solaris DHCP クライアントの設定方法

以下の手順が必要なのは、Solaris をインストールする際に DHCP を使用可能にしなかった場合だけです。

  1. クライアントマシン上でスーパーユーザーになります。

  2. 次のコマンドを入力して、システムの設定を解除し、システムを停止します。


    # sys-unconfig
    

    このコマンドを使用して設定情報を削除する方法については、sys-unconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. PROM プロンプトが表示されたら、システムをリブートします。


    ok boot
    

    システムのリブート時に、システム設定情報を入力するように求めるプロンプトが、sysidtool プログラムから出力されます。詳細については、sysidtool(1M) のマニュアルページを参照してください。

  4. DHCP を使用してネットワークインタフェースを設定するように促すプロンプトが表示されたら、Yes を選択します。

Solaris DHCP クライアントの設定解除方法

  1. クライアントマシン上でスーパーユーザーになります。

  2. 次のコマンドを入力して、システムの設定を解除し、システムを停止します。


    # sys-unconfig
    

    このコマンドを使用して設定情報を削除する方法については、sys-unconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. PROM プロンプトが表示されたら、システムをリブートします。


    ok boot
    

    システムの設定を解除してあるので、システムのリブート時に、システムの設定情報を入力するように sysidtool プログラムから要求されます。詳細については、sysidtool(1M) のマニュアルページを参照してください。

  4. DHCP を使用してネットワークインタフェースを構成するように促すプロンプトが表示されたら、No を選択します。